追想・咲妃みゆが果たした偉業

そろそろ終わりかもしれない追想シリーズ。

(単純に私が飽きてきたから。笑)

本日は、やはり彼女のことは書いておきたい咲妃みゆ編。

 

雪組トップ娘役として早霧せいなと組を牽引し、

5作連続で客席稼働率100%超えという偉業を達成。

 

100周年以降の宝塚を引っ張った娘役の1人である彼女について、

個人的に思っていることを書いていきます。

 

完璧過ぎる娘役像として

 

これまた最初に書いておきますと、

現役時代の彼女は正直、得意な方ではありませんでしたし、

ハッキリ言えばちぎみゆ芸は大の苦手でした。笑

 

ですが、当時の作品を見返すと

いかに彼女が凄い人だったのかよく分かります。

 

彼女に対しての個人的な苦手意識って、

私の世代で言うところの松浦亜弥に近いかなぁと思うんですよね。

 

松浦亜弥が「あやや」だった時代、

私はジャスト青春時代だったわけですけど、

彼女の完成しつくされ過ぎたアイドル像が得意じゃなかったんです。

 

けど、今見返すとその完璧さに感動を覚えます。

つまりまぁ、パーフェクト過ぎて隙が無く、

そこに対して個人的に苦手意識があったという話なわけで。

 

同様に、咲妃みゆは圧倒的な芝居力はもちろん、

歌も上手いしダンスもそこそこ、

ビジュアルスタイル雰囲気トータルでの「ゆるふわ」感を上手にまとって

娘役として出過ぎることなく、早霧せいなを立てていた。

 

彼女のスター性をサラリと4行で紹介しましたけれど、

ここまでパーフェクトな娘役は、

いかに宝塚の門が狭しとはいえそういないのが現実。

 

特に芝居力は本当に圧倒的にですよね。

「芝居」というのは歌やダンスと違って正解が無く、

人それぞれの好みで評価が分かれるものですけど、彼女の場合は違う。

 

『春の雪』『月雲の皇子』『星逢一夜』と、

宝塚の歴史に刻まれた和物の名作たちは、

ヒロインたる咲妃みゆの芝居力があってこそですし、

その力が明日海、珠城、早霧に反射して、

主演者たる男役たちをより魅力的にみせたからこそだと思っています。

 

96期の評価を変える偉業

 

そしてやはり、避けては通れぬこの話題。

彼女の偉大なる偉業は、客席稼働率100%超えなんかよりも

「96期」というレッテルの色を少しばかり変えたこと、これに尽きます。

 

不思議なのは、ほぼ同時期にトップに立った同期・花乃まりあとの対比。

2人とも96期生、抜擢されまくりのトップコースで、

1作目前に組替えしてトップ娘役に就任。

 

なんだけれども、少なくとも在団中のファンからの評価は

咲妃みゆの方が圧倒的に上でしたよね。なぜでしょう?

 

くだんの事件に咲妃がそこまで関与してなかったそうだから?

正直、それはそこまで関係無いと思います。

「96期」というレッテルだけで拒否反応を示した人は、

当時まだ少なからず大勢いましたから。

 

じゃあなんでかと言われたら、やっぱり確かな実力でしょうかね。

『ロミオとジュリエット』の新公ヒロにはじまり、

『春の雪』『月雲の皇子』『THE MERRY WIDOW』とヒットを連発。

 

この時点で彼女の場合は、

「これだけ実力者ならトップ間違いなしだろう」と思わせていましたし、

トップ就任後も、上記の通り実力で雪組や早霧をカバー。

 

気付けば「96期ばかり抜擢しやがって」から

「96期の中でも彼女は素敵」くらいにまで評価を押し上げた印象です。

まさに芸は身を助ける、ですね。笑

 

さらに、相手役たる早霧せいなも

上手に彼女をフォローしていた相乗効果もあり、評価はうなぎ登り。

 

ちぎみゆのヒットをもってして、

96期が少しばかり許された風潮へと変わっていきました。

これを偉業と呼ばす、なんだと言うのでしょう。

 

咲妃みゆが拓いた道

 

一人の娘役の実力が、明日海・珠城という月の御曹司の足掛かりとなり、

雪組を客席稼働率100%超えという軌道に乗せ、

96期への風向きを少しばかり変えさせた。

 

そして彼女が開墾した96期路線の道の上を、

綺咲愛里が歩んでゴールにたどりつき、

和希そらが現在歩みを進め、さらなる道を拓こうとしている。

 

そしてこれらは全て、

100周年以降の宝塚の大繁栄に寄与していることは確実。

 

こう書くと、咲妃が果たした劇団への貢献が

いかに大きいかが分かるというものでしょう。

 

それを踏まえて振り返ると、私があまり得意でなかったちぎみゆ芸も、

確かな実力があった上での「ごっこ遊び」だと分かった今では、

たぶんきっと、少しばかりは楽しめたかもしれません。笑

 

しかし舞台上だけならいざしらず、

プライベートという体である、舞台以外での彼女も完璧なんだなと

先日の2016年タカラヅカニュースお正月スペシャルを見て感じました。

 

振り返って、やっと見えてくるものもある。

恐るべし、咲妃みゆ。

 

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コメント

  1. 浪漫 より:

    なるほど、現役時代の彼女をそういう風に見ていた方もいたのかと思うと新鮮でした‼︎
    彼女は確かにカフェブレやCSでの言動を見ていると一歩引いて、男役(というか主に相手役のちぎさん)を立てて、私ごときがと口癖の様に言って謙虚に振舞っていましたが、彼女の発言をしっかり聞いてみると実は頑固で芯のある強い(この言葉が適切かはわかりませんが)娘役の様に感じていたので…

    どちらにしても超演技派でありながら娘役として自分自身が体現したい姿を、信念を持って完璧に振る舞い続けられたからこそ、96期問題もかなり消化され、本人も未だに愛されているのですよね…本当に凄い娘役さんだと思います。

    いろんな角度から見ても私は100周年以降の娘役の中ではゆうみちゃんが最も貢献したと言っても過言ではないとさえ思います。

    というかウエクミ作品大好きな蒼汰さんがちぎみゆコンビ苦手だったというのはとっても意外でした‼︎
    月雲、星逢は彼女ありきの作品だと思いますし、それこそ良く蒼汰さんが褒めてらっしゃる星風さんもタイプ的には近いと思ってましたので(今の宙組はそこまで熱心に追ってないので違うのかも知れませんが)…

    それと追想シリーズ、普段は冷静に客観的な事実に基づく分析をされていた蒼汰さんのジェンヌさんに対する意外な好き嫌いや得手不得手が見られてとっても面白かったです‼︎

    これからも様々な角度からの記事楽しみにしています。

  2. 和世 より:

    私の初観劇が早霧さん・咲妃さんだったので、娘役トップというのは
    (みなさん)咲妃さんと同じぐらいお芝居ができる方が就任される
    のだと、単純に思っていました。そうでもない…と分かった時の
    衝撃たるや…(笑)

    いわゆる96期であることも、私には一切関係なく「何でも出来る方」
    だという印象が強いです(『星逢一夜』は中日劇場で観ました)。
    “お慕い芸”は苦手でしたが、実力と自分の芯を持った上でされていたので、だんだん微笑ましく思うようになった記憶があります。

    宝塚デビューの最初が「ちぎみゆ」で良かったのかもしれません。

  3. abbie より:

    ヅカ歴約半世紀の私が男役と同じくらいの熱量で好きになった娘役は咲妃みゆが初めてです!

    多少の好き嫌いはあっても娘役には殆ど興味がなくて、男役しか眼中になかった私が、ゆうみちゃんにはメロメロになってしまいました。

    こんなこと初めて!

    笑顔よし、声よし、演技よし.…
    彼女の可愛さに、見るたびに相好が崩れてしまいます。
    (孫を見るお婆ちゃんみたい?(^◇^;)

    これは、持って生まれたゆうちゃんの資質。素晴らしい才能だと思います!(^-^)

  4. まりな より:

    咲妃さんは苦手じゃないけど「ちぎみゆ」は苦手派でしたが、記事を拝見して少し苦手を払拭することができました。ありがとうございます!咲妃さんが無駄に叩かれずに済んだという意味では、ご本人の実力はもちろん大前提ですが、早霧さんの相手役だったからこそ上手くいった面もあるのかなと思えました。
    思い返せば、新トップ早霧さんの相手役は咲妃みゆさんと聞いたとき、どんな娘役かよく知らないでも、「身長低めらしい」「歌えるらしい」の二点だけでホッと胸をなでおろした壮さん時代からのニワカ雪組ファンは多かったと思います。早霧さんの相手役はやはり歌をカバーできるひとであってほしいと思われるところ、雪組内の候補だった方は可愛いけど歌唱力は△でしたし、歌えて低身長な路線娘役は貴重ですから、「96期といえど贅沢は言えない」みたいな空気が少なからずあったような気がします。少なくとも、一人で何でもできる孤高タイプの男役の相手になるよりは、男役ファンが彼女の実力にありがたみを感じやすかったのかなと。
    また、すごく嫌な言い方ですが、花乃まりあさんという「叩かれ役」が同時期にいたのも、ある側面ではラッキーに働いたのかも…とも思ってしまいました。叩きたい人の捌け口が他にあるわけですからね…。
    とにかく、実力ある彼女が叩かれ続けることなく人気スターとして任期を全うできて良かったと思います。

    これからも記事楽しみにしてます!

  5. 松本典子 より:

    わたしが自主的にお茶会にいく唯一のジェンヌであるゆうみちゃん。

    だいもんが退団前のゆうみちゃんとの対談で「ゆうみちゃんの中からいつほんもののゆうみちゃんが出てくるんだろう?と思ってだけど出てこなかった。」みたいな発言があって
    周りの人からしてもそれくらいの「完璧さ」だったのかな?って思います。

    歌劇におけるちぎさんへのことばに上田久美子先生から「わたしが思いつくヒーローよりも本人のほうがスケールのでっかいヒーロー」みたいな表現があり
    冗談みたいな完璧なコンビだったのかなぁと思いました。

    お2人とも子どもの頃のエピソードが心温まるものばかりで
    「自己肯定感が高いってこーゆーことなのかな?」と心を扱う仕事をしてる身として眩しいばかりです。

    憑依型と言われる彼女をみてると
    自分を承認してるが故に何にでもなれるんだろうか?と思ってしまいます。

  6. May より:

    蒼汰様はハ◯レンのくだり等で同世代かなと常々思っていたのですが、あややの件で、あっ少しお兄様だった!と気づきました。笑
    咲妃さんの素晴らしい演技力に歌声、愛くるしい表情と品の良さ、舞台人として大好きです。いいものを見せてもらった!これぞプロの妙技!と拍手喝采したくなります。
    他方、わたくしも、ちぎみゆ芸があまり好みではなく…。だいもんの「本当のゆうみちゃん」発言に激しく同意で、男性社会で激しく揉まれている総合職女子の一目線ですが、「天然女子」なんてのはすべからく人工といいますか、真の天然は競争社会にはいないと思っとります。ご主人に守られた裕福な専業主婦には存在すると思いますが。あくまでそれは処世術。アジア社会の常で、男性に目をつけられないよう、男性の望むようなほっこりした空気感を出して油断させておかないとすぐ可愛げがないと叩かれますので…笑。(欧米で働いていた頃はこのマナーをやらなくていいのでめちゃくちゃ楽チンでしたね〜)
    殿方も、営業で客先に向かうときは、同じように「爽やかな営業マン」を少なからず演じますよね?それと同じで、天然女子も、単なる社会的マナーとして、礼儀作法としてやっているのだ、という偏った持論であります。
    それが悪いというわけではなくて、完璧なおっかない管理職の兄貴も、家では小さな娘にデレデレで嫁さんの尻に敷かれているマイホームパパだったりするので、社会で期待されている役割を各自で演じているだけなのですよね。
    淑やか嫁タイプのゆうみちゃんに「??」となるだいもんの相手役に、サバサバした戦友タイプの真彩ちゃんが当たったのは、いずれも相性だと思います。
    色々な娘役がいて良いですよね。愛希→真彩(一応、仙名もお姉さん系なのでこっち寄り?)ときたサバサバの系譜に舞空さんが来るかと思いきや、初々しく礼真琴にベタ惚れ感で走り出しているのが興味深いです。
    先日の「青い星の上で」の咲妃さん、ずば抜けて可愛かったなあ。

  7. ねこまさ より:

    「トップ娘 咲妃みゆ」で作文をせよという課題があれば、私も同様に書くと思います。

    96期で唯一「この人いいな」と思わせたのがゆうみで、
    のちにあーちゃんも「かわいいだけだけどいいな」と思うようになり、
    今では「 和希そら 頑張ってんな」となりました。

    花乃はしろきみちゃんの上に降って来たのであまり好みでありません。

    ゆうみを認識したのは(月雲を観ていないので)メリーウィドーのハンナ・グラヴァリでした。
    北翔船長の舵さばきがうまく、それを美しく活かしたんだと思います。