正統派お耽美・花組『GRAND MIRAGE!』感想

 

花組観劇感想、続いてはロマンチック・レビュー、

『GRAND MIRAGE!』編です。

 

【鴛鴦歌合戦編はコチラ】

岡田先生の全力投球

 

宝塚らしいドリーミーでパステルでジュテームなロマンチック・レビューの創造主たる岡田敬二先生ですが、失礼ながら前理事長時代に第一線からは退き、『シトラスの風』などの再演オンリーになるのかと思っていました。が、最近の演出家不足の関係なのか、本公演でもばんばん出るようになりましたね。しかも、良く言えばセルフ再演、悪く言えば自分で作った場面の継ぎ接ぎだらけだった前時代とは違い、統一感があった『パッション・ダムール』シリーズ、ダンディーシリーズの正統派続編として作った『モアー・ダンディズム!』ときて、今作『GRAND MIRAGE!』も良い意味でちゃんとした作品だなという印象を抱きました(それでも再演場面はありますが)

昨今のシャカリキダンス&映像などの演出過多ブームから見れば、ゆったり優雅な岡田作品は悪く捉えれば「古くて退屈」かもしれません。けれど、これを柚香光&星風まどかというコンビで、そして永久輝せあと聖乃あすかという正統派男役を有する今の花組でやるからこそ、意義が有るのです。その結果、お耽美でドリーミーな、まさしくロマンチックなレビューになったんだろうと思います。

ちなみに、花組が本公演で岡田作品をやるのは春野寿美礼時代の『ASIAN WINDS!』以来の約20年ぶり。春野→柚香という花組御曹司の系譜と考えると実に象徴的だし、柚香光の初舞台公演が『Amour それは…』、星風まどかのお披露目公演が『シトラスの風』であることも踏まえると、退団公演1作前に岡田作品をやることは、もはや運命(と書いて必然と読む)ですね。

 

印象的だった場面について

 

で、全編通した感想をざっくり書いていくと…本作はとにかく、岡田先生が言うところの「若さとはパッションだ!!」という場面が謎に多かった印象があり、これが最近の岡田作品とは決定的に違うところだと思います。第1章後の間奏曲(永久輝・聖乃・帆純・一之瀬)といい、第4章のシボネー・コンチェルトの場面といい。第2章の砂漠の精、第5章の愛を探す女(という役名のダンサー選抜)もいまだかつてないくらいガッシガシに踊りまくっていて、岡田先生にとっての今の花組の印象が「ヤングパッション」なのがよく分かりました。笑

で、今の花組は柚香→永久→聖乃、そして星風→美羽&星空と、やっとこさ綺麗な学年トライアングルになり、かつ序列も明確なので、宝塚らしいトリオな場面が多かったのも印象的でした。絵面として綺麗ですし、見ていて落ち着きますよね。特に男役はトップ・2番手・3番手の全員が宝塚らしいお耽美さを湛えた奇跡の正統派美形トリオなので、見ごたえ抜群。つくづく本作が最初で最後のレビュー作品であることが惜しまれます…。いやはや、もう1作くらいやっとくべきでしょうよ!!まぁ言っても仕方ないことなんですけど。(小声)

個人的に一番好きなシーンは、そんなトリオダンス場面である第7章ボレロ・ルージュの柚香光&星風まどかのクリムゾンレッドなダンスでした。私が好きな『The Fascination!』のデュエダンを思い出させる、刹那な切迫感があって良かったです。

 

今後の組体制が透けて見える

 

なお、新政権における別格娘役枠として朝葉ことのを特急育成しているのが本作から良く伝わってきました。なにせ新公ヒロ&エトワールの合わせ技に、前述のダンサー選抜にまで選ばれてますからね。101期生の咲乃深音と一緒にago系姉御花娘として活躍していくことでしょう。

そしてド本命である美羽愛&星空美咲ですが、芝居では星空美咲が強かったからか、レビューでは全体的に美羽愛の方が立ち位置が良かったような気がします。永久輝せあとも組んでましたけど娘2格で収まるとは思えず…輸出されるんでしょうかね?

男役の方を見ると、2番手に永久輝せあ、3番手に聖乃あすかと盤石で、別格枠として綺城ひか理(ポスト瀬戸かずや)、帆純まひろ、一之瀬航季(御曹司の同期枠)の3人を見ると、いつかの時代の瀬戸&鳳月&水美が思い出されます…やはり歴史は繰り返されるんかいな。その下には侑輝大弥、天城れいんと続き、本命候補である希波らいとが休演していることを思えば…やっぱり路線不足だよなぁ。というか花組濃度が濃いよなぁ。ってことで、つくづく聖乃あすかの下をどうするんだろう?とも思った公演なのでした。

柚香光の退団を前に、今度こそ最後まで完走出来ますように…!!

 

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コメント

  1. 五條 より:

    私も先週観劇してまいりました!いやーどちらも素晴らしかった!ドセンの2列目とかいう宝塚観劇史上最強の良席だったこともありますがw
    流石に前すぎるので多くのジェンヌと目が合いまして。男性と目が合うと目を逸らす男役もチラホラいましたが、聖乃がまービックリするくらいガッチリ目線くださいまして、個人的に惚れましたw これ女性ならなおさらイチコロでしょうね。ちけー!ほそー!顔きれー!目でけー!みたいな。

    岡田レビューは見飽きた等聞きますが、特に古臭く感じることもなく、心から楽しめました。柚香そこまで歌下手とは感じませんでしたし。体感10分でしたね。残念だったのは黒燕尾がなかったことくらいかな…
    星風を肩に乗せて歩いてきた一之瀬には度肝を抜かれました。初めて見ましたがあんなんあります?大人の女性を肩に乗せて歩くって…吉田沙保里か?あれできるジェンヌ他にいるのでしょうか。男でもできる人そう多くないような。

    花は美羽をどうしたいんでしょうね。どこかでなにかあったらすぐ輸出できる用でしょうか。言うて輸出先…月?いくらなんでも脈絡なさすぎる気が…
    でも月、組内にこれといった候補もいませんよね(個人的にはきよらは外れた、と思ってます)。
    鳳月、海乃(および次期娘役トップ)、礼華vs彩海と、割と問題抱えてるように見えます。立ち行きが安定しているのは風間くらいかも。月城はまだ続けるんじゃないかな、と思ってますが…。

  2. より:

    蒼汰さんも何度かお書きになっていたように、トップ就任後の柚香さんの演目には個人的な不満があったのですが、今回は予想をはるかに超えて良かったですね。
    残り少ない本公演が低予算らしき和物?最後のレビューがまたオマージュ祭り?とか思っていてごめんなさい。
    お芝居でのカッコ良さはもちろん、グランミラージュでの柚香さんの輝きはやはり稀代のショースターだと思いました。