どうなる新人公演?!どうする若手育成?!

もう皆さんご存知のことかと思いますが、

当面の間、新人公演が開催されないことが発表されました。

 

○公演の運営における感染予防策の強化

公演の運営においても、出演者の減員や演出の一部変更、

オーケストラの録音演奏などの対策を講じてまいりましたが、

更なる感染リスクの低減のため、当面の間、

宝塚大劇場・東京宝塚劇場ともに新人公演の実施を見合わせることといたします。

―宝塚歌劇団公式ホームページより引用

宝塚における新人公演とは?

 

新人公演とは何か。

本公演の演目を、本役に代わって新人(研究科7年まで)だけで上演する公演。

宝塚大劇場、東京宝塚劇場で毎公演1回ずつ行なわれてきました。

 

その意義は、もちろん若手育成の場です。

本公演では台詞を喋ったことすらない若手たちが、

前方で歌い、踊り、目立つ役で芝居をすることが出来ます。

 

「100回の稽古よりも1度の本番」と言うように、

観客からお金を貰う生の公演だからこそ積める経験は

スター人生において大いなる財産になるのしょう。

 

さらに言えば、観客に名前を売るという点でも大きいですよね。

本公演では全く目立たないスターが脚光を浴びることで固定ファンがつき、

また宝塚ファンにも広く認知されることで今後に繋げていける。

 

そして演出家を始めスタッフに評価されれば、

外箱や本公演で抜擢されたり、お眼鏡にかなえば新人公演で主役を演じ、

一気にスターダムにのし上がることが出来る。

 

そういう意味では、若手たちのモチベーションの源でもあり、

この舞台に賭ける思いの強さは容易に想像出来るというものです。

 

 

と同時に、タカラジェンヌ本人とそのファンだけでなく、

人事を読む宝塚ファンにとっても新人公演大きな意味合いを持ちます。

 

新人公演で主役orヒロインを演じることは、路線スターの第一関門。

ここで抜擢されるか否かで、今後のスター人生が全く違うものになります。

 

新公主演すれば、役付きもよくなり、ブロマイドが発売、

カレンダーや出版物に登場、スカステ等での番組の出演機会が増えますし、

少なくとも新公主演を経験しなければ路線レースに参加できず、

トップスターになれない現実が有ります(超稀なケースも有り)

 

改めて列挙してみると、

宝塚における新人公演というものがいかに重要かがよく分かりますね。

 

どうなる新人公演?!

 

そんな新人公演が「当面の間」「見合わせ」ですって。これは衝撃。

いや、予想はしていましたけれども

改めて現実を突き付けられた感が半端ないです。

 

特に新公ラスト学年だった100期生&長引けば101期生の、

いわゆる「おこぼれ1回」を狙ってたスターへの影響は非常に大きいですよね。

公演が開催されなければ「新公主演経験」が積めない、

つまりスターになるためのチケットが入手出来ないわけですから。

 

もちろん、何も救済が無いとは思いませんけれど、

いかんせん安定した上演が出来ていない現状では、

その指針すら立たせるのも難しいと思うのです。

 

考えられるのは、

特例で研8でも新公主演させるようにすることでしょうか。

 

既に名前が出ている一之瀬航季は優遇されたとして、

現時点で100期生新公経験者が出ていない雪&宙組、

具体的に言えば蘭・眞ノ宮・星加・優希・愛海あたりが

救済されることは…あるんでしょうかねぇ。

 

朝海ひかるのように後付けで主演させる裏技もあるんでしょうけれど、

いかんせん事前に名前が出ているわけではありませんから、

劇団内での予定を変更することはいくらでも出来てしまうわけで、

いやはや人事的影響は非常に大きそうです。

 

さらに言えば、旬が短い娘役の育成の遅れも懸念事項ですよね。

特に3人娘の最後の砦、月組のきよら羽龍の育成がストップになったこと、

さらに103期以下の時代が来る流れの中での娘役育成ストップは、

水物である娘役人事に多大なる影響が出そうです。

 

とまぁ、人事面で見ればファンの勝手な心配は尽きないわけですが、

いかんせん現時点では様子を伺うことしか出来ないのが歯がゆいですね。

 

劇団も懸案中だと思いますので、

大人しく発表を待つしかないのでしょう。

 

若手育成の場を考える

 

そして人事面だけでなく、

若手育成の場がなくなったのも大きいですよね。

 

ただでさえ2シフト体制での公演で舞台経験が減っているのに、

新人公演がなくなったら…何を糧にすれば良いのでしょう?

 

ということで素人ながら勝手に思っているのは

若手のバウ公演、もとい「バウワークショップ」シリーズが

再開されないかなぁというものだったりします。

 

最近やっていないですよね、ワークショップ。

バウ公演も「1つの大切な公演」として質を追求し、

チケットを売る方針に転換しているからだと思うのですが、

バウが落ち着いたら2021~2022年あたりにやらねぇかなぁと勝手に思ったり。

 

娘役はよく新公ヒロの前にバウヒロをやっちゃうパターンがありますが、

「特例バウ主演」みたいな扱いになったら面白いし、

カード的な意味合いだけじゃなく、

単純に公演経験が積めるという意味でも大きいかなぁと。

 

公演が開催されないことは、目先の利益が手に入らない意味で損失ですが、

若手育成の場がないことは、中長期的な視点での大いなる損失です。

 

もちろん今の劇団が何も考えていないとは思えませんので、

果たして小川理事長はどのような判断をくだすのか、

一ファンとして続報を待ちたいと思います。

 

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コメント

  1. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    新人公演ができない・・・ほんとに大問題ですよ。

    救済策として思いつくのは、やはりバウ・ワークショップ配信でしょうね。生徒の修行もだけど、今の若手の演出家の先生、若いうちからオリジナル作品を書かせてもらえるのはいいのだけれど、あらすじを追うダイジェストみたいな作りになりがちで、

    戯曲のテーマの見せ方とか、じっくり芝居をする場の作り方とか、話の構造を2時間なり90分の枠で詰将棋のように組み立てる修行が足りないのでは、という危惧があります。出島のヤング谷センセイとか、壮麗帝の樫畑先生とか、何をしたいのか、話の立体構造の見せ方がピンとこないんですよ(小声)

    みんな植じいのベルばらや風共にぶーぶー言っていますけれど、まあ古臭いけれど、若手の先生にあんなに芝居の魅せ場をねっとり書き込めるかなあ?シュテファンというお人形とフェルゼン最期の面会とか、第2のスカーレットとか、クサいし原作にないけれど、劇的という意味ではよく思いついたなあと感心しています。

    ワークショップをするなら、ウエクミのエルベのようにワンスアポンとして菊田一夫や柴田先生の名作再演もいいし、

    シェイクスピアとかビリーワイルダーとかの、海外の著作権が切れた(もしくは安い)シナリオ名作なり、三谷幸喜さんとか日本の戦後の「戯曲」の名作レパートリーなり、

    とにかく「戯曲・シナリオ」の名作を、演出家として生徒を動かして作品にする試みをして、若手先生の演出力も鍛えてほしいです。(外部の芝居好きの方が、配信で見てくれるかもしれない)

    • まるこ より:

      こんちゃんさま

      まずは蒼汰様、他人様のブログの中で申し訳ありません。

      「植じい」の下りで笑うとともに大きく頷いてしまいました。実は私も壮麗帝を見て、植田先生の見せ場の作り方、そこに持っていくまでの展開力をあらためて思い浮かべ尊敬していたところです。ソルフェリーノだったと思いますが、小池先生が「植田先生もお年なので落ち着いた作品を作るのかと内心思っていたが、実は誰よりも熱く劇的なホンを書いている、失礼しました(要旨)」のようなことを仰っていたのも思い出しました。

      新人公演はなぞる手本があるというのが大きな意味だと思うのですが、こうなったらバウを有効活用する、災い転じて~で若手演出家がどんどん鍛え上げられて欲しいですね。新作でなくとも全ツと同じく過去の作品をなぞるのも力になると思います。若手放送作家もまずやるのが過去作品の写経ですので。まずは模倣から。

      公演後に大人数が集まり稽古をすること自体がリスクでしょうし、しばらくはバウ組と本体と分けることで本体そのものも減員できますね。

  2. うみひこ より:

    こんにちは。
    今回の記事に大いに同感です。

    下級生さんだと本公演で役名もセリフももらえず、ただ耐えるように毎日演じるだけ。だけど新人公演。たった2回だけど自分の存在を示せる、家族や知人にも見てもらえる、と彼女たちの心の拠り所になっていると思うんですよね。

    上級生の人で「おとめ」の好きだった役で新人公演でやった役を挙げているケースも多いです。本公演でいろんな重要な役ができる路線の人とはまた違う熱い想いを感じずにはいられません。

    その機会が奪われてしまうことが、どうにも残念でなりません。

    また組で同期トップであれば研7で新人公演座長として取りまとめ仕事と最後の挨拶をします。それは彼女らにとって負担らしいのですが、楽しみにしている本人やご両親も多いと思うんですよ。そこも残念に思う理由の一つです。

    娘役さんは、役が少ないかつトップへの年数が短い分、より深刻な気がします。真彩希帆さんが異例の2回の組替を経て雪組トップ娘役に抜擢された理由。それは星組「こうもり」新人公演ヒロインでのオペラ歌唱がみとめられたからだろう、と勝手に思っています。そういう実力を発見してもらえるチャンスが無くなることもとても残念です。

    確かにワークショップはいいアイデアですね。

  3. AKIRA より:

    新人公演ですよね。
     救済策として考えられるのは新人抜擢の外箱公演を増やす!もちろんそうなると、枠は決まっている訳ですから、宝塚&東京の大劇場公演の回数を半減するとかして対応する。(例えば併せて一カ月半)既存のスターさんを見るのもいいけど、次世代を育てていくためには新人の発掘は必須です。どんな組織でも一緒ですが、活性化を図るためには次世代のモチベーションを下げない事ですよ。上のポストが詰まっていると若手社員が育たないというのは常識ですよね。
     まあ私のような素人がとやかく言わなくても劇団はしっかりと対応してくれると期待しています! 

  4. コスモスハート より:

    蒼汰様

    早速、取り上げて下さいました。
    私もボヤキます。m(_ _)m

    新人公演は、本公演の衣装を借りて行うというやり方が感染予防を考えると、駄目だったのかなと思うわけですが、舞台装置も共有できるし、本役さんから学べるし、経済的にも、育成の方法としても、一石二鳥だったのかな?

    バウ公演も中止になったままですし、練習場所の確保も大変だろうし、雪組のコンサート、無観客ディナーショー、ライブ配信などの成功が、今後の運営の鍵を握っているように思えます。

    当選していたチケットも幻となり、諦めてPCでライブ配信を見たのですが、音が今一で、満足度は低い、みたい所を見られない不便さはある、でも、観劇料は安く、下級生の番手が上がる別箱、本公演とは違う楽しみがあります。
    宙組、別箱、奇跡の
    ライブ配信、見られてよかったです。

    新人公演が元々、大劇場で観劇することは無理だった私でも、新人公演の様子を映像で見られたら、驚きと発見がある。

    宝塚のバウ公演も、私設FC会員でもなく、キャリア年数の浅いファンにはチケット当選は難しく、それこそが、宝塚歌劇団のステイタスだったかもしれない。
    しかし、コロナで世の中の状況は変わってしまった。

    何とか新時代の新手法で?どうにかやってほしい。チケット買えなかった人にも見せてほしい。

    自分自身もファンの一人として、新しい観劇スタイルに耐えつつ??脱落しないように応援しようと思います。

  5. 藤尾 より:

    幸いか不幸か、100期、101期で新人公演主演、ヒロインをやらなければならない人は既にやっています。既に主演が発表されている方が主演カウントでタカスペに出ることは出来ても、他の救済はないと思います。
    月組の次のバウを101期の礼華&彩音Wワークショップにするか、風間単独バウ主演にするかと言えば後者でしょう。
    きよらさんなら最小限から東上ヒロインでも出来そうです。