さぁ皆さん、今年もあと残りわずかですね。
2020年の年末年始は特別企画として、
これまでずっと温めていた(一回データが飛んだ)
宝塚版『エリザベート』全作レビューを連載したいと思います。
序章・宝塚と『エリザベート』
そもそも宝塚は地場産業的舞台興行であり、
「クオリティ」よりも「身近さ」を売りにしていた部分が大きく、
悪く言えば学芸会的な一面もあったように思います。
そこをひっくるめて愛してこそ宝塚、という価値観の中で、
それを塗り替えた新時代の風こそが『エリザベート』でした。
宝塚歌劇団で初めて上演された海外ミュージカルは、
1967年に上演された『オクラホマ!』。
その後、大地真央&黒木瞳による『ガイズ&ドールズ』(1984)、
剣幸&こだま愛による『ME AND MY GIRL』(1987)、
涼風真世&麻乃佳世による『グランドホテル』(1993)など多数上演。
いつしか宝塚は海外ミュージカルの日本初演を担う、
いわゆる入り口としての責務を果たす立場になっていきます。
次なる新作を探す中、
小池修一郎氏が『エリザベート』に出会ったのは1992年12月。
全く内容も分からずロンドンで購入したCDなのだそう。
それが何の因果か、宝塚版『エリザベート』の上演交渉を任され、
ウィーンを再三訪れ打ち合わせに挑みました。
主役にトートを据え、数十ヶ所の根本的な場面演出の変更、
そして新曲の提供を受けることを取り付け、
ついに1996年2月、一路真輝サヨナラ公演として上演が開始されました。
それまでの宝塚の雰囲気とは一線を画す作風と、
ハイクオリティな舞台はファンに衝撃を与え、
大好評のうちに終幕、からの半年後に星組で再演。
以後、昭和宝塚の代表作が『ベルサイユのばら』だとすれば
『エリザベート』は平成宝塚の代表作として、
20年以上劇団を支えてきた1つの柱にまで成長したのです。
時代とともに変わる『エリザベート』
そんな偉大なる第一歩から24年。
宝塚ではこれまで、過去10回に渡り公演が行われてきました。
■1996年(雪組)主演:一路真輝
■1996年(星組)主演:麻路さき
■1998年(宙組)主演:姿月あさと
■2002年(花組)主演:春野寿美礼
■2005年(月組)主演:彩輝直
■2007年(雪組)主演:水夏希
■2009年(月組)主演:瀬奈じゅん
■2014年(花組)主演:明日海りお
■2016年(宙組)主演:朝夏まなと
■2018年(月組)主演:珠城りょう
作品は時代を映す鏡。
当然ながらこの作品も、物語の筋は全く同じなのにも関わらず、
時代や風潮、置かれた状況によりカラーが全く異なっており、
まさに時風を閉じ込めたような様相になっているのが印象深いです。
そしてこれだけの数があれば、人々のその心に残る
特別な『エリザベート』があるものです。
特に初めて見た『エリザベート』は、当然ながら印象深く残るもの。
その意味では、この作品は宝塚の歩みだけでなく
ファンの心に刻み付けられる指標のような、
そんな記念碑的な公演なのかもしれません。
全作レビューを書くにあたり
今回は全作レビューと言うことで、
後世の人間が映像を見て書く「個人的な感想」を記します。
今まで以上にありのままな表現をしていきますので、
皆さんの大好きな作品が、批評にさらされることも大いに有り得ます。
当然ながらあくまでも「主観」ですので、
意義申し立てをされても、
「そうですか」としかリアクションが取れませんのでご容赦下さい。
それでは一緒に『エリザベート』の歴史を振り返りましょう。
【第一夜:1990年代編】
【第二夜:2000年代編】
【第三夜:2010年代編】
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コメント
やったぁ!!
早くレビュー見たいです!
いつも拝見させて頂いております。
自分が宝塚で最初に観た作品がエリザベートでした。
「エリザベート」における各年代、各組の特徴を、どのように捉えてくれるのかレビュー期待しております。とても楽しみです。
わたしの知り合いのOGさんが初演のエリザベートに出演していたそうでマル秘エピソードいっぱいでムヒムヒしました。
エリザベートという作品は間違いなく宝塚の転換期になった作品ですよね。
当時大好きだった一路さんのサヨナラ公演という事で思い入れがありすぎ
実は初演以外観ていません。(というか観られない)
東宝版は何度も観ていますが。
なので蒼太さんのレビュー楽しみです。
いつもブログを興味深く拝読しています。
私にとって記念碑的な宝塚版エリザは初演雪組です。
一路真輝さんと当時の雪組ファンだった私にとって、大変衝撃的な作品でした。
退団公演で一路さんが演じる役が「死神」ということ以上に、当時も雪組は日本物の組だったので、雪組でハプスブルク家もの演るの!?という戸惑いが大きかったです。
イ
実際に舞台を観たら、外部のミュージカル同様ほぼ音楽だけで進行し、これまでの宝塚の作品では描かれることがなかった夫婦や嫁姑の確執がハッキリと描かれているのに驚くと共に、あの楽曲にすっかり魅せられ、当時は高額だったウィーン版CDを買ったほどです。
あの当時の宝塚でエリザを上演できたのは一路さん率いる雪組しかありえませんでした。雪組が初演したからこそ、20年以上に上演される、平成の宝塚を代表するミュージカルになりえたと思います。
エリザ以前に宝塚で海外ミュージカルを上演したのは月組ばかりで、雪組は縁がなかったです。それもあり、雪組での海外ミュージカルの上演にはじめ違和感がありました。
そして、エリザ初演以前に宝塚でエリザの楽曲が使われたのが、涼風真世さんのバウ「ロスト・エンジェル」と天海祐希さんがトップ時代のショー「EXOTICA」とどちらも月組なのが興味深いです。
今年も蒼汰さんのニュートラルな視点の記事や、読者の皆さんが寄せる熱いコメントに常に注目していました。
蒼汰さんによる、過去の宝塚版エリザの振り返りとレヴューを楽しみにしています。
長々と失礼いたしました。
いつも楽しみに拝読しております。
ちなつさんの演目が発表された際、二度見したもので……出島?!
地元民としてはちょっと不安な出島題材。
タイトルからしてどうなんだろうと思ってたんですが。
聖地巡礼なされたんですね。
街中(ビルの谷間)にあるので、別の意味で驚かれたろうと思います。
楽しまれたようでなによりです。
ハウステンボス歌劇団はよく表に出ている方の宝塚現役の頃を知っているため、そのせいか観に行ってはいません。
長々と宝塚を観ているため、そういうこともありますね。
来年も楽しみにしております。
待ってました、全作レビュー!
ヒヨコが初めて見たものを親だと思う様に、ミュージカルも初めて観たバージョンがベストだとよく言われていますが、蒼汰さんがどういったレビューを書かれるのか楽しみです。
おかげでいいお正月休みになりそうです。