宝塚歌劇団全演出家の通信簿③・レジェンド編

 

宝塚歌劇団所属の演出家について、

ざっくばらんに語ってみようシリーズ第三弾。

 

本日は「伝説&若手&苦手」編の予定だったのですが、

思いのほか長くなってしまったので、

まずはレジェンド編で切りたいと思います。

 

私なんかが宝塚のレジェンドについて語るのはおこがましいのですが、

今回も個人的な好き嫌いについて、

ストレートな書き方をしていますのであらかじめご容赦下さい。

 

【個人的に好きな演出家編はコチラから】

【打率高めな演出家編はコチラから】

宝塚が誇るレジェンド演出家たち

植田紳爾

 

宝塚演出家の最古参にして、

過去には劇団理事長にも就任歴有りの、まさに生きる伝説。

 

『ベルサイユのばら』『風と共に去りぬ』を生み出した演出家であり、

最近だと轟悠のラスト作『婆娑羅の玄孫』を担当。

 

もちろん今見返すと作品のノリは相当古いのですが、

当時はきっと革新的だったのでしょう。

 

『ベルサイユのばら』は宝塚における歌舞伎のようなもの。

古典芸能だと思って皆さん心して見ましょう。

 

柴田侑宏

 

宝塚が誇る伝説のヒットメーカー。

『仮面のロマネスク』『黒い瞳』『哀しみのコルドバ』など、

現在も全国ツアー公演は彼の再演が多く、

劇団がいかに彼の作品を信頼しているかが分かるというもの。

 

気高い男女の生き様、あるいはその心の機微を

生き生きと演出してみせる内容が多く、

そのクオリティの高さは現代にも通じるほど。

まさに宝塚of宝塚な作品ばかりです。

 

酒井澄夫

 

代表作として『ガイズ&ドールズ』がありますが、

基本的にはレビュー作品をメインに活躍されていた演出家。

 

長く新作を作っていなかったものの、

星組『Éclair Brillant』で登板したのが記憶に新しい。

 

不思議な煌びやかは特に星組との愛称が良く、

実際、登板も多かった模様。

 

岡田敬二

 

代表作は「ロマンチック・レビュー」シリーズ。

まさに宝塚らしい夢々しい華やかなレビュー作品が特徴。

 

ハッキリ言うと、作品のノリが平成初期で止まっていて、

最初見た時は「世界観が古い!!」と思ったものです。

 

が、見ていると現代のスターが

まるで平成初期にタイムスリップしたかのような気持ちになり、

「これこそが宝塚…」という謎の感動を起こしてくれる作品が多いです。

 

草野旦

 

『サザンクロス・レビュー』『Red Hot Sea』など、

ラテンのリズムで宝塚のショー作品を牽引してきた大先生、理事歴有り。

 

最後の作品は霧矢大夢主演の、月組『ONE』。

…彼の作品をちゃんと最後まで見たことないので勉強しておきます。←

 

三木章雄

 

JAZZが好きな先生で、直近では月組の『FULL SWING!』を担当。

また各組の「NEW WAVE」シリーズも演出されていましたね。

 

特徴は、著作権を一切気にする様子が無いこと。

よって円盤待ちファン泣かせでもあります。笑

彼の作品は生で見てこそ、ということなのでしょう。

 

正塚晴彦

 

代表作は『メランコリック・ジゴロ』。

常に男の美学を極め続けている演出家で、

とにかくスーツ、謎の組織、そして心の声。それが正塚作品。

 

宝塚らしい夢々しいフェアリーな世界観とは程遠いですが、

これはこれで一つの宝塚芸なのかな、と思えてしまう不思議。

 

彼の作品をちゃんと演じられるようになってこそ、

男役として一人前になった証かもしれません。

 

谷正純

 

愛称は「皆殺しの谷」。

代表作は…やっぱり『CAPTAIN NEMO』かな?笑

 

とりあえず登場人物がほとんど死ぬのが特徴で、

大劇場最後の作品と銘打ち生み出した星組『ANOTHER WORLD』は、

既に全員死んでいるという自分自身でメタってしまう程。

 

また、オペレッタや落語といった様々な文化を

積極的に宝塚に取り入れているのも特徴でしょう。

 

荻田浩一

 

ラストは番外編、ということで途中で、

宝塚を辞めてしまわれた演出家から荻田浩一先生をご紹介。

 

前回のコメント欄で荻田先生が好きだとおっしゃる声が多かったのですが、

奇遇ですね…私もです。

 

なんなら小林理事長時代で一番好きなオリジナル作品は

『マラケシュ・紅の墓標』であるくらい、大大大大大大好き。

 

『タランテラ』『バビロン』など、

とにかくダークでミステリアスな雰囲気の作品が多く、

だけどその中にある救済、差し込む一筋の光、

みたいなものを描ける天才だと思います。

 

が、作品のノリが宝塚に合わなかったのでしょう。

現在は劇団を去り、外部で活躍されています。

 

その他、宝塚を去った人たち

 

とりあえずこれでレジェンド枠はフォロー出来たかな?

 

wikiを見ながら書いていったのですが、

正直見たことも聞いたこともない演出家の先生もチラホラいました。

我ながらまだまだ勉強不足ですね。

 

また、宝塚所属の演出家のはずなのに、

最近はあまり登板していない先生方もいるのですが、

(『逆転裁判』『戦国BASARA』などゲーム原作作品を多く手掛けた鈴木圭先生など)

このあたりを掘っていくと深みにはまりそうなので止めときます。笑

 

次こそラストの若手&苦手編に続く!!

 

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コメント

  1. より:

    こんにちは
    演出家通信簿楽しく拝見しております。ちなみに私も田渕作品好きです。
    さて「ノバ・ボサ・ノバ」は亡き鴨川清作の作品で、彼亡き後、お弟子さんだった草野旦先生が演出を引き継ぎました。
    なので草野先生の代表作と言うにはちょっと違うような気もします。
    草野作品は花組「The Fascination!」のメドレーでも歌われた「オペラ・トロピカル」(ひたすら愛、愛、愛と連呼する歌)などラテン系のエネルギッシュなものが多いですが、一方で「ショー・アップ・ショー」や「ジャンクション24」など都会的な作品もあります。
    昔の作品ですが、今見ても色褪せていないと思うのですが。
    是非多くの方に見ていただきたいけれど、なかなかスカステ放送はありませんね。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      わわわ、ご指摘ありがとうございます。勉強不足で申し訳ないです…訂正させて頂きました。
      ジャンクション24は是非見てみたい作品なんですが…なかなか見られず残念です。

  2. ちょっこー より:

    僕、木村信二か苦手なんですけど、共感してほしかったから次の苦手コーナーちょっと見たい

  3. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、拝見しております。
    ほんとに面白い企画ですね、率直に、楽しい!です。

    花組の「マラケシュ~」は、祖母に連れられ新公を観劇しました。
    長い手足の朝夏さんの立ち姿に、魅了された記憶があります。
    「仮面のロマネスク」は、そろそろ再再再(?)演していただけたらなぁ、と思います。
    続編も、楽しみにしています。
    PS.
    蒼汰さんが、ご自身のブログでストレートに好みを表現される事は、誰に遠慮する必要もないかと思います。
    影響力云々で、控えるようにと諌めるコメントを、以前みかけましたが、それは読み手側の問題で、納得なら影響されます、で、いいんだと私は思っています。

  4. あやこ より:

    今の時代それは怒られるぞオイ、みたいな作品を、おじぃのレジェンドが美しい世界観で紡ぐ感じも、逆に新鮮だったりしますよね。
    1月の月組大劇場観劇の際、小池先生と野口先生が道端で立ち話をしているのを目撃。誰かに自慢したかったので、ここに記します笑。
    やっぱりソウタ氏、あの先生やあの先生が苦手とは。。。(うすうす気づいてたけど笑)
    ドキドキしながら次回を楽しみにしておきます。

  5. まぁな より:

    いつも楽しく拝見しています。

    個人的な好き嫌いをストレートに書いていると言いつつ、今回のレジェンド編はかなり遠慮を感じたのですが、さすがにレジェンドをあれこれ言うのは憚られたのでしょうか。気にせず率直なところをお伺いしてみたいです。

    ところで、ダル・レークの恋は酒井澄夫先生ではなく、菊田一夫先生の作品ではないでしょうか。酒井先生もかなり潤色されているようなので、判断に困る部分もあるかもしれませんが。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      た、確かに。正直なところ、こき下ろせるほど作品自体を見てないなって思ってしまったのも事実。私が言えるのは古っ!って思ってしまってことくらいかなと。
      ダルレークの件、ご指摘ありがとうございます。少し訂正させて頂きました。

  6. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    オギー先生が大劇場で傑作ショーを連発していたころ、ちょうど関西に住んでいたので、幸運にも何度か拝見して、今も忘れ難い作家さんです。

    ものすごく熱狂的にハマる方がいるのはわかるんです。個人的には、作品にただようメメント・モリ「死」の匂いが、小池先生の作品に出てくる、人格を持ち恋をする「死神」とか「悪魔」ではなく、

    人格なき「虚無」「虚空」。「タブーを犯すDNA操作で作り出された、この上なく美しく人工的な徒花」。

    生きてしゃべってさんざめく現実の娘よりも、ピグマリオン的な、このうえなく精巧で美しい人形を愛しているような。人間そっくりなロボットの、瞳の奥を覗いた時の「生きていない!」とぞっとする感覚を美しく表現されていて、私にはちょっと怖かった。

    稀有な美的センスの先生でしたねえ。

    先日の愛月ひかるの「死」が、おそらく小池先生の想定を超えてバズったときに、オギーショックを思い出しました。

    大衆娯楽としての宝塚の枠で考えたら、A日程のほうが正当でしょう。B日程は宝塚的にはちょっと想定外に溢れちゃった異端。

    荻田先生がいたら、愛月ひかるをミューズに凄い作品を書いてくれたのかなあ。

    宝塚は基本大衆演劇で「人間っていいな」というメッセージを出すところだと思うので、荻田先生には合わなかったのかなあ。

    今はOSKでショーを作って活躍されていますが、映像を見ただけの感想は、

    OSKの「へこたれない!雑草の花!」精神と、オギーの「自然界にはありえないDNA操作で作り出された、この上なく美しく人工的な青い薔薇」を志向する精神がマッチしていないのでは?感が(予算の壁も大きいとは思う)

  7. もひもひ より:

    オギー、荻田先生を取り上げて頂き、ありがとうございます
    『マラケシュ・紅の墓標』も大好きです
    2005年花組、91期生の初舞台であり、樹里咲穂さんの退団公演で、
    酒井澄夫先生のレビュー『エンター・ザ・レビュー』と併演されたやつで

    酒井先生とオギーは前年の星組公演で、お芝居とショーを担当してて、
    逆ときたか!と思いました。

    紅ゆずるさんがトップ在位の大劇場5公演のうち、ショー・レビューを
    2つも酒井先生が担当されてて、好きなんだなあと思いましたね
    ※退団公演のéclair…ですが、『ブーケ ド タカラヅカ』もです

    北翔海莉みっちゃんは岡田先生や谷先生にお願いした感じですよね

  8. MS より:

    ベルサイユのばらは古典芸能なんですねー。
    ベルばらの初演で宝塚にハマったので、今の若い方にはそうなんだーとしみじみ。
    あまり宝塚に興味がない娘が、もしベルばらがあったら誘ってって言ってましたが、実際に見たら、歌舞伎に思えるのかなあ〜(笑)
    荻田先生は少し苦手でしたが(でもマラケシュは子育ても一段落で、よく観にいってました)、その世界に入り込んでしまう感じは、キラキラベルばらと同じでした。
    どう表現していいのかボキャブラリーが乏しく表現出来ませんが、別空間にいる感じが宝塚なんですよね。その空間の好き嫌いはあるのですが、やはり宝塚が好きで演出されてる劇団の演出家さんは、観客に観せるのではなく、別空間に連れて行く力がある方が多いな、と思います。そこが、他の舞台と違う所なのかなと私は思います。

  9. ある雪担 より:

    はじめまして。
    初コメで、ドキドキしつつ書いております…生田先生、大好き雪組担です。
    個人的に、谷先生は和物を演出させると絶品になるイメージがあります。「ささら笹舟」や「銀二貫」、壮さんの「心中・恋の大和路」も谷先生の演出だったはず…雪組との相性が良いのか、和物の見せ方が上手いのか…とにかく、谷先生演出の和物は一見の価値ありと思ってます!

  10. エマ より:

    こんにちは。
    正塚先生について、老婆心ですがお伝えいたしたく、コメントいたします。

    正塚先生は、久世星佳さんとコンビを組んだときに大変評判になりました。
    なかなかスカステでも放映しないと思うのですが、
    blufとwanted を見る機会がありましたらおすすめいたします。
    正塚先生の世界を、余すところなく久世さんは表現していました。

    久世さんに出会ったことで、逆に正塚先生は作家として幅を狭めてしまったのではないかと思うぐらい
    最高のコンビでした。

    久世さんの渋さやいぶし銀の輝きは正塚作品の主人公にピッタリでした。

    今で言うと、珠城りょうさんと上田久美子先生みたいな感じでしょうか。

    なので、久世さんの退団公演に真風さんが再演されたバロンの末裔を書いています。
    当時、バロンの末裔のキジ撃ちの丘の場面は物凄い緊張感で、涙したものです。