竹内涼真初舞台主演作『17 AGAIN』感想

 

竹内涼真の初主演舞台作『17 AGAIN』を観てきました!!

宝塚以外の外部公演を見るのは、

昨年の明治座『両国花錦闘士』ぶり。

 

当時は新型コロナの影響により千鳥配席でしたが、

今回は全席使い、しかも満員御礼!!

熱気あふれる舞台公演でした。

 

【あらすじ】バスケットで将来を有望視されていた17歳のマイクは、恋人のスカーレットの妊娠を知り、全てを捨て結婚。35歳になったマイクはすっかりくたびれ、家庭仲も最悪。職無し、離婚危機にまで陥ってしまう。そんな中、マイクはひょんなことから17歳の姿に逆戻り!!これは人生をやり直すチャンスだと期待に胸を膨らませ、親友の力を借り子供たちが通うハイスクールに転入。そこで見えてきたのは、今まで自分が見ようともしなかった意外な現実が有り…。

 

ホリプロの本気作『17 AGAIN』

 

20代中盤を超えた俳優やアイドルが、

さらなる一歩を踏み出すための格上演出の方法論の一つとして、

舞台進出という手段が構築されたのは、一体いつ頃のことでしょう。

 

少なくとも、竹内涼真が所属するホリプロはミュージカルに造詣が深く

市村正親、田代万里生といった名だたる俳優が所属。

 

そもそも家族向けミュージカルの裾野を広げたのは、

第一回ホリプロスカウトキャラバンで優勝した、

榊原郁恵主演の『ピーター・パン』であることも興味深いでしょう。

 

さらに、いまだ根強いミュージカルブームを牽引すべく、

新型コロナの影響が直撃しているにも関わらず、

2020年には「ミュージカル次世代スターオーディション」を開催。

 

そんな土壌のうえで、ホリプロの看板俳優たる竹内涼真が

20代中盤を超え舞台進出を図るというのは、至極当然の流れでしょう。

 

そんな彼に似合う作品探しのため、

4年も前から入念に計画されたという本作は、

「彼を一つ上の俳優にしよう」という制作側の熱い気合が感じられた、

ホリプロの超本気作。

 

もうね、舞台から迸る熱いエナジーが半端ない。

演出効果もガンガン、映像も照明も惜しげもなく使いまくり。

 

主演である竹内もまた、その期待に全身で応えようと闘志を燃やし、

その姿は切なくも美しく、主人公マイクの姿と重なって見えます。

 

原作ありきの作品なので本が面白いのは当然ですが、

想像以上にギャク要素が高く、

けど家庭と自信の再生というテーマは重く、その緩急が良い塩梅で、

まさにホリプロミュージカルの決定版的完成度を誇る作品でした。

 

キャスト別さっくり感想

 

そんはわけで主人公・マイク役の竹内涼真。

時かけやひよっこと言った爽やか路線の代表格的存在でしたが、

最近は「テセウスの船」「君と世界が終わる日に」など、

髪を染め、鍛えた肉体美を披露し、と、年相応の野郎路線へと転換中。

 

そんな彼が高校生役を演じるのはさすがにキツイと思っていたけれど、

「中身は35歳だから大人びた高校生なんです」という設定にピタリとはまり、

まさしくハマリ役だったと思います。

 

芝居については、さすがの一言。

根の熱さ、だけどもう大人だから冷静にならねば、という揺れ動きが良く見えたし、

少しずつ自分と向き合っていく葛藤も、よく表現されていたと思います。

 

歌唱力については、事前の予告映像だと「…」って感じでしたが、笑

千秋楽近い公演を見ただけあって、めちゃめちゃ上達していました。

単純に、この作品に出会えて良かったね、という感じです。

 

そしてヒロイン・スカーレットを演じたソニン。

あんた、いい女優になったなぁ…。(誰目線?)

 

アイドルデビューするもメンバー脱退、

裸エプロンだのドミノだので話題作りするもCDを出せなくなり、

インディーズ落ち、女優デビューするもパッとせず、

ミュージカル進出も「落ちぶれた」と言われた。

 

海外留学を経て、いまやミュージカル界でも名の知れた存在になっていますが、

ついに竹内涼真をヒロインとして支えるポジションにまで登りつめるなんて…。

 

自分を信じて努力を重ね、本当に良かったな、と

彼女の青春期を生で見ていた私としては、感激もひとしおでした。

 

宝塚ファンとしては校長役の水夏希を見逃せません。

彼女、宝塚OGの中でも飛びぬけてストイック、

かつ現役時代からテレビに出て広報担当をしていただけあり、ギャグセン高め。

 

舞台をアドリブで引っ張っていた、

主人公の親友役であるエハラマサヒロとはナイスコンビで、

面白い役どころを演じていたと思います。

 

そしてマイクの長女、マギー演じる桜井日奈子。

まさか彼女を舞台で見ることになるとは…。

いままでの清純派を良い意味で裏切る、体当たりな芝居で良かったです。

 

マイクの長男、アレックス演じる福澤希空は、現役17歳、

瑞々しい存在感が良かったです。

トイレのスッポンをマイクに見立てて熱唱する姿はアツかったぜ‼︎

 

クラスのアメリカンヤンキーを演じる有澤樟太郎は、

パンフでの好青年な実像と舞台の上での姿が違い過ぎて、ビックリ。笑

長い手足を生かした芝居と歌唱力で、

竹内のライバル役という重責を見事に果たしていました。

 

アンサンブルメンバーも全体的に面白かったなぁ。

チビ、デブ、スレンダーのブリタニーズやママの友達、用務員などキャラ濃いめ。

 

クラスの男子たちも様々で、

虐められているアレックスを見て見ぬふりしていた青年が最後に…等、

妙に色付けされているのも面白かったです。

 

面白かったよ『17 AGAIN』

 

皆さんは「あの頃、ああしていれば」と思うことはありますか?

実は私は、ありません。

と、一緒に観劇した管理人と話していたら

「あんたは人生楽しんでるもんね」と言われました。笑

 

うーん、どうでしょう。

少なくとも自分がマイクのように35歳になった時に

「あの時、ああしていれば」とウジウジしてるおっさんには

なりたかないなとは思いますよね。

 

だけどもし、17歳に戻ったら…何をやり残したと思ってするだろう。

田舎出身なので、制服ディズニーでもやろうかな?笑

…なんてたわいもないことを考えながら家路についたのでした。

 

まぁとにかく、久しぶりの外部公演となった『17 AGAIN』。

想像以上に面白くて良かったです!!

 

そんな『17 AGAIN』ですが、6月6日にライブ配信するようですよ!!

ご興味のある方は、是非。

 

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コメント

  1. 照風 より:

    いつも楽しく拝見しています。17AGEINの感想ありがとうございます、お薦めで嬉しいです、兵庫公演の良席(3列め)当選し今から浮かれて踊っております。
    こんな時期に7月は上川隆也・魔界転生、フェイクスピア・高橋一生と3大イケメン祭りです。幸い?高齢者なので間にワクチン接種予定(汗)その後宙組観劇と自粛の鬱積を取り戻せそうです。
    また月組公演は芝居も素晴らしく、珠城りょうが最後に報われてほんとに良かった。100年を超える歴史の中で「あの作品」といえるものを残せるスターは数少ないです。
    1人で無言の観劇し、走って帰る日々ですが、来年は友人と観劇後食事やお茶して感想をおしゃべりできる日を、生きて待っていようと思います。

  2. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。「あの頃、ああしていれば」とウジウジし続けている地方民です。

    17歳のころの自分に言いたいこと…「宝塚にハマってないで、受験勉強に専念しろ!数学を捨てるな!論理的にものごとを考えるためには理系科目は大事だ!」ですね(笑)

    私は息子に「学歴なんて社会に出たら関係ない!」と断言はできないし、受験勉強で習うことや合格に向けての勉強法の試行錯誤は、大人になって何を勉強するのでも土台になっていると実感しますわ。

    ただ、思春期に宝塚に出会ったおかげで、自分には関係ない受験のための暗記だと思っていた世界史を「あ、これ宝塚で〇〇さんがやった役」を取っ掛かりに興味を持ったり、欧州に旅行してオペラやバレエを「言葉はわからないが、キムシンが宝塚でやってたあの作品の原作だな」ということで興味を持って見ることができたり、というメリットはあったと思います。

    宝塚はいい趣味ですよ。歳をとってくると、体力も老眼もですが「好奇心の老化」がある意味危機でしてね。新しいジャンルに手を伸ばすことが「かったるく」なってくる。

    宝塚ファンでいることで、歴史から文学からマンガから、「ブログを書くために予習しよう」でいろいろな未知のジャンルに触れるきっかけを与えてくれて、贔屓のことでやきもきする、桃色吐息な日々を送れて。

    思春期に宝塚に触れていなかったら、どんな青春を過ごし、どんな中年として日々を過ごしていたかなあ・・・

    あ、やっぱり、「宝塚ファンになったことに一片の悔いなし」ですわ。

  3. コスモスハート より:

    色々見ておられますね。
    私は宝塚以外は、劇団四季、でも、かなり前、と、韓国ミュージカルを見てました。最近はめっきり、宝塚のみ。

    で今回このブログを読んで、ホリプロ検索。で、ジャックザリッバー、ミュージカルやるのか〜。
    韓国語で見た〜。面白かった〜。謎の男、ジャックを演じていたシン•ソンウという方の普段はロック歌っている。迫力がハンパなかった。キャストの中にキムジュンヒョンさんもいて、(劇団四季でかつて主役もされていた)私の見た回は別のキャストだったけど、当時の韓国の最高興行記録樹立、日本公演進出も開幕前に損益分岐点を超える、って、わざわざブログラムに表記。トリプルキャストだった。宝塚と違って、一人の人が役がわりで別の役はやらない。
    ホリプロ版も、余裕があるあれば、見てみたいものです。

  4. クミコ より:

    今日が千秋楽&配信だったのですねー 見逃しました。竹内涼真君の好演も耳にしていたのですが。キリッとした校長先生役の水夏希さん、昨日のロミジュリ配信でのキャピュレット夫人春野寿美礼さんと、宝塚を見始めた頃のトップさん達が立場は代わっても、舞台を締める形で活躍されているのは嬉しいものです。
    さて、こちらもOGの涼紫央さんがこの公演観劇時にお会いしたと、オペラグラスを下げた小池修一郎先生とのツーショットをインスタに上げていらっしゃいました。
    小池先生演出舞台に竹内涼真君の出演! あるかなー?
    楽しみです。