華優希論・つむじ風のような娘役

花組トップ娘役である華優希が退団を発表しました。

 

彼女について今思っていることを書いた結果、

普段なら退団公演の時に書くような

ハナムケの記事になってしまいました。笑

 

本日はそんな、超個人的な華優希論です。

 

華優希・トップ娘役への道

 

「娘役路線」と一口に言っても、

当然ながら色んな路線を辿るスターがいますよね。

 

劇団が最初からトップ娘役にさせようと猛プッシュし期待に応えた人、

劇団が推していたのにタイミングが合わずトップの座を逃した人、

補欠候補だったのにタイミングが合ってトップの座に辿り着いた人。

華優希はたぶん、一番最後のタイプかなぁと思うのです。

 

最初に名を上げたのは、

『金色の砂漠』の回想アムダリア役かな?

 

同期である音くり寿のシャラデハ抜擢も凄かったですけど、

あのたった一瞬の役で引き込むパワーとキラキラは、

今見返しても凄いですよね。

 

そして次作『邪馬台国の風』で新公初ヒロ決定とほぼ同時に、

確か時系列では『はいからさんが通る』で東上ヒロもゲットしたはず。

 

この花村紅緒で大ヒットをかっ飛ばし、

続く『ポーの一族』でメリーベル役を好演。

あれよあれよと一気にトップ娘役戦線に名乗りを上げたのでした。

 

宝塚に限らず、時代を掴むスターとは、

ある時これはもう神の采配としか言いようがないような、

傑作をたて続けに出してしまう時期がありますが、当時の彼女はまさにソレ。

 

宝塚の大衆化に伴う実力主義が幅を効かせる中、

綺咲愛里の退団によりポッカリ空くカワイ子ちゃん枠に攻勢をしかけ、

そして、見事トップ娘役の座を射止めたのでした。

 

つむじ風のようなド根性娘

 

そんな華優希についてよく言われるのは、実力難。

ですが、確かに歌・ダンスは不得手でしたけれども、

不思議と舞台上の彼女からは、謎の「ガッツ」が感じられました。

 

そして宝塚入団前、入団後のエピソードを色々聞くにつけ、

ふわっとした雰囲気の割りに意外とド根性娘ですよね。

そこが彼女の魅力なんだと思います。

 

まさにどんな役にも全力投球!!

その熱さこそが花村紅緒とクロスオーバーしたのだろうし、

観客を惹きつけるパッションとなり、

そしてトップ娘役の糸を手繰り寄せた原動力なのでしょう。

 

そういう意味では、

相手役である柚香光とは本当にお似合いだったと思います。

何故って彼女もまた同じタイプだからです。

 

クール(ほんわか)に見えて、実はパッション系で、

自分の弱点が分かっているからこそがむしゃらに向き合い、反省し、

常にギリギリのところで互いの刃を研ぎ合う2人。

(優等生が互いに高め合う礼&舞空と本当に真反対なのが面白いです。)

 

宝塚は高品質な舞台興行を魅せるだけでなく、

スターの成長物語を紐解くものであるとするならば、

まさにその主役とヒロインにうってつけの2人でした。

 

ちなみに、SNS等でよく技術難をやり玉に挙げられていた彼女ですが、

今回の退団にほぼ関係無いと思いますよ。

 

いや、もちろん彼女の人となりは分かりませんけれど、

そこで挫けるようなタマに思えませんもの。笑

完全燃焼したうえで退団を決意したと、信じたいものです。

 

が、その一方で。自身できっちり引き際を見極め、

実力難が目立つ前に退団を選んだのだから、賢いですよね。

 

1作目は明日海の退団公演でトップ様が目立てば良いから問題無い。

2作目は『はいからさんが通る』だから問題ない。

じゃあこの後どうするの?と思っていたら、まさかの3作で退団。

 

まさに、つむじ風のように

全速力で走り切ったスター人生だと言える、かな。

 

惜しまれるうちが、花。

 

しかしながら新型コロナの影響で流入したと思われる、

いわゆる「はいから新規」の皆さんからすれば、

「え、もう退団しちゃうの?」と驚かれたことでしょう。

 

それに折角取り込んだファン層を逃すのも

劇団は惜しく無いのかなと思わなくも無いのですが、

その風通しの良さこそが宝塚ですから、ね。

 

まさしく「惜しまれるうちが花」。

今は彼女の退団という選択を尊重し、

ガッツ溢れる彼女らしい姿を最後まで見届けたいと思います。

 

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コメント

  1. ちゃとらし より:

    こんにちは。いつも愛情溢れる記事を楽しく読んでおります。

    もちろん柚香さんより先に退団するだろうとは思っていましたが、こんなに早いなんて…とショックを受けて数日経過しました。

    思い返せばメリーベルと紅緒と、当たり役の引き寄せ力が凄かったですね。可憐な美少女とか、明るく真っ直ぐな少女とか、宝塚の娘役なら相応しい人がいくらでもいそうですがこの2役は華優希でないと!という印象が強いです。(初演刷り込みかもしれないですが…)

    それはそうと、彼女の退団公演となるアウグストゥスの先行画像、既視感ありませんか?笑
    金髪パーマに、ストールを巻いたような紺色の衣装に金の装飾。異ルネのレオナルド・ダ・ヴィンチと被っとるやないかーいっ!と夫婦でツッコミを入れておりました。笑

  2. MS より:

    金色の砂漠の回想アムダリア、オーデションに勝ち抜いてのお役だけに、華ちゃんもこのお役に懸けていたのだと思います。
    組周りは宙組でしたから、そのまま宙組配属だったら、まどかちゃんの陰でどうなっていたでしょうね。
    色々と運とタイミングも味方したと思います。
    あと、柚香さんの同期であるマイティーが、仮面のロマネスクで華ちゃんと組んだ際に、もうビックリするくらいスカステで華ちゃんを褒めてましたよね。
    あの時、次期トップがマイティーだったら、きっと華ちゃんを相手役にしてくれるだろうに残念、と思ってました。
    もしかしたら、マイティーがあらゆる所で褒めていたのが、柚香さんにも影響を与えたのかなあ、なんて思ったりしてます。

  3. 花組ファン より:

    ブログ、楽しく読ませていただいてます。

    華さんの退団、かなりショックでした・・・。彼女の芝居が大好きなので。
    ただ、タカラジェンヌの人生を、一つの物語と考えると、「華優希」という主役の幕引きとしては、1番きれいな所で終わらせるのだなとも思いました。そう言った意味でも、外見・雰囲気からは想像できないくらい、潔い方です。

    芸事に全く触れていなかった高校生が、一度の宝塚観劇の感動で、受験決意しただけはあります。そして気合と根性と、勢いと笑顔で、合格掴むんですからねぇ。
    そしてダンスと歌のエリートお嬢様集団・宝塚で、芝居と立ち姿とタイミングで、トップ娘役まで掴み取るという・・・。
    まさしく宝塚ドリーム!!

    添い遂げまでは行かなくとも、柚香さんとのコンビ人気を考えると、もう一作はできると思います。しかし、ブログ主様が言うように、惜しまれて退団が1番綺麗な終わり方なのかもしれませんね。

    それは分かっているのですが、彼女のファンである私は、本当に悲しいです。

  4. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    私は地方の公立出身で、都市部の学校事情はよくわかりませんが、華さんの出身校、お嬢様学校というより進学校ですよね。

    華さん、頭がいい方だと思うんです。スカステであんなキャラですけれど、宝塚の花組の娘役として生き抜くために相当擬態しているのでは?と思っていて。

    メリーベルとかフェアリーテイルでの役、蘭丸をかばう時の啖呵を見ていると、

    華さん、学生の頃から、「永遠とは何か」「生きるとは何か」といった抽象的な事柄について、自分なりに考えてみる経験を積んできたのだろうな、というのが透けて見えるように思うんです。

    華さん、宝塚的価値観の中での自身の弱みは十分承知のうえでしょう。

    天性の愛嬌と、内省的な知性、自身に与えられたカードで、役の表現にリアリティを与えることで頭角を現し、演出家に「では華にこの役を」と思わせて、更なる当たり役を引き当てた。

    幼少期からレッスンを積んでいる宝塚受験エリート達でも、なかなか届かないトップの座をつかんだわけです。

    紅さんもそういうところがあったんじゃないかなあ・・・

    ライト層にアピールするためにはソング&ダンスのジツリョクガーというのはよくわかりますが、それだけが正義、で他の価値を認めずバサッリ切り捨てられる風潮もなあ・・・。

    宝塚って、たまに華さんや紅さん的生徒が出るところが面白いと思っています。

  5. うえ より:

    いつも楽しみに拝読してます。

    華ちゃんは残念でしたが、本当に美しい去り際ですね。益々好きになりました。

    ところで、つむじ風って榊原郁恵のドラマ…な訳ないですよね。(はいからさんやポーの漫画を読んでた世代の方々なら判るはず。)

    今の宝塚はそのへんをターゲットに動いてるんでしょうね。だから私も嵌まってるんだと痛感してます。

    これからも楽しいブログ、続けていただけるとありがたいです。

  6. より:

    駆け抜けたスター人生に天晴れあげたいです。実力難と言われた彼女でしたが、芝居は上手でしたし、歌も上手くはないけど、芝居をぶち壊すほど下手でもない、珠城さんタイプだったと思います。ダンスは確かに根性ダンスでしたが、頑張っていましたよね。
    ただ、明日海りおの最後の相手役になってしまったことが最大の十字架だったと思います。そして柚香光さんが集中して叩かれないための生贄にも思えていました。
    しかしなぜ花組は同時退団しないんでしょうか…。1作引継ぎって叩かれる元だと思うのですが。
    花組娘1で自分で退団時期を決められたのは花乃くらいのように思えます。そんな中、退団会見で自分の意思で決めたかのように話す彼女達を見ると舞台の上だけでなく、あらゆる場でタカラジェンヌを演じているのかと感服させられますね。

  7. より:

    初めまして、いつもブログ楽しく読ませて頂いています。
    2017年にたまたま見かけた「はいからさんが通る」初演のポスターで華さんに一目惚れし、そこから初めて宝塚を見るようになった新規ファンです。
    全国ツアーのエキサイターを見た時は、ファンの贔屓目で考えても華さんがトップ娘役になることはないのだろうと割り切った気持ちにもなり(笑)桜咲さんのような組のかわい子ちゃんポジションとして長く在団してくれたらな、と思っていましたが、運良くトップ娘役の座を掴んだことでここまで早く退団してしまうというのも、贅沢とはわかりつつ切ないものだなぁと思います。
    例え技術面にどれほど難があろうとも、わたしは惚れた弱み(?)でどんな華さんも好きなのでいつまでもいてほしいと心から思っていましたが、たった3作で退団を決めた彼女の潔さ、聡明さもまた愛しいなと思います。
    宝塚を知った瞬間からずっと華さんが一番好きなジェンヌさんなので、今回の退団発表にはやはりショックを受けましたが(あと一作はいてくれるんじゃないかと思っていたこともあり…)、こちらの記事を読んで彼女にとってはこれが一番幸せな結末なのかもと思えるようになりました。ありがとうございます。
    あと7ヶ月と少し、最後まで悔いのない宝塚人生を全うしてほしいです。

  8. きおづき より:

    華さんに関する報道や記事を見ていると、同じく花組のトップ娘役だった千ほさちさんを思い出します。彼女はつむじ風というより暴風雨だったような気がしますが(残された組子がびしょぬれ)。おまけに宇宙人!この辺りからでしょうか、私個人が「娘役トップ、結構誰でもなれるんじゃないか説」を踏まえて劇団を見始めたのは。自分の中で宝塚が終わったコンテンツ化し始めた「序」のあたりです。結局のところ、まさかそんな事は無いはずなんですけれど。
    ん、ん、ん!? 蒼汰さんにしてはかなり人情モード全開のお言葉!いや、華さんがご自分の実力不足を認識していなかったわけは無いと思います。もちろんそれが原因で退団に至られたわけではないと思いますが、雪組に観劇に行けば真彩きほが高らかに歌い上げているわけだし、華さんには(柚香さんにもですが)やはりというかそれができないから、組の中でも少し肩身が狭かったんじゃないのかなあ…と邪推してしまいます。意地が悪いけれど。
    でも、彼女はとても潔かった!
    【トップ娘役批判と、その宿命】も熟読いたしました。まさにおっしゃる通りの短期決戦でした。宝塚って、独特のハッタリ芸が通用する場合とそうでもない場合があるのだなぁとしみじみ思う晩秋です。
    次のトップ娘役さんがどなたになるのかさっぱり解りませんが、今回これだけ揉めて「前の方が良かった〜!」となったら、その時は私もニラヲチ(最近知ったネットスラング)するしかなさそうです。