95期3人娘から考える「娘役力」について

ここ最近はトップスターが入れ替わらず、

次期トップ娘役に関してばかり考察しているからか

娘役の資質、つまり「娘役力」とは何だろうと個人的に考える機会が増えました。

 

トップ娘役の在り方や求められる資質は、

その時の立場や状況によって大きく変わります。

 

それは95期生でトップ娘役になった3名を見ると

非常に分かりやすいんじゃないかと思います。

 

というわけで本日は

私個人が思う「娘役力」についてです。

 

95期3人娘に見る娘役の3タイプ

 

95期生でトップ娘役になった3名、

つまり、実咲凛音、愛希れいか、妃海風はそれぞれ

トップ娘役としての資質が全く違ったように思います。

 

例えば、妃海は典型的な「お慕い芸型」であり

相手役の北翔を心から尊敬し、決して出しゃばらず常に相手役を立てた

まさに分かりやすい宝塚の娘役像を体現し切りました。

 

その反面、実咲は自身が何でも出来る芸達者な娘役なこともあり、

「独立独歩型」として、相手役の横で一人舞台人として立ちながらも、

けど常に横にいる存在で居続けました。

 

さらにそれが進化した愛希は、「自身で輝いちゃう型」と言えると思います。

娘役の枠すらも飛び越える存在として

最後は相手役と一緒に組を引っ張るほどにまでたどり着きました。

 

宝塚で「夢を見る」ファン層は、お慕い芸こそ至上主義であり

ひいては独立独歩型や自身で輝いちゃう娘役たちを

 

「可愛げが無い」「生意気」「常にドヤってる」「性格悪そう」と

その人の人格面を叩きがちですが、

それって本当にそうなのでしょうか?

 

例えば、絶対にありえない例だと思いますけど

もし北翔の相手役が実咲だったら?

きっと彼女はお慕い芸を一生懸命したんじゃないでしょうか。

 

もし妃海が凰稀の相手役だったら?

もし愛希が明日海の相手役だったら?

 

それが似合うか似合わないかは別として

たぶん我々が現在見知っている彼女たちとは

全く違うトップ娘役像になっていたんじゃないかと思うんですよね。

 

「娘役力」とは何なのか

 

トップ娘役の存在意義を端的に言ってしまえば

トップスターを格好良く見せるための素材(道具)なのだと思います。

 

けど、その素材をどう使うかはトップスター次第であり、

ではどのトップスターに何の道具を持たせるかを決めるのは、劇団です。

 

上級生の北翔と組んでからの妃海はますます美しくなり、

実力派娘役でありながら決して出しゃばりすぎず

まさに夢々しい「シンデレラストーリー」を体現しました。

 

そして朝夏、珠城の両名は

相手役である実咲、愛希を好きにさせてあげているという懐の広さを見せ、

トップスターとしての男らしさを示しました。

 

それぞれの組み合わせはトップスターをより魅力的に見せたことを鑑みるに、

劇団はまさにナイス采配を奮ったと言えますが、

 

何よりも、娘役として望まれた存在を演じきった

3名の実力があったからこそだとも言えると思うのです。

 

そう、つまり私が思うトップ娘役に求められる「娘役力」とは

劇団や相手役が望む「素材」にいかになり切れるか

だというのが個人的見解です。

 

その意味で、伝説の娘役・花總まりは

もちろん自身で輝けてしまうスーパー姫役者であることはもちろんですけれど

歴代5名の相手役のカラーに馴染みながら

 

フランス王妃から阿婆擦れジプシー、

魂の自由を望む孤独な王妃から残酷な中国皇帝の娘まで

 

どんな役でも「素材」としてモノにしてしまう、

そのふり幅があったからこそだと思います。

 

逆に元花組の某OG娘役さんは「私はこうしたい」という意思が強すぎる結果

素材として作品や相手役に馴染まな過ぎて「娘役力が低い」と言われ続けてしまったのかもしれませんが…。

 

そう考えれば、95期生3人娘は

その置かれたポジションを全身全霊で全うしたことを鑑みるに、

まさに「娘役力が高い」娘役たちだったんだなと思えるわけです。

 

さすが天下の95期生ですね。

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現代の娘役に見る「娘役力の高さ」

 

以上を踏まえ、

現在のトップ娘役たちを見てみましょう。

 

例えば、仙名彩世なんかは典型的な寄り添い芸をこなしていますけれど

実際のところ彼女の舞台技術は非常に高く

相手から望まれていたら独立独歩だって出来たはず。

 

けど、やはり明日海を立てられるのは超実力者でないと無理な話なわけで

それをきちっと理解し、寄り添い芸に徹する姿は

まさに娘役力の高さを示していると思います。

 

その逆に、真彩希帆なんかは仙名と比べ

確かに相手役である望海に全力でぶつかっている様だけを見れば

全く娘役として寄り添っているようには見えません。笑

 

けれども、劇団から望まれているであろう立場を全力で全うし

かつスカステ等を見るに、きっちり望海を立てているところから考えて

彼女もまた相当に娘役力が高いと思います。

 

以上を踏まえても、娘役力というのは

ただ「トップスターさん大好き☆尊敬してます☆」的な

夢々しいごっこ遊びだけで表現されるものではないと思いますし、

現代の娘役も、十二分に娘役力が高いと言えると思うのです。

 

そして同時に、トップ娘役が実力主義、ないし成績主義に走ることもまた

当然と言えば当然なのかもしれません。

 

まぁ、なんでこんな話をしたかと申しますと

新月組トップである美園さくらや、トップ娘役候補生である舞空瞳に対する

「生意気そう」パッシングが最近よく目につくからなんですけど…。笑

 

彼女たちの顔立ちや芸風を捕まえて「娘役力が低い」と指摘したり

「昔に比べて今の娘役は我が強い」とこき下ろすのは、

私は違うんじゃないかなーと思うんですよね。

(正しくは「私は生理的に嫌い」だと思う。)

 

それに、結局のところ娘役としての在り方、輝けるか否かは

相手役であるトップスターとの相性によるところが大きいわけですし

(初代相手役との実咲・愛希の芸風が後期と全く違うことを思えば)

 

トップスター候補と娘役候補という素材たちをどのように組み合わせ、

最大限の利益を追求していくかを考えるのが劇団の仕事なわけで。

 

その中で素材としてどう輝くか、こそが

今彼女たちに求められる娘役としての資質であることを思うに

 

まずは娘役として相手役との魅せ方を模索し、

コンビとしてお互いが輝ける方法を探していく様が楽しみな、私なのでした。

 

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コメント

  1. Shingo より:

    今回も非常に分かりやすい内容にただただ感心+大いに同感しました。

    ビジュアルが良くても、歌や踊りが上手くても、かえって「生意気だ!」「ブスだ!」と言われ、下級生でトップ娘役に抜擢されれば「可愛いだけで芸も無いくせに」と言われ、芸を磨いて娘役として開花すれば「いつまでトップにいるつもりなんだ!」と言われ、トップ娘役はいつも厳しい言われよう…宝塚特有のこういうファンの発言には私もウンザリです。
    歌、踊り、芝居など舞台上の芸の上手、下手を離れたところでの(昔の)女子高生的な悪口雑言が、宝塚自体の評価を妨げてきた部分があるように思います。

    トップを輝かせる存在であるために、トップ娘役がどれだけ努力したかを考えると、もっと冷静に評価してしかるべきでしょう。(かと言っても、「もっとトップ娘役の出番を増やせ」とか言うのも違うと思いますが…)

    • 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      そうなんですよねー、結局何をしようと小姑的ネチネチ攻撃にさらされちゃうから正当な評価がされ辛くて可哀想ですよね。
      おっしゃる通りで、別に立場を向上しろとか出番を増やせという意図はなく、
      あくまで魅力を魅力として認めてあげたらいいのにーと思うのですが、
      やはり女性の視点から見る「女性性を強調した」娘役は細かなことも気になってしまうのかもしれませんね。笑

  2. シトラス より:

    蒼汰さま

    初めてコメントいたします。
    前ブログから拝見していて、過去データに基づいた鋭い考察に感心してばかりです。

    何事も男女差で、片付けるのは乱暴ですが、鋭い人事考察ができるのは、男性ならではの冷静な視点かな?と思ったりします。

    また、宝塚ファンは、ご贔屓への想いが強ければ強いほど、冷静な分析を受け入れがたい人も多いと思いますが、そういった方にも、丁寧に対応されていて、ご立派です。

    今回の記事も、頷くことが多くて…。舞空ちゃんなんて、タカラジェンヌになるために生まれてきたようなこれからが楽しみな娘役さんに対して、寄り添いが足りない的批判を見かけたのですが、まだ決まった相手役さんもいないし、こんな完璧な子にも批判する人っているんだ!と驚いていたので、ちょっとスッとした気分でした。

    これからも、ブログ楽しみにしています。

    • 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼お褒めの言葉を頂き大変恐縮です。
      おっしゃる通り、舞空さんは非常に優秀なジェンヌさんなうえ、そもそもまだトップにすら立っていませんからね。
      現段階では何とも言えないと思いますし。もしかしたらトップになったらお慕い型になるのかもしれません。笑
      いずれにせよ、色んな声に負けずジェンヌとして輝いて欲しいなと思います。

  3. 松本典子 より:

    ご無沙汰です!

    宝塚の娘役を
    「一歩引いて輝く」と表現されていた方がいらして、言い得て妙だと感心しました。

    実は、獅子座はセンターポジションが得意なので男役娘役関わらずトップスターが多いのですが、
    獅子座の娘役トップは「生意気だ」とバッシングされやすいことも多く、
    宝塚の娘役には、宝塚の娘役の特性がある特殊な世界だなぁ。
    と観察しています。

    • 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      勝手なイメージですが獅子座の方って前へ前へって印象ありますもんね。笑

      • 松本典子 より:

        そうなんですよw
        ちなみにわたしもしし座なんですが笑笑

        前に出ようとしなくても無駄に目立つので、宝塚の娘役には不向きみたいです。

        • 蒼汰 より:

          コメントありがとうございます‼
          個人的には獅子座さんのそういうグイグイ感好きですよー、とふたご座の私は思います。笑

  4. はる より:

    蒼汰さま

    花組新トップ娘役が発表されたタイミングで私が感じて来た
    宝塚ファン(女性)のトップ娘役の捉え方を書かせて頂きます。

    男役がメインの宝塚においてトップスターの相手役となる娘役は
    皆さん言ってらっしゃるようにまさに嫁状態。
    可愛い息子の嫁、可愛い兄弟の嫁として考えれば分かりやすいですね。
    同じ女性でも自分の娘、自分の姉妹、親友なら見ないように
    出来たり、許せたりする行為もなぜか嫁になるとハードルを上げてしまう風潮があります。
    それだけトップスターは愛されてる証拠でもあります。
    赤の他人がいきなり家に入ってくる、家族として認めないと
    いけなくなるイメージでしょうか?笑
    気に入らない行為を続けると本当に嫌われてしまいますが、
    絶え間ぬ努力を続けていたり思いの外、トップスターを
    立てていたりすると段々と認められますね。

    今回も95期のトップ娘役さんを分析してらしてなるほどな~。と。
    愛希さんはあの素晴らしい存在感と輝ける資質を持ってすると
    一期しか違わない珠城さんとはおっしゃる通りのスタイルが一番
    相乗効果で互いが輝けたと思います。
    古参出戻りファンが感じるのは宝塚のトップコンビの有り方が
    昔と変わったのは現代の夫婦、男女の有り方が変わったから。と
    言えるとも思います。寄り添い方主流から共存方も有りな方向。
    「エリザベート」の愛希さんの解釈で「ベルバラ」ムーブ時代に
    公演したら成功したか?果たして公演自体に許可が降りたか?と
    思います。
    代表作の公演順が「ベルバラ」からの「エリザベート」での
    成功だったとも思っています。

    SNSが発達し良い面も悪い面も出てきている現代ですが、抜擢されて
    辛い思いもするだろう生徒さんたちは気にしすぎないで芸を磨いて欲しいです。

    105周年を迎えた宝塚歌劇、スカイステージでは舞台以外の生徒さん
    も最大限魅せながらファン獲得に結びつくような番組作りになってきているように思います。今で結構ギリギリだと思うので
    これ以上の人間性を見せるのは止めた方が良いと個人的には思います。(役を演じているのにその人間性を分かりすぎている事が邪魔になるから)

    長々失礼しました。
    今年もいろいろな分析、考察を楽しみにしております。

    • 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      おっしゃる通りで、「タカラジェンヌ」と「本人」のボーダーが劇団側としてもファン側としても薄くなっている部分はあると思います。
      (といってもこれは芸能界全体の話でもありますが)

      また、価値観の多様化によりヒロイン像にも変化があり、
      全員が納得するアイドル像(偶像)が確立し得ないということもありますから
      ぜひ様々な批判の声をものともせず、自分の信じる道を皆さんには進んで頂きたいですよね。