宙組『アナスタシア』感想・傑作でした!!

傑 作 で し た 。

 

…あ、前置きも無くすみません。笑

宙組『アナスタシア』を既に2回観に行ってるんですけど、

もうなんて言うか、傑作でした。(タイトル含め3回目)

 

蒼汰はヨーロッパ史、特にロマノフ王朝は大好物でして、

楽しみ過ぎて敢えて事前にLVを見ずに挑んだら、

続きの展開が気になり過ぎて最後まで集中して観ることが出来ました。

 

さっそく感想を書いていきたいと思います!!

※がっつりネタバレしています、ご注意下さい。

 

『アナスタシア』は王道の物語

 

「Anastasia」はギリシア語で、再生の意。

 

物語は王道中の王道で、

テーマはずばり、アイデンティティの再生。

ざっくり言っちゃえば『アナと雪の女王』宝塚版です。笑

 

記憶を無くした1人の少女・アーニャは

詐欺師・ディミトリの手腕に導かれ、ある計略に乗せられ、

それは意図せず失われた自分自身を探す旅となる。

 

「自分自身が信じてやらねば、他の誰かになんかなれやしない。」

祖母たる皇太后マリアからそう無碍な扱いを受けながらも、

アーニャは徐々に記憶を取り戻し、ついにアナスタシアとして覚醒。

 

本来の立場に戻り、華々しい世界に生きようとする彼女。

けれども、本当の自分、すなわちディミトリへの愛に気付いた時、

全てを捨てて彼の元へ駆け付けるのであった。

 

そんな彼女を見送った皇太后マリアもまた、

アナスタシアとの再会により、失われた自分を取り戻す。

残された思い出のオルゴールとともに…。

 

そして悲しみの集合写真に始まった物語は、

新たに生まれた愛の写真で終わるのであった ―――。

 

 

完璧じゃないですか。

まさに再生の物語。少女は自分を取り戻し、真実の愛を見つける。

青年は優しい心を取り戻し、老女は止まっていた時が動き出す。

こんな宝塚で映える作品をよくもまぁ探してきたもんです。笑

 

家から弾き出された若者たちが冒険と恋を重ね、家へと回帰する。

シンデレラストーリーであり成長物語として完璧な脚本を、

素晴らしい楽曲と豪華絢爛な衣装に乗せて、

任に合ったキャストで表現するという世界観。

 

王道最高、これぞミュージカル!!

ご馳走様って感じです。

 

個人的にはディミトリ&アナスタシアも良かったけれど、

もう1人のヒロイン・皇太后マリアに涙が…。

 

史実では、幾たびも現れる偽アナスタシアに絶対に会おうとせず、

失意のまま亡くなっていったことを知っているから、余計に。

 

本物のアナスタシアと出会い、

自分の中の時計の針がやっと進むようになった。

けれどもそれを世間が知ることは無く、

自分だけの大切な思い出にして残りの人生を生きた。

 

そんなifがあってもいいじゃないかと思わせてくれる、

素敵なミュージカル作品でした。

 

「コーラスの宙組」の神髄

 

宝塚ではよく「〇〇の▲▲組」という表現がありますが、

宙組は「コーラスの宙組」と言われているそう。

 

正直今までピンときたことがなかったのですが、

この作品でついにしっくりきました。

全編にわたって美しいコーラスが響き渡っております。

 

特に凄かったのは、第1幕最後の駅の場面。

凛城きらのソロから始まり、徐々に重なり合う郷愁の声。

 

旅が始まるワクワク感から一変、

もう2度と帰れぬかもしれない望郷の思いが荘厳に響き、

旅好きとしては思い当たる節があり過ぎて、鳥肌が立ちましたとも。

 

それ以外にも全体的に楽曲がドラマティックで名曲揃い。

星風まどかが圧倒的ヒロイン声で、

和希そらが圧倒的テクニックで魅せる一方で、

真風涼帆もすっげー頑張ってた。難曲を歌って歌って歌いまくる!!

 

芹香&桜木も基礎値が高いタイプですので

宙組って平均歌唱力が一番高い組なんだなぁと改めて実感しましたね。

『アナスタシア』の世界観を見事に表現していました。

 

傑作、なんだけれども…。

 

当然ながらキャスト陣も完璧の一言。

それぞれの感想は次のキャスト別感想でまとめますが、

そ の 前 に 。

 

『アナスタシア』は傑作です。

傑作なんですけれど、

やはりツッコミどころもちょいちょいあるわけで、笑

それはまた別の機会にまとめたいと思います。

 

総評としては、平成宝塚の代表作『エリザベート』級とはいかないまでも、

『ロミオとジュリエット』級にはなるんじゃないかと思っとります。

長く新たな代表作を探していた小川理事長的には合格点じゃないかなぁと。

 

物語の完成度と宝塚的美意識がバランス良く調和され、

宝塚初心者こそ見て欲しい一作だなぁと思いました。

というわけで続く!!

 

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コメント

  1. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    ね、傑作だったでしょう!個人的に宝塚歌劇2020年度(大劇場基準)作品賞は『アナスタシア』だと思います(某所でネタにしてすみません)

    こんな面白い作品が、舞台版はトニー賞にノミネートもされていない、というのが、ブロードウェイの底力・・・

    だからこそ、アナスタシアが絶対のヒロインのストーリーを、男役主体の宝塚向けに「ディミトリの良心の再生」の物語に潤色したり、ライビュ&配信したりと融通が利いたのでしょうが、

    コスパ最強!よく発掘した&稲葉先生の潤色力に感嘆いたしました。

    例えるなら・・・ロミジュリは、もう世界的に普遍的すぎる話だからな・・・

    小池先生が、ブロードウェイではそんなに評価されずだった「スカーレット・ピンパーネル」を、

    ベルばらファンがみんな気にしていただろう「マリーアントワネットの遺児救出」というテーマに結び付けたウルトラC並みの快挙だと思いますわ。

    • 佐倉 より:

      初めてコメントします。
      宝塚ファンですが今までBW版のアナスタシアが好きで、その中でもアナスタシア役のChristyさんがこれぞハマり役という程素晴らしいものでしたので宝塚・東宝版に興味が湧きませんでした。
      役作りやストーリー等良くも悪くも日本ナイズされており、BW版の美しい世界観をなんて壊し方をするんだとも思っていました。
      でも蒼汰様の解説を読み観劇欲が沸々と湧いてきました。次の更新も楽しみにしております。

  2. MS より:

    そんなifがあってもいいじゃないか…
    そう!ホントそう!私はきっとそうだと思ってます。東京に行きたいです。もう一度生で観たいです。
    私はハッピーエンドが大好きでミュージカルならミーマイが好きなのですが、アナスタシアはただのハッピーエンドではない、史実をそのifでハッピーエンドに変えてくれた、重く悲しい過去を救ってくれた、私は最高に好きな作品です。
    歌も、真風さん頑張ってましたよねー。ランスロットの頃からは考えられないくらいの成長。「幾千万の群衆の中」では、過去の光景、パレードの様子が目に浮かぶようで、楽曲を聴いて情景がはっきりと見える希有な体験をしました。
    グレブの楽曲は1回目の観劇ではさほど引っかからなかったのですが、観劇を重ねると結構くるものがあり、フィナーレでキキちゃんがセンターで踊るときの楽曲に、胸が熱くなりました。
    いいですよね。アナスタシア。
    私は初生観劇はベルサイユのばら、オスカルは安奈淳でした。壮大な歴史の中に迷い込んでしまったような震えを覚えてますが、それ以来、いったい何十年宝塚を観てきたか分かりませんが、その時以上の震えを感じ、45年ぶりの感動に興奮しています。

  3. ちゃとらし より:

    こんにちは!
    東京公演観劇ほやほやで頭がほわほわしております笑

    いやー素晴らしかったですね。
    舞台の素晴らしさは勿論ですが、やはり「神々の土地」の続きの物語という点も胸熱でした。別の物語なのですが、”滅びの美学”を描いた後の物語で”失ったものを取り戻す”物語が語られるって、もう、良いなぁ…と。
    また神々の土地で描かれたロマノフ家への憎しみや、王室内での人間関係を観たからこそグレブやマリア皇太后の心情を想像する助けにもなりました。
    そして真風さん・星風さん共にブロードウェイで本作を観劇しており(その当時にアナスタシアの上演は決まってない)、神々の土地からも縁のある役って、この2人どれだけ”持ってる”んだろうと思いました。

    いやー本当に色んなものが素晴らしかったです。(2回目)

  4. orange芋 より:

    この作品、宝塚は初めましての夫を連れていきました。夫は演劇・舞台には全く興味がなく私が流してるスカステを時々チラ見しては「復讐するぞーって言ってるのに歌いだしたな」と呟いたり、好きでずっと流してたSUPER VOYAGERのせいで望海風斗さんを「スーパーボイジャー」呼ばわりするくらいだったのですが、この作品はとても気にいったようで飽きることなく見ていました。

    「みんな歌うまかった!特にリリーの人が良かった!」と帰りに言ってたので、宝塚初見の人でもアナスタシアは楽しめる作品なんだなと思いました。
    (fffも連れていきましたが刺さらなかったようです…fffの帰りには「前見た組はなんだったけ」と確認されたくらい宙組が気に入った模様)

    まどかちゃんのドレスもとても豪華でお似合いでしたし、桜木みなとさんは愉快なキャラクターがとても似合っていました。真風さんの歌もとても良くて何回でも観たいなと思う作品で、ディミトリの元に駆けるアーニャが沁みました。

  5. 七草 より:

    こんにちは。

    こちらのブログで初めて『アナスタシア』のネタバレを読んだのですが、映画『追想』のようなお話なんですね。
    『追想』が大好きな私としては『アナスタシア』が俄然楽しみになってきました!
    確かに宝塚と相性がよさそうですし、人間関係の描写がより深そうで、かなり期待が高まってます。

    もし蒼汰さんが未視聴でしたら、是非『追想』もご覧になってみてください。

    キャスト別感想も楽しみにしております!

  6. ポニョ より:

    私も東京で観劇して,まさに「傑作」であることを実感しました.

    ロマノフ王朝の耽美な雰囲気が今の宙組ほど合う組はないでしょう.特に衣装が良いです.スパンコールが反射したロマノフ朝のドレスは星風さんにぴったりだなと.くたびれたコートと舞踏会の黒燕尾両方を着こなしているのは,真風さんのスターとしての力ですよね.芹香さんの軍服も「格好良い」の一言に尽きます.天彩さんが着てたアナスタ氏幼少期の衣装もフリルが多くてかわいかったです.

    叶うことならもう一度見たいですね….

  7. きおづき より:

    小生は「アナスタシア」観ていないのですが、これほど絶賛されるのも珍しいように思うので見てみたくなりました。
    なにより蒼汰さんがまだまだタカラヅカ飽きされていないようで嬉しく思っております。

    読み応えありありのエリザベレビューでしたが、あの作品についてはどうしても皆さん思い入れの作品推し(推しヌも)と熱が入り、コメント欄が荒れ気味になっちまったか…?と苦く思っておりました。そのせいで管理人さん方が宝塚に嫌気がさして、悪くすれば宝塚飽きされてきているかもなぁ、と。
    でも杞憂でした。というかそんな短絡的に考えるなって感じですねwごめんなさい。

    おお、今キャスト表を見てきたのですが、マリア皇太后は寿つかささんですか!昔で言うなら(90年代)邦なつきさんみたいなものですかね。これは俄然楽しみでしかないです。
    そして僕の推しの芹香さんはどうだったのでしょう…突っ込みどころ編に登場するのでしょうか。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます!
      あの記事はああいうコメントが絶対つくだろうと予測してたので、まぁさもありなんと言う気持ちです。笑
      芹香さんご本人は素敵だったのですが、役どころが何とも掴めず…は次のツッコミどころ編で取り上げております。
      作品は気兼ねなく人に勧められるクオリティだと思ってますので、気が向いたら千秋楽をLVでご覧になられても良いかもしれませんね!(なぜか宣伝)