宝塚が再び裁判沙汰に・原田諒氏、提訴する。

 

昨年12月26日に宝塚歌劇団を退団した、

脚本家・演出家の原田諒氏が文藝春秋に手記を寄稿。

退団に至る顛末を赤裸々に書き綴るとともに、

復籍を求め宝塚を提訴したことを明らかにしました。

 

さて、私には「週刊誌ネタを記事にしない」というポリシーがあるのですが、

それは週刊誌はソース元の無い妄想であれこれ書いたものでしかないから

論ずるに値しないという理論からなるものでして、

今回は原田氏が直々に主張しているもので、

かつ提訴というオープンな問題になったことから、敢えて取り上げることにしました。

 

それに、私は96期裁判から宝塚に興味を持った人間なので、

立場的にやっぱりスルーは出来ないですよねぇ…。

今回のことで逆に宝塚に興味を持つ人も出てくるかもしれませんし?

ってことで現段階での私の個人的感想を綴っていきます。

 

原田諒氏の主張に思う

 

とりあえず、ざっくり手記を読んで思ったことは、登場人物全員が気持ち悪い、ってことでしょうか。笑

まず、演出家らしい叙情的な原田先生の文面から伝わってくるのが、「ぼくわるくない」ということ。最初からセクハラ・パワハラで勝ち目がないということが分かっているのでしょう、話の帰結を劇団の不当解雇に絞っているあたり、プロの(つまり弁護士がちゃんと入っている)理論だなと思いました。そう、今回の記事は、裁判するにあたり物語上辻褄を合わせながらの自己弁論です。正直目が滑って仕方りませんでしたが、頑張って読み進めました。

だけどさぁ…確かに不当解雇はあかんよ。あかんけど、その場のノリとはいえ、部下(じゃなくて当時はまだ内定者)に「でもベットはひとつしかないから、犯すかもわからへんで」は、ギリ昭和世代の私からしても気持ち悪いと思います。冗談めかして、とか、真夏の熱帯夜で閉口したとか、関係ありますかね?同性として下ネタのくだりも分かるっちゃ分かりますけど、それは同世代や一回り上くらいの世代とするものであって、20歳近い年上の上司にそんなこと言われたら、私だったら引くかなぁ…。なので正直、上司に好かれなければ!!と頑張っちゃった部下側の気持ちの方が私は共感出来ちゃったり。もちろん媚っ媚で過剰過ぎますけど。

ま、原田氏の主張が正しいと仮定して、不当解雇に対して提訴するというのは、至極当然のことでしょう。宝塚への並々ならぬ思いを書き記していますけど、とはいえ本気で戻る気なのかは分かりません。このままでは外部で仕事をするにも難しい状況でしょうから、いわゆる名誉回復のための裁判とも取れるわけで。このあたりは今後の推移を見守るしかないのかもしれません。

 

どうする木場理事長

 

で、いわゆる性被害を受けたとされるAさん親子については、一般人ですのでノーコメントです。社会に生きる一人の成人として言えるのは「ま、色んな方がいらっしゃいますし?」って感じです。なので問題は、劇団側の対応でしょう。

私は、宝塚歌劇団に清廉潔白を求めるつもりはありません。今の世の中の滅菌志向にうんざりしていて、白でも黒でもないグレーが存在することも理解しているつもりです。ましてや舞台興行ですから、今回のことは氷山の一角に過ぎず、もっと酷いジョーシキがまかり通っていることもあると思います。残酷な現実が養分となって咲く毒々しい花を、キレイキレイと持て囃すことがエンタメだと、誰も口にしないだけでイイ大人は分かっているはずです。だ、け、ど。それを上手にやり繰りし舵取りすることが首脳陣に求められることじゃないですか。

Aさん親子がモンスタークレーマーであろうと、あるいは原田先生が本当にセクハラパワハラの演出家で切ろうとしていた存在だったとしても、解雇処分というのはきちんと手続きを踏んでしかるべきものです。企業として毅然として対応するべきだったのに、そんなに文春が怖かったんですかね?いや、正しくは毅然と「原田氏に対応しちゃった」んですけど、それで結果的に宝塚を守ることになると本気で思っていたんでしょうかね。

まぁ誰の主張が正しいのかは分かりません(みんな都合よく話すだろうし)が、結果的に文春に売られるわ、原田先生に提訴されるわで、何がしたかったのかが良く分かりませんし、文春と文藝春秋でマッチポンプしていることも含めて、全体的に気持ち悪いなぁというのが現段階での感想でしょうか。

 

愛したあなたはもう居ない

 

そして今回のことで私が一番に思ったことは、これが小川元理事長だったらどう対応していたのだろうか?ということです。だってほら、私は小川信奉者なので。笑

繰り返しますが、こういうトラブルは社会では残念ながら「よくあること」であって、企業に求められるのはそれをどう対処していくか、です。結果的に小川期の前後で96期裁判と今回の原田裁判が起きたわけですが、それは小川期が清廉潔白だったからではなく、あくまで「上手く捌いていたから」だと私は思います。

配信バブルからコロナ不況に落っこちて、木場理事長はババを引いたなと少し同情していました(なので当ブログでも相当フォローしていたつもりです)が、人事的な滞留も、およそ適当とは思えない古臭い再演祭りも、新春の理事長挨拶が短くなったり歌劇の表紙予告がなくなったり行き当たりばったりな人事がまかり通っているのも、結局のところ木場氏の日和見体質が遠因なんでしょうね、たぶん。

トップが変わると企業が変わる、というのをまざまざと見せつけてくれている今の宝塚。収益的には配信業のおかげで黒字のようですが、看板の名誉はまた堕ちるところまで堕ちてしまうのでしょうか…。戻って来てくれとは言いませんけど、小川さーん、どうなっちゃうのよこれー。

ファンとしては今後の推移を生暖かく見守るしかありませんね。

 

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コメント

  1. 五條 より:

    これA親子を焚き付けた人いますよね?なんちゃら先生に文春を使うようアドバイスされたとか、某先生に原田氏はバイセクシュアルだと教えられたとか、先生には全て相談しているとか、ところどころ別の演出家(誰かは不明)が顔出してる。原田氏、劇団内に敵いたんちゃうか?と。演出家同士の足の引っ張り合い、派閥争いなんじゃないかなって。
    しかしその仕掛けた演出家も、文春使えとか言ってる時点で劇団的にかなりヤバい人な気が…内部ではもう誰だかは皆わかってるでしょうし。
    しっかし24の男が会社と揉めて、母親同伴…あっふーんって感じですね。連れてくるの弁護士とかじゃなくて母親なんだーそっかーっていう。

    原田氏の言うことがどこまで本当かはわかりませんが、木場理事長は相当やらかしてるように見えました。文春出されたら社員守る気ゼロであっちの言うこと鵜呑みにして、結局文春は出ちゃってるって悪手にもほどがある。文春出ないが条件だったのに、出たら交渉した意味がまったくありません。

  2. Miranda より:

    人事歴が長い私からすると
    解雇手続きは慎重に行わないとリスクしかないと思っています。
    劇団には企業として、”一般的な”人事はいないんですかね。
    理事長(社長)がむちゃ言おうとも、それをコントロールするのが人事なはずですよね。
    今回の対応はガッカリです。

    ハラスメントについては、受けた側がそう感じたら成立してしまうので
    上に立身としての意識が足りなすぎたのかな、、、
    今回の件はまじで気持ち悪いですが、昨今ハラスメントに過敏になりすぎな人も増えたとは思います。
    え、そんなことで?的な。

  3. 12がつ より:

    全文同意です。
    小川さん時代も文春では礼真琴の水着写真やジェンヌの人気投票などなどファンを動揺させるショッキングな記事はありましたが、ここまで尾を引く問題にはならず鎮火していたのは上手く捌いていたからかと。
    子を持つ親として我が子が被害を受けたと感じたら相手を徹底的に糾弾するだろうし、逆に自分がセクハラパワを訴えられる身に覚えがあったとしても、こういう処断のされ方では納得出来ず、以後の人生の為にも名誉回復の法的手段に出るのは当然でしょう。
    私には作品のことしか分かりませんが、蒼穹の昴を愛読し、その舞台化の夢を叶えて私たちファンに素晴らしい作品を観せてくれた彼の才能は、惜しいなと思っています。

  4. ずんだもち より:

    週刊誌は善意で作られているわけじゃないですから。
    宝塚ネタなんて面白読み物でしょ?
    女性ファンが多いから「女は噂話好きでしょ?」ってヅカオタも小バカにされてるんですよ。
    本当に読ませたい記事は別にあって、ヅカネタはただの客寄せと売り上げのためかも。
    自分も反省しますが、どちらの週刊誌も鵜呑みに出来ないですね、つくづく。
    理事長の手腕については‥これはドラマですけど。
    愛希れいかが見たくて視聴したNHKドラマ「アイドル」で、椎名桔平が清濁併せ呑む劇場オーナーを好演してました。古くなったスターは容赦なく切る、検閲官に賄賂を渡す、その検閲官が劇作家志望だったことをつきとめ脚本を依頼する。でも守りたいのは劇場と興業。その芯がブレないから皆ついて行くんですよね。
    そこここに貼ってある「空気、メシ、ムーラン」の標語が心に響く。
    理想ですけどね、こんな人が今の宝塚歌劇団には本当に必要なのでしょう。どこかにいないですかね。

  5. より:

    人柄や性的嗜好、周りの人間関係だとかそれぞれの思惑だとかは(まさにゴシップ、下衆な興味本位の噂話にしかなり得ないので)置いておいて、原田氏も認めている事実としての発言内容や表現だけでも上下関係があることを踏まえると完全にハラスメント、アウトではと思います。

    冗談のつもり、和ませるつもりだったというのはハラスメントをする人の定番の言い分ですね。気にしすぎ、そんなつもりではない、過敏に捉えすぎという古い感覚がもう通用しないことを立場のある方なら自覚して行動すべきでした。

    ファンという立場の一部外者としては裁判に至った以上事の真偽含め諸々は先のことになるでしょうが粛々と裁判の結果を待つのみです。

  6. ジャスミン より:

    私も記事を読みました。
    全文同意です…。
    やっぱり「劇団側の対応」は問題でしょう。

    私も改めてちょっと思ってしまいましたね、「小川元理事長だったら」と。

    また今回、原田氏の言い分(手記発表)だけならともかく、提訴となってるわけですよね。ですけれど、劇団公式HPでの「一部報道についてのお知らせ」も、出るの遅かったですよね。たかが数行の「お知らせ」ですけれど、これまた印象としては宜しくないと感じます。対処する気あるのかな?と。え、スルー?みたいな。

    まあ、勿論、提訴ということは劇団も無視できませんし、企業としてきちんと対処する姿勢を見せてほしいですが、どうなることやら。

  7. コアラ より:

    セパ問題はひとまず置いておいて、

    A氏の母親から真矢みきさんを通して、A氏が演出助手になれるよう口添えを頼まれる

    劇団に口添えする

    A氏と良好な師弟関係となり、A氏の方から蒼穹の昴の助手に付きたいと言われる

    他の演出家(演出助手?)がA氏に原田氏の性癖を暴露する

    A氏が原田氏と距離を置き、そして例の騒動へ

    という流れだけ見ると、原田氏に同情する部分も大きいですね。特に原田氏の性癖を暴露した同僚は今の時代許されることではないですよね。個人的には演出助手の試験に落ちた身として、A氏以外にもコネで入団した演出家がたくさんいるのかな〜なんて思ってしまいました。

  8. みみ より:

    蒼汰さんの書かれている通り、エンタメに清廉潔白を求める気はありませんし、
    歌舞伎役者の女遊びが酷かろうと舞台上で魅せてくれる歌舞伎を買って見に行くものですが、
    それってあくまで「法令遵守」の範囲内だよなぁと思ったりしました。

    企業として全うなバックオフィス(法務、人事、広報等々)はおらんのかいと思いました。
    法務、人事的にだいぶ法令的にアウトな対応を見ていると、
    経理とか税務とかも大丈夫なのと思ってしまったり。
    うーん、でもバックオフィス系は阪急交通社から来てそうなんだけどなぁ。

    一般常識とはかけはなれたところにいるとは理解してますが、
    週刊誌にビビって法律を破りかけるはお粗末すぎますね。

  9. RO より:

    蒼汰様

    まだまだ終わりが見えないのかぁ双方の言い分、外野には真実を確認する術はありませんが、ひとつだけ、これは確定なことが。なんで鴛鴦?の答え合わせができました。これまでも、歌えるわけでも踊れるわけでもなく、しかもスタイルも悪いのになんでトップ娘役?等々、モヤモヤなことは色々ありましたが、良くも悪くも永遠に答え合わせができないのが宝塚。今回の件、対応を誤ると諸々答え合わせができてしまう、パンドラの箱が開いてしまうリスクがありはしないか心配です。トップの柚香さん、花組さん、コロナだけでも大変だったのに、急な演目変更でも舞台を努めてくださる。内側はどんなことになっているのか、その心労、負担を思うとかける言葉が見つかりません。柚香さんの退団公演、私の希望は正塚先生の新作お芝居、野口先生のショーですが、どうかせめて、ここまで大変だったれいちゃんの希望が叶う退団公演になりますよう。まだまだ先の話ですが。
    歌劇表紙の次号予告ができない、前代未聞のトップが休養?なくらい行き当たりばったりで綱渡りな状況に陥っているとしか思えない、今の木場理事長体制の宝塚。ここからは、どうか対応を誤らないで。