アンダー100期の先鋒として常に先陣を切り、
誰よりも早く正2番手スターへとたどり着いている風間柚乃。
その実力は折り紙つきで、
新公学年時代から賞賛を受け続けてきた彼女の活躍と成長に
私もずっと「凄いなぁ」と思い続けてきました。
が、なぜだか最近は、その舞台姿を観ていると、
言いようもないモヤモヤとした感情が渦巻いてしまっていて…。
なんでなんだろうとずっと考えていたのですが、
『GUYS AND DOLLS』を観て、
その理由についてやっと気づくことが出来ました。
風間柚乃の曲がり角
実は…うっすら思っていたのですが、
彼女って意外と紋切り型芝居なタイプじゃありません?
何を演じても○○という、いわゆるキムタク芝居ってヤツです。
というのも…『GUYS AND DOLLS』ネイサン、『ゴールデン・リバティ』ライマン、『Eternal Voice 消え残る想い』ダシエル、『フリューゲル』ルイス、『グレート・ギャツビー』ニック、『今夜、ロマンス劇場で』山中伸太郎…。
多少の違いはあれど、みんな「ちょっとお疲れ気味」で
「巻き込まれ体質」な「ヤレヤレ系の(根は)イイヤツ」じゃありません?
一言で表現するとしたら「情けなカワイイ」ってやつでしょうか。
さらに振り返れば『ピガール狂騒曲』ボリス、『I AM FROM AUSTRIA』フェリックスと、
5番手格に上がって以降、ずっとこんな感じなので、
舞台を観るたび「またこういう役?」と感じてしまう。
で、この路線じゃない役というのが『花の業平』『応天の門』の藤原基経、
『桜嵐記』足利尊氏という、いわゆる老け役で、確かに上手いよ?
上手いけどさ、それって路線スターとしてありなのか?と思ってしまうわけで。
比較して申し訳ないのですが、
役幅が狭いと一部アンチから言われていた柚香光や礼真琴の方が、
意外と役のふり幅が大きかったですよね。
同じ学年の頃の同じような番手の時で書き出してみると、
例えば柚香光は『金色の砂漠』で高慢な王族、
『MESSIAH』でくたびれた画家、『CASANOVA』で愉快な敵役。
礼真琴は『THE SCARLET PIMPERNEL』で正統派悪役、
『ベルリン、わが愛』でイイヤツ系相棒、
『霧深きエルベのほとり』で静かな貴族の美青年。
しかも2人はそれぞれ女役でも大役をやっていることを含め、
意外と色んな役をやっているんだなぁと思います。
…と、ここまで考えて気付いたのです。
風間柚乃はキムタク芝居、すなわち「役幅が狭い」のではなく、
キザッキザのキメッキメにしたザッツ宝塚なイケメン役を演じるのが苦手なのかな、
ということに。
自然派芝居がゆえの苦悩
もし仮に風間柚乃が『CASANOVA』アントーニオや
『霧深きエルベのほとり』フロリアンを演じたとしたら、
もっと苦労人臭が出てしまうと思うのです。
でも、実はそっちの方が実在的で等身大の男性に近いんですよね。
そう、キザッキザなイケメン役を舞台上で構築するには、
そういう部分をより誇張しデフォルメしなければならない。
そこに照れというか、芝居の美学に反する部分があるのかな、と想像します。
むしろ等身大で実在的な男性を自然に演じる方が
デフォルメイケメン役になり切るよりよっぽど難しいはずなのに、
風間柚乃は芝居力があるからこそ逆が難しいという矛盾。
これについては正直、彼女が鳳月杏←月城かなとという、
自然派芝居なトップの元で成長している部分も大きいのかもしれません。
2人とも誇張するタイプじゃないですしね。
けど、月城かなとには誰もが認める圧倒的な美貌が、
鳳月杏には誰もが認める圧倒的なスタイルがあり、
自然派芝居をしていてもアイ・アム・イケメン!!という謎の説得力があるのに対し、
風間柚乃はなぁ…うーん、色々と惜しいんだよな…(決して不美人と言っていません)。
そしてそれは本人も、そして劇団側もよーーーーーーーく分かっているようで、
だからこそオダチンカーンだのやらせているみたいですが、
殻を破るのはなかなか難しいよう。
で、そんな彼女への荒療治こそ、
水美舞斗の月組落下傘だと私は思うのですよ。
歌や芝居などの実力より先に身体から放つキラキラオーラや、
花男がゆえのキザッキザでキメッキメな男役芸を、
風間柚乃にはぜひ体感して欲しい。
別に風間柚乃がそうなれというワケではなく、
そういう人が上にいると相対的に風間柚乃の実力の高さ・渋さという魅力が強まって、
人気に繋がると思うんですけどねぇ。
芝居力と男役芸の間で
というのは、私の中での彼女のベストアクトは、
暁千星主演『ブエノスアイレスの風』のリカルドだと思うからです。
キラキラ系の暁千星との対比でお互いの魅力が際立ったのもそうだし、
リカルドって実はイイヤツ感より正塚世界観の方が強い役どころでありながら、
そのキザッキザ感を風間柚乃の芝居力が上手に調和させていて、
魅力的な役に昇華させていたと思います。
そして今考えると、
この作品はトップ暁千星、2番手風間柚乃、その下に礼華はる&彩海せらという、
月組これで良かったやんけな布陣だったりするのですが、
…まぁ、これ以上は止めておきましょう。←
現実的に水美舞斗が落下しないような情勢になりつつあることを考えると、
風間柚乃は今後自力で「芝居上手の中でいかにキザれるか」か鍵になると思うので
そのあたりの成長を楽しみに今後も応援したいと思います。
同時に演出家の先生方には、
風間柚乃に毎度似たような役を振るのを止めていただきたいなと
思ったりする私でした。
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コメント
なるほど!そういう意味でのマイティーの落下傘、確かに良さそうですね。
私は前々から、おだちんって一見いぶし銀っぽいから高学年になってからますます魅力的に見えそうな雰囲気ずっと出してたけど、サラッと演じててもなんか印象が濃いしもう仕上がってる雰囲気あるからさっさとトップにしないと飽きられてしまうんじゃ?だからちなつさんの後は直接おだちんに繋ぐべき!と思ってたんですが、蒼汰さんの見解を読んで初めて自分が彼女の可能性を低く見積っていたんじゃないかと気付きました。
正統派のカッコいい役でキラキラしているところ、もっと見てみたいです!
あと個人的にあんまり娘役と組んだ時に萌えないというか、男役同士のバディ関係の方が萌える感じがしていまして娘役スキーとしては寂しい気持ちになったりもしてたんですが、マイティーならその部分を完璧に継承してくれるだろうなあと思います。
情勢的に難しそうではありますが、マイティー落下傘一気に期待したくなっちゃいました!
とても納得のいく内容でした!前々から風間さんに感じていた物足りなさ、違和感(タカラジェンヌとして)の正体を見たという心持ちです。ありがとうございます!
正直そんなにキザることに照れてしまうのなら宝塚にいるより外にお出になられたほうが良いと思うのですよね。男役として10年ちょいも何してたの?という。路線スターとしては致命的じゃないですか?専科ならまだあの演技力を活かすこともできるでしょうが、何でタカラジェンヌを目指しちゃったかなぁ〜という感じですよね。(決して中傷ではなく個人的な意見です、念の為)
いつも楽しく拝見しております。
実力的には十分トップに相応しい風間さんなのですが、ショーで真ん中に立つイメージが湧かないんですよね…
芝居での役柄以上にショーでどんな場面をやるかが大事なのではないかなと思っています。オダチンカーンのようなコミカル場面ではなく、男役としてがっつり魅せる場面をやってほしいですね。
トップ就任前の2番手全ツは風間さんは絶対やった方がいいだろうなとも思います。
こんにちは
私も風間さんがギザるのが得意でなく笑いに逃げがちなのが気になっていました。
ボリスが大ウケだったのもありいつの頃からかお笑い担当のようになってしまって自分に求められているのは笑いなんだとどこか風間さん自身が枷に囚われている気がします。
フリューゲルのルイスヴァグナーももっと演じ方次第でいつもとひと味違う美味しい役にできたのにもったいないと思いました。
水美さん落下傘は今となってはないのではと思います。水美さんの移動があるとしたら月城さん退団後に2番手として専科から移動していた方がしっくりきませんか?その方が風間さんが水美さんの背中を見て何かを掴みとる時間もたっぷりありますし。
わざわざ宙組を経て来てもまず水美さん自身が月組に馴染むのに必死で研10をとっくにすぎた生え抜き御曹司に今さら何を教えるのかという気になるでしょう。
風間さんの大ファンとして、そう!そうなんだよー!!と頭をブンブン縦に振ってしまう記事でした。
特にここ数年は、ずーっと正直面白くないなというか、燻っていた気持ちが確かにあり、まさにそれを言語化していただいた気持ちです。
毎回ヤレヤレ困った系orオジサン役の二択なの、なんで!?と流石に飽き気味な昨今です。
最後に型破りでチャレンジングな役だったと感じたのは、出島小宇宙戦争のシーボルトでしょうか。
それ以後は「まぁおだちんならこんな感じに上手くやるよね」と毎回観る前から想像が出来てしまって、正直面白くない。
キラキライケメンを演じるのに照れがあるもまさにその通りで、リアルな芝居を追求できてしまうタイプがゆえに、ザ・宝塚のイケメンを思い切り演じる必要に迫られないままこの学年まで来てしまった結果の専科風味。せっかくの野口ショーにも期待してたもののキラキラ枠は3番手の礼華さんがかっさらい完全なギャグ枠…うーん悲しい…
キラキライケメン役は、他のアンダー100で十分!
所謂トートやロミオもオスカルもミーマイのビルも求めてないです!
レット・バトラーやフェルゼン、グランドホテルのオットー、モンテクリスト伯のダンテ、その他リアルな苦労人ヒーローをぜひおだちんに!
と半ば本気で思っています。
あと、雪組トップだった水さんの当たり役が似合いそうなので、正塚先生の復帰希望です!
水美さんとの並びは、それはそれで見てみたい気もしますが、今更感化されないんじゃ…とも思ったり。
フィッツジェラルド系の主人公だって、絶対説得力出ますよ。
あ、おだちんで見たい役があります。
漫画「信長のシェフ」の信長役。
主役よりもカリスマ性が必要な存在。
絶対カッコイいだろうなぁ…
と、全くモヤモヤしていないファンもいる、と主張してみました。