月組『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』感想

さっそく見てきましたよ、月組公演!!

 

(宝塚ももうクリスマスムードですね。)

 

My初日は2階2列目中央ブロック、

噂で「2階席の方が舞台映えする」と聞いていましたが、

なるほど確かにフォーメーションの動きが良くわかりました。

 

さっくりと感想をまとめていきます!!

 

「多幸感」と「クラシカル」

 

和物レビューってたまにしか上演しないから新鮮だし、

普段全く感じない自分の中の和の心がくすぐられるのか、

より素敵に感じちゃいますよね。笑

 

ということでシンプルに良かった今作の感想は、

「多幸感」と「クラシカル」。

 

幕開きの華やかなチョンパに始まり、

自然の美しい景物である雪、月、花と辿り、

(ロマサガ世代としては「雪月花」という単語だけで滾るのですが。笑)

最後はまた爛漫の桜散る宝塚に戻ってくるという構成。

 

全体を通して「宝塚ってこんな素敵なところよ」

語りかけてくるような作品で、

まさしくザ・インバウンド!!という感じでしたけど、

もちろんただの日本人である私も十分楽しめる作品になってました。

 

あとねー、全体的に曲が良いんだわ。

 

あなたの夢は何ですか みんなあなたに叶えましょ

WELCOME WELCOME TAKARAZUKA

というリフレインが耳から離れなくなる「それが宝塚」と、

宝塚の美しさと儚さを美声の若手娘役コンビが表す「雪月花」

 

そして和物にも関わらず、

それぞれの場面はなんとクラシック縛り。

 

雪の巻はヴィヴァルディの「冬」、

月の巻はベートーヴェン「月光」、

花の巻はチャイコフスキー「花のワルツ」。

特にベートーヴェンのアレンジは素敵だったなぁ。

 

坂東玉三郎氏が監修ということで、

何か目新しいものを押し出すのかと思っていたら、

和洋折衷な表現の中でも宝塚らしさをとても大切にしているのが分かり、

意外に「クラシカルな良さ」を湛えた作品だと思いましたね。

 

松本悠里・魂の舞を見よ

 

そして一番の見どころは、なんと言っても今作でご卒業される

松本悠里先生の魂の舞でしょう。

 

出番は2ヶ所、まずは前半の「雪の巻」。

暗い空、降り積もる白い雪の中に、

ぼんやり見えるのはずらりと並んだ深紅の鳥居。

 

帰らぬ人を思う刹那の舞は、やがて女の情念の渦となり

鳥居も螺旋を描き始め…って日本古来の美しさと言うよりも、

さながら外国人が思い浮かべる「Japanese Manga」の世界観。

 

そんな異界なイメージの中で、

一人静かに、情熱的に舞う松本先生は

さながら青い炎のような美しさが感じられました。

 

そしてラストの「我が心 宝塚」の場面は、

まさにこれまでの舞台人生の全てが表現されているかのようでした。

 

正直私、日舞ってさっぱり分からないんですけれども

最後、着物の裾を掴んで見返ってキメの瞬間、表情なんて、

「あぁ美しいな」と単純に思ったのと同時に、

先生のこれまでの舞台人生に思いを馳せずにいられませんでした。圧巻です。

 

※ところでこの場面、曲はテーマソングの「雪月花」なんですけど、

てっきり第1場と違う歌詞(松本先生仕様)を歌ってるのかと思ったのですが、

公演パンフを見たらどうやら同じっぽい?次の観劇でチェックします。

 

恒例:感想箇条書き

 

こっからは恒例の感想箇条書き編です。

 

・芝居の方でも思ったけれど、月城かなとの仕上がってる具合がヤバい。

冒頭の立ち姿からしてオーラ全開だし、

歌も(元々安定してますが)より上手くなった?

 

・風間柚乃、和物メイクが似合うなー!!

これまであまり意識してなかったですが、

白塗りで彼女の男役顔っぷりをやっと実感しました。

 

・咲彩&詩の下級生美声コンビによる「雪月花」が、超絶耳が幸せ。

「ここが天国…?」と思ってしまうほど。

 

・東京公演からは新場面「舞楽 越天楽」が追加。

月城かなとによる、疫病退散をイメージしたソロ場面です。

さすがの和服捌きは雪組出身ならでは。

 

とはいえ、薄暗い舞台で1人延々と踊るだけではさすがに寂しすぎでは…?

もちろんコロナ禍という制限があるんでしょうけれど、

もうちょい演出が欲しかったなぁ。

 

・月の巻は、まさに団体芸。

群舞表現が満ちていく月と呼応する演出はお見事でした。

2階からだと複雑なフォーメーションがより美しく観られて良かったです。

 

・花の巻、髪を流す月城かなとの色男っぷりにまず感嘆。

そして堂々と鏡芸をこなす風間柚乃にも感激。

この2人の組み合わせってなかなか無かったので新鮮でした。

 

・全体を通して、主演者でありトップスターである、

珠城りょうの安定感が凄かったです。

体格が良いから着物が似合うし、組の柱として君臨している感が良く出ていた。

まさに円熟期なんだなぁとしみじみ感じましたね。

 

総評:取っつき易い和物作品

 

感想を簡潔に述べるならば、

全体的に分かりやすくてとっつきやすい和物公演だったと思います。

 

初心者の方でも全然楽しめる作品だと思いますので、

気になった方はぜひ、

間もなく一般チケット発売の12月公演へ!!(宣伝)

 

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コメント

  1. トコオカ より:

    蒼汰 様
    いつも楽しみに拝読しています。出戻りのライトファンです。

    久しぶりに和物見られるー!と喜んで先月ムラに行ってきました。「ウエルカム ウエルカム 宝塚♪」が楽しくて、頭から離れません。皆でワクワクで良かったです!
    幕間で、ロビーの自動ピアノでも曲が流れてたので聴き入ってしまいました。
    月城さんほんと安定してますね。たまきちがズバッとハマった演技で、もう終わりが近いのかと思うと悲しみが…
    松本悠里先生もしっかり目に焼き付けたくて、おかわり観劇しました(笑

    東京では「舞楽 越天楽」があったのですか‼︎‼︎
    私は雅楽奏者なので、どんなものか見たかったです。くぅ〜。

    時代交代が進んでいく様をつぶさに見た感じです。これからの組動向も目が離せませんね。

  2. こっとん より:

    今回の和物ショー、すごく好きです!
    最初のチャンパで心を掴みつつ覚えやすいキャッチーな主題歌のおかげで舞台の世界に入りやすかったのかもしれないです。
    正直和物はとっつきにくさがありましたが、このショーは本当に見応えもあって楽しい!

    こないだのライブ配信では3時間観た後もずっと「Welcome! Welcome! TAKARAZUKA〜♪」と口ずさんでいました。というか今でも頭から離れません。。。
    チケット申込もしちゃいましたし、iTunesでCD音源も買う予定です。笑(たぶん出ますよね、、?)

  3. 甘栗プリン より:

    こんばんは!

    伊集院少尉ロスから立ち直れないと思っていたのですが、月組公演のチョンパから号泣(笑)

    松本さんの舞いは恋する乙女心が可愛らしく、宝塚人生の最後の舞台をつとめる覚悟みたいなものを感じてさらに涙が止まりません。

    代役のいない、約100公演をあの重いかつらと衣装で舞う姿は、まるで18歳の乙女です。

    ピガール狂想曲はただただ楽しい!
    フィナーレもロケットで笑いがおきたのは初めての体験でした♪

    是非観て欲しい公演です!

  4. ころもち より:

    ねー、2階席よろしいでしょう?
    例年、東京は初舞台生の口上とロケットがなくて残念ですね、と思う関西のおばちゃんですが、今回は月城さんの新場面が追加されたと聞き、ご覧になれる東京の方がうらやましいです。上級生男役のロケットもちょっと見たいなあ。

    全体を通して、次は「あなた」なのね、とびしびし感じましたけど。

  5. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。「ロマンシングサ・ガ」を当時ずっと「ロマンシング・サガ」と思っておりました地方民です。(汗)私はスーファミ世代だもので。あれ、リメイクでは「ロマンシング サガ」になってて、結局どれが正しいのやら。

    ピカーン 閃いた! 乱れ雪月花! テンション上がりましたよねえ。

    坂東玉三郎氏は、バッハの曲に合わせて日本舞踊を踊られたり、インタビューで子供のころ越路吹雪のファンだったとおっしゃっていたり、少女歌劇的なものに理解のある方と思いますので、いろいろ貴重なアイデアをくださったのでしょうね。

    小林一三氏は洋楽による国民劇を夢見ていらしたそうですので、一三氏がこの公演をご覧になったら、夢がかなったと喜んでくださると思います。

    しかし

    宝塚はブロードウェイミュージカルだろうが、日本舞踊だろうが、どんな素材でも取り込んで宝塚風味にアレンジして、今のお客に提供できるノウハウがあって、そのノウハウこそが伝統なのでしょうが、

    歌舞伎は基本、数百年前の近松門左衛門や鶴屋南北の原作を、役者の15代くらい前のひいひいひい(略)じいさんが初演した頃の演出の型で、今のお客を相手にビジネスとしてペイさせて、さらに後世に伝えていかねばならない。

    大変なことをなさっているんだなあ、と尊敬します。

  6. ワシントン より:

    いつもブログを楽しくにしております。

    珠城さんのトップとしての完成度が分かる作品でした。よくなぜ珠城さんが早期抜擢されたか分からない人がいらっしゃるようですが、月の場面を見れば一目瞭然です。しゃべ化粧をして、みんな似たような衣装を着て、あの団体で一人だけ目立つのは非常に難しいと思います。まず圧倒的真ん中感とスター性とビジュアルがないと無理ですね。

  7. めい より:

    あの場面「舞楽 越天楽」というのですね。
    一番好きです。
    余計な装飾のない舞台に一人舞う月城さんの美しさたるや…
    緊張感が心地良かったです。
    十分ひとりで舞台を埋めていましたし、トップ就任に一番いいタイミングは今だと確信しました。

    • おと より:

      いつもご賢察にいたく感心しております。

      今回は月城さんがすごく飛躍されたと思いました。ほんと、一皮どころじゃなく、何皮も剥けた(笑)
      でも、観劇して思ったのは、月城さんがのびのびやっていられるのは、珠城りょうさんが土台をがっしり固めているから。ピガールもですが、WTTで顕著にそう感じました。
      早期抜擢すぎて、とかく何かと言われがちな珠城りょう。
      でも、本当に円熟期ですね。今の珠城さんは、トップの風格が滲み出ています。近づく終わりが見えて、それはそれで寂しいのですが。
      珠城さんと月城さん(と、月組の皆様)、とても充実してらっしゃるなと、胸が熱くなりました。

      でも、実は私が一番泣けたのは、ムラでの初舞台生口上の、光月るう組長なんですよね。
      この感激を忘れずに精進なさいよ、って語りかけるところ、もう、優しくて…見ている私が感涙しました。