朝月希和の数奇なる運命・追想『マスカレード・ホテル』

先月よりスカイステージにて放送中の『マスカレード・ホテル』。

ちょうど昨年の今頃、見に行きました。

コロナを気にせず舞台を見ていた時がもはや懐かしいですね。

 

久しぶりにこの作品を見て、なんだか色々と感慨深くなったので、

ということで久しぶりの追想シリーズです。

 

追想『マスカレード・ホテル』

 

一般の人が想像する宝塚の王道と言えば

『ベルサイユのばら』『エリザベート』など、

ヨーロッパを舞台にした、わっかドレスで華麗で優雅な恋愛物語でしょう。

 

その一方で『相棒』『JIN-仁-』『ブラックジャック』など、

メディアミックスされた作品を宝塚風にアレンジして

上演する機会も意外と多かったりするわけですが、この作品はまさにソレ。

 

主演は生え抜き花組生の瀬戸かずや。

別格の星かと思いきや、まさかの2番「目」コースに突入し、

約3年半ぶりに主演公演をゲット。

 

ヒロインを務めたのは、

雪組から花組に里帰りした朝月希和。

研10にして、単独ヒロインはなんと初めて。

 

2番手は後に聖乃に抜かれる運命となる飛龍つかさ、

娘2は既に華に抜かれたものの独自路線を走る音くり寿と、

どちらかと言えば通な選抜メンバー、

 

何せ裏が柚香光のプレお披露目公演『DANCE OLYMPIA』。

水美、永久輝、聖乃といった主要メンバーは

こちらに駆り出されている(相性を測られている)ため、

『マスカレード・ホテル』はまさに別格招集といった意図なのでしょう。

 

なんだけれども、実際観に行った時の感想としては、

その「別格だからこそ」の雰囲気が良かったんですよね。

 

ダンスや歌の超絶技巧を披露したり、

若いキラキラで圧倒する出なく、

あくまでも「宝塚らしさ」で魅せるという世界観と言いましょうか。

 

メディアミックスを経て既に完成された作品を

宝塚風にして美味しく頂くという意味では、

男役芸と娘役芸で魅せる瀬戸&朝月が主演を張ったからこそ、

不思議な味わいを持つ公演になったなぁと思うのです。

 

朝月希和の数奇なる運命

 

と こ ろ が 。

 

運命とは不思議なもので、

この『マスカレード・ホテル』が東上ヒロインカードとなり、

朝月の目の前に雪組トップ娘役の座が転がり込んできます。

 

宝塚に入団すれば、誰もがトップの座を夢見るものでしょう。

だけどいつか、辛い現実と自分の限界に気付く時が来ます。

後はどう折り合いをつけるか、です。

 

96期生として入団し、同期に3人のトップ娘役を輩出。

入団時はスキャンダルで心身を削られ、

自組で花乃まりあを見送った後、雪組へ組替え。

人気組の娘2ポジで出しゃばり過ぎず活躍した後、古巣へ帰還。

 

後はいつ退団するか、その目前の、

これまでの労いにしてご褒美のような、初めての単独ヒロイン。

それがこの『マスカレード・ホテル』だったはず。

 

朝月の心のうちは分かりませんが、

少なくともこの公演に出ている彼女の姿に、

トップ娘役になるであろう気概は一つも感じられませんでした。

 

メラメラとトップへの闘志を燃やすでなく、

瀬戸かずやをカッコ良く魅せることを第一に考え、

舞台の成功だけに身を捧げる、まさに娘役の基本となる佇まい。

 

だけどここから1年弱でトップ娘役に決まってしまうのだから、

いやはや人事って何が起きるか分からないですよね。

 

当時の自分に「朝月、雪組でトップ娘役になるで」と言ったら、

どのような反応をするだろうか?と思うと同時に、

それを初めて打診された朝月がどういう反応をしたのか想像すると、面白いです。

 

 

雪組で紡がれる「夢の続き」。

 

『マスカレード・ホテル』で一番印象に残っているのは、

個人的にデュエットダンスでした。

宝塚らしい夢々しさだけでなく、不思議な切なさがあったから。

 

本人たちはきっと最後の主演公演になるだろうと分かっていたからこそ、

これまでの苦労、努力、踏み越えてきたスターたちが走馬灯のように駆け巡り

長い旅路の果てに見る一夜の夢のような、そんな雰囲気が私には感じられました。

 

「色々あったけど、良かったね」

そう心の中で勝手に声を掛けてたのですが、

まさか雪組で、その夢の続きを見ることになろうとは…!!

 

けど、それもまた一興。

宝塚人事は何が起こるか分からないから、面白い。

 

果たして、朝月希和が描く夢の終わりがどのようなものになるのか。

雪組好きとして、96期ウォッチャーとして、

その終幕を見届けたいと思います。

 

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コメント

  1. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。当面配信専科になりそうな地方民です。

    男役は男役10年でメラメラ、ギラギラして脂がのってくる頃ですが、娘役10年の立ち位置、キャラの作り方って難しいですね。

    タカラヅカのみならず、日本で女性として生きることも、男性に比べて女性って、社会から許容されるキャラの範囲が狭く感じて息苦しーい(都会は違うのかな)

    女役の鑑として、たおやかに、慎ましく、男役を立てることに徹してきた朝月さんが、次「シティハンター」の、たぶんヒロイン(?)槇村香。

    腕利きスナイパー冴羽リョウの相棒として、パンツルック&ローヒールで新宿を駆け回り、

    主人公の下ネタが過ぎると、100tハンマーで「ぱっかーん」とツッコミを入れる、

    自分が子供の頃、「女性もこんな自由でいいんだ」と憧れた&今の自分のキャラの原点になった、思い入れのある女性像なんですよねー。

    ハンマーどうするの?&朝月さんがどんな風に演じてくださるか、期待半分・・・(まさか夢白さんがピコピコハンマーを振りまわすのだろうか?)

  2. まめんぬ より:

    朝月さん、元は花組で華さんの後任としてトップ娘役になる予定があったのではないかと思います。
    コロナ前のスケジュールで華さんが3作退団でも4作退団でも、その後任に花組で即戦力としてトップになれる娘役さんはいませんでした。
    華さんの任期に関しては元からある程度決まっていたように思われますし、柚香さん体制が始まる時かられいはなコンビの次を見据えて朝月さんが組替えしたのではないかと考えました。
    (蛇足ですが、その場合柚香さんは朝月さんと4作ほど組んだ後に永久輝さんの最初の相手役にもなる若手娘役さんを相手役に迎えたかと思います)
    しかし望海さん、真彩さんの退団が決まっている雪組では次期娘1かと思われていた潤さんが組替え、じゃあそこに誰を入れるのか→即戦力として活躍できる+次期トップの彩風さんと相性の良い朝月さん、という流れになったのではと想像しています。
    私たちファンが朝月さんの雪組トップ娘役がいつ決まったのかは知ることはありませんが、宝塚人事、一つイレギュラーな出来事があっても他を動かしながら上手く運ばれているなぁと感心します。
    そして何より次は花組のトップ娘役発表ですね。私は星風さんの専科移動が発表になってからより彼女のスライド説を推してきましたが、花組、宙組、星風さんの専科生としてのMS、そしてトップコンビ発表予定の月組のスケジュールを照らし合わせるとちょうど良い花組トップ娘役発表のタイミングが無いように思われるんですよね。
    少なくとも月組のトップ発表の前には発表されるはずなのですが、星風さんが専科所属になる前に彼女の花組トップが発表されるのもおかしな話です。
    一方星風さんが月組での就任であれば時期的にはとても良いタイミングで事が進むのでもしや…?とも思います。
    じゃあ花組は誰なのかということになりますが、組内からは無さそうですし、他組からならスケジュール的には月組か宙組からしか来ることができません。(あくまでも次期トップ娘役がアウグストゥスに出演する前提での話ですが)
    そうなると候補に上がるのが海乃さん、天紫さん、遥羽さん、天彩さん。
    この中で私的にピンと来るのは宙組のお2人ですが、実際当たる自信はありません。笑
    話が逸れてしまいましたが、蒼汰さんの今後の娘役人事についての記事を楽しみにしております。

    • 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます。
      さすがに朝月さんが柚香後妻説は無いかなぁと思います。すみれコードですけど、年齢逆転しちゃいますよね。
      そんな超上級生を相手役につけるほど、柚香さんが頼りないわけでもないですし…。
      つってもこれで星風さんが来ちゃったら、大人の事情ここに極まれりって感じなのですが。笑
      本当、星風さんどうなるんでしょうねぇ…。

  3. ねじねじ より:

    分かります!
    マスカレード・ホテルのデュエットダンスは、香気立ち上りつつこの公演だけでしかできない切なさと情感が詰まっていたように感じました。
    見終わったときに、なんだか強烈に「宝塚見た!!」という感想がむくむくと。

  4. AKIRA より:

    朝月さんですね。
     マスカレードホテル見ました。作品的には地味だと思いますが、花娘としてしっかりと男役さんをサポートしていますよね。雪組時代と比較すると何か大人の女性が全面に出ている感じですかね。昨年観劇したはいからさんでも同様な立ち位置でしたね。
     彼女を初めて意識したのはスーパーボイジャーでの彩風さんとの絡みでした。当時は何て愛らしい(内面を含めて)ジェンヌさんだろうと思い引き込まれ、続くガートボニートでも彩風さんとの絡みがあり更に好きになりました。ファントムは一本物でしたので絡みが無かった様に記憶していますが、壬生義士伝ではなんと凪七さんとの絡み(既に花組への組替えは予定されていたのでしょうか)でしたので少し物足りなさを感じたていたものの、当時は夢でもいいからトップ娘役になって欲しいと思っていましたよ。それがなんと現実になったのですよ!しかも彩風さんとのコンビで。一人のファンとしてこれほど嬉しい事はありません。現在公演している雪組のダイジェスト版をスカステでちょこっと見ましたがなんと生き生きしているのでしょうか!次期トップ娘役が約束されているとはいえ、一年ぶりの雪組の舞台を心から楽しんでいるような気がします。彼女にとって今年はまさに晴れ舞台ですね。公演がとても楽しみです!

  5. MS より:

    マスカレードホテルのヒロインは、御褒美というより、以前ダブルヒロインを演じた音くりちゃんが、すでに蘭陵王で単独ヒロインを演じてますから、バランスを考えて最初に単独ヒロインをさせたのかなあと思いました。
    でも確かに、瀬戸さんとのデュエットダンスは、最後の主演公演の一夜の夢…ほんと、そうですね。あの公演中はトップ娘役になるなんて本人が1番想像していなかったでしょうから。
    以前、TVのFNS歌謡祭に雪組が出演した時、美女と野獣でのパフォーマンスに可愛い娘役さん達が出ていましたが、咲ちゃんと組んでいたひらめちゃんが、1人群を抜いてスカートさばきがきれいでした。
    いつも花組さんの娘役のスカートさばきは綺麗だなと思っていましたが、改めて花組育ちのひらめちゃんに感心しました。
    星南のぞみちゃんや潤花ちゃんはダンサーですが、同じダンサーでもひらめちゃんは雪組にはいないタイプのダンサーだなと思いました。星南のぞみちゃんなんか、ひらめちゃんを慕っていたようですし、下級生は学ぶ事が多いのではないでしょうか。
    私はお披露目公演は、潤花ちゃんありきの演目だったような気がしますが、なかなかひらめちゃんはしたたかだと思うので、トップになったら化けるような気がします。凄く楽しみです。

  6. ちょっこー より:

    いやー、いいブログですねぇ!

    こうして報われるのを見ると感慨深いものがあります。

    今回のシルクロードで彩風咲奈とペアを組んで軽やかに舞ってる姿を見ると胸に込み上げるものがありましたので、ぜひ楽しみにしてください。

    本当に面白い人事だなぁ