私のような宝塚人事屋にとって
伝説的存在である『凱旋門』役替わり公演。
いつか見たいと願い続けていたこの作品、
先日、7月29日にスカイステージで放送されました。
皆さんご覧になられましたか?
私はついに伝説の公演をこの目で見られた!!という嬉しさのあまり
29日は残業後に眠い目こすってガン見致しました。笑
本日は後世の人間が当時を振り返って思う
当時の雪組についてまとめます。
朝海ひかる・異例のトップスター
朝海ひかるは、1991年入団の77期生、花組配属。
同期に花總まり、春野寿美礼、安蘭けいを擁する伝説世代の一人。
1998年に新設された宙組へ組替え。
『エリザベート』ルドルフ役の抜擢を受け、一躍脚光を浴びます。
その後すぐに雪組へ組替え。
同期の安蘭けい、成瀬こうきとともに同期の雪組三兄弟として好評を博し、
3人での役替わり、トリプル主演コンサート、バウW主演、
そしてパレードでは一緒に階段を降りるなど、
約1年半の間、サンコイチ状態で研鑽を積みます。
2000年『凱旋門』役替わり公演で主演を果たし、
2001年『アンナ・カレーニナ』で初のバウ&東上主演を務め、
2002年に雪組トップスター就任、2006年惜しまれつつ退団。
彼女を語るうえで一番の鍵となるのは、
宝塚平成史以降のトップスターの中で唯一新公主演未経験であること。
つまり、当初は非路線スターだったにも関わらず、
運と実力でトップスターの糸を手繰り寄せた人物であるということです。
そんな彼女が、新人公演の変わりに主演を務めたのが、
この『凱旋門』役替わり公演。
これは当時、宝塚歌劇団がベルリン公演を開催する予定であり、
そこに下級生も大勢参加することから、
新人公演でなく役替わり公演を行うという「設定」で行われたもの。
ただ、私のような後世の人間が振り返って思うのは
新公主演未経験だった朝海ひかるに、
そのカードを持たせるための無理やりな特例措置と考える方が自然です。
そんな無茶苦茶な状況での『凱旋門』。
では中身はどうかと言えば、これがまた実に面白い。
朝海ひかる、単純に発光してます。
『凱旋門』って全体的に色味も暗いし、展開も物悲しく、
他の出演者も仄暗く影が差す中で、一人スター然として輝く彼女。
それは宝塚に限らず、時風を味方につけた人物だけが身にまとえる
全てをねじ伏せる圧倒的なオーラを、確かに彼女は発していました。
これまで一人で真ん中に立ったことのない人間とは思えない舞台掌握力で、
宝塚大劇場でしっかり主演を果たしており、
轟悠とはまた違った魅力のラヴィックを見せてくれています。
結果として彼女は、この公演を足掛かりに、
わずか2年後にトップスターに就任するわけですから
宝塚の通例を破るほどの勢いって凄まじいなぁとつくづく思いますね。
雪組三兄弟の雌雄を決した『凱旋門』
そしてこの『凱旋門』役替わり公演で注目すべき点は、
主要3役に雪組三兄弟がそのまま配されていることでしょう。
ラヴィックが朝海ひかる、ボリスが安蘭けい、ヴェーベルが成瀬こうき。
(再演版では彩凪翔演じたヴェーベルが、当時3番手の役だったようです。)
他の2人の当時について振り返ってみると…。
まずは成瀬こうき。
入団成績4番、月組配属後に新公主演4回経験。
研8にして雪組へ組替えとなり、その後すぐに雪組三兄弟状態となる。
『凱旋門』からわずか1年後、
博多座『凱旋門』を最後に新専科制度により専科へ組替え。(自分で志願したらしい?)
それから1年後、絵麻緒ゆうのお披露目&退団公演にして
朝海ひかるお披露目1作前公演『追憶のバルセロナ』で退団。
そして安蘭けい、71期の首席入団者。
雪組配属後、雪組恒例の一人っ子政策により新公主演4回、バウ主演を経験。
その直後に成瀬こうき、朝海ひかるの組替えにより、雪組三兄弟状態へ。
東上主演の後、『凱旋門』を最後に星組へ組替え。
その6年後に、苦節の日々を経て星組トップスターに就任。
注目すべき点で言えば、
『凱旋門』役替わり公演を最後に雪組3兄弟は解体となり、
それぞれ別のスター人生を歩むことになった、ということでしょう。
つまり『凱旋門』役替わり公演というのは、
朝海ひかるにとってトップスターへの足掛かりになった、のではなく、
既にトップスターの座が約束されたうえでのダメ押し、
と考える方が正しいのかもしれません。
それを踏まえてこの公演を見ると、ただでさえ暗く物悲しい公演に、
彼女たちの物語が重なっていきます。
この公演で一気にスターの階段を駆け上がる朝海。
この公演で古巣を去ることになる安蘭。
この公演の再演時に新専科制度の渦に飲まれる成瀬。
まさに雪組三兄弟の雌雄を決することとなった『凱旋門』。
物語が、束の間の恋の戯れからパリ解放戦線に雪崩れ込んでいったように、
スターたちの人生もまた、荒波に露と消えていく運命だったのかもしれません。
安蘭けい・今に続くトップの血脈
蛇足。
朝海ひかるはこの後、すぐにトップスターに駆け上がるわけですが
彼女はほとんど2番手期間を経験せずトップに就任することになりました。
2番手羽根を背負ったのは、トップ就任1作前の『ON THE 5th』ですけれど、
この公演で退団する成瀬こうきが彼女の後に
2番手羽根を背負って降りてきます。
つまり、雪組で共に戦った同期の彼女に花を持たせたかたちですね。
どこまでも異例づくしのスターでありながら、
トップ在任期間は約4年。
人気スターとしてトップを張り続けたのですから、いやはやお見事です。
そして安蘭けい。
彼女にとって『凱旋門』役替わり公演は挫折の象徴かもしれませんけど、
そこから反骨精神でトップに登りつめたのですから、またお見事。
星組で香寿の後任としてトップ就任かと思えば湖月わたるに降られ、
『王家に捧ぐ歌』ではまさかの女役。
実力者でありながら耐えに耐え、ついに研16にしてトップ就任。
その後は『THE SCARLET PIMPERNEL』という代表作を生み出し、
2番手スターとして次代の柚希礼音を育て上げ、退団。
そしてその血脈は現宙組トップスター・真風涼帆に流れ、
柚希の血脈は礼真琴に流れと、今に続いています。
そう考えると、彼女の功績は本当に素晴らしいですね。
っ て こ と で 。
そんな礼真琴の東京大劇場でのトップお披露目は本日ですね!!(無理やり)
改めて本当におめでとうございます。
本日は予定があるためすぐにスカステ映像を見られないのですが、
明日のライブ配信は観る予定ですので今から楽しみな蒼汰なのでした。
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コメント
凱旋門役替り公演、懐かしい!あの頃雪組に朝海さんのダンスを観に通っていた者です。
役替り公演後の猛き黄金の国では最後の場面、真ん中に立ってらっしゃったし、パッサージュでは天使のお役。これはトップになるのではと驚きながらも、彼女なら、とも思いました。
アンナ・カレーニナはすごかったです…チケット取れなさすぎて。花の道まで抽選(だったかな?)待ちの行列が連なって、それはそれは朝海ひかるさんの当時の勢いを象徴しているのと同時に、彼女を下級生時代から応援していた方々(知り合いも)は驚きと困惑が大きかったのでは、と思います。
前記事での2番手という期間を経て身につけていくものを、朝海さんはトップ就任されてから身につけていかれたのかな、と思います。お披露目を観に行きましたが、彼女の魅力が充分押し出されているかというと…しかし公演ごとにどんどんと進化されていくお姿をみることができて、そのために劇場に通いました。スサノオのビジュアルは惚れ惚れしました。
本公演は何十回と観ていますが、役替わり公演は数回しか観られて
いません(でも2018年の『凱旋門』より、よっぽど好きです)。
轟さんとは正反対と言って良い持ち味が魅力の朝海さんですが、
ラヴィックに漂う閉塞感などはきっちり表現されていると
思います。
大劇場公演でボリスを演じられた香寿さんは、当時の新専科だったので
実質上の二番手(98年から変わらず)ですが、組内で考えると
安蘭さんが(お三方の成績順でも)二番目となっていた状態ですね。
(新専科制度、ややこしいです)
そのため朝海さんがラヴィックならば、ボリスが安蘭さん、ヴェーベルは成瀬さんになるだろうという感じです。
(本公演の汐風さんも専科でのご出演ですが、雪組時代は明確な三番手なので、ヴェーベルの位置づけがはっきりします)
同期三名、数奇な運命だったと言えばそうなのでしょうが…。
生粋の雪組育ちで主席だった安蘭さんが異動なさらなければ、確実に
もう少し早くトップに就任されたでしょう。
その場合「スカーレット・ピンパーネル」はなかったかな。
朝海さんが舞風さんと組まれなければ、退団公演のショー「タランテラ!」はあり得なかったと思います。
成瀬さんは新専科制度に翻弄されたのかもしれませんが、朝海さんの
プレお披露目で、同期の大羽を見て退団する道をお選びになった。
皆さんそれぞれがご自分で良かったと(後からでも)思える宝塚人生であったことを(初演『凱旋門』ファンとして)願います。
蒼汰様
いつも楽しみに拝読しております。スカステ専科の地方民です。
朝海さん、大好きでした。柚希礼音さんとは真逆の、本当に文字通りのフェアリータイプな男役でしたねえ。
フェアリー=少年風味、というだけでなくて、重力や汗を感じさせないんですよ。
生きとし生ける人間は、ギラギラすれば汗をかいたり脂が浮いたりするものですが、
朝海さんはニンゲンの汗の匂いや汚れ、穢れと無縁の、有機物でなく無機物でできた妖精。(無機質、ということではない)シェイクスピア劇に出てくる空気の精エアリエル。
さよなら公演となった「タランテラ」で、海の妖精セイレーンにひきよせられて入水するシーンといったら!彼女を称える言葉をシェイクスピアの「テンペスト」から引用させていただきます。訳は 吉田健一「英国の文学」より
「お祭りは終わった。そこに踊っていたのは、前にも言ったように皆妖精で、空気の中に、軽い空気になって溶けて行ってしまったのだ」
「5フィートの深さにお前の父親が横たわっている。珊瑚はその骨で作られ、あの真珠はその眼だったのだ。お前の父親の身体で失われたものは一つもなくて、ただ海の底でそのすべてが何か、異様に美しいものに変わっただけなのだ」
蒼汰 様
いつも、楽しく拝見しています。
凱旋門役替り公演、懐かしいです。
チケット発売の当日の朝早くから並んで、抽選で幸運にも役替り公演を観ることができました。
しばらく宝塚を離れていた家族が、宙組エリザベートのルドルフのビデオを擦り切れるほど見て、熱くなっていたのを思い出します。
繊細で透明感のあるルドルフ、
華奢な感じなのに、力強く柔らかなダンス。
朝海さんのライヴィックはどんなだろうと期待に胸膨らませたことでした。
劇場の熱気と緊張感、思い出すだけで、身震いしそうです。
今も朝海さんの、舞台を拝見することがありますが、そのストイックな姿勢は、あの頃から筋金入りかも。
本公演は デパートメントストア/凱旋門の組み合わせでしたが、デパートの店員で、安蘭けいさん、成瀬こうきさん、朝海ひかるさんが三人組んで踊っている姿から、それぞれの宝塚人生を予測することなどできませんでした。
スカステの番組で、ときめきの原点を聞く番組があって、ゲストの朝海ひかるさんが、自分のときめきの原点は 大浦みずきさんだと 言われていましたが、朝海さんの 大浦みずきさんへの憧れが トップスターへの道を導いていったのではないかと そんな気がしました。
蒼汰さんのお話とは、外れてしまいましたが、失礼いたしました。
こんばんは。瞳子さん出てきたので、嬉しくてコメントさせていただきます、
安蘭けい大好きというか、尊敬しているんですよね。
彼女がお披露目公演で語った
「夢とは見るものではなく、叶えるものです。でもたとえ叶えられなくても、叶えるために努力する道のりが、私は夢だと思っています。」という言葉が大好きです。
当時の歴史を追う限り、
入団当初は同期の先頭にいて、人気も実力もあり怖いもの知らず。なのに何故か後ろにいたはずのおささんに抜かれ、コムさんにも並ばれ抜かされる。
それが客観的に納得できるものであれば折り合いもつけれるだろうに、コムさんは某実力者の妻に気に入られ、おささんはビックスポンサーをバックにつけたからという理由。彼女らに負けてないと自負してもおかしくない人気実力を兼ね揃えていながら、早期就任、長期任期の超人気トップ2人の傍で、新専科と若きスターの狭間にいる自分。(なんなら足踏みの原因となっている新専科も同期のために無理やり作られた制度。という噂)
これがお嬢様気質というか控えめな性格のスターならまだ頑張れるのかもしれませんが、スカステで拝見する限り、瞳子さんは勝気で気位が高く、リーダー気質。バリキャリウーマンを体現した方だと思っていて。
そんな方がよく待てたなと。誰のせいにもせず、自分の状況に折り合いをつけて、今でもコムさんと仲良さそうですし。
自分が瞳子さんの立場なら、プッツンと切れて辞めてしまいそうで、本当に尊敬してしまいます。
蒼汰様
はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。
コムさんの大ファンで、ついに蒼汰様にコムさんの記事を書いていただいた、と大喜びしています。
そんな中、瞳子さんのファンと言いながら、コムさん、オサさんのお二人を貶すヅカオタ様の悪意にはげんなりしました。
ヅカオタ様のコメントを非公開にしていただけませんか。
お二人には確かに強い後ろ盾がいたかもしれませんが、それはいつの宝塚にもあることですし、それだけではファンも増えないことは明確ではありませんか。退団後瞳子さん自身が「コム宛のファンレターが自分より遥かに多くて驚いた」と仰っているように、当時のコムさんは雪組内で圧倒的な人気だったんです。
コムさんはトップ前半の恵まれない作品にもめげず、特に最後の一年はコムフィーバーと言って良いほどの大輪の花を咲かせて退団されました。
オサさんはスポンサー契約の重責をきっちり果たし、花組の帝王と言えるほどの貫禄で立派に退団されました。
瞳子さんは苦節に耐え、最後は全ての人に祝福されて退団されました。
それで良いではありませんか。
凱旋門役替わり公演の後、6年間にわたってインターネットなどでコムさんを叩き続けた瞳子さんファンのひどい仕打ちを、コムさんファンは忘れられません。でもそれぞれに祝福され退団され、私たちには美しい思い出だけが残ろうとしています。それなのにヅカオタ様は20年経った今も、それを蒸し返そうとなさるのでしょうか。
ヅカオタ様のコメントはあまりに不愉快で、コムさんの一ファンとして耐え難いです。
蒼汰様がコメントを今後も公開されるのでしたら、私のこのコメントも、抗議文として公開してくださって結構です。
長文、申し訳ありませんでした。
コメントありがとうございます‼
ご本人ではありませんが、ブログ管理者としてお返事をさせて頂きます。
おっしゃる通り、春野さんも朝海さんも安蘭さんもそれぞれが置かれた場所で大輪の花を咲かせ、
素晴らしいトップスターとして宝塚の歴史に名を刻んだという事実があり、それだけでも十分素晴らしいことだと思っています。
この『凱旋門』の頃、朝海さんの人気は凄かったようですし、結果的に安蘭さんが出されたことを考えても、
当時の劇団は「朝海こそすぐにトップに」と思ったことは違いないのでしょう。
私は基本的に、誰に気に入られたとか金コネだとかいう伝聞でしかない情報源を信用していませんので、それらに言及するつもりはありません。
ですけれども、本筋と関係の無い過去のネット中傷?の話題を持ち出されても私は当時を知りませんし、それは飛躍というものです。
お怒りの気持ちも分かりますので、頂いたコメントは公開させて頂きます。
これからも当ブログを何卒よろしくお願いいたします。
蒼汰様の管理人様、
ご丁寧にお返事ありがとうございました。
当時のインターネットなどで、一部の瞳子さんファンから事あるごとに「しょせんコムはコネトップ」などひどい言いようをされておりましたので、つい思い出してヒートアップしてしまいました。
蒼汰様と管理人様の冷静なご判断に感謝します。
失礼いたしました。
コメントありがとうございます、こちらこそ不躾な物言いで申し訳ございませんでした。
個人的に朝海さんはスターとして顔がド好みで、よく言われるダンスだけでなく芝居も好きです。例えば『霧のミラノ』とか。
安蘭も春野さんも、退団して時が経とうとも私のような後追いファンを引き込むパワーがあるわけですから、皆さん本当に素晴らしいスターさんですよね。
残念ながら私はスカステの中でしか楽しめず、まだ全てを見切れていないのですが、これからも彼女たちの活躍を追い続けたいと思います。ありがとうございました。
当時の観客と現在の観客の嗜好はかなり違ってそこで思い違いをされてる方もいるのでコメントさせて頂きます。
まず、当時は実力=人気なんかではなくて、真矢みき率いる花組が人気で一路真輝率いる雪組が断トツの不人気でした。良くも悪くも安定していて今で言う宙組みたいなものでしょうか。その流れで高嶺ふぶき、轟悠時代も人気が出なかったので現在でいう95期の77期を3人役替わりさせてチケットを売ろうという戦略でした。
また、当時の人気は朝海ひかる>>安蘭けい>=成瀬こうきでした。なので安蘭けいは星組に行ってから人気が出たので、朝海ひかるに抜かされるのはある意味納得でした。
人気を考察する際は観客の嗜好の変化も想定した方がいいかなと、僭越ながらコメントさせていただきます。ちなみにですが、個人的には小林理事長時代は嗜好の変化を見ながら若手を選別したという面では、現在の繁栄の基礎を作ってくれた功労者だと思います、、、。
コメントをした者ですが、恐らく操作ミスで単独でコメントするはずが、返信という形になってしまいました。ヅカオタさんを個人的に否定する意図はないです。ご気分を害されたら申し訳ありません
これは。。。えぐりますね(笑)
前回の珠城さんも反響が多いようで、刺激シリーズでしょうか(笑)ちなみに「自分にないものを求める」は望海さんが憧れた谷岡さん、谷岡さんが憧れた杜さん、とやって欲しかったです。そうすれば隔世遺伝のようにつながりますので(冗談ですよ)
おかげさまで当時のモヤモヤと大きな力に翻弄されるなんともいえない悔しさを思い出しました(笑)
朝海さんについては、ぶんちゃんワン切り(彼女には別の問題もあったかもしれませんが)もあり反感情を浴びたり。でもここに出てきた皆さん、ファンも含め浄化されてると思います。それに重ね、現時点で自分の贔屓で悔しい思いをしている方がいれば、心に平穏が訪れて欲しいと願います。
凱旋門役替わりはリアルタイムでも朝海さんに主演を経験させるものでしかない、当時もその認識でした。朝海さんの出世役はルドルフですね。
同期3人が集められたのは当時だんご三兄弟が流行っていたから、轟さんが不人気で雪組が不入りのためのテコ入れ(私の中では一路さんから雪は地味で不人気、エリザ効果も当時はピンとこず)等、諸説ありましたが、前年TCAで轟さんと女装した朝海さんがとても似合っていて、ファンの方が「雪に呼ばれると思った」と言っていたのが印象に残っています。その方は「とうこちゃんはイシちゃんと顔が似ているので出されると思っていた」とも。
安蘭さんにとっては組替えは御曹司で育ってきた組を出される寂しさと悔しさ、成瀬さんがそれを「逃がしてもらえて羨ましかった」と語ったのも忘れることはできません。安蘭さんは研10で3人まとめられる時点で「自分では頼りないと思われている」と悲しかったそうで、これも大変理解できます。組替え効果はあり、斉藤先生のバウが当たった、当たり役(と持ち歌)を重ねたのは財産になりましたね。でも音羽さんが退団していなかったらどうなっていたのだろうと考えることもあります。植田理事長のままなら、そして安蘭さんが途中で諦めてしまっていたら、トップはなかったかも、そう考えると恐ろしいです。いずれにしても星行きは香寿さんトップに向けた体制整備(ほぼ雪)の一環ではありますが。
ところで「まさかの女役」については、タイトルロールなので色々と配慮された好待遇だと思っていました。外部の賞も受賞していますしね(あの勢い、特に受賞ということは翌年にトップ就任してもおかしくない流れですが、また狂いが・・・)。個人的に、他人から可哀想、気の毒と思われるのが最も屈辱ですので、ジェンヌさんもプラスのまなざしで見ています。龍さんの100周年ホストは「他組トップが特出して可哀想」ではなく「記念すべき舞台のホストを任された」、花乃さんは「4作で可哀想、最後に報われた」ではなく「宝塚史に残る名作・名役を残した」等々(実際そうなので)。それを教えてくれたのが安蘭さんのような気がします。苦労はあっても何か一つでも掴めれば、あるいはその一つの煌めきのために長い道を歩かされた、でしょうか。
当時学生だった私にとって凱旋門役替わりは「宝塚人事は2年前から動く」と組織の周到かつ強引な人事を学び、スポンサーと後ろ盾を意識せざるを得ない公演となりました。夢を売る劇団は私たち乙女の夢をズタボロにする、とも(笑)でも2年先を見る、2年後の視点で物事を動かす、は宝塚だけでなくその後の人生に役に立っています。株はやっていませんが。
蒼汰さんのブログの更新をいつも楽しみにしています。
人事の話題を読むたびに思いうかべるのは朝海ひかるさんの事でした。
私が宝塚にどっぷりハマっていた時期が、ちょうど朝海さんの新公時代から退団までで、サクセスストーリーを目の当たりにしていました。
当時は朝海さんのあまりの人気が、新公主演の慣例を覆えすまでに劇団を動かしたと受け取っていました。
でも今考えてみると、おおよその人事や公演は1〜2年前に決まっている・・とすると、一体朝海さんトップはいつ決まったのでしょう??
何かの記事に宙組発足時の娘役転向は朝海さんが断り、植田先生が「オスカルをやらせたい」と言ったとありました。
2001年にベルばらが上演されているので、それを念頭において路線に乗せるための雪組組替え&役替わり公演だったのかなと思います。
朝海トップが決まった当時、おばさま界隈から「雪組組替時点でトップになる事が決まっていた」と聞いた事がありましたが、当時は信じられなかったです。
階段降りは最後まで成瀬さんの方が後だったし、お芝居の役付きがずっと小さかったからです。
人気も宙エリザはムラ公演だけだったので、本当の意味で爆発したのは組替後の「ノバ・ボサ・ノバ」です(コムちゃんが出てくると劇場中のオペラグラスが上がる!と知人が驚いてました)。
もう一つ、昔聞いた話で気になっていたのは、1999年頃のキャトルレーブの売上げベスト10です。
当時のトップ5人(愛華、真琴、轟、稔、姿月)と花總、紫吹。
そしてあと3人が、当時まだ5、6番手の朝海、瀬奈、水という事でした!
その頃の2、3番手で入っているのは紫吹さんだけ。
新専科ができたのは、劇団が動員力が心配される2、3番手より、77期以降の世代に賭けてみようと考えた結果なのではと思いました。
当時1000days劇場でも空席が目立つ公演もありましたし、3兄弟ができる前の雪組はとにかくチケットが余っていました。
ダンスはすごいが歌と芝居は??で控えめな性格の朝海さんに、新公主演が回ってこないのは仕方がなかったと思います。
でも組替以降、エリザのルドルフ、ノバボサのブリーザ、月夜歌聲、パッサージュ、アンナカレーニナ、風共のスカーレットと、ファン層を広げる当たり役に巡り会えた運と、当たり役にする事ができた本人の努力が、まさかのトップにつながったのではないかなと思っています。
安蘭さんの星組異動はつらい組替えだったかもしれませんが、劇団は90周年に77期同期3人(安蘭、春野、朝海)を揃える予定という噂でした。
朝海トップ昇格の前に2人の間に差はつけられていなかったと思います(グラフ表紙で安蘭・朝海2人とか、TCAでの扱いなど)。
新専科の方々との兼ね合いで安蘭さんが不運なことになってしまった印象です。
当時を懐かしく思い出し、つい長文になり失礼いたしました!
これからも楽しみにしています。