スライド・同期引き継ぎ・専科経由というイレギュラー人事

宝塚人事のイレギュラーといえば「落下傘」。

皆さん何かにつけて「落下傘が起きるのでは?」と楽しく妄想しますが、

実はそれ以上のイレギュラー人事案件があります。

 

それは、スライド・同期引き継ぎ・専科経由の3つ。

本日はこの「3大イレギュラー人事」について考えていきたいと思います。

 

※全て平成宝塚史以降の人事に限定しています。

※自力で調べてますので間違いや漏れ等ありましたら教えて下さい。

 

宝塚の3大イレギュラー人事について

 

まずはそれぞれについて、

過去の事例を踏まえ振り返ってみましょう。

 

スライド人事とは?

 

スライド人事とは、一度トップスターになった人が別の組へ異動し、

組替え先でも引き続きトップスターとして君臨することを指します。

 

平成宝塚史以降、男役トップスターではその事象が起こっておらず、

トップ娘役において以下の4例が挙げられます。

・花總まり(雪組→宙組)

・月影瞳(星組→雪組)

・檀れい(月組→専科→星組)

・白羽ゆり(星組→雪組)

※理事となった轟悠は「トップスター」ではなくあくまで特別出演のため除外しています。

※厳密には檀れいはスライド人事とは呼ばないという人もいますが、個人的にはどっちでも良いかなと。笑

 

同期引き継ぎとは?

 

同期引き継ぎとは、その名の通り同期同士でトップを引き継ぐこと。

こちらも平成宝塚史以降において男役トップスターでは起こっておらず、

トップ娘役で以下の2例が挙げられます。

 

・月影瞳→星奈優里(76期)

・白羽ゆり→遠野あすか(84期)

 

どちらも星組であるというのが興味深いですね。

 

専科経由トップ就任とは?

 

専科経由トップ就任とは、宝塚の一芸集団たる「専科」に所属したうえで、

後にトップスターになった人たちのことを指します。

平成宝塚史以降だと以下の3名。

・北翔海莉(星組)

・檀れい(星組)

・遠野あすか(星組)

 

こちらも全員星組のうえ、

さらに落下傘就任という共通項が有ります。

 

 

振り返ると、名前が結構被っていることが分かりますね。

それもそのはず、実はこの3大イレギュラー人事は別個の事案ではなく、

それぞれが複雑に絡み合って起きた事象だからです。

 

3大イレギュラー人事にまつわる過去の例

 

スライド・同期引き継ぎ・専科経由というトップ人事について、

過去にどのような異例人事があったのか。

まず有名なのが、宙組創設に伴う娘役の玉突き組替えですね。

 

1998年に宙組が創設され、

当時雪組トップ娘役であった花總まりが宙組に異動しトップ就任。

 

雪組の後任は当時娘2だった星奈優里が務めるかと思いきや、

星組トップ娘役であった月影瞳がスライド人事で雪組に異動。

星奈は玉突きで古巣である星組に移動し、そのままトップ娘役に就任したという

3人の娘役の運命を変えた大規模な組替えです。

 

これにより2件のスライド事案と、

1件の同期引き継ぎが起こることになりました。

 

 

続いてれいのトップ就任劇。

入団成績最下位でありながら人気トップ・真琴つばさの相手役に就任。

 

しかもそれが、月組で6年過ごした後に雪組に1年だけ異動、

新公ヒロを1回だけかすめ取って月組に戻り、

他の娘役をごぼう抜きしてのトップ就任という、無茶な人事だったからさあ大変。

 

当時、あまりのバッシングぶりに

公式HPの掲示板が閉鎖になったというのはあまりにも有名ですね。

 

そんな彼女が中国公演で「楊貴妃の再来」として評価されたのだから、

人生何が起こるか分からない。

 

真琴つばさ退団時に、一旦専科へスライド避難。

外部出演と雪組&花組の日生劇場公演に出たうえで、

星組の中国公演に専科生として再出演、からの星組トップスターになりました。

 

 

そんな彼女の後任が、白羽ゆり。

月組生まれ雪組育ちで檀の退団公演直前から星組に合流し、トップ就任。

湖月わたるを見送ったうえで、雪組にスライド。

 

そして遠野あすか。

入団当初から抜擢につぐ抜擢で、花組組替え後もヒロイン多数。

なのになかなかトップになれず、ふづき美世退団時に一旦専科へ避難。

 

白羽が湖月を見送るわずか1年弱だけ専科に在籍し、

安蘭けいの相手役として、

そして同期の白羽の後任として星組トップ娘役就任。

 

後世の人間から見ると、

最初から遠野が星組に行けば良かったのでは?と思うのですが、

そこは韓国公演との兼ね合いや『ベルサイユのばら』の役どころ等を思うと、

致し方ない人事だったのかもしれませんね。

 

イレギュラー人事は滅多に起こらない?

 

振り返ると、3大イレギュラー人事は

組の創設やら海外公演やらという非常に大きな案件が関わってこないと

起こらない稀少なものなのかもしれません。

 

そしてなぜこのタイミングで

イレギュラー人事について振り返ったかと言いますと、

それは雪組の次期トップ娘役予想に大きく関わっていたからです。

 

私は候補者として有沙瞳を挙げていましたが、

個人的に引っかかっていたのは、現任である真彩希帆と同期であること。

 

とはいえ池銀だし、古巣だし、潤花組替えは何かイレギュラーな出来事だろうし、

これは可能性大いに有りかなと思いきや、

相手役は朝月希和に決まり、結果として同期引き継ぎは起こらなかった。

 

今回の例に限らず、これまで同期引き継ぎが

上記の通りスライド人事等に関わらないと起こっていないことを思えば、

意図的に避けているのかなぁと思わなくもなかったり。

 

そして前回の記事に引き続き、これまた不思議なのですが、

一時期色んな宝塚ブログの次期雪組トップ娘役考として、

「朝美絢トップ娘役か?」と同じくらい、

「星風まどかスライド説」もよく見かけていたイメージでして。

 

たぶん、若くて実力派の星風がすぐに辞めるとは思えない、

だけど潤花がやって来たからどこかに避難しなくてはならない、

それが雪組では?という論法なんでしょうけれど、

 

今の「生え抜き」「組カラー」を大切にしている劇団の風潮を思うに、

興味深い意見だなと思う一方で

個人的には絶対無いだろうなと思って見ていまして

その是非について確かめたくて調べてみたのが今回の記事なのでした。

 

まとめると、みんな大好きイレギュラー人事は

本当に滅多には起こらないというのが結論なのかもしれません。

 

果たして「新型コロナ」がこの滅多な出来事に含まれるのか…

それが分かるのは、月組関連の発表次第なのでしょう。

 

落下傘はイレギュラー案件ではない?

 

実はこの記事を書くにあたり、先に落下傘について調べていたのですが、

娘役にまで範囲を広げると思いのほか対象者が多く、

収拾がつかなくなったので先に着手した経緯があります。笑

 

そう考えると落下傘就任って

少し前まではそんなに驚くものでもなかったのかもしれませんね。

ということで落下傘編に続きます。

 

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コメント

  1. ねねちゃん より:

    細かい指摘で申し訳ないですが、壇れいではなく檀れいです。彼女が在団中にもよく間違われていたので気になりました。

  2. 中島 由博 より:

    考察を興味深く拝見しましたが、檀れいの名前が間違ってますので訂正してあげてください。
    檀は「まゆみ」という木に由来しています。本名でもあります。
    これからも、楽しみに拝見させていただきます。

  3. より:

    スライドや専科経由は確かに荒業だなあと思いますが、同期引継ぎはなぜ避けられているのでしょう。組子のモチベーションとか、期ごとのトップ人数調整とか何か理由があるのでしょうかね…。偶然とは思えませんよね。
    ところで有沙瞳花組娘1の可能性はいかがでしょうか?今の花組は次に娘1になれそうな子がいませんし、池銀2人続けてトップ娘役にならないのも大丈夫かな?と思うのですが、どうお考えでしょうか。機会があればご意見をお聞かせください。

  4. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。最近檀れいが金麦からプレミアムモルツの広告に移りまして、晩酌の経費が増えてしまった地方民です(美味しいからいいけどね)

    ”当時、あまりのバッシングぶりに公式HPの掲示板が閉鎖になったというのはあまりにも有名ですね。”

    ふふふ・・・リアルタイムで顛末を見ておりました。もうねえ、某独裁国家の国営放送のアナウンサーが読み上げる原稿みたいなことになっておりましたねえ(婉曲表現)

    で、結局、彼女がこの15年「宝塚には美しい人がいる」というイメージを守り続けてくださっているわけで、

    凄い方ですよ。スターとは顔の造作+「私は美人です」という態度を保ち続けて怖じないことですよ。芸能界でもなかなかいませんよ。舞台技術はともかく、彼女を抜粋したのは慧眼と思います。

  5. AKIRA より:

    イレギュラー人事ですよね。
     スライドはあり得ると思うのですよ。勿論、その組のトップとして物凄く人気があったら無理でしょうけど。。。また、同期引継ぎについては必ずしもゼロではないと思います。でも、その組にとって新鮮味が無いと無理なのかな~。例えば、彩風さんの後任に愛月さんとか・・・何かカラーが違う気がしますね。
     有紗さんは素敵な娘役ですが、舞空さんが降臨してきた時点でアウトでは無かったでしょうか?地元スポンサーをバックにつけていても、やはり組運営(トップ娘役としての可否)にとって必要不可欠な人材とはみなされなかったのでは?(ちょっと厳しいかな・・・)求められるのは、人とは違う何かを持っている人材、現在のトップ娘役を見た場合、華さんや星風さんは可愛さが溢れていると思いますし、美園さんは独特の雰囲気がありますよね。また、舞空さんのダンススキルは誰も否定しないでしょうし、真彩さんは歌うまでしかも不思議ちゃんの愛嬌がありますね。このように、素人の私から見ても魅力的な人たちがトップ娘役さんに選ばれているのは至極当然だと思っています。
     でも、彩みちるちゃんにはトップ娘役になって欲しいなあ~(しつこくてすみませんでした(笑))

  6. ハニー より:

    はじめまして。いつも興味深く拝読させていただいています。

    平成の新専科のことは別件でしょうか。
    紫吹淳さん、香寿たつきさん、湖月わたるさん、彩輝直さんは、専科に異動したあとトップ就任されたように思います。

    これからも記事更新楽しみにしています!!

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      次の落下傘の記事にも書きますが、新専科は基本別枠で考えています。あれはもう特別枠でしたからね…。

  7. うらうら より:

    蒼太さん、

    記事、興味深く読ませていただきました。ちょうど宝塚を離れていた頃の話だったので、勉強になりました。

    平成以降に限るということで、挙がっていませんでしたが、1988年になら同期娘役トップの引き継ぎはありましたよね。花組のひびき美都さんが、同期の秋篠美帆さんから引き継ぎで。

    当時のことはリアルタイムでは知らないので、それが異例だったかどうかは知りませんが、高学年就任だったことは間違いないですね。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます!!
      はい、存じております。たぶん最近の同期引き継ぎだと、その3例という印象が強いですね。
      前後の流れが分からないので何とも言えないのですが、やっぱりイレギュラーな感じだったんでしょうかねぇ…。

      • うらうら より:

        ひびき美都さんは大浦みずきさんのご指名だったのかな、って推察しています。当時観劇していましたが、とてもお似合いで、ダンスのシーンなどとても素敵でした。先日スカステでやっていたヴェネツィアの紋章(サヨナラ公演でさすが)、大好きでした。(オススメです。後のトップさんたちが多数出てますし。)
        たまたま運命のお相手が前娘役トップと同期だったというだけかな、って思います。

  8. れみ より:

    こんにちは(*^-^*)
    いつも丁寧な考察をされていて、興味深く拝見させていただいております。

    本文とはあまり関係がない(多少はある?)のですが、
    先日初舞台特集を見ていて(いつの話だ)
    のちのトップ娘役の初舞台が、相手男役の組にあたることが多いような気がする・・・と感じました。

    花乃 まりあ(月組スカピン)
    仙名彩世(月組ミーマイ)
    妃海風(宙組Amourそれは)
    舞空瞳(星組こうもり)

    他に紫城るい、千ほさち、白羽ゆり、とかもかな?
    組替え組には多い気がします。幼馴染コンビも多いですよね。
    実力派は結構関係なしに動かされているかな?

    自分でコツコツ調べていたのですが、こんがらがってきてしまいました。
    もしお時間があって、興味を持たれたら、考察をお願いしたいです。
    もうされていたり、見当違いだったらごめんなさい。