澄輝さやと・極めし脇役路線道

澄輝さやと、宙組の男役スターで91期生。

 

彼女のことが好きか嫌いかで言えば、私はだいぶ好きな方でした。

なんなら、朝夏、真風の次に気にしていたくらいに。

 

でもそれは、真ん中で輝くような

眩いスター性に惹かれたわけじゃありません。

 

彼女はあくまでも、

その脇で静かに輝く月のような魅力を持つスターだと思います。

 

例えば同じ宙組出身でも、

愛月ひかるは好き嫌いが分かれるほど目立ってしまう大輪の薔薇ならば、

彼女はひっそりと咲くすみれのような存在。

 

だから、これだけ好きだったと私は語っていますが、

舞台を俯瞰で見ている時に彼女に気付くことは

正直なところあまりありませんでした。

 

例えばオペラグラスで真風を見ていた横にいる彼女を見て、

例えばスカステ等の舞台映像を通して、

「やっぱり良い芝居するなー」と気付いたり、その佇まいに感動したりする。

 

そんな脇役路線を全うする存在であったからこそ、

私は彼女に惹かれていたのかもしれません。

 

悲運の90期~92期と別格男役について

 

ところで、彼女は91期生なわけですが、

前後を含む90期~92期生は「男役不作」と言われるはざまの世代です。

 

【90期生】

瀬戸かずや:花組 / 香綾しずる:元雪組 / 宇月颯:元月組

 

【91期生】

紫門ゆりや:月組 / 天寿光希:星組 / 澄輝さやと : 宙組 / 鳳真由:元花組

 

【92期生】

真風涼帆:宙組トップスター / 鳳月杏:月組 / 彩凪翔:雪組 / 煌月爽矢:元月組

 

 

新公主演者は多くいたものの、

現時点でトップスターになったのは真風涼帆ただ1人。

ですが逆に、ご覧の通り別格&脇路線男役の宝庫とも言えます。

 

なんせ現在も別格御三家(勝手に命名)として活躍している

瀬戸かずや、鳳月杏、彩凪翔がいますからね。

 

この3人が別格として劇団から相応の扱いを受け、

「FOCUS ON」なるスタイルブックシリーズを出したのに比べ、

澄輝さやとの扱いの悪さたるや…。

 

もちろんここにはバウ単独主演という大きな壁があるわけですが、

でも逆に言えばこの独特のポジションこそが

澄輝の魅力と言えるかもしれません。

 

決して路線に絡んでくることはないのだけれど、

宙組に無くてはならない存在として、ひっそりと咲き続けた花。

それこそが「澄輝さやと」というスターなのではないでしょうか。

 

脇役路線として歩んで

 

『クラシコ・イタリアーノ』で新公初主演を果たした時、澄輝は研7。

最後のチャンスを掴んでの主演でした。

 

当時、既に2期下の愛月ひかるが2回、

蒼羽りくが1回主演を果たしていることを思えば、

彼女に与えられたのは「本命を支えるための脇役路線」という使命なのでしょう。

 

その後も『New Wave!-宙-』のメインキャストに抜擢されながら、

本公演では別格路線として蒼羽りくとニコイチで、

あるいは対照的に抜擢されることが続きました。

 

同じ別格候補の中でも、

凛城きらがベートーヴェンやら皇后アレクサンドラやら

だいぶ特異な方向性にシフトしていったことを思えば、

澄輝は絶妙なバランスで男役道を邁進していったと言えるでしょう。

 

特に朝夏政権の頃には、彼女のそのひっそりとした佇まいが

「ロイヤル感」として魅力に変わっていき、確固たる存在感を脇で示すという、

これまた面白い存在のスターとなっていきました。

 

とはいえ、凛城、蒼羽という似た位置にスターが飽和しているがゆえに

瀬戸・鳳月・彩凪の別格御三家のポジションに

たどり着くことが出来なかったとも言えるわけですが…。

 

でも、その微妙に届かないあと一歩も

なんと美しいことでしょう。

 

彼女の宝塚人生は、

脇役路線としてその使命を全うした

素晴らしいものだったと言えるのではないでしょうか。

 

澄輝さやと・退団に送る言葉

 

彼女が退団を発表した際、SNSやブログ等では

「退団なんて惜し過ぎる」「劇団は何を考えているんだ」

「彼女はトップに立つ器だったのに、それを成せなかった宝塚は失格である」

的な言葉が思のほか溢れていて、私はだいぶビックリしました。

 

もちろん、何を思うかは自由。

今、彼女の存在が惜しまれるというのは、

それだけ彼女のスターとしての存在が本物であった証なのかもしれません。

 

…けどさ、それは退団を選んだ彼女の意志を尊重していないという意味では

ファンとして無粋というものでしょう。

 

ずっと応援し続けた(お金を使った)ファンならいざしらず、

本当にそう思っていたなら、それまでもっとブログで記事を書くなり、

グッズを買ったり入出に参加していれば良かったのに。

今更神格化して崇め奉るなんて、何もかも遅すぎる…。

 

…なんて思ってしまう私もまた、

無粋というものですよね。

つくづく、ファンって勝手だなぁと思った私なのでした。

 

彼女は路線スターではなかったし、

蓋扱いされるような場面も多々ありましたが、

それでも脇役路線として輝き続けてきたのは、まぎれも無い事実のはず。

 

少なくとも、これからも続く宙組の歴史に

その名を刻んだのではないでしょうか?

 

宝塚人生が終わるその瞬間まで、

脇役だけどただの脇役てはない

そんな不思議な彼女の魅力が光り輝き続けますように。

 

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コメント

  1. ちょっこー より:

    あと一歩届かなかったのが美しいというのも粋だなぁ。
    なんていうか、日本のわびさびを感じますね。

    • 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      それを粋に見せてくれるのが彼女のスター性なのかもしれませんね‼

  2. あやこ より:

    今回も、ソウタさん独自の切り口と愛に満ちた考察を、興味深く読みました。
    先日、宙組の博多座を見た母(←人事に関心なし)が、公演後に『あの人(澄輝さん)は、もういつでもトップになれる』などと得意げに評しており、驚いたのを思い出しました。
    そして母は、直後に愛月さんの燕尾を見て『ほぉ。。。』と感激するのです。
    すみれと薔薇、どちらも咲き誇ったレビューでした。
    今回の演目で、どこかひっそりと、ニコニコ退団されてゆくのも、澄輝さんらしくて素敵です。去り際といえば銀橋のソロ熱唱、だけではありません、よね。
    これからも、ブログを楽しみにしております。

    • 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼お母さまとご観劇なんて素敵ですね。^^
      コメントを読みまして、薔薇が咲くからすみれも美しく見える、そんな相互関係だったのかもしれないなーと思いました。
      最後まで澄輝さんらしい振る舞いで去る姿を見せてくれるような気がして…寂しいですけど楽しみですよね。

  3. ヅカおばば より:

    蒼汰さんが「澄輝さやと」って? 以前「別格男役」では寿つかさを挙げていらしたので、かなりの澄輝好きな私はちょっと落胆した覚えがあります・・・

    「澄輝さやと」今の宝塚男役で絶滅危惧種だと思います。「すみれ」ではなく「ゆり(日本の)」。かつて「ノーブル」というくくりの男役がいました。多少歌やダンスがヘッポコでも気障りがへたでも「そこにいるだけで許せる!」という誰よりも白い衣装が似合う、気品と凛とした美しさを持つ男役。もちろんトップまでたどりつくのは至難の業なんですが・・・
    そういう男役を愛するファンに愛された男役だったのではないでしょうか。時代の流れでこういった男役が登場する作品も少なくなり、それにつれてこの種の男役もいなくなっていくのでしょうね(寂しいです)。
    全ツでみた「バレンシアの熱い花」。朝夏澄輝真風のトリオは至福でした。今の作品より古い作品の似合う男役だと思います(年寄りのノスタルジアかな)。

    オーシャンズ11。モブのリーダーではなくきちんと見せ場のある役で良かったです。どちらかといえばショーより芝居の人だと思うので。
    愛月澄輝蒼羽がいなくなる宙組。次から楽しみがなくなってしまいました・・・

    • 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼それはそれは、その節は大変失礼いたしました…。
      おっしゃる通り、ノーブル系男役って本当に少なくなりましたよね。
      翼ある、バレンシア、不滅の刺…外箱でも彼女らしい気品をたたえた芝居を見せてくれましたよねー。
      そんな気品をたたえつつも中央に立つというのは、この個性と技巧が求められる時代には難しいのかもしれません…。
      今後の宙組がどうなるのか、不安と期待で見ていきたいと思います。

  4. より:

    澄輝さやとさんの記事を書いていただきありがとうございます!
    芝居ではロイヤルと悲哀を漂わせ、ショーではキラキラの笑顔やギラギラと眼光するどく、キレッキレのダンスを見せてくれ、トークではゆるりふんわりで、どのお姿も大好きでした。神々の土地のコンスタンチン役では短い出番で悲劇を描き、ラスプーチン暗殺への流れを後押しした演技が印象的でした。御三家みたいに悪役になれるほどの出てきた瞬間のオーラはなかったと思いますが、芝居を締めてくれた方でしたよね。
    退団は悲しいですが、これからの宙組の変化も楽しみです。瑠風や鷹翔の本公演抜擢を期待しているのですが…。

    • 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      コンスタンチン良かったですよねー。ああいう役どころ(翼ある人々とかも)はまさに彼女にピッタリだったと思います。
      よく舞台は脇役が大事なんて言いますけど、彼女の存在はまさにそれだったと思います。
      これから宙組は大きく変化していくようですね。2人とも御曹司としてぜひ頑張っていただきたいと思います‼

  5. アオセトナ より:

    ルドルフは彼女の持ち味に合って好演でした。
    ただ、でかかったですが笑
    スカステで大空祐飛を指名したのも納得でした。

    • 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      そう、好評だったらしいですねー。残念ながら見ていないので、ご覧になられていて羨ましいです‼
      蛇足ですが大空ルドルフ大好きです。笑

  6. ケイコ より:

    あっきーの退団本当に寂しいです。本公演より別箱での活躍が印象深いです。大好きでした。お幸せをお祈りします。

    • 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      個人的には『翼ある人々』が印象的した…。退団は寂しいですが、彼女の新たな門出をお祝いしたいです‼