ダンスの花組、芝居の月組、和物の雪組、
コスチュームの星組、コーラスの宙組。
これは5つある宝塚各組の特徴を端的に表した標語のようなものですが、
当然ながら組カラー、特徴というものは、
トップスターと、所属するスターたちの色で決まっていくものです。
2022年の今、5つある各組の特徴や売りは一体何なのか、
言い換えると、何を目指して劇団はスターを配置しているのか、
少しばかり考えていきたいと思います。
2022年度版・宝塚各組の特徴&売りを考える
若さ溢れるフレッシュな花組
柚香光率いる花組の今の特徴、それはずばり実年齢が若いこと。
トップ柚香光、2番手水美舞斗は95期中卒入団、
3番手の永久輝せあは97期高2入団でこの2人と同い年、
トップ娘役星風まどか、娘2ポジ音くり寿、4番手聖乃あすかは100期中卒入団。
ここまでの平均値を取ると、5組で比べてもずば抜けて若い。
現在公演中の『The Fascination!』なんて、
映像からでも若さ溢れるキラキラ感に圧倒されてしまいます。
花組100周年を円熟期ではなく、
敢えて新鮮かつ未来輝く若手陣で固めてきたあたりに、
劇団の采配力と、古きに囚われない価値観を感じますね。
また、柚香光はじめダンスが得意なメンバーが多く、
「ダンスの花組の復興」を目指しているのは火を見るよりも明らか。
フレッシュでありながら伝統も大切にする、
そんなカラーが、今の花組の売りだと私は考えます。
アダルティな気品漂う宙組
そんな花組と対極の位置に居るのが、真風涼帆率いる宙組。
現在トップ最長在位を誇る真風涼帆に、
同じく2番手最長の芹香斗亜、3番手最長の桜木みなとと、
アダルティでスタイリッシュ、かつ安定感のある顔ぶれが揃っています。
またトップ娘役の潤花は102期生と若手ながら、
舞台に立つと持ち味が大人っぽいし、
男役陣で唯一フレッシュ枠だった和希そらが組替えし、
瑠風輝、留依蒔世、鷹翔千空と続くと考えると、持ち味がだいぶアダルティ。
もちろん、高身長、コーラスの厚さはいまだ健在。
まさに古き良き宝塚をいまだ引き継いでいる組だと言えます。
花組が小洒落たカクテルだとすれば、
宙組は円熟味溢れるワインのような持ち味。
真風涼帆の華々しいフィナーレに向かって、
その高貴な香りは益々増すばかりです。
突き抜けた芝居特化の月組
月の王子様・暁千星を出し、雪組から彩海せらを引き受けた月組は、
今後は芝居の月組をさらに極めていくのだと思われます。
なにせトップである月城かなとは群を抜いた芝居上手。
上級生2番手で芸達者な鳳月杏はしばらく在籍する様子だし、
暫定3番手の風間柚乃も、若手陣の中では突出した実力者。
さらに別格中堅&上級生も達者なスターが多く在籍し、
まさに「芝居の月組の復興」が目標なのかな、と。
そんな中、暖かみのある芝居が際立つ礼華はる、
自由自在に変化するカメレオン役者の彩海せらが、
今後どのように成長していくかも実に楽しみです。
キラキラと実力の両立を目指す星組
これまでの星組は、スーパー実力者の礼真琴と、
スーパー男役芸の愛月ひかるのコントラストが武器だったように思います。
そんな愛月ひかるが退団し、月組の暁千星を迎えた。
これでトップ娘役の舞空瞳を合わせ、
首席入団トリデンテwith瀬央ゆりあという体制になりますね。
そもそも星組って、得意のキラキラオーラ一点主義の時と、
実力者系高学年トップを頂きに置く時の、落差が凄いイメージがありますが、
首席入団コンビである礼真琴&舞空瞳が目指しているのは、
そんなキラキラ芸と実力の両立なのかもしれません。
ここにキラキラ系ながら圧倒的なダンサーの暁千星、
差し色としての瀬央ゆりあがどう映えていくか、楽しみな組でもあります。
とりあえず、レビュー作品はとんでもないものが出来上がりそうですね!!
良い意味でごった煮の雪組
今の雪組って、特徴が掴みづらいと言いますか、
ラベリングが難しい組だと思うのですが、
そんなごった煮感が現在の特徴だと言えるでしょう。
そもそも、生え抜きトップ彩風咲奈と暫定4番の縣千以外のメンバー、
すなわち出身組が花組・朝月希和、月組・朝美絢、
宙組・和希そら&夢白あや、星組・綾凰華、ここにさらに咲城けいが加わる。
組替えが減ってきている中で
番手陣だけでまさかの5組全制覇ってなかなかに凄い。
また、今の雪組って全体的に踊れるメンツが集まっていますが、
洒脱で抜け感がある彩風咲奈、小柄がゆえに俊敏な朝美絢、
ダイナミックな縣千、優美な綾凰華、動きが丁寧な諏訪さき、
さらにここにシャカリキ系の和希そらが加わる。
これだけバランバランでありながら、
『Fire Fever!』を見る限り、決める時はビシっと決めてくるあたりが、
今の雪組の底知れぬパワーだと思います。
ダンスを武器にする組が多いけれど
こう考えてみると、今の5組体制ってダンスを売りにしている組が、
というよりもトップスターが多い印象です。
が、バレエ素養の柚香光、ポップス寄りの礼真琴、
手足の長さが武器の彩風咲奈と、微妙にカラーが違うのが面白いし、
それぞれが組の色にも反映されているのが印象的です。
5組あるからこそ、それぞれ違う個性を発揮し、
「お好きなものをどうぞ」と出来るのが、宝塚の良いところですね。
初心者の方は是非、お気に入りの組を見つけてみてください!!
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コメント
星組も5組制覇してませんか?
花(綺城、舞空)、月(詩)、雪(有沙)、宙(華雪)ですね!
華雪さんがあまり目立たないですが…
そう!実は書きながら思ったんですが、華雪さんは路線バトルにはかすってませんからね…
とはいえ月→星という男役としては珍しい組替えのおかげで星組もカラフルになりつつありますよねー。
各組の特色をわかりやすく表現してくださってありがとうございます。宝塚に興味を持った友人にお薦めするときに使わせていただきたいです。
お好きなものをどうぞ、まさにおっしゃる通りでうまい!と思いました。
確かにダンサー系トップが多いですが、5組それぞれ持ち味も雰囲気も違い大抵の方はどこかしらツボにハマる組があるのでは?
そして個人的には演目によって多少観劇意欲は異なれど(要はトンチキとか人を選ぶものとか……)、現在この組はちょっと興味が持てないなぁという組がないのも嬉しいところです。
まさに5組体制の強みですね。
いつも楽しく、拝見しております。
5組それぞれ現在のトップスターの色が、鮮明にあらわれてくるようで…。凄いですね。
今後、礼さんの星組と月城さんの月組それぞれで、野口先生の作品を演ってほしいです。
蒼汰様
いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。
私が宝塚を見だした1996年(エリザ初演の頃)は、
花はダンス、月は芝居、雪は和もの(洋物の個性は多様性?)星はその頃もやっぱり暑苦しかった(笑)変わりませんね。
そしてそのころは存在していなかった宙組が、今や宝塚で一番クラシカルでアダルティになった。時の流れをひしひしと感じます。
男役像も変わりましたね。昔は1950年代のハリウッドの銀幕のスタアがひな型だったのかな?90年代ごろから男役のジャニーズ化が言われ、いまの若い男役さんは韓流の匂いがプンプンします。
ヒロイン娘役さんで「アニメ声」と言われる方も増えましたね。21世紀になってから、ジェンヌだけでなく社会全体に女性も、男性も地声のキーが高くなったと思います。
男役声も高くなり、娘役はとんでもないヘルツで声をださないと男女の会話が成り立たなくなったなあ、と思います。
各組の持ち味をわかりやすく説明していてさすが!蒼汰さん^^
私はファン歴は10年以上ですが、わぁ素敵!きれい!で長年過ぎてしまっていたかも。意識して識別するようになったのは100周年くらいからでしょうか。
というか、それ以前は劇団もそんなに持ち味を強調していなかったかもしれませんね。やはり前理事長からでしょうか。
月組は申し訳ありませんが、長年捨て組というか(失礼な言い方でスミマセン)どこが芝居の月組?と思っていました。
でもやはり新トップ月城さんはまさに芝居の月組を背負えるトップかなと。
月城さんを初めて意識したのは、まだ研2だった「ソルフェリーノの夜明け」の新人公演。この公演では奏乃さん演じる村人(それもおじさん役!)で、本当にオジサンみたいで(笑)うわっなにこの子!誰?とプログラムを見たら「月城かなと」。
この時は別格になるのか?と思いましたが、ルックスもきれいで順調に路線になりましたね。
月城さんはトップになっても自然体なのが凄いなと思いますが、表にでないだけなのかしら?そんな姿も頼もしいです。
新生月組が見られるのは、まだ2か月近く先ですが、とても楽しみです。その頃にはコロナ感染も落ち着いているといいのですが。。
いつも楽しく拝見しています。
組ごとの特徴を解説していただき、ありがとうございます
私は、宝塚を初めて見る方には、スタイリッシュな宙組が、おすすめなのでは、と思っています。
真風さんは、もしかしてもしかしたら男なのでは?と思うほどの雰囲気をお持ちですし
全体的に背の高い方が多いので、見応えがあると思うのです。
でも、今後は、月組も良さそうだなと思います。
月城さん、海乃さんが、正統派の美男美女カップルですし、
お芝居上手な組だから、見ていて楽しいのではと思います。
雪組、花組、星組は、個性が強いトップさんたちなので
少し宝塚を見慣れてから、見ていただく方がよいのでは。。。
蒼汰様
良いですね。これからの観劇ますます楽しみですね。
大浦みずきさんのダンスの花、剣幸さんの芝居の月(川霧の橋)、杜けあきさんの日本物の雪(忠臣蔵)、
鳳蘭さんの時代には既にショーの星(古くてごめんなさい!)のイメージありましたね。
なにしろ、何十年ぶりかの「芝居の月組」の復活が、楽しみでなりません。
いつもながら、分かりやすい解説ありがとうございます!
そう考えると、歌唱力を売りにしてた、だいきほって、希少だったんですねぇ。ことちゃんは歌唱力抜群ですけど、ひっとんがダンスに寄ってるので、どうしてもコンビとしてはダンスが全面的に出ちゃうし。歌劇団なのに、歌姫がトップ娘役になりづらいんですね…。
音楽学校の成績は、ダンスの配点が多い気がします。首席は皆さんダンス上手、ほかの技術でも欠点が少ないですよね。
歌劇団なのでお芝居も歌ももちろん舞台では重要ですが、ショーはもちろんミュージカルでのダンスの華やかさは観劇後の満足感を大きくします。
それぞれの見せ方も違っていて、みんな違ってみんないい!
本当にその通りですね!