風間柚乃・上手過ぎるがゆえの苦悩

 

先日、無事に千秋楽を迎えた雪組『ODYSSEY』、

私もしっかり配信放送で観劇しましたよー感想は特に書く予定はありませんが。

 

実は雪組の遠征ついでに月組『グレート・ギャツビー』も拝見していまして、

感想は東京公演を見てから書こうと思っていたのですが、

蓋を開けてみたら宝塚大劇場で公演出来たのはわずか2週間弱。

たまたま見られて、我ながら本当にラッキーでした…。

 

月城かなと率いる月組の芝居の上手さが光る公演で、

特に、何食わぬ顔してストーリーテラーを演じる

研9・風間柚乃の上手さに舌を巻いてしまいました。

 

ってことで本日は、そんな風間柚乃について書いていきます。

 

風間柚乃・しれっと月組3番手格へ

 

100期生きっての知名度を誇る風間柚乃、

その理由は夏目雅子の姪という親族知名度からでしたが、

今やその実力でコネ感を薄め、自身の立場を固めた稀有な存在です。

 

特に、月組混乱期を代役で名を上げていったパワーは素晴らしく、

『エリザベート』では伝説の大役たるルキーニを、

『夢現無双』では代役で3番手格の本位田又八を、

『チェ・ゲバラ』では2番手格のフィデル・カストロを熱演。

 

『出島小宇宙戦争』では曲者シーボルトを、

『ピガール狂騒曲』では難しいコメディ役たるボリスを見事演じ切り、

ここで正式に上級生別格組を抜き、月組5番手へと昇格します。

 

早々に歌劇の正月ポートにも登場しましたが、

コロナ禍の影響により新人公演主演は2回に留まり、

さらに組内の事情によりバウ主演はしばらく後回しになってしまいます。

 

が、珠城りょうを見送り、月城新体制へと動き出す中、

ついに『LOVE AND ALL THAT JAZZ』でバウ主演を果たした彼女。

さらにまさかの暁千星の組替えに伴い、一気に3番手格へと昇格してしまいます。

 

いやいや早過ぎるだろと思いきや、彼女も既に研9。

柚香光や礼真琴は2番手スターになっていたし、

御曹司としては昇格がゆっくり目だった彩風咲奈も3番手扱いになった頃。

超路線系スターとしては程良いタイミングなのかもしれません。

 

上手過ぎるがゆえの苦悩

 

そんなわけで、彼女は同期の聖乃あすかと双璧を成す、

100期筆頭の超路線級スター。

しかも数値化出来ない真ん中力(笑)だけではなく、

ちゃんとした舞台技術も持ち合わせた実力派です。

 

しかしながら、上手過ぎるというのも考え物で、

確かに彼女は舞台人として非常に素晴らしいスター様なわけですが、

スターというのは美点とともに大いなる欠点があってこそ、

その輝きがより際立って見えるもの。

 

彼女の場合、舞台人としての度胸、完璧な自己プロデュース力から、

(もちろんたゆまぬ努力があってこそというのは充分承知のうえで)

どうもあっさりと出来ちゃう感があるゆえに、隙が無さそうに見える。

 

つまりハッキリ言ってしまえば、

彼女を好きなライトファンは大勢いると思いますが、

彼女 だ け を愛する超スーパー熱血ファンが、

現段階だと少ないように感じるのです。

 

しかも、風間柚乃はキラキラ系ではなく、

いぶし銀系スターの系譜であるからして、

果たして本当に早期就任しちゃうの…?と不思議で仕方ありません。

 

なんなら香寿たつきや霧矢大夢といった、

熟成された大人の色香で勝負した方が良いのでないか?と勝手に思っています。

 

つまり、私のいつもの悪いクセである、

「組替えしようぜ論」になるわけですが、笑

けどさ、現トップである月城かなとの後任(7作程と仮定して)であると思うと、

実はちょうど大阪万博頃のタイミングになるんですよね。

 

私はアンバサダーメンは万博終了まで組替えしないし、

なんなら多忙につきトップにするつもりもないと思っていましたが、

もしかしたらタイミングを合わせに来ているのかもしれませんよねぇ…うーん。

 

彼女がぶつかる壁とは何か?

 

結局のところ、スターの人気を構築するうえで必要なのは、

ビジュアルと実力と、そして物語性だと思うのです。

 

その意味で、実力的にも劇団の推し的にも

向かうところ敵無しな彼女には、

「判官贔屓」という大切なファクターが得られない可能性が高い。

 

例えば、風間柚乃と同じ小柄実力派いぶし銀系の望海風斗は、

花組時代でなかなかスポットライトがあたらず、

やっと自分の流れが来た!!と思った瞬間に同期の明日海りおに降られ、

さらにファンの勢いが増したように感じます。

 

そういう目に見える挫折があってこそ、

ファンも「応援せねば!!」という気持ちにさせられるわけですが、

果たしてこれからそれに代わる「壁にぶつかる時」が来るのでしょうかね?

 

もはや何もなくすんなりトップになってしまうのも

一つの物語なのかもしれませんが、笑

月組Pの手腕と決断がどのようなものになるのか、

彼女の今後の展開が気になるところです。

 

☆★☆★☆

ランキング参加始めました!!

ぜひポチっとお願いします↓↓

にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

コメント

  1. ずんだもち より:

    いつも楽しく読ませていただいております
    風間柚乃に対して、お芝居上手いね、落ち着いてるね、才能受け継いでる?と思っていましたが、LOVE AND‥を配信で観た時 カテコで感極まっているのを見て 「ごめんね、そうだよね、必死で演じてたんだよね、余裕なわけないよね」と思ったのを記憶しています。
    多分、万博時トップ計画なのでしょうが、⚪⚪の姪に関心あるのは万博主催のオジサン達だけじゃないかな?
    私は“判官贔屓”という言葉が好きではないです。生え抜き御曹子は苦労がないようなことを言う方もいるので。それは中の人でないとわかりません。ただソウタさんの仰るのは、「人気を上げるにはファンにも分かるストーリーが必要」と言うことだと理解しています。ジェンヌさんの出世物語もファンの楽しみのうちなので(ごめんねジェンヌさんたち)
    う-ん、物語ねぇ‥どうせ“誰がどこ組”なんてヅカオタしか気にしないから、いっそ今のうちシャッフルしちゃえば?と言うのは乱暴かしら?

  2. orange芋 より:

    いつも鋭い考察、とても面白いです。新参者にとっては「なるほど」と思うことばかり!

    「あの人は夏目雅子さんの姪なんだよ」と言うと夏目雅子さんを知る年配者はとても食いつきますよね。
    そればかりではなく、舞台で目立つ彼女なので更に関心を増すというか。年配の方に関心を持ってもらえる「かも」というのも大きいような気がします。

    今まで「う~ん」と思うような演技や歌などが無かっただけにオールマイティーで活躍できそうな反面、何かしら欠点があるタイプの方がなぜか強いファンを獲得するのはどの世界でも同じだと思うんですよね。

    私は風間柚乃さんには「往年の宝塚」がすごく似合う匂いを感じています。ビジュアル含め。
    漫画原作が得意な組、和もの芝居が得意な組、いろいろあってこそ面白いのですが「昔の宝塚」感を出せるのは柚乃さんだと思っています。

  3. あやこ より:

    あの『飄々とした』感から、葛藤や成長が周囲に伝わりずらいのが哀しい特性。暁さん組替えの際のボロ泣き顔や、月城さんが以前「風間は今、もがいている時期」(意訳)とのケア発言を受けて、迂闊に『貫禄』とか『余裕』とか言うのやめます!と思った次第。
    さて、これから彼女には、どういったストーリーが待っているのでしょうか。復興の月組計画と共に、楽しみですね。

  4. ひょい より:

    はじめてコメントいたします。いつも楽しみに拝読しております。

    風間さん、月組の次の全国ツアー「ブラックジャック」では真矢ミキさんのお役をやる可能性が高いですよね。演目が発表された時、月城さんも風間さんも役にピッタリでワクワクしました。真矢さんの持つ押し出しがあって少しアクの強い感じ、今のジェンヌさんでは風間さんが濃く継承している気がしています。

    残念なのは、もし暁さんがそのまま月組でトップになり、風間さんが強い2番手として丁々発止のやり取りの演目をされたら、往年のヤンミキコンビのようにとても人気が出たのではないかと思うことです。ミキさんも2番手時代にとても人気が出ましたよね。月城さんとのコンビももちろん良いのですが、同じ組で育った、年齢の近い、持ち味の全く違う2人のスターは貴重だったのになあ、と。「黒い瞳」なんかもいいですよね。「ブエノスアイレスの風」で、その幻の未来が観られたのがせつなかったです。

    いずれにしても、風間さんのお芝居はいつも期待を超えて面白いので、これからも月組のお芝居を背負ってくださると楽しみにしています。「ブラックジャック」チケット取れますように!

  5. 華芽 より:

    まさしく彼女を贔屓にしているファンですので、蒼汰さんの風間さんに関する記事は全部読んで来ていますが、以前の記事と課題が変わらないというか、「できすぎ故の懸念」の対抗策を劇団が一向に取ってくれないんですよね…。特に実力・待遇に停滞があるわけでもないので、ファンとしても贅沢な悩みだなと思いますし、順調な出世に喜ばしい気持ちもとてもあるのですが…大きな声で言ってしまうと「苦労しろ」って発言になってしまうので難しいです。

    また、他の方も仰っていますが、ありおだコンビでトップ2番手を2~3作→組替えして他組2番手2~3作→トップ就任…という皮算用をしていましたので、いまだ暁さんの組替えが残念でなりません。ただ、暁さんか風間さん、どちらが全ツショーでアパショナードを取るかな、とワクワクしてます(やること前提、宙組でもやれたんだから星組でもやれるでしょ!笑)
    昨年頃までは、彼女の芸風から雪組に行くものだと思っていましたが、雪組Pは3人目の「あさみ」の名を持つ雪組トップスター爆誕!を話題性に直近の人事計画してるように思うので、同じ月組出身者を組替えはさせないか〜と。

    長文お目汚し失礼致しました。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます!
      私も書きながら毎回同じこと書いてるな…と思ったのですが、笑
      冷静に考えたらボリスやペペル、ヒンドゥー神、ニックと、難役を与えられながらきっちりこなせているの凄いな…と思いました。私もありおだもう少し見たかったです。
      後半については実は私もうっすら思ってまして…3人目のあさみ狙いはもちろん、実はエーエンで共演してるんですよね、この2人。いわゆる縁人事がなきにしもあらずですが、雪ファンとしては縣さんとの並びも好きなので悩ましいところです…。

  6. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、拝見しております。
    月育ちで超御曹司の暁さんが、まさかのパッション星組への異動で、親元を離れる我が子を気遣い見守るの為、星組観劇を強化しようと決めた方は、おそらく私だけではないでしょう(笑)。

    キラキラは礼華さんと彩海さんに任せて、風間さんのお芝居は現体制の月組では欠かせないでしょうし、何より月組観劇後の充実感は、私にとっては今の月組だからこそ、のように思えます。
    風間さんは、このまま頂点にかけあがって!と、願います。
    只、ショースターが組替してこられるのかも、と思いますが、愛希さんのような超ダンサー娘役さんが主軸に加わるのもあるのかな、とも。
    一度、本格的な女役(ピガールの時のコメディ役ではなく)の風間さんを観たいような。
    やはり月組も、期待が満載で目が離せないですね。

  7. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    縣があのビジュアルとダンスで、歌も上手かったら…私はこんなに狂おしくギャアギャア言っていない気がします。

    昔教科書か何かで、ミロのビーナスにもし両腕があったら、彼女は現代人をこんなにソワソワさせなかったであろう。両腕が無いゆえに、見る人はその欠落を埋めようとする。見る人の数だけ幻の腕が見えるから、ミロのビーナスは魅力的なのだ、と。

    スターの欠点を、ファンそれぞれが勝手に脳内補完して、そのオリジナル脳内補完ゆえに、スターはファンそれぞれにとってこの世にただひとつ、それは貴方、になる。

    風間さんの演技は、ファンの想像を超えてきて、感服し唸らせる。ファンが脳内補完する隙も、そもそも必要も無い。

    組替えも、アンバサダー同士ならOKかもと思いますが、花、雪、星、宙・・・うーん。

    お芝居も、いつもの月組の一座ばかりでなく、他の組へ特出してみるとか、何か新しい出会いによる刺激がほしいですね。

    ところでアンバサダーってこれからが本番でしょうが、どんなことをするのでしょうかね?風間さんには宙組のLDHのように、何か外部とコラボ企画とか話題性のあることはできないものでしょうか?

  8. おかず より:

    横から失礼します。

    この前のスカステ無料の日で、アパショナードしてましたね。私もあのショー大好きで、また月組で見たいと思いました。月城さんでと思いましたが、やっぱり風間さんで見たい!というのが本音です。絶対ステキだと思います。

    割り込んでスミマセンでした。

  9. 華芽 より:

    (わたし宛…でよろしかったでしょうか…)
    アパショナードに同意して下さる方がいらっしゃって、嬉しいです!
    以前、風間さんがスカステの番組で佳城さんとアパショナードを歌っていたことがありましたが、大介ショーの一昔前な音楽が似合う似合う(褒めてます)!言わずもがな歌唱力はさすがでしたし、風間さんは瀬奈さんファンでもあるので、歌い込んでるんだな〜と微笑ましく思いました。ぜひ実現して欲しいですね。

    とか言っておいて、個人的に観た時感動しそうなのは暁さんなんですけどね(笑)。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      便乗すると私もアパショ大好きですー。邪道かもですが大空祐飛さん版をめちゃめちゃ見ています。笑

  10. 藤尾 より:

    ギャツビー大劇場で観てきました。
    大劇場なのに真ん中付近に芝居と歌の下手な人がいない。フィナーレは?だったけど。そして、風間さんは一人で真ん中に立っても大丈夫でした。

    若くして亡くなった有名女優の姪、父はプロゴルファーの華やかな家族、下から青山で同級生に歌舞伎役者もいるセレブな育ち、なにより怒涛の三連続の代役は既にストーリーだと思うのですが、軽々こなしてはダメですか?

    発売される写真集でどう自己プロデュースしてくるか楽しみです。