星組『霧深きエルベのほとり』感想

ちょっと前に星組公演『霧深きエルベのほとり』を見てきまして

今更ですが感想をさっくりと書いていこうと思います。

前評判通り、意外と面白かったですよー。

 

【諸注意】

一応お断りしておきますが、舞台の感想というのは得てして「個人的なもの」です。

つまりただの感想文なので、お読みになって反論、批判等もあると思うのですが

それを投げかけられても「そうですか、私達は価値観が合わないんですね」

としか言えませんので、ただの一個人の感想としてどうぞお読みくださいませ。

 

温故知新『霧深きエルベのほとり』

 

まず思うのは、宝塚105年の歴史の中の膨大な作品たちから

よくもまぁこんなにも今の星組に合ったものを探し出し、

当てがったなぁということです。笑

 

小川理事長が新春インタビューにて

「105周年にあたり過去の宝塚の良さを振り返る」(意訳)

的なことを語っていましたけど

 

今作はわざわざ「Once upon a time」なんて

仰々しい副題がついているくらいですから、

まさに「古き良き」を現代に蘇らせるというのが

大きいテーマなのでしょう。

 

ストーリーは「格差により結ばれてはならない2人の道ならぬ恋」という

とても前時代的なストーリーですけど、その古臭さが逆に新鮮で、

それをストレート直球勝負でぶつけられるのは

体育会系な星組だからだし、その真っ向勝負感が見ていて非常に爽快でした。

 

そして紅ゆずると率いる星組生の男役の長所を

上手に引き出す演出も良かったと思います。

 

明日海だと船乗り率いてハンブルクの名家相手に騒乱を巻き起こしそうだし

望海だと「か~も~め~よ~」から朗々と歌って加山雄三感強そうだし

珠城だと真面目過ぎ、真風だとスタイリッシュになり過ぎちゃう。

(書いといてなんですが、どの組で見ても面白そうではありますが。笑)

 

船乗りたちはカッコ良過ぎないことが、カッコ良い。

なぜなら無骨おふざけという相反する性質を持ち合わせた存在だからですが

その絶妙なバランスを男役として成り立たせられたのは

泥臭い星組(誉め言葉)がゆえかなぁと思うのです。

 

上田久美子の演出の勝利

 

そしてもう1つ、

この作品は演出勝ちですね。

 

「古臭い作品を現代に蘇らせる」というコンセプトに

演出を上田久美子に任せた采配は、もうナイスとしか言いようがない。

 

私は1963年の初演から1983年の再演まで見たことないので

どこがどう変わっているのかは分からないのですが

もう全体から溢れるウエクミ感が凄かった。笑

 

私が感じたウエクミ感といえば

・舞台の正面から斜めに走る導線

(ベンチ・建物の配置やキャストの立ち位置も斜めにすることで奥行きを出す)

・盆をグルグル回しまくって場面転換を上手に演出

・人の波で舞台を分断し、前方と後方、上手と下手で別々の時間軸を流す

・クライマックスでは主人公の上を何かがヒラヒラ舞ってる

 

神々やら翼あるやら金色やらで見たことあるものばかりだけど

でもやっぱり演出上手だよね、ウエダセンセったら。

 

ビア祭りの喧騒カール(というよりマルギット)の恋愛騒動という2つの騒乱が

舞台上に同時に進行していくことで

演者の心の様子や変化がより浮き彫りになっていくし

 

平面になりがちな舞台演出を

前方と後方、上手と下手で別々な出来事を起こすことで

物語的にも見栄え的にも奥行きが出る。

 

古臭い物語のはずなのに、それをすんなり受け入れられるのは

演出の妙だなぁととても感動してしまいました。

 

…しかし、あの人波の演出を見るとウエクミだなーって思いますよね。笑

(小走りしながら体を屈ませ両腕を前に⇒背伸びして両腕を上に…って言って分かります?)

 

花組『CASANOVA』でも同じ人波の演出があるんですけど

その効果の違いは歴然です…恐るべし上田久美子。

 

コスチュームの星組としての勝利

 

そしてこの作品の面白さを語るうえで

星組生のビジュアルの良さも言及しなければなりませんね。

 

うん、やっぱりビジュアルの組ですね、星組は。

男役チームの船乗りの恰好が似合うこと似合うこと‼

そして女性陣の名家のお嬢様ドレスも華やかなこと華やかなこと‼

 

さすが「コスチュームの星組」だなぁと

申し訳ないのですが初めて思いました。笑

詳細はキャスト別感想にて‼(次回予告)

 

ちなみに『ESTRELLAS』は…ごめん、好きじゃなかったわ。

NHKで見て思った通りでしたし、特に書くことも無いので今回はパス。

 

☆★☆★☆

ランキング参加始めました!!

ぜひポチっとお願いします↓↓

にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ

にほんブログ村

コメント