見ましたとも凪七瑠海コンサート、
『パッション・ダムール』の配信放送。
この放送のために、普段夜型人間の私たちが
早起きして昼過ぎまでに用事を済ませ、
買ってきたケーキと管理人が好きな紅茶とともに楽しみました。
なんて優雅な日曜日の午後なのでしょう。笑
そんなわけで「ロマンチック・ステージ」と題された、本公演。
思いのままに感想を書いていきます。
凪七瑠海が魅せるロマンチックな白昼夢
演出家・岡田敬二が生み出してきた、
「ロマンチック・レビュー」シリーズを集めた構成となっている今作。
令和の現代から見ると、いささか古めかしい、
良く言えば「古き良き」な作風だったわけですが、
久しぶりに見ると逆に新鮮ですね。
パステルカラーでヒラヒラした世界観はもちろん、
ガウチョだろうが、スーツだろうが、
とにかく清潔で、上品で、ロマンチック。
実に宝塚的なレビュー公演だったと思います。
そして主演を務めた専科・凪七瑠海。
失礼ながら、月組時代までの彼女は、
どちらかと言うと(当時としては)現代的でスタイリッシュ。
つまり古典的宝塚の世界観が、
顔立ち的にも声質的にもあまりハマらないタイプだったと思うのですが、
今作では、それはもう、見事なまでの「古典的男役」でした。
スマートだけど可愛らしい顔立ち、
その中に男役を追求し続けてきた「美学」のようなものが混じり合い、
そんな両面性こそが、岡田氏が紡ぐ世界観と本当にマッチしていました。
最後の挨拶で
「こういうTHE・宝塚なレビュー公演をするのが夢だった」(意訳)
と語った彼女。
宝塚の男役でありたいという夢を追い続けたからこそ
紡がれた夢のような公演に私たちは白昼夢を見る、
という、そんな二重構造的な公演だったなと思います。
まさに男役18年の集大成でしたね。
出演者キャスト別感想
この公演では私が以前書いた「気になるスター」たちが多く出演しており、
それはそれは楽しく拝見しましたので、さっくり感想を。
縣千(101期)
みんな大好き、縣千。
『炎のボレロ』の時も思いましたけど、いやー出来上がってますね。
しばらく新人公演が無い分、
今作は彼女の育成の場でもあったのでしょう。
出ずっぱり歌いまくりで大活躍でした。
そして彼女の強みは、覚悟を感じられることかなと思いました。
私は男役でやっていくんだぞ、という強い気持ちが
画面越しでもアリアリと感じられるというか。(主観です)
林檎を持ったトート様みたいな恰好すら
オーラをビシバシ発せられるあたり、
彼女は生粋の真ん中の人なのだなと再確認しました。
眞ノ宮るい(100期)
最近ウワサの眞ノ宮るい氏。
まさかの3番目ポジションで大活躍です。
(もしかしたら休演の久城あすの玉突きなのかな?)
いつもはシャープな王子様っぽい雰囲気ですが、
今作では笑っちゃうくらいオラついてて、頼もしかったです。
対となる縣千の影響なのかな?
個人的な見どころは、そんな縣千との男役デュエダンでした。
骨太縣とシャープ眞ノ宮、黒い縣と白い眞ノ宮という、
相反する男役がコンビでタンゴを踊る…、実に宝塚的ですね。
希良々うみ(100期)
雪組の下級生歌姫枠といえば有栖妃華が有名ですが、
個人的に気になったのは希良々うみ。
そう、全ツ版ミューレボで朝美絢とペアを組むことが多かった彼女です。
今回の公演でも思いましたが、彼女って仙名彩世みがしません?
顔立ちや芸風、歌の特徴(肉厚で重め)とか諸々。
そして今回、どっかのシーンで
スリットから足出してあっは~ん的な歌を披露する場面があって
まんま仙名やんけと我が家で大盛り上がりしました。笑
有栖が宝塚的、ミュージカル的に正しい発声だとしたら、
彼女はどちらかというと歌謡曲的な重さがあるのが強みかなと。
層が薄くなるだろう今後の雪娘の中での貴重な歌ウマ枠。
今後の活躍にも期待したいです!!
一禾あお(102期)
誰? ってレベルで垢抜けてましたね。笑
前は女子ソフト部みたいな雰囲気だったのに、
岡田敬二的世界観に似合う男役にしっかり成長してるやん…!!
そして目立つソロパートあり、
1幕ラストは眞ノ宮、縣、一禾、壮海とともに凪七を囲んだりと
出番てんこ盛り。おじさん嬉しい!!
今作を見るに、比較的なんでも出来ることが判明したので、
彼女がスカステで推される理由がなんとなく分かったのでした。笑
本公演でも出番が増えると良いですね!!
その他のキャスト
特に書きたかった4名が100期以降だったのを鑑みるに、
新陳代謝してるわーって思っちゃいました。笑
(なので敢えて縛ってみました。)
その他のキャストで言えば、叶ゆうりは随所で美声を披露。
星南のぞみと彩みちるは安定のヒロイン感、
他にも出演者全員にほぼ見せ場有り、
少人数だからこその良さが感じられる公演でした!!
バウホール公演に見る今後の可能性
さて、今回の公演はコロナ禍の中での突然の開催発表だったわけですが、
公演の意義の1つは、専科・凪七瑠海のお仕事としてでしょう。
専科の契約がどうなっているかは知りませんが
なにせ最後の出演作が星組『ロックオペラ モーツァルト』、
2020年の仕事がゼロというわけにはいかないですものね。
そしてもちろん、収益がガクっと下がったであろう宝塚にとっての
救援措置的な側面も見逃せないと思います。
さらにラスト、若手の育成の場です。
しばらく新人公演が開催されないことを考えたら、
100回の練習より1回の本番、今回の公演は貴重な経験ですよね。
ということで今作は、費用のかからない自前のバウホールにて、
手の空いている凪七が主演し劇団の赤字を埋めつつ、
先の見えない若手育成の場をついでにやった、という、
大人の事情が垣間見える、超合理的な公演だったと言えると思います。
もし今回の公演に劇団側が手ごたえを感じていたら、
復活するかもしれませんね、バウワークショップ。
けどまぁ、そんな大人な事情は凪七が紡ぐ夢の世界という霧のヴェールに
上手く隠されたことにしときましょう。笑
今日は良い夢が見られそうです。
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コメント
蒼汰様
いつも楽しみに拝読しております。ライビュ&配信専科の地方民です。
うちの地元出身の平賀源内先生いわく、(所説あり)
「京都三条糸屋の娘 姉は十八妹は十五 諸国大名弓矢で殺す 糸屋の娘は目で殺す 」
縣さんのあの Killing Me Softly な目力、すごいですよね・・・悩殺、というのともちょと違うな。もうちょっと清らかで純な、ダイヤモンドのナイフのような目。
実家の4Kで拝見したのですが、縣さん眼の面積は別に広くもないと思うんですけれど、少女マンガみたいにものすごく目がキラキラして見えるんですよ。
ダイヤモンドが、屈折率が高くて光を奥まで屈折させて反射するので、小さなダイヤでもものすごく強い光を放つ、というけれど、
なんなんでしょうねえ。ライトの光の反射プラス、内側から意志の力で目のキラキラが増すってあるんでしょうか。
暗がりから突進してくるサスペンダー縣、ご覧頂きましたか?
面長フェイス希良々さんの、こってりソロは、私もお気に入りのシーン。ニコニコお嬢さま系の雪娘の中で、いい意味でクセが光っていて、インパクトがありましたね。
そんな、のびのび若手たちをセンターでぐっと引き締める、三拍子も四拍子も揃った凪七様の安定感。こんな状況下だからこそ、コンディションの整え方が、本当に素晴らしい。
今後一年程度は、外箱や全ツのスケジュールが組みづらいでしょうし、経費の見積もり表とにらめっこは必須。衣装の使い回し、懐メロヒットパレードで、こういったリサイタルやワークショップが増えるかもしれませんね。宙の若手歌ウマ祭、星の中堅ホスト軍団大騒ぎ編(←管理人マサさまが喜ぶやつ)あたり、期待しておきます。
PassionD’Amour配信、私も視聴しました!
公演日程無事完走、本当によかったです。
改めて、ほんとに良い宝塚のらしさに溢れた素晴らしいコンサートだったと感じました。
劇団の思惑や、大人の事情はあるにせよ、宝塚というものに一般人がイメージしたり求めるものがちゃんと提供されている安心感というか、満足感がありました。
実は雪組生との付き合いは壬生での共演だけなんですが、トップの望海さんの同期だからか、お人柄か、とても仲良しな様子がうかがえたのも嬉しかったです。
新公が見合わせになっている今、バウを使っての今回のような上級生に学ぶことの多いコンサートや、ワークショップなどが今後積極的に行われれば、下級生が舞台で経験を積む貴重な機会を得ることができていいと思います。
炎のボレロに続き大活躍だった縣、希良々、有栖、ミュサロで注目された勢いをより強く見せた眞ノ宮、一禾はもちろん、人数の少ない別箱だからこそ見せ場を与えられ、それに応えている様子が出演者みんなにあり、どちらにも出演できた生徒たちはとてもラッキーだと思います。
来年にはトップが代わる雪組の編成がどうなるかはまだわかりませんが、この経験が下級生の育成に与えた影響が、新生雪組の力になると感じました。
「パッション・ダムール」の感想をアップしていただけたことが嬉しく、とても久しぶりにコメントさせていただきます。
(閲覧はずっとさせていただいてます!)
今回の公演を、生でも配信でも観劇しました。
本当に濃密で、体感5分というのはこういうことか、と思いました。
あと、出演者のバランス&使われ方がすごくいいなぁ~と。
伸び伸びと演じてる雪組生を、凪七さんが真ん中で抜群の安定感でソフトに締めており、お互いの良さが引き立ちあっていた気がします。
娘役さんも、歌が上手な方は歌で、ダンスの方にはダンスで、得意分野を活かす見せ場が与えられて、それが作品の質を高めていたように思いました。
そして、毎回のトークから、この作品が凪七さん、そして雪組生にとって特別なものに育っている様子が伺えたのが良かったです。
自組以外の上級生のもとで学べる機会って、本当に貴重だし、大変な面もあるかと想像します。
でも、今回は、凪七さんのお人柄か、カンパニーの温かさが伝わってきたと同時に、出演者それぞれが得たものが大きかった、というのが舞台からもトークからも感じられました。
蒼汰さんや他のかたもおっしゃっているように、バウの有効利用の1つとして、こうしたバウコンサートやワークショップが増えることを期待しています!
レポ有難うございます!
配信も観れなかったので大変に残念無念でした(泣)
凪七さんも岡田先生のロマンチックレヴューも大好き。
凪七さんは色々イメージがあって敬遠していたけれど、スカステのトーク番組で、大好きになりました。下級生に優しく惜しみなくアドバイスしていて素敵な方!出来れば是非、大劇場のロマンチックレヴューで、優しい微笑みを、もうひと花咲かせて欲しいです。