作為的に歪な組体制・雪組『ジュエル・ド・パリ!!』感想

 

色々と書きたいことが溜まっているのですが、

やはり公演中に感想は書ききらなければ…。

 

 

ってことで雪組本公演の感想を綴っていきます。

まずはレビューの『ジュエル・ド・パリ!!』から。

 

素敵に面白かった、けど。

 

大前提の感想としては、まぁ普通に面白かったです。分かりやすい藤井先生レビューながら、珍しくスローな雰囲気。これは彩風政権におけるレビュー作品が、灼熱の稲葉作品『Fire Fever!』、ロック調の中村B作品『Sensational!』、そして続く雪組100周年作品は野口先生による『FROZEN HOLIDAY』ですから、緩急・住み分けが意識され発注されたのだと思います。けれど、なんか不思議とトリッキーでしたね。

その原因はド頭で唐突に差し込まれる初舞台ロケットなのか、あるいは本編が始まると思ったらいきなりスローになる夢白パートなのか…いずれにせよ冒頭から流れがブツ切れでイマイチ勢いに乗れないまま始まる感じが、個人的には「う~ん?」という感じでしたし、やはり全体的にどこかで見たことある系だったかなぁと思います。朝美絢によるパリの場面なんて花組『BEAUTIFUL GARDEN』の柚香光の場面そのままだし、カラフルカンカンは『Délicieux』だし、直属の後輩かつ弟子である野口作品をそのままパクるっていいの?というのが率直な感想でした。

見せ場となるようなインパクト強めな場面も特に見当たらず、全体的に無難なノリ。そんなメロウでクラシカルな雰囲気がいかにも宝塚ちっくで、私は素敵だなと思いましたけど、それは雪組ファンだからであって、世間的には『Cool Beast!!』や『Capricciosa!!』といった、いわゆるハズレの方の藤井作品なのかもしれません。

 

作為的に歪な組体制

 

ところで、2度目の観劇で気付いたのですが、レビュー作品恒例の銀橋歌い継ぎがありませんでした…よね?路線スター順繰りに銀橋で歌う、レビュー作品の一つの見せ場にして、様式美でありながらしっかり盛り上がる場面。なんで無かったんでしょう?

で、最初にその理由を書いてしまうと、なぜか作為的に組体制を歪にしたからだと思います。具体的に言うと、眞ノ宮るい一禾あおが路線枠に相当食い込んでいました。確かに雪組は強い別格路線を置く組ですけど、ここまで強いとポスト真那春人を通り越して、ポスト緒月遠麻になってしまうのでは?ってくらい出張ってました。特に眞ノ宮るいは強々で、冒頭の芸術家セブンに選ばれ(これは奇数にしたい藤井先生の美学かな?)、基本的には諏訪さきとシンメ。つまり少なくとも咲城けいよりも立ち位置は上という感じ。まぁ小柄ダンサー系スターで今の雪組路線属性ですし、人気もそこそこ有りそうだから推される理由も分からんでもないですが、一番は華世京を推すにあたり諏訪・咲城・紀城あたりをまとめて蓋するにあたっての助走段階のようなものなのかな?と思ったのでした。

結果として、最後のパレード階段降りが縣・和希・朝美・夢白・彩風だけで、しかも全員ソロという寂しい事態に…。藤井レビューといえば男役をガンガン降ろすことで有名なのに、これには軽くビックリ。例えば、華世・音彩・咲城 → 諏訪・野々花 → 縣千(以後略)とかでも良かったでしょうに、それをしなかった。その流れ弾で野々花ひまりが階段降りから外れ、なぜか最近のトレンド「娘役バラン」として朝美絢の前でセンター降りするという謎の状態になっていましたね。雪組は年功序列ピラミッドが綺麗に構築されているにも関わらず、なんでわざわざ歪にしたのか、うーん、不思議です。

 

夢白あやと音彩唯を堪能あれ

 

見せ場が無い、なんて書きましたけれど、全体的に夢白あやが非常に目立つ構成で良かったと思います。そりゃお披露目公演ですからと言うなかれ、雪組って基本的に娘役に塩な組であり、咲妃みゆにも真彩希帆にもろくすっぽ場面をあげてなかったですから、これだけ芯の場面を与えるって相当レアだと思います。それだけ夢白あやのポテンシャルに期待しているということだと思いますし、やっぱり綺麗よなー彼女。クラシカルとモダンが融合した、パっと華やかでありながら楚々としながらも雰囲気も有るという、不思議なスター性。歌唱力もそこそこ向上し、トップ娘役として華麗に活躍しておりました。

そ、し、て。何より音彩唯のエトワールの素晴らしいことよ!!歌える認識はありましたけど、ここまで歌ウマ枠でしたっけ?という活躍ぶり。なので彼女の清楚系エンジェルボイスエトワールを聞くためだけに、本作を観るのは全然有りだと思います。ってことで個人的MVPは彼女でしたかね。

これまで人海戦術的に大多数で爆踊りしまくっていた彩風政権雪組が、少しばかりの味変でクラシカル路線に振った『ジュエル・ド・パリ!!』。組ファンとしては、たまにはこういうのもイイよね!!と楽しめた藤井作品でした。

 

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コメント

  1. みかん より:

    感想を心待ちにしておりました!!
    本拠地民です。

    ジュエル・ド・パリ、結構楽しめました。
    ソウタさんの仰る通り、夢白あやの扱いの良さにビックリ&嬉しかったです。
    やっぱり彼女、綺麗ですよねー。

    「愛の、愛の宝石〜♪」の部分を聞いて、ル・ポ●ゾン、、?っとなったのは私だけでしょうか笑

  2. さるまん より:

    いつも楽しく拝見しております。
    私は藤井作品の中でも、
    今回わりと今作好きというか評価したいと思いましたよ。

    夢白あやの活躍ぶりは、確かに凄いですが、巷でよく言われるパレードのときの、下手先頭の立ち位置に、どれだけの意味があるのか、蒼汰さんの見解を伺ってみたいと思いました。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      私個人としては、最後の挨拶の上下については過去のデータを追い切れてない(考察に用いるには知識として足りていない)のでこれまであまり興味がなかったのですが、むしろ朝美さんが2番手昇格後に3作連続で下手先頭を取った時は「人事に何も関係が無い」と言わんばかりに静かだったのに、夢白さんが一回取っただけで突然また言われるようになった(このコメントが2つ目)理由の方が気になります。笑
      確か水美さんや鳳月さんも下手取ってませんでしたっけ?逆に王家で有沙さんが取ってましたけど、そのあたりはどうなんでしょう?人事に関係あります?

      • さるまん より:

        お返事ありがとうございます。
        下手上手問題は、なんとなく「絶対」はなさそうなんですが、
        何か法則があるのか自分も調べてみたんですがわかりませんでした。。
        人事は関係なさそうですが、
        今回夢白ちゃんの件で騒がれてたので
        気になった次第です。
        先行ってみないと、まだ何も言えませんね。苦笑

  3. YK より:

    いつも楽しみに拝見してます。ライラックとジュエルドパリを劇場で見る機会があったのですが、ショーでの夢白あやはパッと見華やかなインパクト凄かったですね、ちょっと咲ちゃん食われてないかとツレと観劇後に言っていたものです。あと個人的には中盤で和希そらと美穂さんが殴り合うように歌唱バトルするところも大好きです。構成は普通かもしれませんが、私みたいにライトファンには咲ちゃん中心に各所に見せ場があってとても楽しいショーだと思います。駄文失礼しました。

  4. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、興味深く拝見しております。
    作為的に組体制を歪にしているのでは~に、なるほどなぁ、大納得しました。
    雪の100期さん(るい&かりあん)が大好きなだけに、嬉しいのですが不思議な思いもあります。

    人数をおさえた階段降りに続く銀橋への並びで、下手先頭は2番手朝美さんではなく、娘役1の夢白さんで(御披露目ですしね)、続くのは縣さん(ここが気になる)。
    並びは、彩風さんを中心に上手側の朝美さんの隣に和希さんの姿が…。
    他組もですが、3番手って、なんだろって思いがつのりました。
    大千秋楽で卒団の皆様を、配信で見送りたいと思います。

  5. とと より:

    雪組は元々階段降りが渋かったのを最近は娘役含め割と景気良く降ろしてあげてた印象なので、エトワール後いきなり縣さんが1人で降りてきた時はさみしいなと思ってしまいました。上級生・同期2番手が乱発していた中でも雪組は綺麗なピラミッド体制を維持していると思いますが、確かに今作はそれより下をあえて崩している様な箇所が結構ありましたね。とにかく芝居でもレビューでも華世京を全力プッシュしたいという意思だけは伝わってきました笑 銀橋歌い継ぎは代わりが大階段での歌い継ぎ(これもデリシューで見たな???)だったんじゃないでしょうか。カラフルキラキラカンカンは可愛らしかったですが、若手男役のアイドル風ロック場面といい、正直野口先生のアイデアを盗みすぎでは?感は否めませんでしたね、、

  6. 12がつ より:

    下手先頭がトップ娘で上手が2番手だったらどーのこーの、という話をする方はたまに見かけますけど…
    ちなみに、ピガールの時は今回と同じく初舞台生公演で、月城さんが上手にいて下手先頭は美園さくらさんだったと思うんですがその時もどーのこーの言われましたっけ?
    ただ、今回はフランス国旗のカラーリングと逆になってるし、2番手の横に3番手が来てるので、急きょ上下を入れ替えたようにも感じます。
    それは何かの力が働いてるのかな?と感じ無くはないですが。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      あれってフランス国旗をモチーフにしてるんですが…?その割には色がボヤーっとしてるし、国旗をモチーフにするなら彩風さんをIAFAの珠城さんみたいに真っ白にするか、ピガールの珠城さんみたいに真ん中から色を分けるかしないと成り立たないと思うんですが…。急に立ち位置入れ替えたんなら羽根なんてトップ仕様と違いますし、すぐ変えられませんかね、プロの舞台なら。

      • 12がつ より:

        てっきりフランス国旗モチーフにしたけど結局なってないやん!みたいなことかと思いましたが…ぼやーっとしてるというか、マダラっぽいですしね。
        よくわかんないですね。

        とりあえずめずらしい朝美和希の2番手3番手横並びが見られて、私はよろこんでます。

  7. こけし より:

    パレード階段降り歪だった件について私も考えてみたのですが、次に来る月組や宙組で、先に1期上である七城さんか大路さんどちらか(あるいはどちらも)階段降りをさせてから華世さん初階段降りにつなぎたいのかな…?と感じました。
    104はともかく105期は誰か階段降りを果たしてからがいいから、いったん今回は我慢してもらって…路線確定してる縣さんからにして次回から入れやすいように…みたいな他組調整の思惑があるのかもと。予想なので全然違ってたらすみません(笑)