ついに宙組『Le Grand Escalier』を観劇して参りました。
ありがたいことに、一桁列目のよく見える良いお席。
待ち続けた宙組公演についての、
私なりの忖度ない感想を書いていこうと思います。
再生とは痛みを伴うもの
まず第一印象としては、想像よりも、いや想像以上に盛り上がっていて、プロとしての気概を感じました。
というのは、もしかしたら寒々しくて痛々しくて、空虚で取り繕われたような雰囲気だったらどうしよう…と心配していたんですけど、決してそんなことは無かった。約1年弱ぶりの大劇場公演に目を輝かせながら、芹香斗亜を中心に一丸となって「組の再生」を図ろうと取り組む、パワーとパッションを感じたのです。
もちろんその内実は分からなくて、もしかしたら芹香斗亜の氷の微笑に震えあがり、20名近く辞めたくて仕方ないのかもしれない。けど、私の目にはそう見えなかったし、見せなかった。そういう意味で「プロとしての気概」と表現しました。
一方で、アンチお花畑兼宙組絶許派の方々が怒り心頭な理由も分からなくはないです。特に中詰めのアゲアゲギンギラカーニバルなんて、そういう人たちからしたら死者への冒涜、悪者の居直りバカ騒ぎにしか見えないでしょう。そしてそう批判されるだろうことも、もちろん劇団も宙組生たちも分かっていたはず。だからこそ、私は「やり切っていた」ことを評価したいです。
中途半端に申し訳なさそうにやるでなく、新たな宙組ここにありと堂々と舞台に立つこと。批判も中傷も引き受け、舞台袖で渦巻く様々な思いを抱きながらもスポットライトの下で輝いてこそ、スターの宿命であり使命であって、それを全力で果たそうという気概を私は感じました。きっと誰もが複雑な思いを抱きながら、何が答えか分からないけれど、でもいつまでも立ち止まっているわけにはいきませんからね。きちんとスターとしての使命を果たし、次のステップに進むのだなと私は納得したのでした。
場面ごとさっくり感想①
ってことで場面ごとに感想を書いていきます。
第一章「Le Tricolore」はドベタなパリレビューでオープニング。大階段センターに芹香斗亜が立ち、トリコロールの敷布が取られると、あーらビックリ、というオープニングに始まり、名曲を歌い継ぎながらスターがガシガシ降りてくるという、実に華やかな序章。組の再生ショーの開幕は、こんなベタが正解でしょう。小春乃さよと雪輝れんやのソロも素晴らしかったです。
繋ぐ第二章は湖々さくら、愛未サラ、美星帆那という珍しい3名が可愛く踊ります。…美星帆那がめっさ可愛くなってる???改めて見ると普通に路線娘役らしい可愛らしさがありました。湖々さくらって朝の顔をするまで認識していなかったのですが(ごめん)、しっかりばっちり歌えていてグッド。愛未サラはどこに居てもすぐに分かる華やかさがありますね。
第三章「Le Tricolore」は瑠風輝による『ダル・レークの恋』。すごいムーディ。からの桜木みなとも混ざって、真白悠希の歌声をバックに黒燕尾シルクハット芸を魅せつけてくれます。
第四章「Jungle」、宝塚お得意の冒険家スタイルである芹香斗亜が登場し、これまた宝塚お得意の蛇芸をかます鷹翔千空が一絡み。からの、妖鳥に扮した春乃さくらがドドーンと登場!!堂々としたスターっぷりが素晴らしい。ここで齋藤先生のデビュー作である『BLUE・MOON・BLUE』を持ってくるなんて、ズルイっす。
第五章「Carnaval」、これは前述の不謹慎再生を象徴するカルナバル場面。まず、亜音有星、大路りせ、泉堂成の3名が歌い始めるのが良き。から『華麗なる千拍子』『CONGA!!』など、超有名曲がズラリ。これで盛り上がらないわけがない!!天彩峰里も松風輝も、ギンギラポンポン持って盛り上げます。で、後半は芹香斗亜&春乃さくらがパイナップルモードで再登場し、宙組生みんなで踊り狂うあたりが、本作の盛り上がりの最高潮にしてハイライト。客席からも歓声が上がってましたし、私も柄になく感動してしまいました。
場面ごとさっくり感想②
第六章「SUMIRE協奏曲」、先ほどまでパイナップルモードだった春乃さくらが、返す刀で輪っかドレスのゴージャス淑女となって登場。得意の歌を朗々と披露します。
第七章「Le Torero」、まずは風色日向がまさかの銀橋渡り。しっかりスター扱いして貰ってからの、桜木みなと率いるマタドールらによるスパニッシュ場面。宝塚的には定番ですが、やはり良い。若翔りつの朗々とした歌唱が雰囲気を盛り立てます。牛は一体誰だろうと凝視しても全くピンと来なかったのですが、まさかの106期生・鳳城のあんでした。
第八章「Metropolitan Fantasy」、芹香斗亜の『マンハッタン不夜城』の主題歌で始まり、ブロードウェイで夢を掴んだ青年たちによる『ゴールデン・デイズ』で輝かしい未来を掴む・・・。継ぎはぎのはずなのに物語性が感じられて良き。この時の芹香斗亜がより若々しく感じられて良い意味で驚きました。
そして第九章~十章「This is TAKARAZUKA!」はフィナーレ、まずは亜音・大路・山吹、からの瑠風・鷹翔と歌い継ぎ、ロケット。そして大階段に芹香斗亜が一人立ち、『愛の旅立ち』を熱唱。す、すごい歌詞が意味深だ…。で、途中で副組長の秋奈るいのソロ歌唱がありつつ、桜木みなとや春乃さくらが男役・娘役を引き連れザクザク降り、再び芹香斗亜が現れて、『エクスカリバー』から「未来へ」を熱唱アゲイン。巷では「気の早いサヨナラショー?」と言われているようですが、私には鎮魂歌と、再生への祈りに聞こえましたかね。ラストのデュエダン、歌は誰だ…桜木でも瑠風でもなさそうだし、と思って調べたら志凪咲杜、108期生。凄い、大抜擢ですね!!
と、気付けばエンド。あっという間の1時間20分でした。
春乃さくらって凄い
ちなみに、個人的MVPは春乃さくらでした。凄いね、肝が座っとるわ、彼女。もともと歌が得意という触れ込みでしたけど、プレお披露目の『Xcalibur』ではなんだかビミョーに聞こえて、う~ん?と思っていたら、この休演期間中に相当仕上げていた様子。常に朗々と美声を鳴らしていて、とにかく凄かったです。
けどそれだけじゃなく、覚悟が決まっている人の顔をしていたというか、むしろ肝っ玉母ちゃんばりに芹香斗亜を包み込み支えてあげていて、そのことに私は驚いたのでした。
特に第五章「Carnaval」冒頭の「プァッショネエエエエエェェェェイトッッッッ!!!」という咆哮、溢れんばかりの笑顔、指の先まで計算しつくされた立ち姿、全てがザ・トップ娘役のソレで、彼女があの場面を盛り上げていたといっても過言ではありません。それに、背が高いけれどもシュっとしているから宙組生にもよく馴染んでいるし、妖鳥も輪っかドレスも見事に着こなしていて単純に凄いなと思いましたし、極めつけは芹香斗亜を見つめる顔ですよ。一点の曇りも無いの。本当に愛するように、慈しむように見つめていて、ラストのデュエダンなんて完っ全に二人だけの世界になっていて、すげーーーーーーーーーーーーーって感心してしまいました。
あと、気になった宙組生で言うと…天彩峰里が可哀想なくらいガリガリになってましたけど、険が取れたのかまろやかな雰囲気になっていたこと、山吹ひばりが絶妙に垢抜けていてお人形さんみたいなスタイルに磨きがかかっていたこと、鷹翔千空が闇堕ちした龍真咲のような顔立ちになっていて、益々好きだなぁ実感したこと、花菱りずが健気にダイナミックに踊っていて目を惹いたこと、そして桜木みなとが2番手として既に安定感高めだったこと、を書き記しておきます。
無事、千秋楽を迎えられますように
以上、私の宙組『Le Grand Escalier』感想でした。
例えどんな批判があろうとも、
一先ず千秋楽まで無事完走することを祈っております。
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コメント
蒼太さん、こんばんは!トムヤムクンです。私は宙組大劇場公演遠征、配信をみて、今週東京観劇をひかえております。蒼太さんがおっしゃっている様々な事、強く同意です!さくらトップ娘様の貫禄、力強さにびっくりしました。可愛いそそとした美人さんなのに目メイクも強くて!パワフル!芹香さんの相手役として最高のトップ娘様だな!と思いました。
天彩さんのガリガリさかげん、桜木さんの仕上がり具合、瑠風さんや鷹翔さんのグレードアップにびっくりしました。そして、、舞台に立てない間に歌唱力アップしたジェンヌさん達にびっくりしました。歌うまな瑠風さんや真白さんはわかりますが、、真名瀬さんや歌声が苦手だった美星さん、山吹さんも凄く上達されましたよね!?
宙組公演を観たくない方、敬遠されている方もいらっしゃるでしょうけれど、宙組皆様の覚悟を感じ私の不安は少し遠くなりました。。そして芹香さんが2作で辞めるのかと思う気持ちもありましたが通常任期をまっとうされるんでしょうね。私達ファン、世間の様子をみながら組み替えを行うのかとは思いますが煮詰まり感を払拭するにはやはり組み替えがカンフル剤になると思っております。
ヘタなしショーよりも、ワクワクしますね。主題歌も一度聞いたら頭の中でグルグル回ってます。主題歌はこうでなくっちゃ。
タカスペっぽいといえばタカスペっぽいですが、たまにはこんなショーを1つの組でやるのも面白いという選択肢ができたと思います。宝塚、まだまだ名曲が埋もれてますから。
記事ありがとうございます。
行けなかったので細かなレポート嬉しいです。
読んでて改めて春乃さくらちゃんをちゃんと見たい!と思いました。
宙組生、休演中もしっかりと鍛錬を積み重ねて、再開される日までに仕上げてきてること素晴らしいと思います。
まだまだ色んな声があってステージに立つことが怖いこともあるでしょうが、まずはこの舞台をしっかりと勤め上げている宙組生には拍手を送ります。
私も本日、宙組の再生を見て来ました。
番手が1人残らず歌える実力の宙、という印象を強く持ちました。
観劇前は自分がどんな気持ちになるか若干微妙に思っていましたがまさに春乃さくらに全て吹き飛ばされて。
少し前まではほぼ無名な娘役だったのにここまで開花するとは嬉しい誤算だし、やはり抜擢されきれてない良い人材はいるのだなあとしみじみ感じました。
スパニッシュ牛役106期の鳳城のあん、ダンスが素晴らしいと思っていましたがプログラムを買わなかったのでここで名前が知れてありがたいです。
華世京と同期、と思えばそんなものかと思いますが、二番手の桜木みなとと堂々とセリ上で闘うには随分な下級生。
カゲソロの志凪咲杜に至っては研2ですか…下級生まで楽しみなスターがたくさんいてこれから宙組もしっかり見ていきたいと思いました。