「娘役人事は水物」という格言を、
誰が最初に言ったのかは分かりませんが、
最近はその通りだなという人事が続いています。
ノーマークから一気に昇格した春乃さくら、
苦労の末の海乃美月、謎に反復横跳びした朝月希和、
そしてウン十年ぶりのスライド案件となった星風まどか…。
ま、歴史を振り返ればトップ娘役人事は、
そんな急転直下の繰り返しなわけですけれども、
その中でも天紫珠李のスター人生は
急転直下、というよりかは「不思議」な辿り路な印象があります。
今日はそんな天紫珠李のこれまでを振り返っていきます。
黎明期:「男役の101期」から娘役へ転向
天紫珠李は101期生の次席として入団。
101期生はここ最近の流れの中では珍しく、
成績上位が男役で固まっていた(鷹翔千空や縣千など)ことから
「男役の期」として注目を浴びます。
月組に配属され研鑽を積みますが、
2017年12月25日付で娘役へと転向。
なお、その直前の本公演『All for One』では
同期の結愛かれんが研3新公ヒロインに抜擢されているわけですから、
当人にしてみれば結構な博打、運営側からすれば食い合う状況に、
裏を返すと何か勝算があるのか?と勘ぐってしまいますよね。
続く『カンパニ』新人公演ではW娘2の片方である本役早乙女わかばを取り、
目立つ娘役が少ない『エリザベート』では、
トップ娘役を多数輩出しているマデレーネをゲット。
ここで愛希れいかが退団、美園さくらへの代替わりが置き、
そのお披露目公演『夢現無双』で初の新公ヒロインに抜擢。
普通に考えれば「次の本命枠は彼女かな」と思う流れです。
成長期:海乃美月との闘い
ところが、次の外箱公演『チェ・ゲバラ』は、
いわゆる暫定ヒロイン扱い。
当時の外箱ヒロイン判定は渋く、波線上&スチールが出ないと、
人事的な正ヒロイン扱いではありませんでした。
何より当時の彼女が新進気鋭の娘役として「弱く」感じたのは、
104期生の初詣ポスターモデルであったきよら羽龍の存在です。
天紫珠李は『赤と黒』では美味しいマチルド役を取りながらも、
きよら羽龍は研1にしてキティをゲット。
そのまま『ピガール狂騒曲』で新公ヒロまで取ってしまいます。
(そういえばこの新人公演のキャストに天紫珠李の名前がなくて騒然となったことを思い出しました…あれはなんだったんでしょうかね?)
一方、天紫は『ピガール狂騒曲』では同じモブ娘役枠でも、
海乃美月よりセリフを貰っていたことから、完全なる牽制モード。
なるほど、天紫珠李は海乃美月とのW娘2格で蓋登板で、
本命はきよら羽龍なのね、と思っていたらまさかのコロナモード。
新人公演は中止となり、若手育成もストップとなります。
そうこうしているうちに珠城りょうが退団発表し、
同時に美園さくらの退団も決定。
さて次期はどうなる?と思っていたら、
競っていたはずの海乃美月がムーンセレニティに昇格するのでした。
ここまでの歴史を振り返った時、もしかしたら天紫珠李は、
珠城りょうの3人目の相手役候補として性転換したけれども、
残念ながら任期8作での退団が決定し、流れてしまったのかもしれません。
(その残りがとして『幽霊刑事』の暫定バウヒロイン?)
一応月城かなとの相手役候補として、
『ピガール狂騒曲』で一瞬目立たせてはみたものの、
やっぱり月城かなとには海乃美月だよね、で人事が決まった、
という感じなのかなーと妄想します。
成熟期:月組娘役戦線混迷期
そして月城かなと&海乃美月の新体制になると、
雪組から彩みちるが来訪。
後輩の大本命・きょら羽龍とともに、三つ巴バトルモードとなります。
が、きよら羽龍はケガ休演が続いたこともあり、
『LOVE AND ALL THAT JAZZ』でバウヒロ、
『グレート・ギャツビー』で新公ヒロを取ったものの、停滞モード。
その間、彩みちるとは明確なW娘2体制として、
『ブエノスアイレスの風』→『ELPIDIO』→『月の燈影』と、
外箱ヒロインをぐるぐる回しあう関係となります。
この時点で既に月城かなとの任期5作は決定済みで、
海乃美月の同時退団も常識的に考えれば決定項だったはず。
ということは、次期枠を育てなければなりません。
そしてこの頃、宝塚では空前の105期娘役フィーバーでありながら、
月組は詩ちづるを外に出し、花妃舞音を抜擢。
次期が分からなくなってきたぞ、と思っていたところで、
まさかの天彩峰里&きよら羽龍のトレード人事が発表されたのでした。
天彩峰里は某週刊誌に書きたてられたこことで、
世間からは針の筵の大パッシング。
だけど立場上、真風涼帆とは違い、
舞台の上で釈明するチャンスがないまま過ごすハメになります。
その流れでのトップ退団の1作前合流ですから、
劇団お得意の「ごめんね人事」でトップに昇格するため、
舞空瞳が降る前の星組のように月娘戦線を平行線にしていたのでしょう。
けど、「例の件」でそれがおじゃんとなった。
トップ人事が白紙となり、じゃあどうする、
という流れで白羽の矢が立ったのが、
天紫珠李だったんじゃないかなと邪推します。
「持っている」女
改めて振り返ると、天紫珠李は長い新進娘役人生の中で、
ただの一度だって「本命扱い」されることはありませんでした。
けど、実は同期の結愛かれんを蹴落としていたり、
『ピガール狂騒曲』で一瞬海乃美月を抜いていたり、
『FULL SWING!』では謎にゴージャスギラギラで無意味に登場したり、
あるいは外箱ヒロで下級生の下にされたことはなかったり、と、
絶妙に良い扱いをされていて、一度も路線から落ちたこともないんですよね。
そんな状況下で、何もかも破格な鳳月杏の相手役になったこと。
それは『応天の門』での絡みで「萌え」があったことから、
並びの相性が良さそうだった、という綺麗事ももちろんあると思います、が。
いまだトップが出ていない101期生であり、月組生え抜きであり、
何か理由がありそうな性転換の経験者でもあり、
きよら羽龍の停滞モードと天彩峰里の組替えが無くなった、という、
様々な理由の果てのラッキー就任であることは否定出来ません。
けど、別にええやん?
トップになったことこそ事実なんですからね。
最近の彼女は娘役が板につき、
大人女性モードで綺麗にブラッシュアップされていますから、
個人的にはトップ娘役就任は納得です。
鳳月杏と月組の新たな時代を作り、その歴史に名を刻んで欲しいです。
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コメント
月組みは、ほんま、男役から、転向多くいます、はじめから、娘役でガンバってる人にチと、失礼かな、私は、彩りさんに、主演娘してほしかった。
いつも記事を楽しく拝見してます。
天紫さんはしっとり系娘役で鳳月さんのお相手としてはピッタリなので納得の人事であると同時に、月生え抜き&雪組の朝月さん同様に短期で後輩に引き継げる非本命娘役なのもキーだったと思います。
それより肝心な引き継ぎ先の後輩娘役が月で育っていないのが1番の問題だと思います。月の路線男役層はありちゃんが抜けたため嘗てない程薄いですが、それでも風間-七城-雅と等間隔で点を打ちつつありますが、娘役は適当感が否めない、、、。娘役も大事だと思うので、もう少し戦略を持ってほしいと思わずにいられません。
それでも鳳月&天紫の大劇場のフェニックスショーは今から本当に楽しみでなりません!鳳月さんはお名前通りに厳しい路線バトルをギリギリで生還してきた不死鳥的スターだと思うので。
これからも楽しい記事をお待ちしております。
ピガール抜擢のころから天紫さんに注目して見ていました。
娘役2番手を誤魔化しつつ次期の扱いを明確に上げなかったのは月組の方針だと思います。
娘役は旬が短く役も少ない、みんなにチャンスがあると感じられる土壌を作っておく、悪くないです。
何のためか。
それはしばらく若返りが図れない事の裏返しなのではと想像しています。
珠城→月城→鳳月のラインが決まっていたならば相手役も他組ほどのスピード感で若返ることが出来ません。
若手の抜擢を続けるとどうしても海乃さんの学年が問題になってくるし、鳳月さんの相手役が天紫さんと決まっていたなら、上げ続けたとして見飽きた感も強くなります。
なので早いうちに彩さんを混ぜてW娘役2番手体制をしいたのではないでしょうか。
月組は彩さんを娘役2番手的立ち位置で大切にしてきましたが、一方で一度外れた娘役コーナーには戻しませんでした。
論拠としては弱い気もする(どこかで蒼汰さんが記事にしていた?)娘役コーナーですが地味にルールが守られた形です。
エルピディイオは彩さんと組んだ鳳月さんですが、本公演では芝居もショーもほぼ天紫さんが相手役状態で信頼関係も築かれていた事でしょう。
天紫さんは男役出身ですが華やかで真ん中に相応しい存在感があります。
おとなしめな月組次期男役番手勢をぐっと引き立てると期待しています。
(代役公演を観劇し、真ん中に立つ天紫さんの華やかさに度肝を抜かれました。)
月城海乃コンビが安定していたからこそ次世代も育ってきている月組、盤石の体制で引き継がれるのが頼もしい限りです。
いつも楽しみに拝読しております。
この度の天紫さんの就任劇、いくつものifを考えてしまう実に不思議な巡り合わせとなりましたね。
私は鳳月×天彩コンビにベットしていた身ですが、それは天紫さんは水美さんが月面着陸する場合の相手役候補なのでは?と目していたからでした。大柄で華やかなショースターコンビとして相性も良さそうかな、と。ただ水美さんが専科へ行かれてからのご活躍を見るにつけ、働き方改革や外部へのアピールとしての活動を期待されているのかも…と思わんでもないので、月面着陸説はまだまだ分かりません。
聖乃さん・風間さんの就任時期を揃えようと思うと、鳳月さん3作、水美さん3作で永久輝さん6作かしらと踏んでいましたが、こちらで大空祐飛さんが任期6作だったと拝見し、鳳月さん5〜6作の可能性も考え始めました。となると永久輝さんが8〜9作と長めの場合、風間さんをそのまま上げるのか水美さんを挟むのか…目が離せません。(壮さん早霧さん望海さんのもとで育った永久輝さんなので5〜6作でサクッと去ってしまわれそうでもありますが…)(その場合聖乃・風間は同時期就任となるのか、それでも水美さんを挟み風間さんは熟成待ちとなるのか…)
まだ始まってもいないのに不躾なのは承知ですが、人事考察好きとしてはすでに任期や次期が気になってしまいますね。
水美×天紫トップコンビが劇団の構想にあったと仮定すると、水美さんの相手役探しが振り出しに戻るわけです。水美×花妃だとキラキラ王子様とお姫様感がマッチしそう。うーん、、やはり年齢差が厳しく見えますかね。個人的に花妃さんは風間さんとではあまり作画が合うように思えなくて。風間氏のお嫁さんは白河さんとの声量お化けコンビ、もしくは詩さん出戻りで落ち着きのある美形カップルを希望しています。ただ詩さんは以前主様が仰っていたように、音彩さんとのトレードの方が正直しっくり来る…。じゃあきよら詩音彩の三角トレードとか成立しないかな…と日々妄想中です。
ひとまずは東上BLUFFの相手役がどなたになるかを楽しみに待ちたいと思います。これで新公ヒロの勢いそのままに、乃々れいあさんがヒロインを掻っ攫った日には面白いことになりそうです!(初演ヒロインの麻乃佳世さんに少し雰囲気が近しい気がして驚きました)(ただそこまでの抜擢となると風間さんを待たずして他組へ嫁入りしていきそうですね)
そして次期月組体制でネックに感じるのが、真ん中のマンネリ感です。鳳月さんに花のエッセンスがあるとはいえ、天紫・風間・礼華と生え抜きで月濃度が濃い〜ですし、月城体制の時から変わり映えしません。そういう意味では天彩さんが来ていれば新鮮味は担保されましたが叶わず。天彩⇄きよらトレードののち、礼華⇄鷹翔トレードもしくは礼華→宙、鷹翔→花の組替えがあったりしたのかしら…と邪推してしまいます。
長文駄文失礼しましたが、何より月城現体制のサヨナラ公演完走と、鳳月新体制の発展を祈ってコメントを結びたいと思います。
今後のブログも楽しみにしております!
まず101期は何としても星蘭さんに娘役トップになってもらいたくて音校の頃から全力でサポートしていたと思う。だけど当の御本人の資質等でそれが微妙になってきた上、他の娘役さんも早期退団者が多かったので、天紫さんに目を付けたのかなと思っています。何しろトップ娘役がゼロだった期は87期まで遡るので、それも避けたかったのかとも。彼女が転向したために同期の礼華さんが路線入りしたという思わぬ結果も生じましたしね。
あとこれからの宙組はどうなるのかさっぱり分かりませんが、まだ劇団は宙組でのきよらトップを諦めてないと思いますよ。104期も101期と同様娘役の早期退団が多いので、路線娘役はきよらと花の美羽の
両名に絞られてますが、お二人共105期の影響をモロ被りしていますが、共に中卒なので(105期路線娘役は全員高校組)多少のステイは織り込み済みかも知れない。