トップスターの座はゴールではない

「結婚」をテーマに絵を描いて下さい、というと

ほとんどの子供(特に女児)は「結婚式」の絵

もしくは「ウエディングドレスを着た私」の絵を描くのだが、

 

年齢が上がるにつれて「夫婦でご飯を食べている」絵や

「子供と一緒に遊んでいる」絵に変わっていくんだそう。

 

これは、結婚というものが人生の目的かつゴールではなく、

あくまでも通過点であり、長く続く第2の人生の始まりに過ぎないと

内在的に気付くようになったから、と心理学的見地より言われています。

 

トップスターになるということ

 

宝塚に入ったからには、

ほとんどのタカラジェンヌはトップスターに憧れるし

なれるものならなりたいと思うはず。

 

そしてそれは応援しているファンも同様で、

自分のご贔屓には是が非でもトップに立って欲しいと思うものでしょう。

 

ですが、トップスターに立つというのは確かに1つのゴールではありますが

その後に続く、長く険しく果てしない、

トップスターとしての人生の始まりに過ぎません。

 

トップスター、つまり舞台の主演者としての重圧、

「人気」という舞台興行の競争社会に晒されながら、

常につきまとう賛辞と批判、身体的かつ精神的疲労。

 

せっかくトップに立ったなら、人気スターでいたいだろうし、

欲を言えば代表作を生み出したい。

少なくとも、不人気トップという不名誉だけは与えられたくないと

誰しもが思うはずです。

 

そう、トップスターというものは

いかにしてトップスターになったか、が問われるものではなく

どのようなトップスターであったか、という質と内容が問われるものなのです。

 

 

そしてその価値観は、

運営団体である劇団側も同様に持っていると言えるでしょう。

 

宝塚歌劇団としては、育成ゲームよろしく

スターの卵たちをどのように生育させるかももちろん重要なのですが

最終目的地は「いかに収益を出すか」であり

それはつまり「どのトップに」「何をさせて」収益を出すかに他なりません。

 

93期と95期のトップ就任事情

 

さて、現在トップスターに王手をかける正2番手スターは

宙組・芹香斗亜と雪組・彩風咲奈の93期コンビと、

花組・柚香光と星組・礼真琴の95期コンビです。

 

そしてご存知の通り、花組と星組の現トップが退団を発表。

何も起きなければ、このまま正2番手がトップに立つのが通例ですから

それはつまり93期生よりも95期生が先にトップになることを意味しています。

 

皆さんは、これを可哀想なことだと思いますか?

私は全く思いません。

 

前述の通り、トップに就任する順番なんて些細なことであり、

それよりもトップに立って何をするかの方が限りなく重要だからです。

 

劇団側もそう思っているからこそ

これまでもトップ就任において学年順が逆になることが頻発してきたし

だからこそ高齢トップという肩書きを持つスターが生まれてきました。

 

ですから、例えば芹香より先に柚香が花組にトップに立ったとしても

これは芹香が「可哀想」なのではなく、

花組は柚香が、宙組は芹香がトップに立った方が

より収益性が高いだろうと劇団が判断したからにすぎませんし、

 

もし芹香が花組に落下傘して先にトップに就任したとすれば

芹香が「可哀想」だから先にトップにした訳ではなく、

その方がより収益性が高いだろうと劇団が判断したからにすぎません。

 

「トップ就任」にまつわる価値観の変容

 

宝塚が不入り気味でタニマチ文化だけで支えられた時代は

「就任興行」と「引退興行」で稼いでいた節があるように思います。

 

とにかく枠が開けばトップにさせたいスターをそこに突っ込み、

1作でも2作でもトップにさせて就任&引退興行で稼ぐ。

 

だからこそあれだけ組替えや落下傘、

ワンギリ人事などが頻発していたのでしょう。

 

少なくとも今の宝塚は、そんな人材の使い捨て的価値観から脱却し

多角的な方向から収益を生み出すよう、

非常に計画的に事業を進めているよう変化したと見受けられます。

 

組(トップ)カラーを明確に打ち出したり、

トップから次代へ引き継がれるよう入念に準備をしたり…。

ですから、組替えが減少傾向にあるのは当然だと思います。

 

 

そして少なくとも、芹香・彩風・柚香・礼の4名は

本人の意思が変わらない限り絶対にトップに立つスターたちであることは

もはや変えようのない事実です。

 

ですから、彼女たちの就任順なんてもうどうでも良くて、

どんなトップスターになって、どんな演目を、どんな生き様を魅せてくれるのか。

それだけが今後彼女たちに求められることであり

劇団は、どうお膳立てするかが求められていると言えるでしょう。

 

言い換えれば、次の花組・星組が誰がトップに立とうと

それが劇団として「最大限の収益」と目算して出した答えであるからして

突き放した言い方をすれば、ファンとしてはそれがどのような答えであろうと

受け止めて楽しむほかないのかもしれません。

 

 

ちなみに、劇団が求めているのは「収益」であって「人気」ではありません。

その収益性は、私たちファンが見ることのできない「大人の事情」もあり、

色々な事象が複雑に絡み合って試算されるものなのでしょう。

 

だからこそ一ファンには理解し辛い点も多いのがトップ人事なのですが…

果たして、どのような結論になるのか

今から楽しみですね!!

 

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コメント

  1. kaduraki より:

    お膳出せではなく、お膳立て、ですね。

  2. ともじの嫁 より:

    こんにちは!お久しぶりです。天候不順ですが、大丈夫ですか?
    ファン歴浅い私ですが、みりおちゃんが、トップになることを告げられた瞬間の映像を観る度に、下級生や本人が一瞬喜んだ表情と、上級生の複雑な表情が印象的で、トップになるために組替えさせられ、本当に本当に苦労して今の状況を作り上げたんだなぁと思います。でなければ、組替えが辛かったと、良識あるみりおちゃんが退団会見で言わないと思いますので。←スカステでは、カットされていましたが。。
    トップ候補の四人がどんなトップさんになっていくかとても楽しみです。
    色々な色のトップさんが輝き、宝塚歌劇が、益々盛り上がっていくことを願っています!
    先週、東京へ行って生のCASANOVA観てきました!やっぱり生が一番!ライブビューイングでは、舞台の奥行や、全体を見られませんからね。
    組替えして、勝手が違い、何が何やらで、毎日バタバタで疲れていた心を癒してもらいました~!宝塚歌劇が私の一番のオアシスです!
    更新を楽しみにしています。では!

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      謎の準トップ体制から組替えしてトップへ…想像難しくないほど大変だったでしょうね。
      現在の2番手陣は芹香さん以外組替え未経験ですが、それでも素晴らしいトップさんとなり、盛り立ててくれることだろうと思います。
      私も今週やっと生舞台で見てきますので楽しみです‼新しい環境でもご活躍されることをお祈り申し上げます。

  3. annie☆ より:

    フムフム…また、納得させられるご意見に感心しきりです。
    早かれ遅かれこの4名はトップになることは間違いないのでしょうから、あとはその人にとっても劇団にとっても誰が今、旬なのかが大切な見極めどころ。
    本来二番手というのは役者にとって一番楽しくおいしい位置だと思いますのでキキちゃん咲ちゃんには謳歌してほしいと思います。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      そう「旬」問題があるんですよねー。本人のコンディションと運営的情勢が一致しないこともあるのが難しいところです。
      93期の2人はせっかくのポジションですし、美味しい時間を享受して堂々たるトップさんになって欲しいと私も思います。これからが楽しみですね‼