人事における、凪七瑠海という壁。

 

当ブログでは定点観測シリーズという名の元に、

スターの序列の推移について測定し続けてきました。

 

【直近のデータはコチラ】

 

最近、興味深いなと思っているのは、

専科の凪七瑠海が路線スターたちが駆け上がるまでの

ある種の「壁」として君臨しているな、ということです。

 

人事における、凪七瑠海という「壁」

 

凪七瑠海は専科所属の89期生。

新公主演1回、東上主演済み、舞台写真東西5枚、ル・サンク1ページ掲載。

 

そしてまさかのシシィ経験者にして、

明日海りお、望海風斗を輩出した花の89期生最後の一人。

 

現在は各組番手に降れる唯一のスター専科として

華々しく活躍中です。

 

彼女の路線としての鍵は、羽根を背負ったことが無く、

(『TAKARAZUKA 花詩集100!!』のアレは亜種のためノーカン。)

W2番手扱いではあったが、正2番手ではなかったこと。

そして東上主演は専科異動後に行ったこと。

 

これにより、星組『Bouquet de TAKARAZUKA』では七海ひろきの下になり、

東上主演後の雪組『Music Revolution!』では

彩凪翔の上、彩風咲奈の下になった。

 

そして直近の『Cool Beast!!』では、

水美舞斗の上、瀬戸かずやの下になります。

 

瀬戸かずやは、かつて東上公演『蘭陵王』にて、

凪七瑠海の下に居たわけですが、ハナムケとはいえ正2番手に昇格したことで、

凪七瑠海という壁を乗り越えることが出来たわけです。

 

こう考えると、東上主演→2番手昇格という経験を踏まえないと、

凪七瑠海という壁を越えることが出来ない、ということになります。

 

歌劇の正月ポートに見る、スターの序列。

 

もう一つ興味深いのは、

スターの序列が最も端的に表れる歌劇の正月ポートです。

今年の掲載順は、以下の通りでしたね。

 

2022年・正月ポート掲載順

左ページ/右ページ

柚香光/星風まどか
月城かなと/海乃美月
彩風咲奈/朝月希和
礼真琴/舞空瞳
真風涼帆/潤花
芹香斗亜/(広告)
朝美絢/鳳月杏
凪七瑠海/水美舞斗
永久輝せあ/瀬央ゆりあ
暁千星/桜木みなと
風間柚乃/和希そら
瑠風輝/聖乃あすか

 

この正月ポートの掲載順(特に左右の違い)って実はよく分かっていないのですが、

とりあえず今回は花組から宙組までのトップコンビ、

広告を挟んで2番手チーム、凪七瑠海、

そこから3番手以下、と続いているように見えます。

 

興味深いのは、結果的に2番手羽根を背負った鳳月杏はじめ、

芹香斗亜、朝美絢の正2番手チームが凪七瑠海より前のページにいて、

『Cool Beast!!』では凪七瑠海の下にされながらも、

次作で背負った羽根が3番手羽根である水美舞斗が、

凪七瑠海と同じページに載っているということ。

 

つまり、水美舞斗は凪七瑠海という壁を登っている最中と見えるわけで、

なんとも上手い掲載順だなぁと思うと同時に、

凪七瑠海が一つの目安として存在していることが、実に興味深いと思うわけです。

 

男(役)たちよ、凪七瑠海を越えていけ!!

 

今でこそ仙人のような立ち位置に居る凪七瑠海ですが、

そのスターとしての歩みは辛く険しいものでした。

 

瀬奈じゅん主演の月組『エリザベート』でのシシィ抜擢、

からの月組組替え後は美弥るりかとのW2番手体制、

珠城りょうに正式に抜かされた後は、専科異動の都落ち。

 

…からの這い上がりは凄かった。

そこからの活躍は目を見張るものがあると思いますし、

今の彼女からは、一切負け組感なんて感じられません。

 

ある意味、路線レースから外れたことで肩の力が抜け、

いまや宝塚を愛する一人の仙人として、

時にcafeでお茶をすすり、時に若手陣に男役の何たるかを教え込む、

そんな面白い存在として生き生きと活躍しています。

 

けど、今の存在に辿り着くためにどれだけ涙を飲んだのか、

昇華したであろう様々なカルマを想像すると、

「結果的に良かったね」なんて軽はずみには言えません。

 

今年の凪七瑠海の正月ポートをご覧になりましたか?

この姿でサマになるのは、彼女が彼女であったからこそ。

 

この正月ポートを見ていると、

「トップになりたきゃ、アタシを越えていきな!!」

と言っているように聞こえて、実に頼もしいなと思ったり。笑

 

これからも、男役路線に立ちはだかる(蓋ではなく)壁として、

その確かなる存在を、私たちに魅せつけて欲しいなと思います。

 

そして路線スターたちよ、トップになりたきゃ凪七瑠海を越えていけ!!

と格言めいたことを言いたくなったりする、今日この頃なのでした。

 

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コメント

  1. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、拝見しております。
    凪七さんですか。さすがの着眼点ですね、なるほどなぁ、と感嘆しております。
    でもまぁ、なんて美しく気高い壁なんでしょうか。
    「蘭陵王」は、凪七さん音さんに、当時は随分と魅了されました。

    昨年の歌劇11月号での、凪七×暁対談で、お二人が学年こそ離れているのに、月組配属が同じ時期だと語られていました。その前に、暁さんが初舞台を踏んだのは宙組で、凪七さんは宙組在籍だった時期だ、とも。
    共に首席入団でもあり、不思議な縁のお二人なのかもしれないですね。
    星のパッショ~ンを追い風に、伸びやかな跳躍力で、壁を越えてゆく暁さんをみとどけたいです。

  2. ちょっこー より:

    非常に興味深い。
    凪七瑠海の存在っていつもちょっと気になる。
    次に超えるのは瀬央なのか桜木なのかきになるところ。
    いつまででも若手スターの見本として凪七瑠海はいてほしい。
    こういった路線スターは轟悠、北翔海莉、愛月ひかると居たのに今は居なくなってしまったからこういうスター専科という存在はいてほしいと思う。酷な役回りかもしれないけど。
    鳳月杏あたり2番手を謳歌した後に専科に行くのも長く輝けてタカラジェンヌとしてはありじゃないかなと思います。

  3. カフェラテ より:

    初めまして
    こちらのブログを、毎日、拝見させていただいています。
    過去の記事を、今、読んでも、興味深いです。
    この記事の内容にも同感し、今月の歌劇を改めて見直して、なるほど!と思いました。

    雪組のMusic Revolution!や、パッションダムールを見たとき、
    凪七さんの存在感や、魅せ方が、ずば抜けていて、彼女の経験の豊富さを感じました。
    また、偶然、劇場前ですれ違ったとき、顔がとても小さくて、オーラがあったのを、覚えています。
    これからも、専科という独特の存在で、輝いていてほしいと思います。

  4. おさかな より:

    蒼汰さん

    華の89期、男役も娘役も路線スターが多かった期で最後に残ったのが首席・凪七瑠海という”専科スター”というのが本当に凄いなと思います。

    スカステ番組でニコニコ後輩たちの話を聞いてる姿が「理想の上司」すぎて憧れます笑。小顔だし綺麗だしカッコイイし…どうかできるだけ長く宝塚にいて欲しい。轟悠の穴を埋める人はいないと思ってますが、凪七瑠海の存在は今後の宝塚において重要なんじゃないかなと勝手に考えております。

  5. コスモスハート より:

    蒼汰様

    なるほど、と思いました。
    パッションダムールを生で観劇した私は、あれが初めてのバウ初観劇で、きっと、最初で最後ぽい、かなり前方で、見え過ぎて驚いた〜。
    宝塚歌劇団の男役芸の歴史のような、これぞベーシック?!というか、文化というか、時の流れと、多くの人が築いてこられた伝統を感じた素晴らしいショーでした。
    お祭り騒ぎのショーではなく‥‥満足度高かったです。
    マンネリや、古くさいとかとは、全く異なる伝統の良さ、表現するのは難しいですが。
    感動して、5分後に始まる月組の大劇場公演のチケット、当日券を買い増しして、幕が上がるのに飛び込みで観劇しました。
    あの感動を思い出して、蒼汰さんの言われる、良い意味で壁の表現に感銘しました。

  6. ルイ より:

    こんにちは
    なるほどなぁ…と思いました。
    そしてふと思い出したのが全ツ版ミュージックレボリューションの朝美絢の衣装。本公演パレードで凪七が着用していたのと同じものを着ていましたよね。彩風、彩凪両名がいる手前、羽こそ背負えないけれどちょっと特別扱いしてもらえてる!と当時嬉しかったのですが、実はあの時彼女は「壁」に手を掛け始めたのかもなと思いました。