ちょうど一週間前に、
雪組の皆さんが「FNS歌の夏まつり2019」に出演し、
大反響を呼んだのは記憶に新しいですよね。
そんなSNSでの盛り上がりは、
遠い異国の地でもヒシヒシと感じておりました。笑
ミュージカル界の帝王&女王と美しいハーモニーを奏でた望海&真彩に、
ディズニーの世界との親和性を改めて披露した「美女と野獣」。
そして何よりも、最も盛り上がったのは
やはりDA PUMPとの「U.S.A. 」コラボでしょう!!
録画を見返して見て改めて思ったのは、
今回のコラボは「宝塚の大衆化」を象徴しているなぁということです。
宝塚の大衆化の象徴「U.S.A. 」コラボ
これまで、宝塚は様々なコラボを行ってきました。
テレビっ子だった私の記憶を辿っていくと…。
お笑い芸人や芸能人がヅカ的化粧を施したりするのはもちろん、
モーニング娘。が「Mr.Moonlight」という曲で共演したり、
人気番組「SMAP×SMAP」に集団でお呼ばれしたり…。
「FNS歌の夏まつり」が「FNS歌謡祭」という名称だったころ、
司会を務めていた黒木瞳による謎のリサイタルが
毎回行われていたのもなぜか妙に覚えています。笑
で、これらの共通点って
基本的に出演者が宝塚的文化の方に寄せていってることだと思うんです。
つまり、どんな番組に呼ばれたとしても、
その箱の中で宝塚は宝塚らしさのまま、そこに存在し、
出演者側を変化させるコラボばかりやってきた印象なんですよね。
とりあえずヅカ的キンキラ衣装を身にまとい、それっぽい化粧をして、
羽根の重さ(色んな意味で)についての講釈なんか聞いっちゃったりして、
「あー、宝塚ってこんな感じねー、知ってる知ってる。」
という、多くの人が予想できる範疇の中の、危なげのないコラボ。
それを思えば、今回の「U.S.A. 」コラボは
それらとは全く真逆のベクトルをいくものだと思います。
あの、宝塚の男役という、
よく分からない世界に住む男装の麗人たちが
「U.S.A. 」を全力で歌い踊りまくるということ。
それでも、ダサかっこいいという「U.S.A. 」の世界観にも関わらず、
そこまかとなく溢れ出てしまう宝塚的かっこよさ。
宝塚的世界に括るのではなく、
他の世界に踏み出していく中で、
宝塚のカッコ良さを魅せていくということ。
そんな宝塚の大衆化こそが、
今回のコラボの成功の鍵だったのではないかと思うんです。
大衆化という、大いなる価値観の変容
そもそも、宝塚歌劇は
「女が男を演じる」という世界でも唯一無二の存在として
超ニッチな市場を開拓してきました。
エンタメ事業の中でも独特のポジションを確立していく中で、
「知る人ぞ知る」「好きな人は好き」という
利益の計上よりも顧客適合を追求し続けてきた、稀有な存在です。
が、100周年というアニバーサリーイヤーを追い風に、
昨今のミュージカルブームの勢いに乗り、
急激な市場拡大がなされているのは、皆さんご存知の通り。
宝塚らしいゴージャスさはそのままに、
有名作品の上演、舞台の質の向上、
そしてこういったテレビや雑誌などのマスへの進出など、
ニッチ市場から大衆化へと舵を切ったからこそ、
更新し続ける入場者数の増加や収益の拡大に繋がっていると考えられます。
この「U.S.A. 」コラボというのは、
そんな宝塚の大衆化の分かりやすい例じゃないかと思うんですよね。
もし、これが2000年代のいつもの宝塚だったら
DA PUMP 側を劇場に呼んで、大階段の前で羽根を背負わしたりして
「うわー重いですね!!こんなんじゃ踊れませんよー!!」とか
言わせそうだなって…想像つきません?笑
だからこそ、ディズニーとの親和性という
「みんなが想像できる」方ではなく、
大衆には意外に映る「U.S.A. 」コラボの方が話題になったのは当然でしょう。
「宝塚でもこんなことするんだ」という驚きの中に見る
「宝塚って面白そうだな」という発見。
それは「宝塚というのはそんなニッチなものじゃないよ」
「普通の人が見に来て楽しめるよ」という劇団のメッセージであり、
大いなるマス戦略だと言えるわけですね。
もちろん、その前後に
『マスカレードホテル』『はいからさんが通る』という
大衆にも分かりやすい公演を発表したのも偶然ではないかもしれません。
興味の入り口はいろいろ
ありがたいことに
「朝美絢さん凄い話題になってますね‼」「ぜひ感想を‼」
など、DMや見えない形でのコメントをちょくちょく頂いているのですが…。
とくに言及いたしません。(きっぱり)
だって私が書いたら色々と面倒そうだし…笑
「黒髪の人」としていかに彼女が話題になったか、その魅力などは、
他の方がブログで色々と書いてらっしゃいましたので、
興味を持たれた方はどうぞそちらに。笑
私が一つ言えるとしたら、
興味の入り口って人それぞれだし、
そこから深い深い大きな穴にハマることだってあり得るということです。
こんな偉そうにブログを書いている私ですが、
宝塚に興味を持ったきっかけは96期生問題だったのですが、
実際「見てみたいな」と思ったきっかけは、
当時流行していたニコ〇コ動画の
はいだしょうこの「スプーの絵描き歌」からの
千琴ひめかのエトワールをその動画サイトで見たからですし、
それでも今はスカステに加入し、
毎公演1~4回くらい見るファンになってるわけですから、
本当、興味の入り口はいろいろだなって思います。笑
今回のテレビ出演で少しでも宝塚に興味を持った方が
新たなファン層に繋がれば劇団も大万歳でしょう。
収入が増えれば予算も増える。
予算も増えれば出来ることが増えてくる。
そんな良いスパイラルにこれからもハマっていくと良いなと思う、
今回のコラボなのでした。
☆★☆★☆
ランキング参加始めました!!
ぜひポチっとお願いします↓↓
コメント
いつもながら興味深い内容で、、、何度も頷きながら読ませていただきました。
元々、小林一三先生は老若男女に好まれる大衆演劇を目指したのですから、原点回帰…なのでしょうかね(^o^)
それが大成功なのだとしたら、さすが小林一三先生ですね!温故知新。
コメントありがとうございます‼
原点回帰…確かにそうかもしれません。老若男女、誰もに受けるための大衆歌劇
。そこに帰結していくとしたら、やはり創業者の姿勢って凄いなーって思います。笑
こんばんわ。いつも楽しく拝見させて頂いています。「こんな考えもあるのか」とか「当たった!」「外れた!」とか、毎回面白いなと感じています。
普段、2.5次元の舞台俳優の追っかけをしていて、宝塚ファンではなかった会社の後輩が、FNSの朝美絢を見て「イケメン過ぎてヤバいです」と騒いでたので、キャトルレーヴを教えたところ、早速行ってきたらしく、購入したポストカードを会社デスクに飾りながら
「これが160円ってヤバくないですか?宝塚めちゃくちゃ良心的ですよ」と大層喜んでおり、劇団の戦略は大成功なのかなと、この記事を読んで思いました。
ライトに応援するなら、そこらのアイドル応援するよりも、お金はかからない事も伝わったみたいですし。
宝塚の敷居は実はそんなに高くない事が、もっと世間に伝われば良いなと思います。
コメントありがとうございます‼
確かに、一般的な芸能グッズに比べれば圧倒的に安価ですよね。
後輩さんのような新規顧客をコツコツ集めることが企業として続くには大切なことですもんね。
大衆演劇というのが宝塚のそもそものスタンスのはずですので、おっしゃる通り多くの人が足を運ぶような状況になると良いなーと私も思います。
ヅカの大衆化の地層
蒼汰様
いつも楽しく拝読しております。ライビュ専科の地方民です。
宝塚の大衆化についての考察、とても興味深く拝読させていただきました。100周年以降の宝塚の躍進の背景には、劇団の努力、アナ雪からのミュージカルブーム(タモリさんがいうところの「芝居の途中で歌いだす」演出への抵抗感の減少)いろいろあると思います。
私は20世紀(エリザ初演時)からヅカファンだったんですけど、ライビュ会場の映画館まで2時間半かかる地方に住んでおりまして、周りには自身がヅカオタであることを公言していませんでした。
都市部の事情は分からないのですが、当時は宝塚が好きだと言ったら「あなた、女なのに女が好きなの?」って言われて、私はその時答えられなかったんです。・・・歌舞伎やジャニーズが好きな女性は「あなた男性が好きなのね」って言われないだろうに。
私は子供のころフレディマーキュリーのファンだったんですけど、彼がエイズで亡くなったニュースを見た周りの大人の反応が心無い言葉ばかりで、子供ながらに傷ついた記憶が強烈にあるんです。
それがですよ、去年地元で汽車(おらの田舎にゃ電車がねえ)に乗ってる女子高生が「ボヘミアンラプソディ見たー?」「フレディかっこよかったー」という会話を聞いて、ああ、この四半世紀で世の中は変わってきているんだなあと思いまして。
タキシードを着た女性を「だって格好いいんだもん」と言ってよかったんだ、と25年ぶりに思ったFNSの夜でした。
コメントありがとうございます‼
今は価値観の多様化の時代ですからね…色んな趣味を好きだと自由に叫ぶことが出来る。これってこの20年で大きな変化なのかもしれません。
ぜひこれからも「だって格好いいんだもん」と一緒に楽しみましょう!!笑