宙組『カジノ・ロワイヤル』新人公演で見えたこと

 

当初、見られない予定だった宙組『カジノ・ロワイヤル』新人公演ですが、

我ながら仕事を上手いこといてこまし、

なんとか無事ライブ配信を見ることが出来ました。

(その代わり明日は早出です…泣)

 

ざっくり感想、書いていきます。

 

『カジノ・ロワイヤル』新人公演から見る変化

 

まず、大前提として。

新人公演にクオリティを求めてはいけないと分かっていて敢えて書きますが、なんだか全体的にアレレでしたね。いや、別にそれ自体を否定するものじゃないんですけど、宙組って「若手にも実力者がひしめき高クオリティ!!」ってのが一つの売りだと思っていたので、突然の持ち味の変化にビックリ。

これには2つ理由があると思っていて、1つは実力者が多かった101期・102期が抜けたうえ、実は新公主演&ヒロイン経験者が亜音有星山吹ひばりしかおらず、しかも宙組の悪いクセで若手に大本命を作らず、大劇場でも小劇場でもみんなにすこーしずつチャンスを振るもんだから、全体的に経験値不足なメンバーで挑まねばならない状況になってしまったこと。そしてもう1つは…宙組って方針転換しました?93期くらいまで見た目(ガタイ)オンリー、95期から下は実力オンリーで路線選抜していた印象がありますが、103期からまた見た目オンリーに変わった印象があります。

だけどこれって、実は宙組だけの変化ではなく、例えば礼華はるが突然プッシュされたり、希波らいと、一輝翔琉、そしてたぶん馳琉輝と、見た目系やダンサーが路線候補として推され出したことが目に付くようになってません?そう、小柄実力者ばかり推していた小川時代から100周年前の価値観への先祖返りが起きているのかも?と少しばかり予感がしたのが第一インプレッションです。

 

さっくりキャスト別感想

 

それではキャスト別感想をさっくりと。

主演を果たしたのが105期生の大路りせ。はい、ビジュアル大勝利!!…以上。笑。歌や着こなしがアレレなのは若手なのでノープロブレムですが、課題は芝居力ですかね。最後の20分くらいからグググと良くなりましたが、立ち上がりが早くなると良いと思います。ま、美形は正義ですし、伸びしろ多しということで将来に期待したいです。

ヒロインを演じたのは105期生の美星帆那。『カルト・ワイン』での可愛らしさが印象に残っていましたが、想像以上にちゃんとヒロインしてました。冒頭15分くらい、緊張してんなーって感じでしたが、上手く軌道修正。ギャルな恰好も似合っていたし、良い意味で「ちょどいい小娘感」でした。

2番手は103期生の亜音有星。驚くほどの安定感にビックリ。これまでの比較対象が鷹翔千空に風色日向と実力者だったためにビジュアルオンリースター呼ばわりでしたが、最年長者としてちゃんと舞台を引っ張っていました。顔立ちもシュッとしていてグッド。ラスト1回、取るんでしょうかね?

3番手は105期生の泉堂成。可愛かったし、似合っていたと思いますよ?思いますけど、なんだか既に既視感が…なぜだ。歌と芝居が大路りせと同レベルに見え、だからこそ路線バトルとしては不利ですよねぇ…体感人気はあるのに。やっぱり早く宙組から出た方が良いと思う、というファン目線の呟きです。

4番手は106期生の鳳城のあん。初めての路線役ですが、彼女が今回の掘り出し物でしたかね。ビジュアルも良く、芝居も歌も安定していて目を惹きました。実力主義的宙組時代なら路線候補でしょうけれど、逆にりせなるコンビとは色味が違って浮いて見えた気が…。106期宙組では成績一番のようですので、今回で果たしてチャンスを掴めたのか、期待です。

あと目立っていたのは、松風輝&若翔りつのダブル別格役を上手くこなした104期の真白悠希がやっぱりMVPでしょう!!一人だけ異次元の上手さでした。それから優希しおんのアクロバティック枠をこなした波輝瑛斗(鳳月杏似の彼女)がイケオジ風味に進化していて良かったのと、山吹ひばりはさすがの安定感で、今回は特徴的な声がそこまで気にならず。愛未サラはガタイと睫毛のおかげでディズニーの悪役感が出ていて面白かったです。

 

スターに一番求められること

 

ところで。

私は『カジノ・ロワイヤル』本公演を観た時の感想編として「前評判なんて関係ない!!とても面白かった!!」と書きました。が、今回新人公演を観たところ、全く面白くなかったです。笑

これは当て書きだからとか関係なく、単純に真風涼帆率いる宙組生が、スターパワーで凡作を良作にまで引っ張り上げている結果だと気付きました(そう考えると小池先生は宙組生に感謝した方が良い)。そういう意味で、スターに求められるのは、歌唱力でも芝居力でもなく、舞台を支配出来るか、なんですよね。そして今の宙組若手陣でそれが出来るのは、亜音有星と真白悠希しか居ないように思いました。

けどそれは当然です。だってそれを会得するには舞台で経験値を貯めるしかありませんから。なので冒頭の話に戻りますが、今回の新人公演がクオリティの部分でアレレだったのは全く問題ではなく、むしろ新陳代謝が起きている証拠だと思うし、それを歓迎したいです。ま、もっと計画的にやれよって話ですが、それはコロナモードなので大目に見るということで…。

一気に世代交代を果たした宙組ですが、舞台を通じた一つ一つの経験を生かし、大いなる飛躍の繋げて欲しいなと心から応援しています。

 

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コメント

  1. 蚊取りレーヴ より:

    大路りせさんは後光が差して見えるのは私だけでしょうか?(自分は全然見える系ではなくゼロ感なのですが笑)
    ヴィジュアルなのか技術なのか分かりませんが、やはり大物な予感がしています。
    真風さんの男役芸を忠実に再現しようとしているのを見て教わる機会があって良かったなあと思いました。

    愛未サラちゃんとってもお芝居良かったです。

  2. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、興味深く拝見しております。
    新人公演らしいといえば、そうなのかも、しれませんね。
    そのシステムが、宝塚歌劇の強みとなるよう、これからを期待したいです。
    スターパワーが凡作を良作にする、まさにその通りかと。ある意味、ジェンヌさんは大変だな、とつくづく思ったりして。
    脚本・演出家先生にも、これからを期待します。

  3. 浜松町 より:

    掘り出し物…笑
    鳳城のあんさんはダンスの人というイメージですが芝居も歌もよくて驚きました。
    105期の影に隠れがちな106期ですが実力派揃いなので横の競争がどうなるのか楽しみです。
    華世さんに続く主演を誰が取るのかまたヒロイン抜擢はあるのか、誰がのしあがってもおかしくない期でしょう。
    鳳城さん次はキョロりせなるのいない大逆転裁判組ですのでどんな役が付くか注目しています。

  4. おさかな より:

    蒼汰さん

    りせなる、コンビで見続けたい気持ちは山々ですが、なる君は新公学年中に組替えした方がいいよなぁ、と天華&綾コンビを思い出しながら考えました。じゃあ行先はどこなんだと言われると……どこにでも105期路線(候補)いる問題があるんですが…。
    やっぱり花組かなと思いつつも、花組で組替え後に新公主演やるのは中々大変そうだなとも思ったり。

  5. ジャスミン より:

    久々に参りました!
    大路さんが休演だそうで、心配です。早く回復されますように。
    りせなる、長く見ていたいのは山々ですが、やはり解体しないと非常に勿体ないことになると思うんですよね……

    あと、劇団には愛未さんのことも是非大切にしてほしいと思っています。
    華やかビジュアル(男装も似合う)といい、舞台度胸といい、とても面白い娘役さんだと思うんですよね。
    だから、彼女が強い別格枠にいくにせよ、一度はやっぱりヒロインを経験してほしいです。
    (たとえば今の有沙さんがあるのも、やっぱりヒロイン経験が豊富だからこそ、なので…)