祝・新体制!!宙組『Xcalibur』感想

 

宙組『Xcalibur』をライブ配信で観劇しました!!

 

本当は別の予定があったのですが、急遽キャンセルになりまして、

こりゃ幸いと新体制宙組をたっぷり堪能させて頂きました。

 

ざっくり感想、参ります。

 

真・宝塚らしからぬ作品

 

とりあえず第一感想としては、驚くほど全く宝塚っぽくない作品でした。この「宝塚らしからぬ」という評価は、例えば最近だと星組の赤黒でも抱きましたけれど、これは「宝塚だからこそ表現出来る宝塚っぽくなさ」という、ある種逆説的な評価であり、かつ意外とそういう作品もそこそこあるため一つのジャンルとして確立されていますが、本作はそんな「宝塚らしからぬ」とは次元が全く違います。例えるなら、ゲームが原作にある2次舞台作品みたいな雰囲気でした。夢々しい世界観ではなく、退廃的だし舞台上のキャストも少なくて、違う意味で池袋っぽいというか。まぁ2024年の宝塚110周年に『ファイナルファンタジー』の上演が決まっている宙組ですから、その前哨戦的役割なのでしょう。

で、肝心の中身はというと…まぁ私は普通に楽しめたかな。ただ、これは家のテレビで茶々を入れながら見たから楽しめたのであって、生の舞台で観た時にどう感じるでしょう?話はブツ切れで展開が動く瞬間だけ猛スピード、その隙間を歌いまくって誤魔化すような作品と言えなくもないかなぁという感じ。ハッキリ言えば、情緒が無いですね。とはいえ私は中世風RPGな世界観が大好物で、ビジュアルの完成度や舞台の仄暗さ、物々しい音楽と救われない物語が色んな意味でマッチしていて、そこそこ楽しめました。

たださぁ…元も子もないこと言いますけど、私あんまり「アーサー王伝説」自体が好みじゃないんですよね。爆。そのわりに宝塚はアーサー王伝説が好きで、何せ宙組第1作目からしてエクスカリバーなわけですけど、そんなに人々の琴線に触れるような大傑作ですかね?ヒロイン寝取られちゃうし、兄弟姉妹関係が絡んだ愛憎劇って、個人的に苦手意識があるんです…。なので「作風は」好みでしたけど、「作品」として好きかと言われたら、まぁって感じ。けど、今の宙組生の歌唱力の高さと、ビジュアル系がハマるメンツで上演出来た意義は感じる一品だったと私は思います。

 

ざっくりキャスト感想

 

では、ざっくりキャスト感想を。

まず、主演を務めた芹香斗亜。トップ就任、本当におめでとうございます!!冒頭は研17就任とは思えない爽やかさが素敵で、2幕からの闇堕ちモードは得意の三白眼がカッコ良かった、そして途中のNTRやさぐれモードは不憫でなんとも言えず…。笑。ま、抜群なスタイルの良さで中世の衣装を見事に着こなし、画面のこちら側で圧倒されてしまいました。

そしてヒロインの春乃さくら。むむむ、想像してたよりもちゃんとヒロインしているぞ???声質も発語も綺麗で、溌剌とした美しさと華麗な身のこなしも素晴らしく、芹香斗亜との並びが想像以上にイイ!!まぁ立ち振る舞いが完全に仙名彩世のソレですが、このちゃっきり系歌ウマ特化枠(仙名→真彩)は一定の訴求力がありますし、ちょうどポッカリ空いている枠ですから、彼女のトップ娘役就任は大正解としか言えないな、と本作を観て改めて思いました。いやー、本当に綺麗になりました。

2番手を務めたのが桜木みなと。芹香・春乃に並び、歌ウマトリデンテとして大活躍でしたね!!1幕は後述の目立つ2人に出番的に抑えられていたけれど、2幕からは大活躍!!新2番手としての覚悟からか、ガッシリとした立ち姿で安定感がありました。

そして、果たして書く順番がここで良いのか分かりませんが、モーガン役に大抜擢となった真白悠希の活躍っぷりですよ!!これ、完全に裏ヒロインにして2番手格よな?スター専科が取っても良いくらいの役だったのに、それを研6の(現時点で)非路線スターが取り、それをまた上手くやってしまうのが凄い!!上手いうえに男役だからこそ表現出来る芯の太さは、登場シーンから中世っぽさを描き出し、まるでジャンヌダルクのような雰囲気。歌は男役だけあって高音がキツそうでしたけど、それを迫力と芝居でカバーしていました。あと、もともと芹香斗亜と顔が似ているので、姉弟と言われて納得出来る設定なのが面白いですね。改めて凄いデビュー戦だったと思います。

同じく、別格枠として大活躍だったのがマーリン役の若翔りつ。圧倒的な歌唱力と、ほんの少しのお茶目なセンスで場を攫う上手さが流石でした。そして前から思ってましたけど…顔立ちが望海風斗に似てません?今回は化粧の具合でより似ていた気がします。朝の顔としても活躍し、今作で本格的に宙組別格のドンとして歩みを進み始めた印象です。

番手上は3番手格なはず?な大路りせは期待の若手枠としてちょいちょい美味しいところを取っていましたね。新公主演を経験し、一気に垢抜けとーーっても美形でした。一方、同期としてニコイチで上げられていたはずの泉堂成が完全にストップ。宙組としては想定外の人気の上がり方だったんでしょうかね?使われずちと残念でした。

 

新体制宙組が楽しみ

 

本作は瑠風・優希・鷹翔・風色・亜音という中堅組がごっそり抜けた関係で、前任が長過ぎて体制的に変わり映えせず見飽きた宙組という印象はなく、すごーーーーーく新鮮なメンツで楽しめました。今の中心チームは全体的に歌唱力が高く、さらに大人スタイリッシュなビシュアル系という強味もあって、非常に心強い。何より、芹香斗亜&春乃さくらが想像以上に良いコンビで、これからの宙組がとても楽しみになりました。

コロナ禍以降、長く滞留していた宝塚人事ですが、すっきりさっぱり動き出した芹香政権宙組を、応援したいと思います。

 

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コメント

  1. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、興味深く拝見しております。
    配信、みました。
    爽やかに登場した芹香さん、久しぶりにみたような気がします。その後の変貌ぶりはもう、さすがの芹香さんでした。
    ちゃっきり系歌うま特化枠~、には、思わずニンマリしてしまった。
    あらためて、春乃さんのトップ娘役就任、本当に良かったです。
    今後の本公演での一本物に、海外ミュージカルがきますように。
    コーラスの宙組+歌うまトップコンビ。新体制の宙組、楽しみです。

  2. との。 より:

    こんにちは!
    いつも楽しく拝見させていただいております。
    芹香さん。春乃さんのならびいいなぁ。
    桜木さんも流石の安定感だな。と思いつつ、
    わたしもやっぱり若翔さんと真白さんに
    吸い寄せられてました。
    真白さんはカルトワインでお芝居が上手いひとだな、
    と初めて認識したのですが、先日の新人公演でも流石のツバイシュタイン、M長官。
    ディナーショーでも活躍されてましたね。
    圧倒的な真ん中ヂカラ。
    なんとまだ新公主演、されてないのですね。
    新人公演主演、見てみたいっ。
    いま、宙組で1番気になる方です。

  3. きのこ より:

    こんにちは

    いつも楽しく拝読しております。

    若翔&真白コンビは裏の主役というか、主演コンビより感情の渦が大きくて二次創作好きなタイプのオタクに刺さるカップリングでしたね。

    若翔りつさん、望海風斗さんに似てるのわかる〜!って感じです
    多分目元と骨格が似てるんだと思います。望海さんの方がより全体的な線が丸みがなくシャープで硬質な印象ですが……
    (望海さんがHBの鉛筆の書き味だとしたら若翔さんは2Bの鉛筆の書き味、みたいな)
    特に舞台化粧をしたら似てますね……マーリンのビジュアルは20世紀号のインチキ・イエス=キリストを思い出しました。

    真白くんは芹香政権下ならわんちゃん新公主演できるでしょうし、して欲しいんですけど宙組は本当に新公主演者多すぎますねぇ
    主演した人で縛りない人はどんどん組替えして外でチャンス掴んで欲しいですね……
    あと成くんも1回でいいから新公主演して欲しい……そのあとは組替えしていいから……(私情)

  4. コスモスハート より:

    蒼汰様

    韓国ミュージカルの宝塚版上演、鍵は歌唱力だけど、大健闘でした。
    ライブビューで映画館で観ましたが、思ったより人が少なかった。
    私が楽しみにしていたのは、ランスロットが片思いで自分の気持ちを封じ込める心情を歌うところ。cdにて韓国語で何回も聴いていた歌。
    情緒、という意味では本家の方が情感たっぷりだった。正直、韓国語がよく分からないにも関わらず、伝わってきた。
    ずんちゃんのおかげで意味がわかった。
    ランスロットが死ぬところ、泣きそうになった。しかし、人気作か?
    うーん、キラキラ感0なんで無理もないか。
    円卓の騎士が格好良く、印象に残るべきだけど、と思うのだが、なぜかウルフ側の敵チームの登場とダンスに気持ちが引っ張っていかれた。
    普段の専科の役のイメージにないメイクやヘアスタイル、誰??で驚いたせいもあるけど。

    大路りせ君はアーサーチームと敵チームの息子の両方掛け持ちだから、切り替えも大変そう。
    もっと悪くなってもいいよ、と心でエール送っていた。

    日本で育った人が表現するのと、常に隣国に侵略されてきたり、韓国では男性は兵役経験がある人が演じているので、迫力とか、危機迫る感じとか、違ってあたりまえかなとも思う。

    お父さんを思う息子として、好きになった女性に対して、兄と慕う友人に対して、全部失った、失敗したのかな。と嘆く。
    だけど王として一人立つ姿は、舞台のセットが、うまいこと王冠になって、宙組のスタートと決意表明がリンクしているようで、結構感動した。
    ブルーレイ買いたい。
    しかし、戦いは無くなってほしい。昔は剣で、今はもっと破壊力と、至近距離での戦争でないため、無差別殺人となる。哲学も尊敬の念もない。
    アーサー王のドラマで色々考えさせられた。

  5. ずんだもち より:

    トップコンビが替わるとこんなに雰囲気が替わる。
    キキさく、キキずんは今までお芝居では殆ど絡みがなかったので新鮮でした。
    キキちゃん歌って歌って歌いまくってましたね。「舞台袖に入ったらステーキ」の冗談もなるほどでした。
    さくちゃんは緊張もあってか出だしは高音が辛そうでしたが、エンジンかかってくるとやっぱりすごい。
    見た目、声質、芝居、芹香と良いコンビになれると思います。
    ずんちゃんはようやく学年に合った役柄になりました。繊細な芝居と独唱も頼もしい。それだけの力は蓄えられているはず。でなきゃ今まで何やってたん?になってしまいますから。
    育てたい生徒は大路りせ ですね。悪役としてなかなかの存在感ありました。
    そして裏主人公のモーガンとマーリンは圧巻!既にあちこちで語られてますので私が言うことはありません。
    雪輝れんや と 有愛きい も短いけど難しそうな歌をこなしてました。真名瀬みら は殆どモブの騎士団のコーラス隊長かな?
    コーラスの宙組の面目躍如の舞台でした。

    「アーサー王伝説」は良くも悪くも男性演出家がやりたいものなのでは?
    フツーの男が“選ばれし者”になり、愛と友情、裏切り、そして許し、親友の死。元祖少年マンガ王道じゃないですか。
    私は男性演出家の作品に「少年の日の夢をジェンヌで叶えよう!こんな男に成りたかったシリーズ」と密かに命名しております。

  6. みふゆ より:

    蒼汰さん、こんにちは。
    エクスカリバーをスカパーで放送された韓国版→劇場→配信で3回見たのですが、初見で見た韓国版と生観劇ではワイルドホーン作曲の音楽の良さと出演者の熱演で素晴らしい!!感動!!という感想になったものの、配信で見ると私も蒼汰さんと同じく脚本と演出のあれれ?なところが目につきました笑
    まあストーリーは韓国版と変わらないのでどうしようもないとして、稲葉先生のお芝居演出がアナスタシアの時と変わらず単調で面白くないかな……と思ってしまいました。個人的には若谷先生や他の先生だったらどう料理かな、とどうしても思ってしまいました……
    でも芹香さんはじめとするNEW宙組メンバーの歌と演技が最高だったので、Blu-rayが販売されたら買っちゃいそうな満足度の高い公演だったと思います!

  7. まるこ より:

    愛ある感想をありがとうございます。劇場では祝祭ムードと迫力に騙されているところもありますが、やはり配信は音も抑えめ、冷静に物語を追うと… そう、追っては負けです(笑)でも私は神話や英雄伝説に込めたその時代の人々の希望、人間は超自然の前では弱いけれど強い、というど真ん中メッセージを受け取りました。蒼穹の昴の春児でも感じたように。

    唯一、110周年制作発表の時にも書かれていた「ファイナルファンタジー前哨戦」についてはワイルドホーンファンとしては黙っておけません(笑)

    ミュージカルに関係する者にとってはワイルドホーンの楽曲を歌えることは大変名誉なことと思っています。知人のミュージカル俳優が今作品、しかも日本初演を大変羨ましがっていました。

    あとやはり、特に宙組はワイホ縛りが今後のトップスターも最低1作はあるのかと思っています。梅芸でフランクwithフレンズをやっていますが、和央さんと結婚されてから出演者が和央さんと海外スターになり、集客も厳しそうですし。また韓国μの輸入も宝塚にとってこれがスタートとなりそうです。

    これで宙組は3代続けてプレお披露目が海外μとなりましたね。

    109期で早速参加している2人も大活躍です。文化祭クラシックボーカルなので印象に残り(響さんは芝居主役でもあり、珠城さんに似ているため)どちらかは宙組配属と予想していましたがまさかの両方で驚くとともに感謝です。

    各楽曲が熱唱熱唱で歌う側は大変だと思いますが、これを楽まで乗り切って真の王と王国になる、そこまでが物語だと思っています。皆さん体調に気をつけて、立ち向かってほしいです。

  8. そも より:

    本日、やっと観てまいりました。全体、面白かったです。新トップコンビ、新2番手さん、皆さんソツなくかっこよく演じ歌ってらっしゃいました。
    で、いま(終了後約6時間)浮かんでくるのはマーリン、モーガン、ウルフスタンの3名。特にモーガンです。今日は高音の伸びもよく、恨みつらみと愛を求める悲しみて迫力満点のモーガンでした。にしても、芹香さんとの並び、本当はご親戚?ってくらいで、ひとりでニヤけてしまいました(笑)。