3つの名ゼリフで綴る宙組『NEVER SAY GOODBYE』感想

 

さてさて、超絶今更ですが、

宙組『NEVER SAY GOODBYE』の感想を書いていこうと思います。

私は作品ファンなので、いつもより熱量高めです。笑

 

宙組『NEVER SAY GOODBYE』総評

 

私はこの作品が本当に大好きで、

たぶん今までで一番見返した映像作品な気がします。

 

何が一番素敵って、男女の愛の軌跡を、これでもかってくらいロマンティック、

言い換えれば、超王道に演出していませんか?

 

頭でっかちな女が、いけ好かないナンパ野郎と出会う。

けどそのナンパ野郎には、実は心の奥底に人知れぬ信念があった。

 

思いがけず再会する2人、そこに始まるスペイン内戦。

真実を共有できる人だと分かり会った瞬間…男と女は深く愛し合う。

 

そして訪れる別れの時。嫌よ、私は帰らない。

そう言う女に自身の分身たるカメラを手渡し「Never Say Goodbye」。

 

うーん、完璧!!

反戦をテーマにした『王家に捧ぐ歌』とは違い、

戦場を舞台にドラマティックな男女の愛憎を描いたという意味では、

分かりやすく王道で、出来過ぎなくらい良く出来た脚本だと思います。

 

ワイルドホーン氏による楽曲も素晴らしく、

今まで長く封印されていたことが不思議なくらい。

 

主真風涼帆は初演版に初舞台生として出演し、17年の時を超え主演するという、

まさに再演するにピッタリなタイミングなわけですが、

またこれが真風ジョルジュの カ ッ コ 良 い こ と !!

 

潤花キャサリンも華やかかつシックでよく似合っていたし、

真風涼帆との並びが完璧過ぎた。まさにザ・大人の恋。

 

そして初演を擦り切れる程見た者としては、

2番手としてヴィセントの出番が増えた演出変化も良かったです。

特に1幕銀橋で出て来たところ、曲も良く、歌いこなす芹香斗亜も流石でした。

 

そしてコーラスの凄まじさね…さすが「コーラスの宙組」。

個人的には1幕の若翔市長が出て来た直後の「クーデターが~♪」と、

2幕で潤花ジョルジュ救出後の群衆の歌声が重なり合うところ、

どちらも「ついに生で見られた!!」と大感動でした。

 

全編通して、宙組生全員の圧倒的歌唱力も相まって、

「ミュージカル見たな!!」って気持ちにさせてくれました。

 

3つの名ゼリフで綴る『NEVER SAY GOODBYE』

 

さて、私はこの作品が本当に好き過ぎるので、

出演者の感想や人事の話よりも、

純粋に作品の萌えポイントを語りたいのです。笑

 

そんなわけで、ここからは趣向を変えまして、

個人的名ゼリフベスト3を挙げながら、場面を振り返っていきたいと思います。

 

「フィルムを貰うまで、さよならは言わないわ!!」

 

第1幕冒頭のココナッツグルーヴの場面にて、

キャサリンがジョルジュに言うセリフ。

言わずもがな、タイトル『NEVER SAY GOODBYE』とかかっています。

 

その後すぐにジョルジュ宅に行き、色々あってフィルムを返してもらい、

コロっと恋に落ちてしまうキャサリンですが、

本当の伏線回収は、一番最後にジョルジュの魂として全てのフィルムを手渡され、

愛がゆえに永遠の別れを選ぶ(だけどサヨナラじゃない)、に繋がるわけなんですね。

 

うわーーーーエモーーーーー!!

良く出来てる話やわーーーーーーーと初見時大感動しましたし、

何度見ても上手く出来てるわーーーーーーと大感動してしまいます。笑

 

ほいでこのセリフを言うキャサリンのドヤ感、凄いんだわ。

彼女のその時の人間性を上手く表現しつつ、

その後の展開への伏線となる、実に見事なワンフレーズです。

 

「キスしてくれたら返してあげよう」

 

第1幕、ジョルジュ宅にて、

フィルムを返せと迫るキャサリンにジョルジュが言った一言。

 

これはあれですね、イケメンのみが許されるセリフですね。

そして皆さん、真風涼帆(のような男)に言われたいんでしょ???

 

そう、宝塚に限らず、舞台興行という疑似恋愛の世界に観客を浸らせる時、

こういうセリフをスターに言わせるのが正解なんですよね。

 

もちろん、現実世界でこんなこと言われたら、

普通の人だったらはっ倒したくなるかもしれませんが、笑

このシーンを見たら、みんなキャサリンになりたい!!って思うやろ???

そう、これこそが宝塚。THE・エンターテイメントです。

 

さて、場面として見ておくと、この前のやり取りでジョルジュの信念が見え隠れし、

「あれ、こいつ本当は良いヤツ?」と思わせておきながら、

こんな軟派なセリフを言わせることで、

人間の複雑さ、深さがより表現されていると思います。

 

またこの時のジョルジュが、遊びなのか、少し本気なのか、

よく分からない絶妙な言い回しとその色香こそ、

男役芸の腕の見せ所というものでしょう。

 

蛇足ですが…これに対するキャサリンの「ダメよ、愛してないもの」の返しは、

個人的には潤花キャサリンは解釈不一致かなぁ…。

 

ここでキャサリンはジョルジュの色香に少し惹かれて欲しいのです。

いわゆるよろめき芸。潤花ジョルジュは結構強めに拒否ってるので、

このあたりは花總氏の表現の方が好みです。初演ヲタですいません…。

 

「あんたがここに残るって言うような男だったら…惚れないよっ!!」

 

第2幕、カマラーダチームが義勇軍に合流することを決め、

ヴィセントもバルセロナを離れることを決意し、恋人テレサから言われるセリフ。

 

これも前と同じです。

みんな、自分の好きなイケメンにこんなこと言ってみたいでしょ???っていう。

芹香斗亜ファンはきっと、悶絶しているに違いない。

 

もちろん現実世界でこんなこと言われたら辛いけど、

せめて舞台上での夢世界の中での私(テレサ)になった時は、

愛する人に精一杯の強がりを込めてこんなセリフ言ってみたーーーい!!という話。笑

 

物語の裏ヒロイン・テレサは、

全編通してヴィセントを支え続けているんですよね。

 

立ち上がる女性の代表としてガンガン自分の道を歩むキャサリンとは真反対の、

いわゆる古き良き乙女としての女性像。

それが極限に表された名ゼリフだと思います。

 

これまた初演ヲタで申し訳ないのですが、

美羽あさひの台詞回しも絶妙なので、皆さん一度見てみて欲しいです。

水音志保のおしゃま感もカワイイんですけどね。

 

もう1回見たかったぜ『NEVER SAY GOODBYE』

 

今回はチケットの女神様に微笑んでもらえず、

残念ながら1回しか舞台で拝見することが出来ませんでした。

2階席あたりでもう1回見たかったなぁ…。

 

改めて素晴らしい作品だった『NEVER SAY GOODBYE』、

明日は大千秋楽公演ですね‼︎

私は予定が無くなったので、急遽ライブ配信を見ようかと思っています。

お暇な方は、素晴らしい作品ですので是非ぜひ‼︎(営業)

 

明日の千秋楽公演まで無事走り切れることを全力で祈っております。

 

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コメント

  1. みほさん より:

    こんにちは いつも拝見しています
    今回のブログ最高ですね もう共感しかありません

    私もこの作品初演の大ファンで何回観ても感動で涙が溢れてしまいます
    アギラールとコマノフに注射を打たれた後のキャサリンの歌、ラストシーンの二人の歌
    愛し合う二人が互いの進む道は分かれてしまうけれど、心は強い絆で結ばれているから離れないという、宝塚らしい美しさが大好きです

    同じく小池先生作品のアデューマルセイユもお互いが進むべき道を選びます これも再演ないかなぁ

    真風のnever sayは大劇場で観劇予定でしたが、コロナで休演となり、明日の配信で初めて観ます
    『キスしてくれたら返してあげる』が楽しみです笑

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます!アデューマルセイユも結構好きだったなぁ…。
      真風さんの『キスしてくれたら返してあげよう』はとんでもねー破壊力なんで心してご覧ください。笑

  2. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    「キスしてくれたら返してあげる」17年前の私なら「はい、キスさせてください!」でした(笑)

    17年前に比べて、時代は変わりましたね。最近も映画界の男性監督と女優さんとのパワハラ・セクハラについてのニュースがありましたし、1930年代が舞台の話でも、現在上演するにあたって、小池先生がキャサリンの反応のニュアンスを変えた可能性もありますね。

    個人的には、キャサリンが自白剤を打たれたシーンで朦朧としながら「私、今まで愚かな女だったわ」と歌うのがちょっとひっかかりまして。

    特に新人公演では、主演コンビが同期ということもあり、春乃さくらさんの精神年齢が風色さんより上に見えて、「え、こんなこと言う?」感がありました。

    フェミニズム意識の変化と、宝塚の伝統的な男役らしさ、娘役らしさの在り方。難しい問題ですね。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます。
      愚かな女のくだりの違和感はまさに現代的ですよね。あの流れはまさにザッツエンタメって感じが私は好きなんですけど、今の価値観だと、ねぇ…。
      私はむしろハマってこそ宝塚だと思ってます。春乃キャサリンの圧倒的歌唱力も良かったですけどね。

  3. もひもひ より:

    いつも楽しく拝見しております
    初演がたかはな退団公演でもあったので、かなりのチケ難でしたが
    なんとか2公演観れました

    というか、公演プログラムのイケコ先生挨拶文にあるように
    正直、やれるのか?とハラハラしてたのを覚えています

    和央さんが前年末のドラマシティでのライブ中に
    フライングの事故で2mの高さから落ちてしまって骨盤骨折。。
    ※公演3日目だったので舞台写真はあるけど映像はないらしい

    その翌春の大劇場の舞台で立っておられるのを見ただけで
    もう胸が詰まりました
    和央さんが2幕ラストで脚を上げたりしただけで心中悲鳴でした(^_^;)

    たかはなはきれいなリフトも売りだったと思うのですが、当然なかったです

    今回、ほぼ初演を踏襲で、フィナーレ以外は真風さんほぼ踊ってないですね
    ききちゃんヴィセントの比重を上げる為に歌を増やしてたぐらいでしょうか
    潤花ちゃんがもう少し後ぐらいに観たかった気もしますが
    懐かしい気持ちになりましたし、改めていい作品だと思いました

    アデューマルセイユも好きな作品で
    アデュータカラヅカと替え歌してましたねえ

  4. あやこ より:

    あやこ’sベストはですね(突然)
    フィルムを取り返すべく、真風ジョルジュ宅に乗り込んだ潤花キャサリンが、暗室で路地裏の風景写真なんかを見て、ひとこと。
    『へぇー。。。』
    これ、夢介さんとお銀のシーンでいうところの、ぴろぴろりん♪の効果音なんですよ!!(真剣)なんやねんこの男、と斜に構えていたら、ふいに、意外な一面を見せられた。でも、この気持ちはまだ、言葉にならない。「ふぅん」でも「あ、そう」でも違うんです。ほんのちょっとだけ、ぽっ♡とした、潤花キャサリンのお顔もいい。明日の配信で要チェックです!笑

  5. みき より:

    私もこの作品は大好きでした。

    キャサリンの「よろめき芸」笑・・・私も同感です。
    潤花さんは、凛とした美しさが魅力で、真風さんの包容力に包み込まれれていますが、こうしたふとよろっと惹かれる柔らかさが表現できるともっと素敵になりますよね。でも、本当にお似合いの二人です。

  6. みぃこ より:

    全て同感ですが、特にテレサのセリフ同感です…!
    美人のテレサが強がりながら精一杯の造り笑顔で送り出す「フィクションの良い女」で、その強がりに気付きながら言葉少なに背中で別れるヴィセントも「フィクションの良い男」で、
    古きよきフィクションの様式美が詰まっているような気がします。

    別れ際に縋るキャサリンと、きちんと言葉(歌)にして別れるジョルジュ…リアルならこちらのカップル一択なんですが(笑)、
    フィクションならではの様式美カップルも素敵だと思いました。