真彩希帆の変化と進化【雑記】

スカステ「Brilliant Dreams」や宝塚グラフ「A GIRL!!」などで

ここ最近、真彩希帆を見かける機会が非常に多いわけですが

なんだか彼女、変わったなぁと思うのです。

あ、もちろん良い意味で。

 

っちゅーわけで雪組ウォッチャーとしての

最近の彼女について思うことを雑記としてまとめていきます。

 

真彩希帆のターニングポイント

 

突然ですが、彼女の舞台人としてのターニングポイント的作品は

悲願の再演『ファントム』ではなく

『20世紀号に乗って』になるじゃないかなぁと個人的に思っています。

 

望海風斗と真彩希帆の『ファントム』に導かれし物語…。

これが一体いつから敷かれたレールなのかは分かりませんが、笑

 

とにかく彼女はこの『ファントム』まで、

タカラジェンヌとして、トップ娘役として、望海の相手役として、

自分を限界まで追い込んでいた印象があります。

 

劇団側がこの作品にいかに賭けていたか、

部外者でも分かるくらいの熱量でしたから、

当事者として感じるプレッシャーは相当なものだったのでしょう。

 

トップ娘役に就任してからは、

常に張り詰めた糸のような緊張感がありましたし、

それが技巧派・望海風斗と張り合うだけのエネルギーとなって

舞台で魅力的に光ったのだろうと思います。

 

それはさながら「戦っている」ように見え、

これまで夫婦芸・お慕い芸が多かったトップコンビ戦線に

新たな風を吹き込んだことは、前身ブログでもまとめさせて頂きました。

 

そんな『ファントム』での大成功を受け、

次に上演したのが『20世紀号に乗って』なわけですけれど、

私は実際にこの公演を観たのですが

もうね、これまでと全然違ったんですよ。

 

いわゆる「素晴らしい作品を作り上げる」

「一人の舞台人として全力を尽くす」だけでなく、

「舞台を楽しむ」という、綺麗事なんだけれども一番大切な価値観が

それはそれは強く感じられたわけです。

 

リリー・ガーランドという

高慢で、ゴージャスで、居丈高な大女優が

キーキーはしゃいでわめいて大暴れして熱唱しまくる芝居を、

彼女はとこっとん楽しんでいたように見えました。

 

そしてこれは彼女だけでなく、

望海、彩風、彩凪、朝美と、男役もみーんな同様。

 

これまで暗い悲恋物が続いた望海体制雪組において

やっと回ってきた明るいハチャメチャコメディーでしたから

みんなの「楽しい!!」というエネルギーが大爆発し、

化学反応を起こったことにより、あれだけの名作が生まれたのだろうと思います。

(映像化されないのが本当に残念です。)

 

真彩希帆の変化と進化

 

そしてこの『20世紀号に乗って』を境に、

彼女の芸風はゆるやかに変わっていきます。

 

『壬生義士伝』では、しづ、みよの2役を演じ、

和物の雪組の世界観を出しゃばり過ぎずしっとりと演じてみせたし、

『はばたけ黄金の翼よ』 ではあえて古臭い芝居に特化して、

二昔前のヅカ的価値観をメタ的に再現してみせた。

 

そして『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』。

少女期から壮年期までの一人の女性の一生を見事演じ切り、

小池修一郎作品の名に恥じない見事な大作の柱の1つとして活躍した。

 

共通するのは「望海に戦いを挑む」のではなく

「望海と一緒に戦っている」ように見えることです。

 

実力派・望海風斗の良きパートナーとして

作品を素晴らしいものにしようと「共に戦う」ということ。

 

これこそが、彼女の変化であり進化であると思いますし

今の雪組の円熟期の所以かなぁとファンとしては思うわけです。

 

逆に『琥珀色の雨にぬれて』や『ひかりふる路』の彼女は、

当時は「凄い娘役だなぁ」と思いながら見ていましたが、

今見返すと望海について行こうと必死に食らいついている様子

ビンビンに感じられるんですよね。

 

彼女はヒロイン経験が薄く、

同期の有沙や星南を吹っ飛ばしてトップに就任したわけですから

その気苦労たるや相当なものだったのでしょう。

(逆に『鈴蘭』『こうもり』新公なんかは等身大に楽しそうだったりしますが。)

 

いやはや、どれだけ実力派のスターだったとしても

それでも舞台を通して変化・進化し続けるんだなぁ

彼女を見て改めて実感したのでした。

 

真彩希帆というハイパー娘役について

 

そんな『ファントム』公演前夜の

トップ娘役として必死に戦っていた彼女のことを、

前述の通り、私は前身ブログ時代に「スーパー娘役」と称しました。

 

そこからさらに進化しているわけですから

彼女はもうハイパー娘役と言っても差し支えないのかもしれません。笑

 

そんな真彩希帆、最近はテレビでも雑誌でも

のびのびとした一人の女性として和気あいあいと出ていることが多く、

見ていると「楽しんでいるんだなぁ」と明るい気持ちにさせてくれますよね。

 

任期が長いトップ娘役ならいざ知らず、

研9なりたて任期5作目の彼女が

あそこまでわいわいしても品格警察の皆さまに許されるのは

ひとえに実力が全てなんだなぁと思わなくもなかったり。

 

と、同時に。

そんな彼女が上田久美子による退団公演で、

どんなウルトラ娘役に進化するのかが今から非常に楽しみだったりします。

 

終わりが決まったはずなのに、

コロナウィルスにより終わりが見えなくなってしまった情勢ですが、

彼女のトップ娘役としての戦いの日々が

どのような結末を迎えるのか、ファンとして見届けたいと思います。

 

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コメント

  1. みかん より:

    こんにちは。
    現雪組トップコンビさんの関係を読みながら、轟さんと月影さんを思い出しました。当時のコメディ作品「再会」を観た記憶があります。月影さんの体当たりといいますか、エネルギーが溢れる舞台だったなぁと思い起こします。当時の雪組さんのまっすぐさが弾け飛ぶ面白さに変わり、いまだに思い出してはくすっと笑ってしまいます。
    真彩さんは映像でのみ拝見したことがありますが、美しい声の持ち主で独特な雰囲気があり、とても魅力的な娘役さんですね。遠方なので望海さんファンの知り合いにサヨナラ公演の円盤をお願いしていましたが…
    再開が待ち遠しいものですね。
    皆様の健康をお祈りしています。

  2. AKIRA より:

    来ました~真彩さんですよね!
     昨年、BSで初めて見た宝塚歌劇がまさに望海&真彩トップコンビの雪組でした。時間が経つにつれその魅力に引き込まれ、たまたま取れたチケット(壬生義士伝)で大劇場デビューも果たしました。そんな思い入れのある真彩さんですが、第一印象については、舞台技術は別として、普通の人なのかな?という感じでした。普通の人というのは、身の回りにいる少し変わっているけどそれなりに可愛い人という意味です。蒼汰さんご指摘の変化と進化が、壬生義士伝の後の全国ツアーでの演目であるということについては、舞台を見ていないので分かりませんが、2月の真彩さんの退団会見で、望海さんから退団を伝えられたのがこの全国ツアー中だとありました。この時に吹っ切れたのかな?と直感しました。
     幼少の頃から歌うことやミュージカル好きで、音月さんに憧れて男役で受験した宝塚では意図せずに娘役として入団し、キャリアを積み重ね、遂にトップ娘役に昇りつめた。でも、トップになることにはそれほど執着していなかったのでは無いかと思うのです。退団後の芸能界への進出についても、会見ではあまり積極的な発言は見られませんでしたよね。しかしながら、一人の男役さんに寄り添って行きたいという言葉はトップになることを示唆していますので、ここら辺がよく分からないのですが、いずれにしてもトップ娘役としてのゴールが見えてきた中で、達観した自分がそこに誕生したのではないでしょうか。
     私にとっての真彩さんは、普通に身の回りにいる少し変わっているけど可愛い人です。そんな真彩さんが、今後も舞台人として活躍してくれること期待しています。
     

  3. 和世 より:

    DVD/Blu-ray化できない『20世紀号に乗って』を観ていないので
    違う印象を持っているのかもしれませんが…。
    (それ以外は全て一度は観ています)

    私には真彩さん(のお芝居)が同じに見えてしまいます。
    娘役トップに就任される前(雪組一本目)のおひさ(『幕末太陽傳』)からデボラまで、基本的には何も変わらない。

    役として舞台に立つというよりは、真彩希帆が前面に出る感じです。
    陽のエネルギーを放っている方なので、マリー=アンヌやジョアンが
    任向きでないことは「でしょうね」だと思います。
    クリスティーヌも、比類なき歌唱力で作られたのは確かです。
    しかし、全て”真彩希帆”色に染まるので、非常に役の幅が狭いと感じます。

    寄り添うのではなく共に闘いながら舞台を作られる姿勢も、
    他者を寄せ付けないほどの歌唱力も、素晴らしいと思います。
    最後の舞台で、陽のエネルギーの殻をお破りになるのか
    (上田久美子氏の作風から察するに、”とってもハッピー”にはならないと思うので)それとも、真彩希帆が出てしまうのか。
    実力をお持ちなだけに、気になります。

  4. くまぐま より:

    いつもいつもとても楽しみに拝見させていただいております。

    パラダイムシフトのおこった世の中ですから、20世紀号が円盤化される奇跡がおこらないかなぁ。

  5. みき より:

    私は真彩さんの役の幅が狭いとは思いませんよ。
    このブログでも書かれているように、声の表情がとても繊細で、感情を表現できる貴重な方だと思います。
    ファントムのクリスティーヌしかり、デボラしかり。役として一人の人間の成長がしっかり感じられました。
    舞台は役者と観客の化学反応でもありますから、その人がどう見えるかは、自分の感情もどうしても反映しましよね。あるブログの劇評でも、ある娘役さんが出てくるだけで邪魔だ、みたいな書き方で、そうなると何をどうしても受け付けないのだろうなあ、と思いました。
    勿論、いろいろな意見や見方があって良いと思いますが。
    それはそうと、20世紀号、本当に円盤化されないでしょうか。あれこそ望海さん真彩さんコンビの代表作の1つだと思うのですが・・・