月組『ピガール狂騒曲』感想(辛口)

月組公演感想シリーズ、

続いては『ピガール狂騒曲』編です。

 

【レビュー編はコチラ】

 

当たり外れが激しいと評されがちな原田諒氏ですが、

個人的には偉人シリーズの他、

『MESSIAH』『20世紀号に乗って』とツボ作品が多いこと、

 

そして前評判もそこそこ良かったので、

結構楽しみにしていました。

見た感想で言うと、面白かった!!

 

…うん、面白かったんですけれど、

なんつーかこう、惜しいというか、

個人的に「ん?」と引っかかった部分がちょこちょこ有り、

佳作まであと一歩だったのに勿体ないなぁというのが正直なところ。

 

ということであくまで超個人的な感想であることを前置きし、

前半誉めそやし、後半辛口で、

思ったことをまとめていきたいと思います。

 

芝居の月組の技量を実感!!

 

この作品の勝利の鍵は、

あの珠城りょうに男装の麗人、

すなわち女性の役をさせたことに尽きると思います。

 

体格が良く、まさにTHE・男役の風格漂うトップスター、

かつどちらかと言うと「真面目」な印象のある彼女が、

面白おかしく女性の役を演じるという、メタ設定が魅力的であること。

 

そして可愛らしくジャックを演じるからこそ、

爽やかなのに色気ムンムンなイケメン王子様である

ヴィクトールの魅力も映えていて、本当にカッコ良かったです。

 

その他の主要キャストも、得意分野のゴージャス系美園さくらに、

男役の旬を今まさに迎えている月城かなとのイケメンっぷり、

面白オジサン鳳月杏、イケメン俺様な暁千星、

あんな役を演じても寒くならない風間柚乃、分かりやすいワル輝月ゆうまに、

洋画にこんなおっさんいるわぁの千海華蘭と、個性的なキャラがてんこ盛り。

 

ダンサーや街人それぞれにも性格が色付けされていて…

というか個人的には月組の大きな特徴に

「モブ組すら小芝居が細かい」というイメージがあるのですが、

今作はそんなガチャガチャ感が良い方向に作用してたと思います。

 

舞台を通してアチラコチラで事件が起きていて、

それが物語の「狂騒」となって巻き込まれていく感じが面白く、

最後まで楽しく観ることが出来ました。

 

レビューの華やかは宝塚ならでは

 

そして特筆すべきは、

途中のカンカンシーンとフィナーレの華やかさでしょう!!

 

まずはカンカン、いやーゴージャスでしたね。

盆にミラーボールに鏡にと舞台装置を大胆に使い、

セリフの少ない暁千星がこれでもかと大活躍!!

 

この場面を見ただけでも、

宝塚に来たわーと感じること間違い無しでしょう。

 

そしてフィナーレは、

やはり衝撃の男役ロケットでしょう。

 

実は私、情報不足で事前に知らないまま観劇しまして、

ドセンターのロケットガール・風間柚乃が振り向いた瞬間の

顔面の圧に思わず笑ってしまいました。笑

 

よーく見てみると蓮つかさ、英かおととかがいるやんけー!!とビックリ。

あの衣装を着ると、男役陣のスタイルの良さが際立つなぁと思いました。

 

その流れでの黒燕尾のハイエナジーなテンションも良かった!!

特に途中の珠城りょうVS月城かなとの場面。

 

喰ってやるぞと言わんばかりの2番手と、

それに相対する器量の大きいトップという構図が、

いかにも宝塚という感じで燃えました。

 

あと、個人的にはフィナーレでの

珠城・美園・月城の衣装の色が上品で好みで良かったです!!

 

この作品の主題は何なのか?

 

ここからはちと辛口になります。

そんなわけで出演者たちが魅力的、かつ宝塚らしい豪華さもあり、

ハートフルでそこそこ面白かったからこそ、

話の展開にイマイチ納得できなかった点があったのが気になりました。

 

そもそもコメディ興行というものは、ギャグ一辺倒に振り切った作品で無い限り、

要所に笑いを散りばめながらもある1つのテーマを軸に据え、

それをうっすらと観客にメッセージとして伝えてこそ、

人々の心に残る名作になれると思うのです。

 

例えば星組『ANOTHER WORLD』。

あの作品はしっちゃかめっちゃかなギャグ作品に見えて、

「人間死ぬ気になれば何でも出来る」というメッセージが隠されていました。

 

一度死んだ康次郎が死に物狂いで現世に戻ろうとするからこそ、

それをたった1度の新公主演から死に物狂いで這い上がった紅が演じてこそ

最後の絶叫にカタルシスが得られるわけです。

 

では振り返って、

『ピガール狂騒曲』の主題は何でしょう?

 

「人は誰もが道化役者 偽りの姿演じながら 本当の自分追い求めている」

「私の人生自分で選び 人生という名の舞台 自分で決めるのよ今」

ラ・ベル・エポック・ド・パリより

 

ということから、本当の自分賛歌だと思われるのですが、

それが描き切れているかと言われると、

正直、私にはイマイチ伝わりませんでした。

 

例えば、美園演じるカブリエル。

冒頭で私は夫の所有物では無いと指輪を突っ返し、

自立した女性になることを決意します。

 

自分の名前で本を書きたい!!

舞台に誘われ、どうせなら情熱的なダンスを踊りたい!!

女として生きるうえでの当時の不都合からの脱却を目指す彼女は

素晴らしく前向きで素敵ですよね。

 

なんだけど、結局はイケメン青年に絆されて

ダメだと言うのにテンション上がって勝手にキスしようとしたあげく、

同じ顔した双子の兄が表れたら、すんなりそっちと交際開始。

 

そんな彼女こそ、新たな時代の象徴、

自立した女性像だと誉めそやされる。…え?

 

同じく月城演じるシャルル。

熱い思いと見果てぬ夢からムーラン・ルージュの支配人になった彼。

 

起死回生を賭けた一番の日に、キャストが一人倒れたからって

その場の勢いでよく知らない人物を急遽ショーに加えた揚げ句、

それが原因で起きた大騒動の直後は何をするでなく、

無責任にフラフラ街を彷徨うだけ。

 

ジャックの熱い言葉に我に返り、気持ちを奮い立たせ物語は進むけれども、

結局困難を解決するのは金を出すヴィクトール。

それが自立した男性の姿なのかと問われると、…え?

 

そして主人公・ジャック。

母を亡くし生き場がなくなり、

夢だったムーランルージュで働きたいと思い立ったのは、分かる。

 

色々あって生き別れの兄と再会し、

領地を分け与えんとするものの彼女は固辞。

だって私にはここに生きる場所があるから、と。

 

だけどそれはただシャルルに惚れただけであり

仕事と言えばシャルルに頼まれてカブリエル宅を1往復したのと、

嫌々ダンスの練習付き合っただけやんけっていう。

 

それで「ムーラン・ルージュに恋の花が咲く」めでたしめでたし…って、

好景気のパリだからって、さすがに享楽的でしょう。

 

もちろん宝塚ですから、恋愛が焦点になるのは当然です。

ですから主題はあくまで「好きな人と結ばれたい」という身近なものであり、

「本当の自分探してる」はちと壮大過ぎると思います。

つまり、主題と内容がズレちゃってるんですよね。

 

もちろん、本当の自分を探した結果の恋愛というのも分かるのですが、

であるならばもっと恋愛に特化するか、

自分探しと言う名の成長のための役の掘り下げをするか、

どちらかして欲しかったな、と。

 

とはいえ宝塚には、

そもそもこんな論評をするまでもない駄作がモリモリなわけですが、

今作はそこそこ面白くてスターも魅力的だからこそ、

余計に気になってしまったというのが正直なところです。

 

我ながら勝手すぎる腑の落ち方

 

私は基本、頂いたものは美味しく頂くタイプですし、

細けぇことはいいんだよ」派です。

折角お金払って観てるわけですし。笑

 

だけどなぜにこんなずらずら書いたかって、

たぶん第一感想が演出者側が描いていたものと

全く違うものを受けてしまった自覚があるからなんですよね。

 

終幕間際、ガブリエルはチンピラに向かって

「男でも女でも、どっちでも良いじゃない」と言い放ちます。

(あのガブリエルがこの台詞を吐くというのも引っかかりますが)

 

そして、どう見ても男(役)のジャックが、

シャルルとキスして物語は閉幕、

その後にニューハーフショーのような男役ロケットが大盛り上がり。

 

なので終わった後の感想が、

「LGBTQの話だっけ?」と思っちゃったんですよね。笑

今BLものが色々流行ってますし(管理人がタイに行ったっきり帰ってきません)。

 

いや、絶対違うじゃん?

そんなこと原田氏は考えて書いてないと思うんです。

でも、そう感じちゃったんだから仕方ない。

 

舞台は華やかで見栄え良く、散りばめられた笑いのセンスも良かったし、

スターたちもそれぞれ磨き上げられた技巧が輝いていました。

そして珠城りょう7作目にして、

一番あってる作品と出会えて良かったねと感動もしました。

 

だからこそ、主題がボケている感じが惜しいなぁと。

悲劇より喜劇の方が難しいって本当なんだなーと改めて実感しましたね。

(そういえば同系統の『CASANOVA』も肌に合わなかったなぁ…。)

 

重ねて言いますが、キャストは最高でしたよ!!

ということでべた褒めはキャスト別感想に続きます。

 

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コメント

  1. おさかな より:

    ピガール感想編待ってました!!
    細かいこと考えないと、笑えて面白いし楽しいミュージカルとしてみれましたが、やっぱり隙のある脚本だなぁと思います。特にジェンダーに関しては近年注目が集まってるのもあり、厳しめにみてしまいます。
    組子の演技力で成り立ってる作品かなと。
    逆に組子一人ひとりが全力で演技してるのが分かるからこそ、もう1回みたいなと思えたので12月にまた行きます(無事幕が開きますように…)
    キャスト編も楽しみにしてます。

  2. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    このお芝居、ライビュで拝見していたのですが、確かに「このお話を一言で言うとなんやねん」と考えたら難しいですよねえ。

    私、某所で感想を書こうとしたんですけれど、こんがらがってきて、ほったらかしたままなんですけれど。

    ところでこのピガール狂騒曲の原作であるシェイクスピアの「十二夜」には『御意のままに(What You Will)』という副題がついている。

    Youは劇場に一夜の夢、現実の憂さ忘れに来るお客さまのことでしょう。お客様のお望みのもの、ぜんぶ叶えてあげましょう、という意味ですね。

    書きながら、奇しくも植えじいが併演のショーで「あなたの夢はなんですか♪ みんなあなたに叶えましょ♪」と繰り返しているのに気づいて、そっちのほうに驚愕してきた

    ジャックの夢は何ですか?ガブリエルの夢は何ですか?シャルルの夢は何ですか?

    そういえば、私の夢ってなんだろう。自分は本当は何を求めて、望んでいるんだろう?

    探し物は何ですか♪見つけにくいものですか♪

    というわけで、個人的にこの話のテーマは「あなたの夢はなんですか?」と客にメタ的に問いかける話、ということで。

  3. 宝塚ファン より:

    ブログ、いつも楽しみにしています。

    私もピガールは、同じ感想でした。前評判が良かったので、ウキウキしながら観に行ったのですが、観終わった後、
    「え??結局、何が言いたかったの?」
    と真顔になってしまいました。
    同じ「何が言いたいか分からん演出」でも、カサノバほど男役芸や娘役芸に特化する訳でもなく、メロディラインが印象に残る訳でもなく・・・。

    この作品は、月組ならではの細かい芝居と、珠城りょうさんのギャップ、個々の歌やダンス、男役芸等の素晴らしい舞台技術で、成立した舞台で、それらを観に行ったのだなと、割り切ってます。
    珠城さんのヴィクトールは、すらっとしていて、スーツの着こなしは正にトップ男役!!本当に格好良かったです。

    個々は本当に良かったんです。セットも良かった。衣装も良かった。月組の熱演も良かった。
    原田先生には、もう少し頑張って欲しかったです。

  4. より:

    原作がシェイクスピアの十二夜ですからね…それを言ったら真夏の夜の夢だって、ロミジュリだってツッコミどころ満載なわけで(^^;)
    コメディーなのでそんなに深掘りする必要はないのかと思います。笑えればOK。ついでに芝居巧みや芸達者が多いので、見所が多くて楽しい!鏡を上手く使ったカンカンのシーンは圧巻でした。

    強いて言えば、私は登場人物達の完璧でないところが好きです。
    『え〜っ!○○って言ってたじゃん!』『あなた○○◯じゃなかったの!?』ってツッコミつつ、でも実際の人間って結構そんなもんですよね(笑)
    そんな人間臭い人達が、ドタバタやって、最後はみんなで幸せそうに万博の花火を観に行く…とても愛おしく、リアルなヒューマンドラマに見えました。

  5. コスモスハート より:

    蒼汰様

    そうなのです。面白くて、各出演者の演技力も素敵、珠城さんの魅力も発揮され、ハマっている作品だからこそ、秀作になり損ね?たかもしれない感じが惜しいと思います。

    私はムラでの観劇でした。
    ロケットは106期生だから、フィナーレの印象は異なっているとは思いますが、ガブリエルの最後のセリフ、男でも女でもいいじゃない、的な台詞で、ヴィクトールヘいきなりくっつく??いきなりそう言う?と思いました。
    ヴィクトールが最後に、修理代は私が出すと言われ、世の中、やっぱりお金か〜夢を見て叶えるのもお金がないとね。
    都合よく締めくくられたな。。これでいいのさ、ってまじか〜。時間切れか〜?!

    月組公演が始まってすぐの時は、シャルルとジャック(ジャンヌ)のキスシーンの最後が不自然に思え、数日後観劇したら、何かしら演技の賜物か?雰囲気か、それなりに不自然さは解消された。周辺登場人物のやり取りも変わっていたような‥‥
    だ、け、ど、
    シャルルとジャックの絡み、ガブリエルとヴィクトールのもう一つ絡み、ヴィクトールがカッコいいから、もうちょっと出てきてもらえたら嬉しい‥‥身勝手なファン心理か?
    シーンを増やさないなら、作家希望のガブリエルは新しい作品を書くから、スポンサーになって欲しいとヴィクトールに頼んで、新たな恋の予感?か、余韻で、終わらせてもよかったことないかな?

    最後の結末に説得力を与える物が欲しかったなー。
    ミュージカルと名乗るなら、主題なる歌が心に残って欲しいけれど、テーマと内容のぶれかなぁ、そこまで刺さらなかったかも…
    と、惜しい私の感じた理由でした。

    ちなみに、私はCasanova 結構大丈夫でした。あれは明日海さんの歌と男役芸、冒険、仙名さんの歌を楽しむ娯楽作品でしたから。

  6. 匿名希望 より:

    初めてのコメントで間違いの指摘で申し訳ありません。
    千海華蘭さんのお名前が、千風華蘭さんとなっているのと、ジャックへの感想のところで、シャルルとあるべき箇所が2ヶ所ジャックになっています。

  7. より:

    ピガール協奏曲、私も何がテーマだったのか分かりませんでした。
    十二夜と違う所がオリジナルかなと思い、十二夜のあらすじも読んだのですが、さっぱり分からず…。
    男女を間違えてドタバタする悪人たちが滑稽なのは分かるんですが、それだけでして…。当時とは時代が違うから喜劇に見えないのかとも考えましたが、せっかく現代で翻案してやるなら、大騒ぎするだけではなく、やはり宝塚らしいテーマを主張してほしかったです。
    それでもキャストのパフォーマンスは素晴らしかったですね。特に暁さんが踊るシーンは最高でした。
    蛇足ですが、私もタイの大学から帰れません(笑)

  8. いぬだいすき より:

    いつも楽しみに拝見しています。
    初めてコメントさせていただきますね。

    私の勝手な思い込みかもしれませんが
    シェイクスピアによる原作の主題はまさに
    「男か女か、どっちだっていいじゃない?」だと思っておるものです。

    それをもう忠実に体現した
    すんばらしい舞台だと思っておりまして
    原田先生スゲーーーと思いましたので
    え?他にテーマ?いる???と思ってしまいました。

    そもそも、自分探しって何探すんでしょうね。自分は自分なのに。
    登場人物はみんな自分を探しているけれど、それより大切なのは幸福感。
    それが痛いほど伝わってきて、もう拍手!

    理想を散々並べたところで、目の前のイケメンやかわいこちゃんと結婚してしまう、それもヨシ!!あるある!!
    …てのが、テーマじゃダメなのかな??

    シェイクスピアがこの原作を書いた時代は、現代より、もっともっともっと
    規則にがんじがらめの世の中で
    政略結婚だらけ。そんな貴族達の庭で
    こんな話を上演していたって、ほんとに前衛的だな、と思うのです。
    それも、当時は男だけで上演していたそうで。
    痛快、だったと思うんですよね。
    息苦しい世の中で「どっちだって良いじゃない」と言われると楽になりますもん。
    自分が見つからなくたって、幸せならいいんだよってことじゃないのかな。

    現代にも、一瞬でも、どっちだって良いんだよ、と言ってもらえると、救われる人が沢山いるんじゃないのかな、と思います。

    奇しくもコロナで色々息苦しい時に、私は救われたなーと感じております。
    (大劇場で5回見ちゃいました。)

    ほんと、千秋楽まで、無事におわりますように…と祈るばかりです。

    • なすみん より:

      いぬだいすきさんに激しく賛成します。

      私もこの作品の幸福感が大好き(CASANOVAも大好きでした)で、大劇場で6回観劇しました。

      初宝塚の友人を二人連れて行きましたが、おかげさまで宝塚を大好きになってくれました。

      ひとりは、その後また観たいと2回観劇して、宙組にはご主人と行く予定。もうひとりも、時間があったら雰囲気を味わいに大劇場に通うようになりました。

      ストレスを忘れさせてくれる幸福感は、日常にとても必要なものだと思います。

      シンプルに、楽しいと思えたらそれでいいじゃない。
      名作にはなり損ねたかもしれませんけど。

      最後に、いつも本当に楽しみに拝見しています。

      毎回面白い内容、有難うございます。

  9. 緑茶 より:

    何でも自分で選ぶ事の出来る現代人から見ればガブリエルは軽薄で思慮が浅い女性のように見えるかもしれませんが、何も自分で選べなかった1900年当時、女性でありながら本能と情熱の赴くままに『今』欲しいものを迷わず掴みに行くことの出来るガブリエルは、やはり多くの人々の憧れだったのではないかと思います。
    また、踊り子の衣装の採寸まで立ち会う徹底した支配人のシャルルが、最後の起死回生を賭けた舞台がダメになってしまい、一人夜の街を彷徨い歩き死ぬ事まで考えた…少年のまま大人になった中年男の哀愁を感じて、私はすごくグッときました^ ^
    大団円のジャック(ジャンヌ)のラスト『それでいいのさ』
    単純なセリフですが、『それでいい』って思える事は実はすごく難しい事。
    こんなにこんなにいろいろな事があったけど、『万事めでたく収まった』からの『それでいいのさ』これこそが、作品のテーマ、と言ってしまってもいいような気がしました。

  10. るな より:

    失礼ながら、宝塚ってあまりメッセージ性がなく、華やかな舞台を提供してくれる場所と思っているので、大筋は十二夜がベースならこんなかんじだよねえと思いながらとても楽しく拝見しました。
    ただ、特に最後に「これでいいのさ!」を言い直させるところなど台詞が寒すぎました。
    狂騒曲というとおり、盆がくるくるまわりきらきらした場面が次々出てきて、シャンソンにのせられて、楽しい舞台なのですが、2020年に新しく上演される作品として、虚実を織り交ぜたというのなら、台詞はもうちょっとなんとかできたんじゃないかなあと思います(今上演するんだったら、そして性別が話の鍵になる作品なら、当然LGBTQに配慮する必要があると思いますし、そういう方向でもっと翻案されているのかと思ってました。)。

  11. ちりりん より:

    ピガールの感想お待ちしておりました!いつも楽しみに拝見させてもらっております。
    私はムラの住民プラス月担なので、結局当初の予定よりも追加追加で…結局ヅカファン人生初の観劇回数が二桁に突入して自分でもびっくりな次第でした…
    そんなに観劇しましたが、マイ初日のピガールの感想は話の内容(脚本)に突っ込みどころ満載でした…。
    それでもそんなにリピートしたのは、日本物ショーの秀逸だった事と、月組の主要メンバーの方々がものすごく役に合っておられた事と、いつもの事ながら月組の皆様の芝居力に魅せられての事でした。(??な所のある脚本も芝居力でねじ伏せる月組生の皆様素敵です。)

    そもそも、私は今までもこの演出家の方は名作を生み出されているように持て囃されておられますが、まあ良かったのは偉人シリーズと原作有りの物、海外ミュージカル物の外箱やバウの作品だけですよね…。
    本公演になると、舞台の全体的な雰囲気や色味は良くても、なんか描ききれてない事を感じる作品ばかり…。それも特に恋愛部分の心理描写がすっぱ抜けている事が多いので、「え?どこで心惹かれた?」とかになるんですよ…
    なので私の中で、『本公演の時間で描ききれない演出家』(元の台本はもっと長くなってて、毎回大幅に削っていると思ってます)『恋愛描けない演出家』と認識していて、いつも意地悪いようですが 本公演の演出の際は「さて今回はちゃんと話書ききれてるか?」と思って見ています。
    で、毎回「やっぱり本公演は内容薄い…」と思う次第で…。

    舞台全体の雰囲気は良い物をとても持っておられると思うので、本当にいろいろもったいないと思うんですよね…。
    なので、本公演のお芝居の中身に??な部分が無くなり、心から素晴らしかったと思える作品を描いていただける日が いつか来る事を…
    今度こそは!と思いながら気長に待つ事にします。

    長々と失礼致しました。