朝美絢主演の御園座公演、
『An American in Paris(パリのアメリカ人)』を観劇して参りましたので、
続いてはキャスト別感想を書いていきます。
【全体感想はコチラから】
希望溢れる次期体制
主人公のジェリーを演じた朝美絢、本作はまさに「見たかった朝美絢」がすべて具現化されたような役でしたよね?????!!!!!(圧)
軟派でハンサム、歌って踊ってカッコつけて、情熱的にヒロインを口説き落とす。けれど、その裏側には戦争で負った心の傷をひそかに抱えている…。そんな二面性を持つキャラクターを、あっさりと説得力をもって成立させてしまうのは、彼自身のスター性ゆえでしょう。無邪気なアメリカンガイ的大胆さと、リズに対して一直線に突き進む真っすぐさ。その姿が観客に「魅力」として映るのは、やはり朝美絢だからこそ。軍服姿の凛々しさも、パリでの洗練された衣装も、二度どころか三度美味しい。あの圧倒的なビジュアルで舞台中央に立たれた瞬間、物語そのものに重みとリアリティが宿ってしまうのだから、改めて「顔が良いって最高の才能だなぁ」と痛感しました。
ヒロインのリズを演じた音彩唯。その顔立ち、スタイル、声質、芝居の仕方…どれを取っても海外ミュージカルのヒロインそのもの。ジェリーの情熱的なアプローチに最初は戸惑いながらも、次第に心を開いていく過程が丁寧で愛らしく、自然と「がんばれ!」と応援したくなります。さらに彼女の前には、生きる上での「義務」やダンサーとしての葛藤といった試練が立ちはだかるわけですが、その苦悩に真正面から立ち向かう姿に、強さと気品が共存していて、まさに理想のヒロイン像を作り上げていたと思います。
そして何よりも驚かされたのは、朝美絢×音彩唯の相性の良さです。正直に言えば、『海辺のストルーエンセ』の頃は、音彩唯のやや硬質な芝居(役柄的な意図もあると思いますが)が朝美絢と噛み合わないように見えたのですが、『ROBIN THE HERO』あたりから雰囲気が変わり始めましたよね。元遊び人の大人×おしゃまな美少女のような関係性が垣間見えるようになり、今回の『パリのアメリカ人』でついにバッチリはまった印象です。おそらく朝美絢という人は、夢白あやや音彩唯のように「圧が強く自由で堂々とした女性」に対して、包容力をもって接することで化学反応が生まれるタイプなのだと思います。そうした関係性の中で自然に「萌え」が生まれる。その意味で、本作は彼女たちの持ち味を最大限に生かした作品だったと強く感じました。
その他のキャスト感想
瀬央ゆりあが演じたのは、御曹司でありながらショースターを夢見る優柔不断な青年アンリ。彼の持ち味である華やかさとユーモアの絶妙な間合いが発揮され、舞台の笑いどころをほぼ一手に引き受けていました。また、それだけではなく、明確には描かれない「秘密」を抱えこんでいるという微妙な陰りが、明るさの裏にきちんと滲んでいたし、だからこそリズを愛しながらも彼女を解放し、同時に自分自身をも解放するという一連の流れにも説得力がありました。この役は彼女にとっても一つの到達点なのかもしれません。
縣千演じるアダムは、戦争で足を負傷したピアニスト。ヒロインを取り合う3人の男性の中では一番脈なしでちょっと可哀想ですけど、物語のストーリーテラーとして、そして戦争の犠牲者という明確な記号性のうえでの誠実な役作りは、舞台に欠かせない存在感を放っていました。演技面では、以前より自然体の芝居が洗練され、スター性とリアリティのバランスが良くなっていた印象。これは瀬央ゆりあから良い影響を受けているのかもしれませんね。
重要な娘2ポジション、マイロを演じた妃華ゆきの。きれーーーーーーーーー。まずその美貌に目を奪われましたが、音彩唯演じるリズとは対照的に、知性と自立心、そして野心を持つ女性を実に魅惑的に表現していました。特に心を打たれたのは、2幕終盤、朝美ジェリーとの決別の場面。愛憎が入り混じる複雑な表情が忘れられません。近年は女性への配慮からか、いわゆる「敗れた女性」をあまり正面から描かない演出が増えている気がしますが、やはりああして痛切な想いを真正面から描くと強く響くものですね。強い女であろうとしながらも、恋に破れて悔しい、でもまだ好きでたまらない…。そんな感情が渦巻いていて、胸が締め付けられるようでした。そして珍しく歌声も披露していて、新鮮な驚きもありました。←
あとは、カフェの店員役の麻花すわんがとにかく可愛くて、そして自慢のダンスをこれでもかと披露していて素晴らしかったのと、愛羽あやねのマダム役の安定感、男役10年目前の紗蘭令愛の美しさと軽妙さ、蒼波黎也のクセ感強いZ先生など、中堅チームも大活躍でした。
そして、超路線候補にありがちな、意味もなく舞台の上でクルクル回って踊る役(今回は鳩、だそうな)として苑利香輝が冒頭から出ずっぱりなのに笑ってしまいました。ただ、後半はパパラッチ役として出演、その芝居の安定感にも舌を巻きましたけどね。
一方、やはり雪組は109期首席入団の音綺みあを育てる気がないっぽい。モブメイドの一員って…せめて香水店の店員役でセリフの一つでもあげれば良いのに。逆に『オーヴァチュア!』で縣千と組んで踊った107期生の瑞季せれながダンス選抜として活躍していて、スポット抜擢(エト専科になった有栖妃華みたいな感じ)していくようですね。
もはやプレお披露目公演?
この御園座公演は、朝美絢率いる雪組の成熟味をはっきりと感じさせる舞台でした。裏を返すと、やがて訪れる変化の直前とも言えるわけですが…ま、もはやプレお披露目公演か?ってくらいの安定感だったので、朝美絢×音彩唯の未来には何の心配もないでしょう。
まだまだ語り尽くせない想いはありますが、とにかく「観られてよかった!」の一言に尽きます。チケットは完売しているようですので、興味にある方はぜひライブ配信をご覧ください!!(宣伝)
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コメント
いつも楽しく記事を拝見してます。
パリアメは素晴らしい出来のようですが、チケットはなく配信も見られないので悲しい(涙)
109期の音綺さんは勿体無いですね。恐らく108期の星沢さんに本命を定めたから、敢えて路線でぶつかる音綺さんを育てていないのでしょうが、それならば他の組に逃してあげて欲しいです。育成方針は御曹司教育の雪組らしく娘役教育も振り切ってます。
あと紗蘭さんが別格ながら最近推され始めてるのは気のせいでしょうか?良スタイルに可愛いお顔と見どころが多い方なので、路線に全く縁がなかったのも不思議ですが、美味しい雪組の別格脇役路線で使われると嬉しいです。
これからも楽しい記事をお待ちしております。