小桜ほのか・チャンスは2度ないのよ

 

タイトルは管理人が好きな松田聖子の曲から。笑

 

男役が、数少ないチャンスを掴んでスターの階段を駆け上がる、

いわゆる成り上がり系(綺麗な言葉でタカラヅカンドリーム)が少なからず居る中、

娘役に関してはそういう存在が少ないような気がします。

 

それもそのはず、娘役は男役に比べ全体的に在籍期間が短く、

路線レースが短期決戦であるからこそ、

トップ娘役か、路線落ち系娘2か、ラッキー娘2か、

それ以外(お姉さまか下級生)か、という区別しかつきようがないからです。

 

そんな中、数少ないチャンスを実力で応え、

自身で路線の糸を手繰り寄せた、

いわゆる成り上がり系娘役だと思われる存在が居ます。

それが、星組の小桜ほのかです。

 

追想・不遇の紅政権時代

 

小桜ほのかは99期生、入団成績5番。

研4にして『桜華に舞え』で新公初ヒロイン。

 

こう聞くと路線として順風満帆のように聞こえますが、

当時の星組事情を考えると、まず次期として96期の綺咲愛里が控え、

娘2候補生として98期の有沙瞳が池銀様を背負ってやってくることが確定。

 

礼真琴の相手役候補として最も期待を寄せられていたのは、

101期生の星蘭ひとみであり、

小桜ほのかが新公ヒロを取ったのは、正直消化試合のようなもの。

 

実際、続く『THE SCARLET PIMPERNEL』でエトワールを務めて以降、

紅ゆずる政権下ではいっっっっさい目立つことはありませんでした。

その大いなる理由は、やはり有沙瞳とのキャラ被りだと思います。

 

そもそも星組は技術よりアピール力の組であるからして、

センターでトップがドヤり、少数の技巧派が屋台骨として組を支え、

下級生も全力でオラオラする、という図式で成り立っています。

 

歌えない綺咲愛里の下にやって来る時点で、

有沙瞳の仕事は「歌で組を支える」でしょうし、

その有沙自身が、劇団の古株スポンサーである池銀様を背負っているため、

似たようなスキルを持つ小桜ほのかの出る幕は有りませんでした。

 

珍しい成り上がり系娘役

 

そんな彼女の転機になった作品は何か。

私は『アルジェの男』アナ・ベルだと思います。

 

アナ・ベルは目の見えない純真無垢な深窓の令嬢であり、

主人公に利用され、騙されたことを悟り、入水自殺をしてしまう役。

 

硝子のように繊細な佇まい、華麗な歌声、

そして本当に目の見えない少女の、恥じらい、戸惑い、絶望が、

ありありと感じられた卓越した芝居力。

 

彼女のちょっと垢抜けないビジュアル(失礼)もよく似合い、

まさに特大ホームラン!!

これが彼女にとって大いなる転機となります。

 

もちろん、移り変わる星組の情勢、

つまり運を味方につけたことも大きいですね。

 

まず、スーパー技巧派の礼真琴へと代替わりしたことで、

実力者が前に出やすい環境になったこと。

 

また、相手役として舞空瞳のお輿入れが決定、

つまり当時は娘役をボカす必要が有ったからこそ、

複数の微妙路線娘役にチャンスが巡ってきた。

 

彼女はそのたった1度のチャンスをモノにし、

スターの糸を手繰り寄せます。

 

続く『ロックオペラ モーツァルト』で美味しいアロイジア役を与えられ、

『眩耀の谷』でもそこそこ出番のある瑛琳役、

そして『シラノ・ド・ベルジュラック』で、

ついに東上(しかも轟悠主演!!)ヒロインまでゲットしてしまうのです。

 

ダンスの舞空瞳、歌の有沙瞳と技巧派が続いているので、

星組として娘3候補にしていたのは、

THE・星娘らしい水乃ゆりだったんでしょうけれど、

小桜ほのかが実力でその場を攫った、というのが私の見解です。

 

不遇と思われた99期のあれこれ

 

そして次は、極美慎の初のバウ公演『ベアタ・ベアトリクス』にて、

ヒロインとしての出演が決定しています。

 

ご存知の通り、極美慎は『アルジェの男』にて小桜ほのかの相手役(?)を務め、

共に評価され、最初のヒットをもぎ取った名コンビ。

ここでの相性の良さを買われての登板でしょうから、

たった1度掴んだチャンスから地続きで繋がっているとも言えるでしょう。

 

面白いのは、本人はいたってほんわか、全然ガツガツしていない点です。笑

99期は路線が少ない不遇な期だからこそ、

同期の野々花ひまりがラッキー娘2候補生であること含め、

たまにはこういう成り上がりがあっても良いのかな、と思います。

 

そういえば同じく同期の彩みちる

月組で天紫珠李とW娘2モードに入りましたし、

99期娘役たちはそういうモードに入ったのかな?

 

トップ以外の娘役の地位向上計画がうっすら見える劇団の方針の中で、

新たなポジションとしての彼女たちのさらなる活躍を、期待したいです。

 

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コメント

  1. ずんだもち より:

    ブログ更新されるのをいつも楽しみにしています。
    「垢抜けない容姿」にクスッ。太眉のせいでしょうか。でも「垢抜けない」って結構大事な要素ですよね、少女マンガのヒロイン的です。
    東上ヒロインも若手男役だったら、「バウもやってないのに」「似合わない」「ブス」だのとアンチを沢山くらいそうですが、轟悠の相手役だったので、アンチは回避して実力を示せたのではないでしょうか。私はバウヒロ済みと勘違いしたくらいです。
    実力もあるし、可愛いのになぜ?と同情票も入りそうです。
    以外と上手に運を掴んでいるようにもみえます。
    現状娘1も娘2も他組合わせて空席がないのが残念です。

  2. あやこ より:

    くーっ!アルジェの男は私も大好きです。『こんばんは、アナ・ベル』と呼ばれた時の、小桜さんの、ポッ♡としたお顔ったら。盲目のご令嬢が初めて「こんばんは」とか言われたら、そりゃそういう表情になるわ!
    美声が際立ちますが、お芝居もダンスも素晴らしい。いい意味の素朴さがあるから、学年下の極美さんとも違和感がないですね。長く活躍してほしい、素敵な娘役さんです。

  3. 金の鳩 より:

    蒼汰さんこんにちは。

    小桜ほのかさん、個人的にはとても好きです。可愛らしくて実力があるのにトップ娘役候補にも微妙になれないのは何故なんでしょうね。
    でもまあ娘2としてでもいいので活躍して欲しいです。

    それより!
    タイトル!笑
    まさか本当にあの曲からだとは!
    見た瞬間に「Not the second cha〜nce if you lea〜ve me alone〜」と口ずさんでました。
    金の鳩という名前は伊達ではありませんよw
    懐かしい曲を思い出させてくれてありがとうございます笑

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      さ、さすがです…!!笑
      個人的に聖子ちゃんは出産後から80年代終わりまでの曲、アルバムが好きです。←