宝塚における御曹司という宿命

宝塚というスター制度が確立されている環境において

「御曹司」は特別な意味を持つ言葉、そしてスターであると言えるでしょう。

 

ブログやSNSを見ても多くの方がこの表現を使用していますが、

正直その定義やボーダーって人それぞれだと思います。

 

そんなわけで本日は、

改めて私が思う御曹司についてを明らかにしておこうと思います。

 

 

宝塚における「御曹司」の定義とは?

 

上記の通り、人によって「御曹司」の定義は様々ですが

私が個人的に思っている「御曹司」の定義とは

新人公演主演を3回以上やっている人です。

 

現在在籍しているタカラジェンヌでいうと以下の通りです。

※『CASANOVA』までの通算のため99期以降は変動の可能性有り

 

新公主演5回

彩風咲奈(93期)

参考:柚希礼音(85期)

 

新公主演4回

明日海りお(89期)

真風涼帆(92期) ※『Étoile de TAKARAZUKA』除く

芹香斗亜(93期)

愛月ひかる(93期)

珠城りょう(94期) ※『TAKARAZUKA 花詩集100!!』除く

永久輝せあ(97期)

暁千星(98期)

瑠風輝(98期)

参考:朝夏まなと(88期)

 

新公主演3回

蒼羽りく(93期)

柚香光(95期)

礼真琴(95期)

月城かなと(95期)

天華えま(98期)

参考:北翔海莉(84期)

 

ーーー(御曹司の壁)ーーー

 

新公主演2回

望海風斗(89期)

彩凪翔(92期)

麻央侑希(93期)

桜木みなと(95期)

朝美絢(95期)

綾凰華(98期)

聖乃あすか(100期)

極美慎(100期)

参考:早霧せいな(87期)・龍真咲(87期)

 

新公主演1.5回

綺城ひか理(97期)

 

新公主演1回

紅ゆずる(88期)

凪七瑠海(89期)

七海ひろき(89期)

美弥るりか(89期)

瀬戸かずや(90期)

紫門ゆりや(91期)

澄輝さやと(91期)

水美 舞斗(95期)

瀬央ゆりあ(95期)

和希そら(96期)

紫藤りゅう(96期)

夢奈瑠音(96期)

蓮つかさ(97期)

飛龍つかさ(98期)

帆純まひろ(99期)

風間柚乃(100期)

鷹翔千空(101期)

縣千(101期)

 

新公主演0.5回

鳳月杏(92期)

優波慧(96期)

 

どうでしょう?

こう見ると非常に分かりやすくないですか?

 

たぶんボーダー的に微妙なのは桜木みなとだと思うのですが、

同期の礼・柚香・月城の3名と比べ劇団からの「圧倒的な推し」を感じないため、

個人的には御曹司ではないと判断しています。

まぁ、どっちにしろ微妙なところですが…。

 

「御曹司」という過剰な期待

 

さて、御曹司が新公主演を複数回やっているタカラジェンヌであるとすれば

それは劇団の期待を一身に背負った宿命のスターだと言えます。

 

ところで、そもそも論なのですが…

なぜあえて劇団は「御曹司」を生み出すんでしょうね?

 

新公主演が路線スターになるための「前提」だとすれば

普通に考えて、より多くの人にそのチャンスを割り振った方が

企業として、事業企画としてもリスクヘッジになるはずです。

 

だってスター候補生は多いほうが

人気スターが生まれる打率が上がるわけですし、

もし何か方向転換が起きても調整がし易いと考えられます。

 

例えば、今は舞台技術偏重主義に舵を切っている宝塚ですが、

将来的にまたビジュアル重視に戻るかもしれないわけで、

ともすれば色んな属性のスターの卵たちを育てたほうが良い、と思いませんか?

 

けど、それでもあえてある一人にそのチャンスを集中させるということは

劇団的によっぽど勝算がある、という意味に他なりません。

 

そう考えると御曹司は、宝塚の命運を背負ったスター候補生であるわけで

そんな運命を背負わされたスターたちの現実は

非常に過酷なものだと思います。

 

過剰に期待されるということがいかに大きなプレッシャーであるかは、

企業でも学校でも部活でも習い事でも

競争社会に生きたことがある人なら、きっと皆さんもお分かりになるでしょう。

 

「御曹司」の受難

 

そしてもう1つ、御曹司にとって大きな試練は

すっごい端的な表現をしてしまうと「人気が出づらい」ということです。

(決して「人気が無い」ではありません。)

 

そう、日本人には判官贔屓という独特な感情があり

弱い人、下手くそな人、不遇な人、だけど一生懸命な人

応援したくなる思いが備わっていて

 

御曹司本人は全く悪くないにも関わらず

「あいつばかりズルい」と勝手に比較し応援されなくなってしまうことが

往々にしてあるからです。

 

つまり、ファン以外を含む多くの人たちから

「どれどれ、まさか御曹司様ですから上手にできますよね?」的な

好奇の目に晒されなければならず…。

 

そのような人たちを納得させるには、舞台で答えるしかない。

きっとそんな思いで御曹司と呼ばれる人たちは

一生懸命舞台に稽古に励んでいるのだと思います。

 

その努力とプレッシャーはきっと、

筆舌に尽くしがたいものでしょう。

 

「御曹司」という宿命を背負うこと

 

繰り返しになりますが、

それでも劇団が御曹司を生み出す理由ってなんでしょう。

私は正直分かりません。笑

 

しいて言うならば

・絶対に人気スターになれるという確固たる自信がある。

・むしろ絶対に人気スターになって貰わねば困る?

・真ん中教育をすることでスターの風格と自覚を身につけさせる。

 

こんなところでしょうか?

 

いずれにせよ新公主演を何度も割り振るということは、

それはつまり「可愛い子には旅をさせよ」「獅子の子落とし」

に近い意義なんだと思います。

 

宝塚の命運を委ねるスター候補生として守り育てるからこそ

あえて過酷な運命を渡す。

それが事業企画として、永きに渡って行われてきた宝塚の戦略なのでしょう。

 

というわけで私はよく、記事の中で御曹司系スターを紹介する際に

「御曹司として守られている」と表現することが多々ありますが

 

それは劇団がスター候補生として一生懸命育てている、という意味であって

決して「甘やかしている」という意味では書いておりません。

 

宝塚を愛するファンの皆様は、

もちろんそんなことをわざわざ書かなくとも

当然理解していらっしゃると私は信じていますが

(だって御曹司以外の全タカラジェンヌも血のにじむ努力をしているわけですから)

 

誤解が生まれないよう、改めて書き記しておきました。

 

ちなみに補足しますと、上記定義が御曹司であるとすれば

現トップ5名中、3名(明日海・珠城・真風)が御曹司、

現二番手5名中、4名(柚香・彩風・礼・芹香)が御曹司です。

 

そう考えると、やはり劇団の審美眼と戦略は

間違ってないと言えますので

これからもこの文化は続いていくのでしょうね、きっと。

 

現在劇団には14名の(私が思う)御曹司がいるわけですが

私個人としては、過剰な期待をかけ過ぎず、

でも劇団の期待に大きく応えてくれるよう、そっと応援し続けたいと思います。

 

☆★☆★☆

ランキング参加始めました!!

ぜひポチっとお願いします↓↓

にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ

にほんブログ村

コメント

  1. 太郎 より:

    御曹司とはそういう事なのかと、凄く分かり易かったデス。
    過酷な運命だからこそ応援したくなってしまうのかー。
    それでも、微妙なところからもスターになれるチャンスはまだ残っていて、やはり本人次第なのですよね。

    いつも宝塚の人事を会社の人事に置き換えて考えてしまって、同期愛なども理解できると言うと娘に怒られます。
    今後も色々と解説をお願いします。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      そうなんです、逆にそういう細いチャンスの糸をたどって成り上がるのまた、面白いんですけどね。
      同期愛なんて企業人には非常によく分かる感情ですよね。笑
      そういう企業的な考え方も一つの楽しみ方だと思いますよー。
      これからもよろしくお願いいたします‼

  2. ともじの嫁 より:

    こんばんは!
    「御曹司」って、凄い言葉ですよね。
    現代用語では、歌舞伎役者で大名跡を継ぐ人、お金持ちの家の財産をほぼ継ぐ男子と書いてます。
    そのうちに「宝塚歌劇の中で、新人公演で3回以上主人公を演じた劇団の期待を背負っている男役」と言う意味も、加えられるかも。笑
    新人公演を劇場で観たことが無いのですが。きっとキラキラした瞳で、一所懸命演じているんでしょうね。
    新人公演と言っても、一回の公演としてお金を頂くからには、きちんとした作品をお見せしなければならないでしょうから、主人公が出来る生徒さんに片寄ってしまうのも仕方ないです。
    でも、出来れば新人公演では、色々な生徒さんに、主人公のチャンスを与えて欲しいです。親心かもしれませんが。笑
    息子が、努力しても少年野球でレギュラーになれず、出番が無かった時代の気持ちと被るからかも。笑
    御曹司、成り上がり、どちらにしても、最後はその人そのものが舞台に表れると思うので、個性を伸ばせる環境であって欲しいですね!

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼確かに、現代用語辞典に書き加えて頂きたいくらいですよね。笑
      私も見たことないのですが、ときに本公演を越えた、なんて新人公演もあるくらいですから
      生徒一人ひとりがその一瞬に賭けているのだと思いますし、
      それを担えるスターというのまた、正直少ないのかもしれないですよね。

      私はそのお子様の立場になったことがよくありますので、お気持ち非常に分かります。笑
      その分、数少ないチャンスが回ってきた生徒さんにはぜひ全身全霊で頑張って欲しいと思います‼

  3. 西尾茶 より:

    たまたま記事を読んで思ったのですが、月組の珠城りょうさんと宙組の真風涼帆さんは新人公演5回やっております。なぜその方々が4回となっているのでしょうか?昔の記事ですが、この記事がネットに載っている以上、間違った情報を載せるのはどうかと思いコメントさせていただきました。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      ご指摘の内容について、珠城さんと真風さんの新公主演5回のうち、
      それぞれ『TAKARAZUKA 花詩集100!!』『Étoile de TAKARAZUKA』というレビュー公演が1回ずつ含まれていると思います。
      この記事を書いた時に他のサイト等で調べた際、なぜかレビュー公演は新公主演にカウントされず、
      芝居の方、つまり暁千星『明日への指針』、十碧れいや『めぐり会いは再び』の方にカウントされるので統一されているようでした。
      私が勝手に想像していたのは、主演者はパンフの表紙であること、W主演以外は1公演で2人主演を出すことが不自然であること等が理由なのかと類推しています。
      そんなわけで珠城さんと真風さんは4回という統一見解でまとめています。
      とはいえ初心者の方などは分かりづらいかなと思って注釈を入れてみました。ありがとうございました。