先日の全体感想に続き、
キャスト別感想、さくさくまとめていきます!!
【全体感想はコチラから】
キャスト別さっくり感想
オバク/真風涼帆
記憶を消された兵士の役。
最初のかったるそうな雰囲気(でもカッコ良い)から
本来のカリスマ性を取り戻していく様子(もちろんカッコ良い)まで
ふり幅のある役を見事演じていました。
言葉数少なく、いつもよりゆっくり&重低音で喋る様子から
より大人の色香を感じられましたし、
その流れからのまさかの発狂という落差も楽しむポイントかな、と。
ってかさ、単純に顔面がよりイケメン化してませんでした?
星風まどかと横顔で向き合うところなんて
美形ゲルマン人そのものでしたよね。
衣装もコート姿?ニット姿?という、特別感があるものでないにも関わらず、
その佇まい&オーラで観客を納得させるところが、
これぞトップスター!!という感じでした。まさに充実期を謳歌中!!
ミレナ/星風まどか
これほどまでに演じ辛い、
もとい演じ甲斐のあるヒロイン像はなかなかないでしょう。
自殺願望が強い→売女的振る舞い→何かに怯える→運命に抗うという
おおよそ宝塚のヒロイン像とは、そして星風のスター性とは
真反対の役どころだったと思います。
歌無しという自身の実力を発揮し辛い役回りでしたが、
そこは宝塚娘役の優等生、きっちり合格点をたたき出してきましたし、
現在のミレナがこのような姿だったからこその
少女期、そしてラストの彼女の眩しさに繋がっていて良かったです。
ノア/芹香斗亜
物語唯一の良心、いわゆる「まともな人」という役回り。
花組『金色の砂漠』でも同じような役どころでしたから、
上田氏にとっての芹香斗亜像がそういうものなのかなぁと思ったり。
他のキャストが頭のネジ5本くらい抜けてるヤバイ役が多い中で、
ノアという「普通の正義」を持つ人が軸としているからこそ、
その他の極端な価値観が際立つのだと思うし、
それは彼女のような実力あるスターだからこそ演じられる役だったと思います。
立ってるだけで聡明さと、それだけでない勇敢さ、
そして深い愛を感じさせるなんて、
さすが余裕綽々2番手だな、と彼女の高い実力を改めて感じました。
イエレナ/夢白あや
いわゆる「ガッツリ娘2ポジション」。
その抜擢に応えたさすがの芝居力!!
ハードな衣装にメイク、物言い、そしてガリガリスタイル含め、
全てが痛々しく見えるのは、イエレナには辛い過去があるから。
と、完璧に夢想させるほど、上手いことハマっていた役どころでしたね。
個人的には「キラキラした正義感をぶつけてくるな」だの
「その喉元噛みちぎってやる」だの、過激なセリフ回しはもちろんのこと、
物語ラスト、星風演じるミレナと抱きしめ合って、
互いをたたえ合う女バディ感が、凄く良かったっす…。(ただのファン目線)
そして蛇足というか、ただの勘ですけど、
夢白って絶対上田久美子好みの娘役じゃないかなぁと改めて思ったのでした。笑
スポークスパーソン101/紫藤りゅう
私はこの公演で彼女のスター性に惚れ惚れしました。
こんなキラッキラしてるスターさんでしたっけ?
もちろん星組時代もノーブルキャラだったわけですが、
星組全体のオラオラオーラにかき消され、
初詣ポスター掲載者にも関わらず、正直影薄めだったと思うんですけれど、
宙組での彼女は一味違う!!暗めの舞台の中、一人発光してました。
しかも、どことなく漂う人工物感が、また良かった。
研11らしい落ち着きも有り、スタイルの良さも生かされ、ナイス采配!!
現在宙組のロイヤル枠は澄輝の退団により欠番中ですので
今後重宝されることは間違いなしでしょう。この先の展開が楽しみです。
タオカ/留依蒔世
そんな紫藤のノーブル感との対比するがごとく
汚れ役を一手に引き受け、それを見事に昇華してくるあたり
さすが首席入団&彼女も初詣ポスター掲載者という感じでした。
根本から狂っている役が非常に似合うし、ダンスもキレキレ。
要所要所に登場し、そこそこ美味しいポジションで使われていて良かったです。
ペレルマン/瑠風輝
彼女、垢抜けたなぁ。
スタイルの良さが衣装に映えて、スラっとしていてカッコ良かったです。
が、正直、星風の旦那役の割りに出番はそこまでなく…。(小声)
今回は縁の下の力持ち枠としてのご当番という感じでした。
ズーピン/優希しおん
いやー、美味しい役どころでしたね。
ニコニコ元気少年枠、だけど実は…という、彼女にピッタリな役どころ。
まさか裏切るなんて思いませんでしたよ、2回も。笑
前回の記事で「当書きしてない」と書きましたが、
彼女は当書き枠というか、
演出家の抜擢枠なんじゃないかなぁと勝手に夢想しています。
外箱だとこういう抜擢があるから面白いですよねー。
タルコフ/寿つかさ
いやー、美味しい役どころでしたね。(2回目)
こういう役をやらせたら寿組長の右に出るものはいません。
彼女のような人生経験豊富な人だからこそ、
人の感情に訴えかける芝居が生み出せるのかなぁと思ったり。
タルコフが死ぬところ、我ながら珍しくウルっときてしまいました。
テウダ/松風輝
個人的に裏MVPは彼女かなぁと思っています。
(表MVPは夢白あやです。)
テウダ、良かったですよね。
溢れ出る母性が物語に温かみと、
それがゆえの物語の悲惨さがより映えたというか。
これが92期生男役が演じているのだから面白いというもの。
上田久美子の采配恐るべし、という感じでした。
宙組生と上田久美子氏のこれから
前回の記事でも書きました通り、
今作はほとんどがスターの当て書きではないからこそ、
彼女たちの舞台人としての実力がより発揮された公演なんじゃないかと思います。
内容だけで言えば、確かに「宝塚らしくない作品」だったかもしれませんが、
タカラジェンヌはただキラキラしたスターなわけではなく、
舞台人としても一流であることを示した、という意味では
大変意義深い作品だったんじゃないかなーと思ったり。
そして外れなしの天才・上田久美子氏にとって、
ここであえて「王道から外す」作品を上演することも、
彼女のキャリアに良い意味で影響を与えるんじゃないかとも思います。
果たして、この後に続く退団公演2作がどのような作品になるのか、
そして宙組生のパワーを結集する作品となるであろう『アナスタシア』が
どのような公演になるのか、今から楽しみです!!
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コメント
蒼汰様
いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。
夢白さん演じるイエレナ、よかったですよね!
西洋絵画で、(自画像でなく)絵の中の登場人物に、画家自身の肖像を入れる人がいますけれど、
SAPAにおいては、イエレナが上田先生の肖像なのかも、と思ったり。
男性の座付き作家だと、
「キラキラした正義感をぶつけてくるな」だの
「その喉元噛みちぎってやる」(エヴァの暴走アスカっぽいなあ)だの
娘役に言わせるのを躊躇しそう、というか女性にそんなセリフを言ってほしくなさそうだなあ・・・
上田先生、超エリートで頭が良くて優等生で、心の中に龍を飼っていることを自覚して、男性が女性に求める母性神話に心の中で
「けっ」って言ってそう。インテリヤンキー(笑)
で、ラストシーンでイエレナに子供を授けるところ、ね。
イエレナが自画像だとしたら、ひょっとしたらと意味深に感じてしまったのですが、それは心の中にしまっておきます。
真風イケメン化現象については、ちとうるさいですよー笑
メイクや衣装のヅカ要素を『引き算』して、リアルに男前に見せるのって、一番難しいと思います。前髪の自然なふんわり具合、陰影で魅せる肌作り。そして、エンディングの男泣き(褒めてます)これぞ、真風氏の努力の賜物。
それと相まって、上田氏による言葉選びの秀逸さ。一例で言えば、ぼそっと『何歳?』(←どこのシーンか伝われ!)真風の無機質さ、凍った心に、ひどくぴったりでした。これが『女性に年齢を聞くのってアレなんだけど。。。』では昭和感たっぷりだし『お前いったいいくつなんだよっ!』だと、演出がうるさい。
ウエクミ姉さんのセンスと、その意向を全霊で汲み取ろうとするキャストの真摯な姿勢に、改めて感動した作品となりました。
蒼汰様
紫藤りゅうさんの魅力に改めて気付くという内容を読み、おー!私はロックオペラモーツァルトで、若干老け役の演技と歌に、彼女の今後の未来への活躍を感じたので、共感しております。
宙組の上級生が抜けて、そうか、ノーブル担当か〜そうだなぁ。とうなづいております。
今回、何だか、8月は戦後の特集番組などが多い季節なので、フライングサパも、考えさせられる意味深な物語でした。
私の胸キュンポイントは芹香斗亜さんの歌。物語の中で透き通るような空気を感じる、キャンプの焚火の暖かさもイメージできる、真風さんとまどかちゃんが子供みたいにペンダント投げ合っているシーンにBGMのように、響く歌声。よかった‥
最後まで、ストレートプレイのまま終了?!、
今後は外部へ輸出することもありそうな作品だなと思いました。