普遍的面白さの重要性・『龍の宮物語』に思う

皆さんこんにちは。

今週に入ってやっと仕事が落ち着いてきた蒼汰です。

 

どれだけ仕事が多忙でも、心の拠り所にしていたのは

『龍の宮物語』『出島小宇宙戦争』が見られるから!!

 

というわけでさっそく2つとも拝見したところ、

まぁなんと実に対照的、というかカラーが全く違う作品だったので

色んな意味で楽しい束の間の休日を過ごすことが出来ました。

 

本日は星組・瀬央ゆりあ主演『龍の宮物語』から

思ったことを簡単にまとめていきます。

 

普通に面白かった『龍の宮物語』

 

『龍の宮物語』ですが、率直に申し上げると、

非常に良く出来た面白い作品でしたよね。

 

人間への積年の恨みを果たさんとする玉姫と、

彼女を救おうとする発端の末裔たる清彦の、美しくも哀しい愛憎劇。

 

昼メロ的でありきたりな話、展開なんだけれども、

それを「佳作」に仕上げられたのは、やはり出演者陣のパワーがゆえでしょう。

 

瀬央ゆりあの誠実さと気品、有沙瞳の凄み、天寿光希のオーラ。

テレビを通してでも、その素晴らしさを実感することが出来ました。

 

…と同時に、この作品の良さって、

たぶん誰がやっても当てはまるような普遍的な面白さだと思うんですよね。

つまり「当て書き過ぎない」と言いましょうか。

 

確かに瀬央も有沙も天寿も凄かったんだけれども、

たぶん他の出演者が演じたとしても「それなり」になるだろうし、

スターの方向性が違わなければ面白い舞台になるだろうことが想像出来る。

それがこの『龍の宮物語』の成功の鍵だったと私は思うのです。

 

普遍的面白さの重要性

 

ご存じの通り、宝塚は基本「スターありき」です。

スターがカッコ良く見えればそれで良し、という価値観ですので

宝塚オリジナル作品に当て書きが多いのは当然ですし、

従来「脚本の質」はそこまで求められていないものでした。

 

そんな中、小川理事長が年頭会見にて

「駄作を作らないようにしたい」(意訳)と話していたのを

皆さん覚えていらっしゃるでしょうか?

 

駄作を作らないとは、それはつまり今作のような

普遍的な面白さを持つ作品を作り続けたいという意味だと私は捉えています。

 

出演者の力だけに頼らない舞台芸術の製作。

それは100周年以降から応援しているようなライトファン、

つまり宝塚的価値観に染まっていない層への

重要な訴求力を維持することに他なりません。

 

宝塚が海外ミュージカルをありがたがるのは

誰が出演してもそれなりにハマる面白さがあるからなわけですが、

その分、投資費用も高くつくわけですよね。

 

自前でそれを賄えば利幅が増えることはもちろん、

最終的には新作を宝塚から発信すれば、芸術文化の発展への寄与、

ならびに宝塚の価値の向上が最終目標だとも言える…

というのはさすがに飛躍し過ぎかな?笑

 

いずれにせよ、デビュー作でここまでのクオリティを生み出した指田珠子氏は

ひとまず大成功だったと評価されるはずです。

 

そこはかとなく香る上田久美子っぽさ

 

ちなみに、私が『龍の宮物語』を見ての第一印象は、

「ウエクミ好きな人は絶対ツボだろうな」ということ。

 

…えぇ、ですから私はツボでしたとも。笑

今作って、初期の上田久美子作品っぽくなかったですか?

 

上田久美子の凄さを今更語りませんが、

彼女の初期作品、即ち『月雲の皇子』『翼ある人びと』『星逢一夜』あたりって

当て書き過ぎない普遍的な面白さが魅力だと思うんですよね。

 

乱暴な言い方をしちゃうと、例えばこれらの作品を

宙組で真風・星風・芹香が演じても、

新生雪組で彩風・有沙or夢白・彩凪が演じても、

つまりトップと2番手の学年差が近ければ、それっぽく想像出来ると思うのです。

 

まぁ彼女の凄さは、『金色の砂漠』以降はその脚本力に

当て書きというさらなるクオリティを追加したことにより

簡単に到達しえない領域に達したことなのですが…これは完全に蛇足ですね。笑

 

振り返れば『月雲の皇子』も『龍の宮物語』も

どちらも日本の古典?を題材にしているし、

救われないけど救われたオチというか、三角関係とか、

魂の救済が答えになってるあたりとか、探せば似てるところがあるなぁと。

 

これで上田久美子必殺の「二方向の愛」

つまり主演カップルとは別の報われない恋愛カップルが登場しちゃったら

もうドウエクミやんけと突っ込みたくなること間違いなしでしょう。笑

 

…と思ったけどそれは『翼ある人びと』以降の特徴だから

バウだとハコの広さ的に難しいかな?

 

個人的には笹丸がなぜ清彦に何度も忠告をするのか、

火遠理の不思議な立ち位置は何故なのかが気になっていて

これで「実は昔人間の女に恋してた」的なオチがついたら

もう完全にウエクミだよねーと管理人と話して勝手に盛り上がっていました。

 

まぁつまり何が言いたいかというと、

指田珠子氏の今後が非常に楽しみだということです。(唐突)

気になる新演出家の誕生、今後に期待したいですね。

 

代表作に出会えて良かったね

 

…なんか「誰でも良かった」的な内容になってますが、

もちろん今作のメンバーが非常に素晴らしかったことには違いありません!!

 

星組って暑苦しいハイテンションコメディの裏で、

『ドクトル・ジバゴ』とか『アルジェの男』とか、

ド真面目な作品も圧倒的完成度で放ってくるから恐ろしい。

 

そして瀬央ゆりあにとっても今作は

『ドクトル・ジバゴ』から続く長い修行の果ての一つの結実だったと思いますね。

良い作品に巡り合えてよかった!!まさに彼女の代表作になるでしょう。

 

個人的には95期生男役が単独主演したバウ公演ジャスト10作の中で、

一番面白かったと素直に思います。

 

そんな作品を作り上げた瀬央ゆりあの進化をまざまざと実感し

改めて新生星組の舞台が楽しみになった蒼汰なのでした。

そしてどうなる、有沙瞳?

 

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コメント

  1. Koara より:

    個人的な意見なのですが、ウエクミはロミジュリのように出会ってしまったこと自体や生まれ持った宿命が悲劇に繋がっていきますが、この物語は出会ったこと自体は悲劇ではなく不思議な夢から覚めただけで、その分悲しさよりも美しさが勝っている気がします。悲劇とも玉姫と出会えたポジティブな話とも取れる、その曖昧さがウエクミにはない指田先生ならではの魅力かなと思いました。

  2. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。スカステ専科の地方民です。

    お仕事のピークは抜けたのですね。ふっとお疲れが出るころと思います。ご自愛くださいね。

    私も龍の宮物語を拝見して、いろいろ感心いたしました。龍の宮物語は泉鏡花の「夜叉が池」「海神別荘」を下敷きにしていると思うのですが(パンフを購入していないので推測です)、

    作品が普遍的であるということは、「話の構造の強度が強靭である」ということかな、と思います。

    「金色の砂漠」も、つがいの奴隷の恋、というぶっとんだ設定のようで、根っこはギリシャ神話の父を殺し母を娶る「オイディプス」とか、母とその情婦に父を殺された復習を弟と果す「エレクトラ」とか、現代の心理学の用語にも残るような普遍的な人間心理の構造が強固な土台としてあって、その上に生徒の個性を載せている。なのでぶれない。

    「出島」はこの週末見る予定なのですが、谷先生ねえ・・・「ヨシツネ」を見た感想は、谷先生のやりたいことはまあ、判るんですよ。歌舞伎の義経千本桜でもある定番の話ですよ。

    野田秀樹さん的というのかなあ・・・ものすごく頭がいい方なのはわかるんですけど、バウならともかく、大劇場で90分大衆を相手に楽しませるにはどうなの?という危惧がありまして。

    (あと歌舞伎でも大事なセリフは3度言え、というけれど、「世界の果てまで連れてって」の決めセリフ、言い過ぎでは?)

    出島ではどうなっているだろう?楽しみに見てみます。

  3. ゆきちぃ より:

    龍の宮物語の感想、待っていました‼︎
    久しぶりにどっぷりハマってしまい毎日のように繰り返し観ています(笑)

    個人的には、玉姫役の有沙瞳さんが本当に素晴らしく、彼女にしかできないお役だったと思います。あの氷のような美しさと、表情、歌声…実力の面も言うことなしで、つくづく素敵な娘役さんだと思いました。

    同じく期待していた出島…の方は、期待値が高かった分、私はちょっと物足りない印象だったかな。笑
    出島の方の感想も楽しみにしております^_^

  4. mozu より:

    こないだのM-1でサンドウィッチマンの富澤さんがいい漫才は誰がやっても面白い+その人たちがやるから面白いの2要素が入っていると言っていたのですが、これは宝塚にも言えるのかもしれませんね。ウエクミの作品も今回の龍の宮もそれこそエリザベートも誰が再演しても上手くいくけど簡単に初演は超えられない。そう言う舞台が求められているのかなと思いました。