宝塚人事の闇の淵・09年月組『エリザベート』【雑記】

宝塚人事は、いつだって残酷です。

 

けど、100周年以降のライトファンである私は

これまでの人事の流れをまるで歴史書のように読み進めると

「あぁ、昔よりはマシなんだろうな」と勝手に思ってしまいます。

 

平成30年間の宝塚の歴史において、

その人事の混迷が極端に表れていたのは

09年月組『エリザベート』ではないでしょうか。

 

ということで、現在スカステで『エリザベート』6ヶ月連続放送という

大変ありがたい企画が進行中なわけですけど、

これのおかげで、ついに初めて09年エリザを見ることができました。

 

いやー凄いね。

画面を通してでも分かるほど、舞台を包み込むその不協和音。笑

 

こういうことを書くと

「私はこのエリザも大好きなんで酷いこと言わないで‼」的な

批判コメントを頂きそうなんですけど、今日の議題はそれではありません。

 

ということで今日は、

そんな09年月組『エリザベート』にまつわる闇人事についての雑記です。

 

09年月組『エリザベート』当時の人事模様

 

まずは当時の状況を振り返ってみましょう。

 

当時月組でトップを務めていたのは、超人気スター・瀬奈じゅん。

彼女は明日海、柚希の前のトップオブトップとして、

当時の宝塚を牽引していました。

 

彩乃かなみとともに2005年にトップ就任。

3年間一緒にトップを務めたのち、

一足先に彩乃は退団することになりました。

 

では次期トップ娘役は誰になるのか?

当時その席を競っていた月組娘役は2人。

城咲あい(新公ヒロ4回に外箱ヒロ6回)羽桜しずく(新公ヒロ4回に外箱ヒロ2回)。

 

どちらも、経験値的には何も問題無し。

情勢的には、実力も安定していた城咲に、

若さと美しさで追い上げてきた若手の羽桜、といったところでしょうか。

 

ところが、結果として次期トップ娘役は、まさかの空位。しかも3作も。

これは2人にとって大きな屈辱でしょう。

 

他の娘役に獲られるならまだしも、空位だなんて

「あなたはトップ娘役不適格」と言われているようなもんです。

 

じゃあ『エリザベート』のシシィはどうするのだ?と思っていたところ、

抜擢されたのは他組の無名の若手・凪七瑠海。

彼女は当時まだ新公主演すらしていません。

 

そんな月エリザにて、娘役2人はなにを割り当てられたのか。

羽桜は少年時代のルドルフと4回目の新公ヒロを、

そして城咲は…シシィを苛め抜くゾフィ役。

(同じトップ娘役不在でも、一応トップ娘役格扱いされた伶美うららのなんと恵まれたことか…)

 

それを彼女たちがどう感じたのかは分かりません。

ですが、城咲も羽桜も、このエリザの次の大劇場公演、

つまり瀬奈の退団公演『ラスト・プレイ』でともに退団していきました。

(そしてトップ娘役になったのは星組から落下傘してきた蒼乃夕妃。)

 

 

 

これって、今の時代に当てはめるとするならば、

 

明日海りおが退団間際にやもめとなり、

エリザを上演するにあたりシシィは蘭尚樹(他組の主演未経験者で首席)が抜擢、

城妃がゾフィ、華が少年ルドルフを演じ、2人は次の作品で明日海とともに退団。

次期は他組から星蘭や潤花あたりが落下傘就任…という感じでしょうか?

 

いやー炎上しそう。笑

怖い怖い。まさに宝塚人事の闇という感じでしょう。

 

闇の淵からずっと続く不思議な人事

 

そんなわけで、私は当時らへんを

宝塚人事混迷期の極地だと勝手に思っているのですが、

実はこれ、「果て」ではなく「入口」でもあるんですよね。

 

まず、月組の観点から見てみると、

人事の大変革は上記のような娘役だけではなく、

実は男役にも大いなる変動がありました。

 

なんと言ってもこの作品から

本公演における本格的な龍(研9ルキーニ!!)と明日海(研7ルドルフ)のダブル上げが開始。

 

そしてそれに割りを食い、完全に引き離された遼河はるひも、

城咲、羽桜と共に次作で退団を選びます。

 

その後すぐの霧矢政権時代には

龍と明日海のダブル上げの継続、その歪の果ての準トップ体制。

 

龍政権時代、わざわざシシイアレルギーのある凪七を組替えさせて

美弥と競わせ正2番手をずーっと置かない傍ら、

北翔が数回特出するも、さりとてトップになることもなく、

その結果、若すぎる珠城政権の誕生。

 

娘役も、男役からの転向で突如トップに仕立てた愛希に、

早乙女&海乃のバトルの果ての美園トップ就任。

 

振り返ってみれば、

一つとして「順当」だったことは無いように思います。

 

まさにサイコパス人事の月組なわけですけど、

その闇の起点となるのが、

もしかしたらこの09年エリザなのかもしれません。

 

 

そして宝塚全体の観点から見れば、

この2009年末には、宝塚にとって大きな事件が2つ起きます。

 

1つは彩吹真央の2番手退団発表、

そしてもう1つは、96期生問題が表沙汰になったことです。

 

その後は夢華あみ抜擢、東日本大震災、仮面の男事件などなど、

驚くほどの負の事象が重なり(ほぼ自業自得ですが)

宝塚ブランドが地に落ちていくわけですね。

 

それを踏まえて今、この作品を見てみると、

この月組エリザは、まさに阪急のオジサンたちの居丈高な姿勢

見事に表れてる作品だなぁと思うんですよね。

 

「お前らは俺らが好き勝手決めた事柄をただ愛でれば良い」

実際そう思っていたかなんてもちろん分かりませんが、

こんな無理やりな配役を見れば、

いかに今の宝塚人事が色んな人に気を使っているかが分かるというものです。

 

当時のファンは大変だったんだろうなぁ

 

私は以前「人事は川の流れのようなものだから、その一地点だけを見て

悲観したり批判しても意味がない」という趣旨のことを書きましたが

ことさらこの09年月組エリザにまつわる人事配役に批判的なのは

その後の人事に大いなる禍根を残すことになったからです。

 

無理矢理過ぎる抜擢の結果、凪七は批判にさらされ

月組ファンにシシィ(凪七)アレルギーを蔓延させてしまったために、

その特出を縁に組替えで乗り込んで来ても、ファンは拒否反応を示すばかり。

(私は劇団的に龍の後任は凪七にするつもりだったのかなと思ってます。)

 

それとも、劇団は凪七に娘役転向への打診をしたかった?

…いやぁどうでしょう、結局彼女はいまも男役道を邁進してますからねぇ。

 

いずれにせよ、この無理矢理な抜擢は

珠城早期就任の遠因の1つであるとも考えられ、

ともすれば月組の混乱は10年経った今も続いていると言えるでしょう。

 

 

そんな月組で『エリザベート』を上演したのは過去3回。

どれも色んな意味でいわくつきなわけでですが、

18年月組エリザもたいがい「合ってないなぁ」と思いながら見てましたけど、

それでも09年月組エリザに比べれば幾分もマシなのが凄いですよね。笑

 

今は追想として、この闇のエナジーを映像の中の他人事のように楽しめますけど

当時のファンは本当に溜まったもんじゃないんだろうなぁと

現存するブログなどを見ると思います。

 

確かに歴史は繰り返す、

宝塚人事はいつだって闇だけど、

それでも昔に比べればマシだなぁと、改めて思うのでした。

 

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コメント

  1. YS より:

    コメント失礼いたします。
    私は’09エリザの時をリアルタイムで見てないので前回放映の時に観ても別に何とも思わなかったのですが、当時の不協和音は凄かったんでしょうね…
    ’18ちゃぴザベート(あえてこう呼ばせて下さい)はダイジェスト映像を見ただけで拒否反応を起こしましたw
    ちなみに東宝エリザちゃぴショック以降、辛すぎて「エリザベート」という作品を観られません(号泣)

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      愛希さん自体は素晴らしい舞台役者だとは思うんですけどね…いかんせんシシィのカラーとは真反対ですもんね。

  2. ヅカオタ より:

    こんばんわ。
    歌もダンスも上手下手が分からず、雰囲気で宝塚を観てるので、かちゃシシィ好きでした。
    とりあえず美しい。小顔でスタイルがよくドレスが似合う。そして前半の無力で無垢な少女から晩年の強く孤独な女性への変化への道のりが一番分かりやすかったな(エリザは5作品しか見てないのですが^^;)と思いました。

    09エリザ見て、蒼汰さんが記事書かれたら質問したいなと思っていたことがあります。
    1つはわざわざシシィを充てるくらいだからかちゃをトップ娘役にしようとしていたのだと思ったのですが、その場合どの組で就任させる予定だったのでしょうか?
    大本命は月なのでしょうが、華々しいお顔の瀬奈さんならともかく、いぶし銀といった感じの霧矢さんには合わないし、お互いの長所を消してしまいそうですし、ラントム・ゆうひさんも同様です。ちえさんの相手役としてもわざわざ同期のねねさんから引き継がせないだろう。音月さんと並んだら、身長差も出せないし、音月さんのかわいい系には似合わないかなとかいろいろ妄想してしまいました。劇団としてどんな青写真があったのかお考えあれば教えてください。

    もう1つは蒼汰さんが何度も書かれているように、まさおの後はかちゃにしたかったんだろうなと思うのですが、なぜ頓挫したのでしょうか?
    別に美弥さんは当時はそこまでの爆発的人気はなかったようですし、劇団お得意の上げたい人は何をしても上がる強権発動しても全く問題なかったのではないでしょうか。(結局、強権発動してたまきあげてるんだし、、)

    月のサイコパス人事、10年も経って人事権を持つ人間が同じとも思えなく、ましてそれが組Pと呼ばれる1人が人事権を独占できるはずもなく、結局派閥争い的な綱引きをした結果、ちゃぴ派とたまき派と利害が一致して勝っちゃったのかなとか妄想をしてしまいました。

    長文失礼しました。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      私は凪七の娘役打診があまり現実的でないと思っているのですが、その理由の1つとしておっしゃる通り「じゃあ誰の相手役?」という問題があるからなんですよね。
      流れ的には大空さんだったのかなぁ…?うーん、あまり現実的ではなさそう。

      そして凪七トップ計画がなぜ頓挫したのか、本当に謎ですよね。笑
      少し前の劇団なら凪七&海乃(あるいは早乙女)で短期就任とかやりそうなのに…。
      それこそ彼女のシシィ抜擢の際にカネコネの噂が激しかったですが、一番発動すべきタイミングはここだろって突っ込みたくなります。笑
      しいて言うなら人気が「出てしまった」美弥を天秤にかけ過ぎて劇団のタイミングが逸したとかでしょうかね?まぁ真相は闇の中ですが…。

  3. ちくわ より:

    羽桜さんのことを退団後のドラマではじめて見たとき、あれほど美しく目をひく方がトップではなかったなんて…と驚いた記憶があります。スカステで観た本役の幼いルドルフも素敵ではあったけれど、もっと似合うお役があったんじゃ?と勝手に思ってしまいました。
    それにしても、コレジャナイというか玉突き人事感が強いですよね。版権モノっていつも以上に時間をかけて準備しているはずなのに…。もともとの人事構想を聞いてみたくなります。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      まぁ、ルドルフをやるには歌唱力がね…ビジュアルは非常に素晴らしい娘役さんでしたが。
      本当にコレジャナイ感半端ないですよねー。09エリザは「瀬奈の主要3役制覇」をさせたかっただけなんでしょうけど、それにしたって、ねぇ?という。笑

  4. 夢まつら より:

    いつも楽しく拝見しています。09エリザは1回見ただけですが、エリザベートの孤独と凪七瑠海の孤独が重なって、実は物凄く泣けるエリザベートでした(友人も同じ感想でした)
    さて、凪七瑠海さんのヒロイン抜擢は、一路真輝さんが、相手役不在だった麻実れいさんの相手役に抜擢された状況と似ているので、男役スターとして注目させたかったのと、既存の娘役をトップ娘役にしたくなかったことが原因という見方をしていた人が多かったと思います。
    エリザベート役は、スカーレット役(比較的中性的な男役スターが演じる)に近い大役という位置づけだと思います。
    月組は、大地真央、天海祐希という若くしてトップスターになる人が定期的に現れる、抜擢人事の組という歴史はあると思います。組子もそれにあまり反発しないイメージです。真琴つぱさ、紫吹淳、という花組色の強い2人も、すんなり受け入れてくれて有難いなぁと、当時花組オタクの私は見ていました。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      「エリザベートの孤独と凪七瑠海の孤独が重なって」というのは確かによく聞きますし、私も唯一それが共振する部分かなぁと思って見ていました。
      そしておっしゃる通り、凪七の注目と、それ以上に既存の娘役トップ阻止の意図をもっての人事なんでしょうね。
      月組も瀬奈さんまでは素晴らしいトップ人事だったハズなんですけどねぇ…。

  5. りす坊 より:

    こんにちは、蒼汰さん。
    ちょっと記憶がおぼろげなのですが、瀬奈さんの相手役不在と言うか、トップ娘役空位って、
    「夢の浮橋」「エリザベート」「ラスト・プレイ」の3作だと思っていたのですが。
    「エリザベート」は、一応凪七さんが相手役ってカウントの仕方ですか?

    オサアサ時代を楽しんでいたので、あの当時の各組2番手シャッフル公演とか
    すっごい謎でした。
    で、なんとなくシャッフル祭りの流れのままに、瀬奈さんが月組に組替えになって、
    まさかの2005月エリザではエリザベート役で彩輝さんサヨナラ公演ヒロインと。。。
    もうこの頃からすでに月組おかしかった(笑)
    というか、新専科制度の弊害で、当時はどの組も大変だったとは思うのですが、
    月組が一番「変」(笑)
    そして、その混乱を今でも収拾しきれていないのが月組。

    旬なスターをその勢いのままトップに、という発想は分からないでもありませんが、
    オサアサ大好きだった私は、今でも瀬奈さんは花でトップになった方が輝いただろうな~って思っている未練がましいヒトです。
    彩乃センパイが相手役だったことがせめてもの救い。
    2009月エリザは、蒼汰さんおっしゃるとおり「瀬奈じゅん主要3役制覇」がウリだったのでしょうけど、どこにもなんの魅力もないエリザベートだったなぁって思います。
    密着された「情熱大陸」での言動も、アンチには諸手を挙げて喜ばれただろうし。
    で、2018月エリザは、愛希さんのための演目設定なのは見え見えだし、
    過去3回の月エリザは、まさしく「いわくつき」の負の要素しかないですね(苦笑)

    ダブル上げするなら、最後まで一緒に上げていかないとダメなんでしょうね。
    ヤンミキは、ちゃんと順当にヤンさん⇒ミキさんと受け継がれ、安泰。
    オサアサ、まさみりは途中で引き離され、巻き込まれた組を混乱に陥れてしまう。
    どのパターンも花組は収拾したけど、月組は混乱の極み。。。
    これは。。。組の底力なのでしょうか?

    目下のところ、男役バディ感で売り出してるらしい宙組の真風さんと芹香さんは
    引き離すことなく、順当に芹香さんが受け継ぐのでしょうが。。。
    花組時代を含めたその2番手時代の長さから、スターとしての旬を逃してしまうのではないか。。。と、なんとなく思っております。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      そして確かに、調べたら3作なんですね…。なんで2作だと思ってたんでしょう…。すいません、訂正させて頂きます。
      従来の瀬奈さんファンは「やはり花組で」という思いが強いようですね。現存するブログにもたくさん書いてあって非常に印象的でした。笑
      まぁそんな瀬奈さん、明日海さんは引き離された後にしっかり人気トップを務めあげたことを思えば、正直スターパワー次第なのかもしれませんけど。

      そして芹香さん、たぶん宙組でそのまま引き継ぎそうですが、なんだか彼女は今が旬感が凄いですよね。
      とはいえ真風さんも今ノリに乗ってる感じですので難しいところです。

  6. のんきなファン より:

    当時、ファン歴浅いライトファンで、07雪エリザを楽しく観劇。
    09月エリザも、こんなキャスティングもあるのか、くらいしか思わずに、ワクワクしながら観劇に行きました。
    そうしたら、いつもの舞台とは明らかに違う空気。
    熱量がない。むしろ、ひやりとした冷たい何かが流れてくる舞台。
    一体、何が起きているのかと戸惑いました。

    今、振り返ると、あのキャスティングは、ない…。かちゃも、月組生も、よく舞台を務め上げたなー。

    そして、本当に色々あった09以降でした。
    当時の雰囲気をありありと思い出しました……怖い怖い…。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      当時の舞台を生でご覧になったんですね…凄い。頂いたコメントからも冷やりとした空気を感じられそうです。笑

  7. しげ より:

    いつも読みやすく整理なさった記事ありがとうございます。

    「闇のエナジー」の字面が面白すぎです。
    (たまきちが現在進行形で巻き添え食っている点で本当に闇のエナジー。笑ってはいけないのですが。。月組記事のコメントの伸び方からもいろいろ感じます)

    今後もブログ記事楽しみにしてます!

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      いつかその闇のエナジーが晴らされる時が来ることを祈りたいですね。笑